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ダークブレット日本支部崩壊5
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イシェルは頬を着物の袖で拭うと、殺意に満ちた瞳を再び前の場所に現れたライラへと向ける。
「……なんのつもり? うちの肌に触れてええんはエミルだけや……」
「なにって、可愛いものを手元に置いておきたいと思うのは、すごく自然なことだと思うけど……?」
「エミルは誰にも渡さへん!!」
真剣な瞳にライラは少し考えると、不敵な笑みを浮かべ。
「そこまでエミルが好きなら、本人に聞いてみましょうか?」
「ええよ。うちのエミルなら、絶対あんたの言う事なんてきかんし……」
「決定ね!」
2人はそう言って頷くと、同時にエミルを見た。
エミルは突然熱い視線を向ける2人にたじろぐと、思わず視線を逸らす。
そんな彼女に詰め寄ると、2人が同時に尋ねる。2人の凄まじい威圧感に、エミルは数歩後退ると。
「私とこの娘。どっちの方がいいかしら!!」
「うちとこの女。どっちの方がええの!!」
飛びつきそうな勢いで聞いてくる2人に、エミルは苦笑いをしながらイシェルのことを指差した。
イシェルは嬉しそうに笑うと、エミルの腕に手を回してライラを見下すように言った。
「ほ~ら、エミルはうちの方がええようやね。昔の女が今更でしゃばることが間違っとるんよ……おばはん」
したり顔でそう言い放つイシェルに、ライラは怒りを含んだ瞳をエミルに向ける。
ライラは何かを思い出したように笑みを浮かべ、エミルの耳元でそっと告げる。
「……そう。貴女がそう言うなら、あの星って子は私がもらうわね……」
「――ッ!?」
その言葉を聞いて目を丸くさせるエミルに、追い打ちを掛けるようにライラが言葉を続ける。
「今なら、あの子は容易に落ちるだろうし。それに、純粋無垢な女の子にお姉様と呼ばせて、自分好みに染めるなんて考えただけで興奮するわ……」
「くっ! あんたのそういうところが一番嫌い。いつも人の心をもてあそぶだけもてあそんで……」
エミルは鋭い目付きでライラを睨む。
そんなエミルの視線を受け、くすっと笑みを浮かべたライラが言った。
「――別に嫌いでもいいわ。私が満足すればそれでいいの……どうする? このまま、その生意気な小娘を選んであの子を見捨てるか……それとも。私の玩具として私に服従するか……二つに一つよ?」
極端な二択を迫られた直後。エミルの脳裏には、檻の中で爆発させられた星のホログラムが吹き飛ぶシーンを思い出し仕方なく彼女の申し出に頷く。
「……分かったわ」
「なら……分かってるわよね? エミル♪」
「ええ……お姉様」
エミルは俯き加減にそう呟くと、自分の腕に抱き付いているイシェルの手を振り解きその体を突き飛ばした。
エミルの突然の行動に驚きを隠し切れないといった表情で、地面に倒れ込むイシェルがエミルの顔を見上げている。
「……えっ?」
リアルの世界でも親しい間柄のイシェルからしてみれば、エミルがそんな行動に出るなんて思ってもみなかったのだろう。
地面に伏せてあまりのショックから状況を全く飲み込めていないイシェルを、エミルは冷たい瞳で見下ろすと重そうに口を開いた。
「――わ、悪いけど。イシェ、これからはお姉様と一緒に行動するから……」
「……えっ? えっ? 嘘やろ? エミル」
イシェルはあまりに突然の出来事にまだ動揺しているのか、視点が定まらずに呆然としている。
困惑するイシェルの表情を眺め、ライラは口元にニヤリと勝ち誇った様な微笑みを浮かべた。
直後。ライラが彼女の首に腕を絡めるとそっと耳打ちする。それを聞いて、エミルの表情が明らかに曇る。何を言われたかは彼女のその沈み込んだ表情を見れば分かった。
そんな彼女に釘を刺すように「分かってるわよね? エミル」と悪戯な笑みを浮かべ、ライラが耳元でささやく。すると、エミルは虚ろな瞳に変わり、淡々とした口調でイシェルに向かって言い放つ。
「……ごめんなさい。あなたとは遊びだったの……」
「ふふっ、だって。エミルは身も心も私の物よ」
ライラは勝ち誇った様に地面に這いつくばっているイシェルそう言い放つと、エミルの体をゆっくりと撫でまわす様に手を這わせている。
その姿を見て、イシェルが顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「うちのエミルに何するんや!! 今すぐその汚らしい手を放せええええええっ!!」
イシェルは素早く立ち上がり神楽鈴を取り出すと、それを振ろうとしたその時、目の前を遮る様にしてライラの前にエミルが立ちはだかった。
