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鉤爪武器の男7
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石を粉砕して、驚き目を見開いて座り込んでいるカレンの直ぐ側を黒いオーラが横切り、マスターは虚を突かれ呆然としている男にも右手から同じように黒いオーラを放つ。
「――なにっ!? ぐああああああああッ!!」
咄嗟にその攻撃をかわそうとしたものの、かわしきれずに男の右腕が吹き飛んだ。
男が右肩を押さえて悶え苦しんでいるのを冷たい目で見下ろすと、マスターは無言のまま身を翻し、カレンの元へと駆け寄っていく。
カレンは呆然としながら一点を見つめ、その場に座り込んでいる。
放心状態のカレンの肩を掴んだマスターが。
「カレン! しっかりせんか!」
「……あっ、師匠。俺は助かったんですか?」
「ふっ、そんな冗談が言えるなら大丈夫そうだな……」
カレンの返答を聞いてマスターは微笑みを浮かべる。
その時、突如として星が煌めく上空を雲とリントヴルムが高速で通過していく。それを見てマスターは笑みを見せると、カレンの耳元でそっと告げる。
「カレン。もし怖いなら目を瞑っておれ、もう時間を稼ぐ必要もない。一気に終わらせて帰るぞ! カレン」
「……時間稼ぎって? 帰るってどういうことですか?」
マスターはその問に答えることなく優しく微笑み返すと、カレンの頭にポンっと手を置いて身を翻して男の方を見据えた。
男は失った腕を抑えながら、マスターを憎らしそうに睨んでいる。
そんな男を見据えるマスター。
互いに物凄い殺気を放ち鋭い眼光を向けると、同時に咆哮を上げて天を仰ぐ。
「――うおおおおおおおおおおおおッ!!」
「――はああああああああああああッ!!」
男の体は巨大化し、体中から毛が生え巨大な狼の様な姿へと変わる。口からは牙が剥き出しになり、失った腕も再生し、その赤い瞳がマスターを見据え荒く息を繰り返している。
顔を見ずに全身から盛り上がった筋肉と剛毛に覆われた姿だけを見ると、それはまるでゴリラの様にも感じた。
咆哮を上げたマスターも、全身から金色のオーラが炎のように噴き上がる。
「このクソがッ! この『獣人化』のスキルで八つ裂きにしてやるぜよおおおおおおおおッ!!」
「フン。駄犬如きが、格の違いも分からんとは……少々、きつい躾が必要らしいな!!」
2人は同時に攻撃を仕掛ける。
空中で互いの攻撃が激しくぶつかると、ガキン!という金属音が辺りに響き、空中で男の鉤爪状の武器が折れてガラスの様な光となって粉々に砕け散った。
飛散した光りを、驚きを隠せないと言った表情の男が目を見開く。
「なっ、なに!?」
「……儂が本気で戦って勝てぬ者などおらぬわ! これで終わりだ!!」
驚いている男の腹部にマスターの拳が無数に突き刺さり、男の体が後方に勢い良く吹き飛ぶ。
その直後、マスターの体を纏っていた金色のオーラが消え、今度は後ろに向けて突き出した拳から黒いオーラを噴射しその勢いで空中を高速で移動する。
凄まじい勢いで飛ばされる男の背後に回り込んだマスターの体は再び金色のオーラを纏い。
男の腹部に鋭い蹴りを入れ、男の体をまるでサッカーボールでも蹴り飛ばすかの如く軽々と吹き飛ばす。
その衝撃で勢いを増して飛ばされる男を、今度は両手から黒いオーラを放出して空中を飛びながら追尾するマスター。
2人はウォーレスト山脈の谷の真上までくると、マスターは狙い澄ましたかのように飛ばされる男の顔を右腕で鷲掴みにする。
「――お前の様なクズは一度死んで……転生でもして人生をやり直せッ!!」
マスターがそう叫んだ直後、辺りを照らし出すほどの黒いオーラを放出して、男を谷の奥底へと向かって吹き飛ばした。すると、男は断末魔の叫び声を上げながら、真っ逆さまに谷底目掛けて消えていった。
マスターは上空で黒いオーラを放出しながらホバリングすると、男の徐々に小さくなる悲鳴が消えるまで黒く口を開いた谷底を見つめていた。
冷たい視線を浴びせると、マスターは地上に降り立つ。
しばらくして、カレンの元に戻ったマスターは、俯き加減でいるカレンに向かって言葉を掛ける。
「遅れてすまなかった……少し手間取ってしまってな。大丈夫だったか? カレン」
マスターが優しく微笑みながらそう告げると、カレンが潤んだ瞳でマスターを見上げた。
すると、たえようとしていた涙がいっぺんに押し寄せ、カレンの頬を止め処なく流れ落ちる。
「……師匠、申し訳ありません。俺は……待てと言われたのに……勝手に動いたうえにこんな……こんな失態を……もう、なんて謝罪すればいいか……俺は……」
カレンは止めどなく溢れる涙で顔をくしゃくしゃにしながら、声を押し殺すと肩を震わせて俯いてしまう。
今のカレンには、マスターにどういう顔をすればいいのか分からないのだろう。だが、それも無理はない話だ。さっきカレンが言ったように、ボイスチャットでマスターは『待つように』と言われていたのだから。
