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記憶の帰還3
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冷静になったミレイニも自分の言ったことを思い出して、恥ずかしそうに赤面させながらモジモジしながら頷くと。
その後、ミレイニは意を決したように、エリエに向かって声を上げる。
「あたしはエリエが好き! 好きになっちゃったんだし!」
頬を赤らめながら上目遣いにミレイニのオレンジ色の瞳は真剣そのもので、エリエはその言葉が冗談とかではないとすぐに分かった。だが、男女なら分かるが、女同士の好きがエリエには良く分からない。
困惑しただただ動揺しているエリエに、構うことなくミレイニが言葉を続ける。
「ログアウトできなくなって、あの城に連れてこられた時、あたしは最初はあそこを天国だと思ったんだし。だって三食昼寝付きで、お菓子も食べ放題で、本当に良かったし。でも、すぐに退屈になって。ちょっと散歩に行きたくて部屋の外に出たらおしおきされて……だから、外には絶対に出られないし。それにあそこでは仲間という感じで、あたしを受け入れてくれなかった……でも、エリエは違ったし! あたしを本気で心配してくれて、強引にだけどあたしを外に連れ出してくれたし!!」
「……いや、それは、あんたから情報を聞き出そうと――」
苦笑いを浮かべると、熱い視線で詰め寄ってくるミレイニに告げると、彼女はその言葉を遮った。
「――だから、エリエはあたしの王子様なんだし! あの子とエリエがどんな関係だとしても、そんなのどうでもいいし! あたしはエリエが好き! だからエリエにもあたしを好きになってほしいんだし!!」
「……いや、あの……ちょっと落ち着きなさい。ミレイニ」
怖いほどに真剣な表情でじりじりと距離を詰めてくるミレイニの肩を掴んで、エリエは強引に彼女の体を引き離す。
そして、興奮しているミレイニを諭すように告げた。
「――いい? 今のあなたはあの騒ぎでちょっと混乱しているだけ、それに、好きっていうのは男女で生まれる感情で、女の子同士なんてありえないのよ?」
「女同士で好きになって何が悪いんだし! あたし。エリエと居ると凄く胸がドキドキするし!」
「いや、だから。それは吊り橋効果ってやつなの! 本当の好きじゃないのよ!」
頭を振ってミレイニの言葉を否定すしていたエリエに、飛び掛かるかたちでミレイニが強引にエリエをベッドに押し倒した。
ベットの上でエリエの上に覆い被さったミレイニは熱のこもった潤んだ瞳を、驚き動揺しているエリエに向けた。
エリエはミレイニの突然の行動で虚を突かれたのか、どうしたらいいのか分からず、覆い被さって動く気配のないで見つめてくるミレイニの目を見据える。
そんなエリエの澄んだ水の様な瞳をミレイニがじっと見つめたまま、微動だにしない。お互いに無言のまま見つめ合っていると、ミレイニが熱のこもった瞳を向け徐ろに口を開く。
「……エリエはこれでもドキドキしないし?」
「し、しないわよ! いい加減に悪ふざけを止めないと、後でひどいわよミレイニ!」
憤って拳を覆い被さるミレイニの前に突き出すと、突如として熱を帯びたその瞳が突如として涙を溜め込んで。
「……あたしは本気なのに……こんなのありえないし!」
咄嗟に走り去ろうとしたミレイニの瞳からは涙が溢れていた。ハッとして直ぐ様立ち去ろうとした彼女の腕を掴んで制止する。
決して視線を合わせず、震えた声でミレイニが叫ぶ。
「――放してほしいし! あたし。もうここにいられない!」
「いられないって……じゃあどこに行くのよ! お菓子は要らないの?」
「そんなのもう要らないし!!」
ミレイニはエリエの手を振り払おうと、必死で腕を振り回す。
予想だにしていなかったミレイニの突然の行動に、エリエは内心とても焦っていた。
それもそうだ。星も再び誘拐され、エミルも皆も混乱しているこんな時に、ミレイニまで居なくなることになれば、エミルに要らぬ心配を掛けてしまう。
(……このままだと、この子が飛び出して行ってしまう……それなら!)
