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ライラの正体14
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リントヴルムがライラの真上に移動するとエミルの命令通り、彼女に向かって白い炎を噴射する。
その炎がまるで押し寄せる波の様に、ライラの居た大地を白く覆っていく。だが、それを見たエミルの表情は険しい。
「……来る!!」
殺気を頼りにエミルが上空を見上げると、予想通りそこには弓を構えたライラが浮かんでいた。
自由自在に移動できて、尚且つ遠距離武器であるライラは視野の広い空中からの攻撃を得意としている。
普通ならば攻撃の直後、身動きが取れない空中では弓を扱う者は近接攻撃ができないだけ不利になりやすい――それは着地点を狙われて攻撃されてしまえばひとたまりもないのだから。
しかし、彼女の場合は固有スキルを使用することでそのデメリットを排除し。しかも、敵の目を撹乱することもできる。
確かに自分の能力が分かっているだけに、セオリー通りで間違いのない選択と言えるだろう。
「リント! フレア中止! 右に急旋回!!」
エミルの指示に従い。リントヴルムは口から出していた炎の噴射を止めて右にその巨体を大きく傾ける。
上空のライラは口元から笑みを漏らすと「もう手遅れよ……」と呟き、引き絞った弓から3本の矢を放つ。
「そうはいかないわ!」
エミルは腰に差していた巻物を引き抜くと、空中に紐を引いて空中に広げドラゴンを召喚する。
上空に煙が上がり、エミルとリントヴルムの体を包み隠す。その煙が消えると、そこには太陽の光を受けて全身の透明な鱗がキラキラと輝くドラゴンの姿があった。しかし、召喚したのは今までに見たことがないドラゴンだ。
翼を含めた全身をダイヤモンドに覆われたその姿は、リントヴルムより少し小さいのだが、そのキラキラと光の加減で七色に光る美しいドラゴンに目を奪われぬ者はいないだろう……。
リントヴルムの上で翼をはためかせているそのドラゴンに向かってエミルが声を掛けた。
「頼んだわよ。ダイヤモンドドラゴン!」
「――遂に出したわね……エミルの三種の神器の二体目。ダイヤモンドドラゴン……」
先程までの余裕な表情だったライラの顔が少し険しい表情に変わる。
ライラはまたテレポートして地上へと戻った。
様々なドラゴンを所有するエミルの『三種の神器』とは、リントヴルムを含む固有スキルによって巻物化して所有している上位三体のドラゴンのことだ――。
エミルはゲーム内で行われる大会において優勝という輝かしい経歴残してこれたのも。単に彼女の戦闘スキルが高いからという理由ではない。
戦闘スキルが高いのは言うまでもないが、それだけでは彼女が『白い閃光』と言う異名で呼ばれるほどのことはなかっただろう。
彼女の主力のリントヴルムがその異名の由縁だが、一番は大会でリントヴルムが一度も撃破されていないことが要因としては大きかった。だが、どんなに強力なドラゴンであっても一度も撃破されないというのは不可思議である。
素晴らしい戦闘技術に加え、様々な固有スキルを持つプレイヤーが集いしのぎを削る大会で、撃破されない訳がない。
それを可能にするリントヴルムをサポートする為にエミルが用意したドラゴン達――それが『三種の神器』なのだ――。
ところが、まだその中の2体しか出ていない。
もう1体はエミルの腰に差されたままだ……。
おそらく。そのもう1体のドラゴンと、エミルが『最後の切り札』とまで言った首に下げられた笛に秘密があるのは、もはや言うまでもないだろう。
地上から見上げるライラが、リントヴルムの背に乗ったまま見下ろしているエミルに向かって叫ぶ。
「最後の一体も出し惜しみしないでさっさと出しなさ~い。それとも私に遠慮してるのかしら? そんなんじゃ、私を倒せないわよ~」
挑発的な彼女の発言に、一瞬で怪訝な表情に変わったエミルが言葉を返す。
「そんな安い挑発には乗らないわよ!」
「そう。それは残念……」
不気味な笑みを浮かべ、そう呟いたライラの姿が消える。消えた彼女の姿を探し、エミルは地面をくまなく見渡す。
すると、地上ではなくエミルの直上から声が聞こえてきた。
「ほら、エミル! 私はこっちよ! 出さないなら……出さなかったことを私の奴隷になって後悔なさい!」
「なっ! ライラ――くッ! 眩しい……」
エミルがその声の方を向くと、ライラは太陽を背にして弓を構えている。思わず、腕で顔を隠すエミルの視界が太陽光によって真っ白に染まる。
そのチャンスを見逃すことなく、ライラが素早く弦を引き絞り矢を放つ。
「――そ、そんな攻撃!!」