しかし、星を捕らわれている以上。事態は急を要していた。だが、それは急を要していただけに過ぎず。戦力的には圧倒的に不利な状況だったことは理解していた――本来ならば、マスター帰りを待って動くべきだったのだ。何故なら、彼は以前にもこの組織を壊滅寸前まで追いやった張本人なのだから……。
「――なにっ!? ぐああああああああッ!!」
咄嗟にその攻撃をかわそうとしたものの、かわしきれずに男の右腕が吹き飛んだ。
男が右肩を押さえて悶え苦しんでいるのを冷たい目で見下ろすと、マスターは無言のまま身を翻し、カレンの元へと駆け寄っていく。
カレンは呆然としながら一点を見つめ、その場に座り込んでいる。
放心状態のカレンの肩を掴んだマスターが。
「カレン! しっかりせんか!」
「……あっ、師匠。俺は助かったんですか?」
「ふっ、そんな冗談が言えるなら大丈夫そうだな……」
カレンの返答を聞いてマスターは微笑みを浮かべる。
その時、突如として星が煌めく上空を雲とリントヴルムが高速で通過していく。それを見てマスターは笑みを見せると、カレンの耳元でそっと告げる。
「カレン。もし怖いなら目を瞑っておれ、もう時間を稼ぐ必要もない。一気に終わらせて帰るぞ! カレン」
「……時間稼ぎって? 帰るってどういうことですか?」
マスターはその問に答えることなく優しく微笑み返すと、カレンの頭にポンっと手を置いて身を翻して男の方を見据えた。
男は失った腕を抑えながら、マスターを憎らしそうに睨んでいる。
そんな男を見据えるマスター。
互いに物凄い殺気を放ち鋭い眼光を向けると、同時に咆哮を上げて天を仰ぐ。
「――うおおおおおおおおおおおおッ!!」
「――はああああああああああああッ!!」
男の体は巨大化し、体中から毛が生え巨大な狼の様な姿へと変わる。口からは牙が剥き出しになり、失った腕も再生し、その赤い瞳がマスターを見据え荒く息を繰り返している。
顔を見ずに全身から盛り上がった筋肉と剛毛に覆われた姿だけを見ると、それはまるでゴリラの様にも感じた。
咆哮を上げたマスターも、全身から金色のオーラが炎のように噴き上がる。
「このクソがッ! この『獣人化』のスキルで八つ裂きにしてやるぜよおおおおおおおおッ!!」
「フン。駄犬如きが、格の違いも分からんとは……少々、きつい躾が必要らしいな!!」
2人は同時に攻撃を仕掛ける。
空中で互いの攻撃が激しくぶつかると、ガキン!という金属音が辺りに響き、空中で男の鉤爪状の武器が折れてガラスの様な光となって粉々に砕け散った。
飛散した光りを、驚きを隠せないと言った表情の男が目を見開く。
「なっ、なに!?」
「……儂が本気で戦って勝てぬ者などおらぬわ! これで終わりだ!!」
驚いている男の腹部にマスターの拳が無数に突き刺さり、男の体が後方に勢い良く吹き飛ぶ。
その直後、マスターの体を纏っていた金色のオーラが消え、今度は後ろに向けて突き出した拳から黒いオーラを噴射しその勢いで空中を高速で移動する。
凄まじい勢いで飛ばされる男の背後に回り込んだマスターの体は再び金色のオーラを纏い。
男の腹部に鋭い蹴りを入れ、男の体をまるでサッカーボールでも蹴り飛ばすかの如く軽々と吹き飛ばす。
その衝撃で勢いを増して飛ばされる男を、今度は両手から黒いオーラを放出して空中を飛びながら追尾するマスター。
2人はウォーレスト山脈の谷の真上までくると、マスターは狙い澄ましたかのように飛ばされる男の顔を右腕で鷲掴みにする。
「――お前の様なクズは一度死んで……転生でもして人生をやり直せッ!!」
マスターがそう叫んだ直後、辺りを照らし出すほどの黒いオーラを放出して、男を谷の奥底へと向かって吹き飛ばした。すると、男は断末魔の叫び声を上げながら、真っ逆さまに谷底目掛けて消えていった。
マスターは上空で黒いオーラを放出しながらホバリングすると、男の徐々に小さくなる悲鳴が消えるまで黒く口を開いた谷底を見つめていた。
冷たい視線を浴びせると、マスターは地上に降り立つ。
しばらくして、カレンの元に戻ったマスターは、俯き加減でいるカレンに向かって言葉を掛ける。
「遅れてすまなかった……少し手間取ってしまってな。大丈夫だったか? カレン」
マスターが優しく微笑みながらそう告げると、カレンが潤んだ瞳でマスターを見上げた。
すると、たえようとしていた涙がいっぺんに押し寄せ、カレンの頬を止め処なく流れ落ちる。
「……師匠、申し訳ありません。俺は……待てと言われたのに……勝手に動いたうえにこんな……こんな失態を……もう、なんて謝罪すればいいか……俺は……」
カレンは止めどなく溢れる涙で顔をくしゃくしゃにしながら、声を押し殺すと肩を震わせて俯いてしまう。
今のカレンには、マスターにどういう顔をすればいいのか分からないのだろう。だが、それも無理はない話だ。さっきカレンが言ったように、ボイスチャットでマスターは『待つように』と言われていたのだから。
しかし、星を捕らわれている以上。事態は急を要していた。だが、それは急を要していただけに過ぎず。戦力的には圧倒的に不利な状況だったことは理解していた――本来ならば、マスター帰りを待って動くべきだったのだ。何故なら、彼は以前にもこの組織を壊滅寸前まで追いやった張本人なのだから……。
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