さすがのイシェルも、その彼女の突然の行動には動揺を隠し切れない様子で、まるで金縛りにでもあっているかの様に、その場に立ちすくんで固まったまま全く動けなくなってしまう。
「……なんのつもり? うちの肌に触れてええんはエミルだけや……」
「なにって、可愛いものを手元に置いておきたいと思うのは、すごく自然なことだと思うけど……?」
「エミルは誰にも渡さへん!!」
真剣な瞳にライラは少し考えると、不敵な笑みを浮かべ。
「そこまでエミルが好きなら、本人に聞いてみましょうか?」
「ええよ。うちのエミルなら、絶対あんたの言う事なんてきかんし……」
「決定ね!」
2人はそう言って頷くと、同時にエミルを見た。
エミルは突然熱い視線を向ける2人にたじろぐと、思わず視線を逸らす。
そんな彼女に詰め寄ると、2人が同時に尋ねる。2人の凄まじい威圧感に、エミルは数歩後退ると。
「私とこの娘。どっちの方がいいかしら!!」
「うちとこの女。どっちの方がええの!!」
飛びつきそうな勢いで聞いてくる2人に、エミルは苦笑いをしながらイシェルのことを指差した。
イシェルは嬉しそうに笑うと、エミルの腕に手を回してライラを見下すように言った。
「ほ~ら、エミルはうちの方がええようやね。昔の女が今更でしゃばることが間違っとるんよ……おばはん」
したり顔でそう言い放つイシェルに、ライラは怒りを含んだ瞳をエミルに向ける。
ライラは何かを思い出したように笑みを浮かべ、エミルの耳元でそっと告げる。
「……そう。貴女がそう言うなら、あの星って子は私がもらうわね……」
「――ッ!?」
その言葉を聞いて目を丸くさせるエミルに、追い打ちを掛けるようにライラが言葉を続ける。
「今なら、あの子は容易に落ちるだろうし。それに、純粋無垢な女の子にお姉様と呼ばせて、自分好みに染めるなんて考えただけで興奮するわ……」
「くっ! あんたのそういうところが一番嫌い。いつも人の心をもてあそぶだけもてあそんで……」
エミルは鋭い目付きでライラを睨む。
そんなエミルの視線を受け、くすっと笑みを浮かべたライラが言った。
「――別に嫌いでもいいわ。私が満足すればそれでいいの……どうする? このまま、その生意気な小娘を選んであの子を見捨てるか……それとも。私の玩具として私に服従するか……二つに一つよ?」
極端な二択を迫られた直後。エミルの脳裏には、檻の中で爆発させられた星のホログラムが吹き飛ぶシーンを思い出し仕方なく彼女の申し出に頷く。
「……分かったわ」
「なら……分かってるわよね? エミル♪」
「ええ……お姉様」
エミルは俯き加減にそう呟くと、自分の腕に抱き付いているイシェルの手を振り解きその体を突き飛ばした。
エミルの突然の行動に驚きを隠し切れないといった表情で、地面に倒れ込むイシェルがエミルの顔を見上げている。
「……えっ?」
リアルの世界でも親しい間柄のイシェルからしてみれば、エミルがそんな行動に出るなんて思ってもみなかったのだろう。
地面に伏せてあまりのショックから状況を全く飲み込めていないイシェルを、エミルは冷たい瞳で見下ろすと重そうに口を開いた。
「――わ、悪いけど。イシェ、これからはお姉様と一緒に行動するから……」
「……えっ? えっ? 嘘やろ? エミル」
イシェルはあまりに突然の出来事にまだ動揺しているのか、視点が定まらずに呆然としている。
困惑するイシェルの表情を眺め、ライラは口元にニヤリと勝ち誇った様な微笑みを浮かべた。
直後。ライラが彼女の首に腕を絡めるとそっと耳打ちする。それを聞いて、エミルの表情が明らかに曇る。何を言われたかは彼女のその沈み込んだ表情を見れば分かった。
そんな彼女に釘を刺すように「分かってるわよね? エミル」と悪戯な笑みを浮かべ、ライラが耳元でささやく。すると、エミルは虚ろな瞳に変わり、淡々とした口調でイシェルに向かって言い放つ。
「……ごめんなさい。あなたとは遊びだったの……」
「ふふっ、だって。エミルは身も心も私の物よ」
ライラは勝ち誇った様に地面に這いつくばっているイシェルそう言い放つと、エミルの体をゆっくりと撫でまわす様に手を這わせている。
その姿を見て、イシェルが顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「うちのエミルに何するんや!! 今すぐその汚らしい手を放せええええええっ!!」
イシェルは素早く立ち上がり神楽鈴を取り出すと、それを振ろうとしたその時、目の前を遮る様にしてライラの前にエミルが立ちはだかった。
さすがのイシェルも、その彼女の突然の行動には動揺を隠し切れない様子で、まるで金縛りにでもあっているかの様に、その場に立ちすくんで固まったまま全く動けなくなってしまう。
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