剣を振り抜いてその矢を落とした次の瞬間。落としたはずの矢が光の中から現れ、エミルの左足の太ももの付近に鋭い痛みが走る。
その炎がまるで押し寄せる波の様に、ライラの居た大地を白く覆っていく。だが、それを見たエミルの表情は険しい。
「……来る!!」
殺気を頼りにエミルが上空を見上げると、予想通りそこには弓を構えたライラが浮かんでいた。
自由自在に移動できて、尚且つ遠距離武器であるライラは視野の広い空中からの攻撃を得意としている。
普通ならば攻撃の直後、身動きが取れない空中では弓を扱う者は近接攻撃ができないだけ不利になりやすい――それは着地点を狙われて攻撃されてしまえばひとたまりもないのだから。
しかし、彼女の場合は固有スキルを使用することでそのデメリットを排除し。しかも、敵の目を撹乱することもできる。
確かに自分の能力が分かっているだけに、セオリー通りで間違いのない選択と言えるだろう。
「リント! フレア中止! 右に急旋回!!」
エミルの指示に従い。リントヴルムは口から出していた炎の噴射を止めて右にその巨体を大きく傾ける。
上空のライラは口元から笑みを漏らすと「もう手遅れよ……」と呟き、引き絞った弓から3本の矢を放つ。
「そうはいかないわ!」
エミルは腰に差していた巻物を引き抜くと、空中に紐を引いて空中に広げドラゴンを召喚する。
上空に煙が上がり、エミルとリントヴルムの体を包み隠す。その煙が消えると、そこには太陽の光を受けて全身の透明な鱗がキラキラと輝くドラゴンの姿があった。しかし、召喚したのは今までに見たことがないドラゴンだ。
翼を含めた全身をダイヤモンドに覆われたその姿は、リントヴルムより少し小さいのだが、そのキラキラと光の加減で七色に光る美しいドラゴンに目を奪われぬ者はいないだろう……。
リントヴルムの上で翼をはためかせているそのドラゴンに向かってエミルが声を掛けた。
「頼んだわよ。ダイヤモンドドラゴン!」
「――遂に出したわね……エミルの三種の神器の二体目。ダイヤモンドドラゴン……」
先程までの余裕な表情だったライラの顔が少し険しい表情に変わる。
ライラはまたテレポートして地上へと戻った。
様々なドラゴンを所有するエミルの『三種の神器』とは、リントヴルムを含む固有スキルによって巻物化して所有している上位三体のドラゴンのことだ――。
エミルはゲーム内で行われる大会において優勝という輝かしい経歴残してこれたのも。単に彼女の戦闘スキルが高いからという理由ではない。
戦闘スキルが高いのは言うまでもないが、それだけでは彼女が『白い閃光』と言う異名で呼ばれるほどのことはなかっただろう。
彼女の主力のリントヴルムがその異名の由縁だが、一番は大会でリントヴルムが一度も撃破されていないことが要因としては大きかった。だが、どんなに強力なドラゴンであっても一度も撃破されないというのは不可思議である。
素晴らしい戦闘技術に加え、様々な固有スキルを持つプレイヤーが集いしのぎを削る大会で、撃破されない訳がない。
それを可能にするリントヴルムをサポートする為にエミルが用意したドラゴン達――それが『三種の神器』なのだ――。
ところが、まだその中の2体しか出ていない。
もう1体はエミルの腰に差されたままだ……。
おそらく。そのもう1体のドラゴンと、エミルが『最後の切り札』とまで言った首に下げられた笛に秘密があるのは、もはや言うまでもないだろう。
地上から見上げるライラが、リントヴルムの背に乗ったまま見下ろしているエミルに向かって叫ぶ。
「最後の一体も出し惜しみしないでさっさと出しなさ~い。それとも私に遠慮してるのかしら? そんなんじゃ、私を倒せないわよ~」
挑発的な彼女の発言に、一瞬で怪訝な表情に変わったエミルが言葉を返す。
「そんな安い挑発には乗らないわよ!」
「そう。それは残念……」
不気味な笑みを浮かべ、そう呟いたライラの姿が消える。消えた彼女の姿を探し、エミルは地面をくまなく見渡す。
すると、地上ではなくエミルの直上から声が聞こえてきた。
「ほら、エミル! 私はこっちよ! 出さないなら……出さなかったことを私の奴隷になって後悔なさい!」
「なっ! ライラ――くッ! 眩しい……」
エミルがその声の方を向くと、ライラは太陽を背にして弓を構えている。思わず、腕で顔を隠すエミルの視界が太陽光によって真っ白に染まる。
そのチャンスを見逃すことなく、ライラが素早く弦を引き絞り矢を放つ。
「――そ、そんな攻撃!!」
剣を振り抜いてその矢を落とした次の瞬間。落としたはずの矢が光の中から現れ、エミルの左足の太ももの付近に鋭い痛みが走る。
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