エリエはミレイニの腕を思い切り引っ張ると、今度は反対にエリエが覆い被さるようにベッドに押し倒した。だが、泣いている顔を見られたくないのだろう。なんとか逃げ出そうと、ミレイニは全力で抵抗していたが。
ベッドに押し倒したミレイニの両肩を掴んで暴れているミレイニの顔を真剣な面持ちで見つめる。
「――ミレイニ。私が本当に好きならこっちを向きなさい」
「……ッ!?」
その直後、ミレイニの頬にエリエの柔らかい唇が触れる。
互いの顔がゆっくりと離れると、驚きながらも、エリエの顔をじっと見つめるミレイニに、エリエが優しい声で告げる。
「どう? これで分かったでしょ?」
「……うん」
頬を押さえ、心ここにあらずと言った感じでミレイニが頷く。
少し恥ずかしそうに、エリエは頬を赤らめながら呆然としているミレイニに尋ねる。
「――なら、どこにも行かない?」
「うん! ずっとエリエの側に居るし! 大好きだし!」
「あはは、抱き付いたら重いわよー」
満足そうに微笑んだミレイニは、溢れんばかりの喜びを表現するように全力でエリエに抱きつく。
機嫌を直したミレイニの様子を見て、エリエは不敵な笑みを浮かべている。これは全て彼女の計算通りの展開なのだ――。
その後、ミレイニは意を決したように、エリエに向かって声を上げる。
「あたしはエリエが好き! 好きになっちゃったんだし!」
頬を赤らめながら上目遣いにミレイニのオレンジ色の瞳は真剣そのもので、エリエはその言葉が冗談とかではないとすぐに分かった。だが、男女なら分かるが、女同士の好きがエリエには良く分からない。
困惑しただただ動揺しているエリエに、構うことなくミレイニが言葉を続ける。
「ログアウトできなくなって、あの城に連れてこられた時、あたしは最初はあそこを天国だと思ったんだし。だって三食昼寝付きで、お菓子も食べ放題で、本当に良かったし。でも、すぐに退屈になって。ちょっと散歩に行きたくて部屋の外に出たらおしおきされて……だから、外には絶対に出られないし。それにあそこでは仲間という感じで、あたしを受け入れてくれなかった……でも、エリエは違ったし! あたしを本気で心配してくれて、強引にだけどあたしを外に連れ出してくれたし!!」
「……いや、それは、あんたから情報を聞き出そうと――」
苦笑いを浮かべると、熱い視線で詰め寄ってくるミレイニに告げると、彼女はその言葉を遮った。
「――だから、エリエはあたしの王子様なんだし! あの子とエリエがどんな関係だとしても、そんなのどうでもいいし! あたしはエリエが好き! だからエリエにもあたしを好きになってほしいんだし!!」
「……いや、あの……ちょっと落ち着きなさい。ミレイニ」
怖いほどに真剣な表情でじりじりと距離を詰めてくるミレイニの肩を掴んで、エリエは強引に彼女の体を引き離す。
そして、興奮しているミレイニを諭すように告げた。
「――いい? 今のあなたはあの騒ぎでちょっと混乱しているだけ、それに、好きっていうのは男女で生まれる感情で、女の子同士なんてありえないのよ?」
「女同士で好きになって何が悪いんだし! あたし。エリエと居ると凄く胸がドキドキするし!」
「いや、だから。それは吊り橋効果ってやつなの! 本当の好きじゃないのよ!」
頭を振ってミレイニの言葉を否定すしていたエリエに、飛び掛かるかたちでミレイニが強引にエリエをベッドに押し倒した。
ベットの上でエリエの上に覆い被さったミレイニは熱のこもった潤んだ瞳を、驚き動揺しているエリエに向けた。
エリエはミレイニの突然の行動で虚を突かれたのか、どうしたらいいのか分からず、覆い被さって動く気配のないで見つめてくるミレイニの目を見据える。
そんなエリエの澄んだ水の様な瞳をミレイニがじっと見つめたまま、微動だにしない。お互いに無言のまま見つめ合っていると、ミレイニが熱のこもった瞳を向け徐ろに口を開く。
「……エリエはこれでもドキドキしないし?」
「し、しないわよ! いい加減に悪ふざけを止めないと、後でひどいわよミレイニ!」
憤って拳を覆い被さるミレイニの前に突き出すと、突如として熱を帯びたその瞳が突如として涙を溜め込んで。
「……あたしは本気なのに……こんなのありえないし!」
咄嗟に走り去ろうとしたミレイニの瞳からは涙が溢れていた。ハッとして直ぐ様立ち去ろうとした彼女の腕を掴んで制止する。
決して視線を合わせず、震えた声でミレイニが叫ぶ。
「――放してほしいし! あたし。もうここにいられない!」
「いられないって……じゃあどこに行くのよ! お菓子は要らないの?」
「そんなのもう要らないし!!」
ミレイニはエリエの手を振り払おうと、必死で腕を振り回す。
予想だにしていなかったミレイニの突然の行動に、エリエは内心とても焦っていた。
それもそうだ。星も再び誘拐され、エミルも皆も混乱しているこんな時に、ミレイニまで居なくなることになれば、エミルに要らぬ心配を掛けてしまう。
(……このままだと、この子が飛び出して行ってしまう……それなら!)
エリエはミレイニの腕を思い切り引っ張ると、今度は反対にエリエが覆い被さるようにベッドに押し倒した。だが、泣いている顔を見られたくないのだろう。なんとか逃げ出そうと、ミレイニは全力で抵抗していたが。
ベッドに押し倒したミレイニの両肩を掴んで暴れているミレイニの顔を真剣な面持ちで見つめる。
「――ミレイニ。私が本当に好きならこっちを向きなさい」
「……ッ!?」
その直後、ミレイニの頬にエリエの柔らかい唇が触れる。
互いの顔がゆっくりと離れると、驚きながらも、エリエの顔をじっと見つめるミレイニに、エリエが優しい声で告げる。
「どう? これで分かったでしょ?」
「……うん」
頬を押さえ、心ここにあらずと言った感じでミレイニが頷く。
少し恥ずかしそうに、エリエは頬を赤らめながら呆然としているミレイニに尋ねる。
「――なら、どこにも行かない?」
「うん! ずっとエリエの側に居るし! 大好きだし!」
「あはは、抱き付いたら重いわよー」
満足そうに微笑んだミレイニは、溢れんばかりの喜びを表現するように全力でエリエに抱きつく。
機嫌を直したミレイニの様子を見て、エリエは不敵な笑みを浮かべている。これは全て彼女の計算通りの展開なのだ――。
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