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ダークブレット日本支部崩壊2
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男は突然動き出したディーノに驚き、目を丸く見開いている。
「ど、どうしてだ……まだ視界が戻るまで、僅かではあるがタイムラグがあるはずだ……」
「……君は頭が悪いね。その視界を潰す武器スキルは直視しなければ効果はない。っということはだ……片目を瞑っていれば2回までは、そのスキルに対応できるということさ」
ディーノは不敵な笑みを浮かべそう言い放つと、男に片目を瞑って見せた。
そう。あの瞬間に目を押さえたのは光を遮る為ではなく、ディーノが片目しか開けていなかったことを隠す為だったのだ。
男はそれを見て呆然としていると、その体がキラキラと光りに変わり出す。
キラキラとした光の粒が男の体を徐々に離れ天へと昇っていく、感慨深げに光りへと変わる自分の手の平を見つめ男が徐ろに口を開いた。
「――俺もここまでだな……この武器はお前の物だ……」
「…………」
無言のまま男を見つめるディーノに、彼はアイテムから『イザナギの剣』を渡した。
その後、感慨深げにゆっくりと天を見上げながら呟く。
「俺とお前は、同じ夢を見ていたはずなのにな……どこで間違えたのか、俺は悪党の親玉……お前は夢を叶えて、今はその先を見ている。従兄弟同士でえらい違いだな……」
徐々に消えていく男を、唇を噛み締めながら見つめるディーノ。
男はそんなディーノの方を見て優しくと微笑みを浮かべた。
「……俺のようになるなよ……健二」
「ああ、お前も向こうに行ったら、彼女に……雛によろしく言っててくれ……」
「……分かった。お前は俺達の分も頑張ってくれよ!」
「ああ」
最後に男の手を強く握ると、彼は光となって姿を消した。
彼が居なくなったにも関わらず、彼のいた場所から感傷に浸る様に瞼を閉じて、その場にひざまずいたままのディーノが震える声で小さく呟く。
「…………バカ野郎」
彼の瞳には、微かにだが涙が浮かんでいた。
戦闘を終えて、城の前で待機していたメルディウスのもとに、黒い騎兵隊を引き連れたバロンがやってくるのが見えた。
メルディウスはその姿を無事な姿を見て安堵のため息を漏らす。
「はぁー。どうやら、あっちも片付いたようだな」
「おーい」
その隣に居た小虎が、笑顔で彼等の方へと駆けていった。
そこには黒い馬に跨ったバロンの背中に乗ったフィリスが満面の笑みで手を振り返した。
「お姉さん。大丈夫だった?」
「もちろん! お兄ちゃんも一緒だし。と言うか、特になにもなさすぎて退屈してたくらいかな?」
「はぁー、全く。お前達は緊張感ってものがなくて困るくらいだ」
笑顔で話している2人に、バロンが大きくため息をついて額を押さえている。
馬から降りたバロンは、楽しそうに話している2人をその場に残し、バロンが困った顔をしているメルディウスの元に歩いてきた。
メルディウスはそんなバロンを横目でちらっと見ると、すぐに視線を前に戻した。
お互いに視線を合わせることもなく前を向いて、しばらく無言のまま並んで立っていると、バロンが徐ろに口を開く。
「――敵を制圧したのはいいが、こいつらどうする?」
「さて、どうするかな。とりあえず抵抗する様子もないし。このままでいいんじゃねぇーか?」
「そうだな」
短い会話を終えた2人は、前を向いたまま同時に大きなため息を吐く。
その目の前には、多くの敵の兵士達の列が隣の者と肩と肩がぶつかりそうなほどに、まさに寿司詰め状態と言った感じにどこまでも続いていた。すると、城の中から白いマントをはためかせた白銀の鎧の男が現れた。
悠々と歩いてきた彼のその手には『イザナギの剣』が握られている。
ダークブレットのメンバー達の視線がその男に集まる中、彼はそれを高らかに掲げると大声で彼等に向かって叫んだ。
「お前達の大将はこの俺が倒した! 人から盗んだ武器を全て俺に渡せ。そうすれば、命までは取らない事を約束しよう! そして、この後は俺がお前達を仕切るようにお前らのボスに言われた! 従わぬ者はこの剣で斬り伏せる!!」
それを聞いた者達からは、ため息と怒号が飛び交う。しかし、その反応も最もだろう。リーダーを倒されて急に『俺に従え』と言われたところで、到底歓迎のできる話ではない。しかも、今までプレイヤー達から奪ってきた武具を寄こせと言うのだ。
彼等からしてみれば、たとえそれが他人の物を奪ったとしても、苦労して手に入れた戦利品だ――それをどこの誰とも知らない者に、無条件に奪われるのを容認できるはずがない。
飛び交う怒号の中、鋭い視線で辺りを威圧した彼が、手に持っていた『イザナギの剣の柄を地面に数回打ち付ける。すると、今まで声を上げていたダークブレットのメンバーが嘘の様に静まり返った。
だが、どんなに否定しようが自分達の大将の持っていた武器を、目の前の男が持っているのは事実。
その事実がある以上。誰も大将が敗れたということを、完全に否定することはできない。
それを証明するように、その場に居たダークブレットの人間は誰一人として異を唱える者はいなかった。
いや、異を唱えられないと言った方が正しいかもしれない。何故なら、ディーノの手に握られている武器には、それだけの力が秘められていたことはここにいる誰もが知っている事実なのだから……。
それからは思っていた以上に早く収拾がついた。
誰よりも安堵したのはメルディウスとバロンだ。いくら大人しくなっているとはいえ、敵は強奪や殺人などを平気で行うギルドのメンバー達――恐怖だけで抑えつけるのには限界がある。
「ど、どうしてだ……まだ視界が戻るまで、僅かではあるがタイムラグがあるはずだ……」
「……君は頭が悪いね。その視界を潰す武器スキルは直視しなければ効果はない。っということはだ……片目を瞑っていれば2回までは、そのスキルに対応できるということさ」
ディーノは不敵な笑みを浮かべそう言い放つと、男に片目を瞑って見せた。
そう。あの瞬間に目を押さえたのは光を遮る為ではなく、ディーノが片目しか開けていなかったことを隠す為だったのだ。
男はそれを見て呆然としていると、その体がキラキラと光りに変わり出す。
キラキラとした光の粒が男の体を徐々に離れ天へと昇っていく、感慨深げに光りへと変わる自分の手の平を見つめ男が徐ろに口を開いた。
「――俺もここまでだな……この武器はお前の物だ……」
「…………」
無言のまま男を見つめるディーノに、彼はアイテムから『イザナギの剣』を渡した。
その後、感慨深げにゆっくりと天を見上げながら呟く。
「俺とお前は、同じ夢を見ていたはずなのにな……どこで間違えたのか、俺は悪党の親玉……お前は夢を叶えて、今はその先を見ている。従兄弟同士でえらい違いだな……」
徐々に消えていく男を、唇を噛み締めながら見つめるディーノ。
男はそんなディーノの方を見て優しくと微笑みを浮かべた。
「……俺のようになるなよ……健二」
「ああ、お前も向こうに行ったら、彼女に……雛によろしく言っててくれ……」
「……分かった。お前は俺達の分も頑張ってくれよ!」
「ああ」
最後に男の手を強く握ると、彼は光となって姿を消した。
彼が居なくなったにも関わらず、彼のいた場所から感傷に浸る様に瞼を閉じて、その場にひざまずいたままのディーノが震える声で小さく呟く。
「…………バカ野郎」
彼の瞳には、微かにだが涙が浮かんでいた。
戦闘を終えて、城の前で待機していたメルディウスのもとに、黒い騎兵隊を引き連れたバロンがやってくるのが見えた。
メルディウスはその姿を無事な姿を見て安堵のため息を漏らす。
「はぁー。どうやら、あっちも片付いたようだな」
「おーい」
その隣に居た小虎が、笑顔で彼等の方へと駆けていった。
そこには黒い馬に跨ったバロンの背中に乗ったフィリスが満面の笑みで手を振り返した。
「お姉さん。大丈夫だった?」
「もちろん! お兄ちゃんも一緒だし。と言うか、特になにもなさすぎて退屈してたくらいかな?」
「はぁー、全く。お前達は緊張感ってものがなくて困るくらいだ」
笑顔で話している2人に、バロンが大きくため息をついて額を押さえている。
馬から降りたバロンは、楽しそうに話している2人をその場に残し、バロンが困った顔をしているメルディウスの元に歩いてきた。
メルディウスはそんなバロンを横目でちらっと見ると、すぐに視線を前に戻した。
お互いに視線を合わせることもなく前を向いて、しばらく無言のまま並んで立っていると、バロンが徐ろに口を開く。
「――敵を制圧したのはいいが、こいつらどうする?」
「さて、どうするかな。とりあえず抵抗する様子もないし。このままでいいんじゃねぇーか?」
「そうだな」
短い会話を終えた2人は、前を向いたまま同時に大きなため息を吐く。
その目の前には、多くの敵の兵士達の列が隣の者と肩と肩がぶつかりそうなほどに、まさに寿司詰め状態と言った感じにどこまでも続いていた。すると、城の中から白いマントをはためかせた白銀の鎧の男が現れた。
悠々と歩いてきた彼のその手には『イザナギの剣』が握られている。
ダークブレットのメンバー達の視線がその男に集まる中、彼はそれを高らかに掲げると大声で彼等に向かって叫んだ。
「お前達の大将はこの俺が倒した! 人から盗んだ武器を全て俺に渡せ。そうすれば、命までは取らない事を約束しよう! そして、この後は俺がお前達を仕切るようにお前らのボスに言われた! 従わぬ者はこの剣で斬り伏せる!!」
それを聞いた者達からは、ため息と怒号が飛び交う。しかし、その反応も最もだろう。リーダーを倒されて急に『俺に従え』と言われたところで、到底歓迎のできる話ではない。しかも、今までプレイヤー達から奪ってきた武具を寄こせと言うのだ。
彼等からしてみれば、たとえそれが他人の物を奪ったとしても、苦労して手に入れた戦利品だ――それをどこの誰とも知らない者に、無条件に奪われるのを容認できるはずがない。
飛び交う怒号の中、鋭い視線で辺りを威圧した彼が、手に持っていた『イザナギの剣の柄を地面に数回打ち付ける。すると、今まで声を上げていたダークブレットのメンバーが嘘の様に静まり返った。
だが、どんなに否定しようが自分達の大将の持っていた武器を、目の前の男が持っているのは事実。
その事実がある以上。誰も大将が敗れたということを、完全に否定することはできない。
それを証明するように、その場に居たダークブレットの人間は誰一人として異を唱える者はいなかった。
いや、異を唱えられないと言った方が正しいかもしれない。何故なら、ディーノの手に握られている武器には、それだけの力が秘められていたことはここにいる誰もが知っている事実なのだから……。
それからは思っていた以上に早く収拾がついた。
誰よりも安堵したのはメルディウスとバロンだ。いくら大人しくなっているとはいえ、敵は強奪や殺人などを平気で行うギルドのメンバー達――恐怖だけで抑えつけるのには限界がある。
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