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襲来者8
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そのオーラを見て、大男は驚いたようにぽかんと口を開けて呟く。
「それは……そのスキルは……」
「――驚いてるようだね……君が今思っている通り。君の固有スキルだよ。どうやら君のスキルは肉体を一時的に強化するスキルのようだね……でも、これだけじゃない。僕の能力はこれに更に付け加える事ができる――」
ディーノがそう呟き左手を前に突き出すと、刺客5人の両手足が異次元から現れた光る鎖で拘束される。
「これは私の固有スキル――バインド!? でも、私の力では1人だけだったはず。それに拘束力も桁違いに上がってる!?」
女はそういうと手足を必死に動かして、なんとか拘束を解こうと試みるが、その拘束の強さに手も足もでない。
他の者達も彼女と同じように、必死に鎖から逃れようと手足を激しく動かしている。
ディーノはそんな彼らの前にゆっくり歩いていくと、徐ろに口を開いた。
「――どうだい? これが僕の固有スキル『アブソーブ』だよ。このスキルは周囲の相手の固有スキルを一時的に使用する事ができる……勿論、僕が同時に使用できる固有スキルの数に制限もない。敵が多ければ多いほど君達は固有スキルを使用できなくなり、僕は君等の固有スキルを使い放題というわけだ……さて、スキルの種明かしはここまでだ――そろそろ終わりにしようか?」
説明を終えたディーノは、まるで害虫でも見るような目で鎖で拘束され、地面に伏せる彼等を見下ろす。
その瞳を見て、刺客の5人の体が小刻みに震え出す――それは、彼等が絶対的な力の差を自覚し始めていることを裏付けている。
これが俗に言う『蛇に睨まれた蛙』というものなのだろう……。
その時、ディーノが星の方を向いてにっこりと微笑んで言った。
「悪いけど、君達は少し耳と目を塞いでてくれるかい? すぐに済ますから」
「えっ? あ、はい……」
星は頷くと、不思議そうに首を傾げているレイニールの方を向いて言った。
「ん? 主、どうしたのじゃ?」
「……レイ。今はあの人に言われた通りにして」
「我輩は納得いかぬが、主がそういうなら仕方ない」
星は彼の放つ威圧感を感じ取ったのか、レイニールの耳元で言われた通りにするようにとささやき、急いで目と耳を塞いだ。
ディーノはそれを確認すると、不敵な笑みを浮かべると5人に冷たい視線を向ける。
「――さて、この俺の邪魔をした罪は重いよ? 覚悟は……出来てるんだろうね。君達」
狂気に満ちた声で、持っている剣の先を大男の首元に突きつけた。
大男は額に大粒の汗を浮かべながら「いったいお前は何者なんだ」とディーノに尋ねた。ディーノはニヤリと不気味な口元に笑みを浮かべ、小さな声で呟いた。
「僕が何者か……いいけど、聞いたら必ず後悔するよ? でも、そうだね。君も自分を殺した者の名前くらい知っておきたいだろうから、特別に教えてあげるよ。僕の名前は…………」
「お前……もしかしてフリーダムのβテストプレイヤー!?」
彼の名前を聞いた大男の表情が一瞬で青ざめる。
怯える彼にディーノは微笑みを浮かべ「正解」と答えた。そして再び冷たい瞳に戻ると、手に持った剣を大きく振り上げる。
「ふっ……僕に会ったという事が君達の不幸だよ。それじゃ、話はもう終わりにしようか……さよなら」
「ぐあああああああッ!!」
「隊長!!」
ディーノは冷たい口調でそう言い放つと、素早く剣を振り抜いた。その直後、大男の体が一瞬で光になって消え去った。
だが、そんなことは通常のPVPではありえないことだ。
何故ならこのゲームのシステム上、プレイヤーキルは認められていない。対人戦ではHPが必ず1残り、更に勝負が終わり次第HPは全回復する。
どんなことがあっても、プレイヤーの装備で他のプレイヤーのHPを全損することは不可能なのだ。しかし、大男はHPが回復するどころか、消滅する時のエフェクトで粉々に光の粒子となって消えた。
それは本来なら絶対にありえないことが、現実になったと言うこと――。
「驚いているようだね……そう、普通ならここでHPが回復する。でもこのトレジャーアイテム『ダーインスレイヴ』は斬った相手のHPを吸い尽くす――さて、次は君達の番だよ。覚悟はいいかな?」
残された刺客達は、ディーノの持っていた剣を見た直後、怯えた顔で彼のことを見つめている。
そんな彼等のもとに、ゆっくりと近付いて行くディーノ。
それを見て、ガクガクと震え出す4人の刺客達、その時、ディーノと刺客達との間に、星が突然割って入って叫んだ。
「――だめです! どんな事があっても人を傷つけちゃだめです! それはいけない事です!!」
星はディーノの顔を見上げてそう必死に訴えると、ディーノは呆れ顔で剣を鞘に収めた。
ディーノは星の涙で潤んだ瞳を見つめ、剣を下ろしゆっくりと口を開いた。
「はぁ……分かった。目の前に立ちはだかって、そんな顔をされたら仕方ないよね。でも、君達を襲いに来たんだよ? 彼等は……それを助けるの? 僕は君のためなら、こんな奴等殺したっていいんだけど……」
「……だめです。私と仲良くしたいなら、もうこの人達を許してあげてください」
星の決意にディーノの顔を見つめ、にっこりと微笑んだ。
「それは……そのスキルは……」
「――驚いてるようだね……君が今思っている通り。君の固有スキルだよ。どうやら君のスキルは肉体を一時的に強化するスキルのようだね……でも、これだけじゃない。僕の能力はこれに更に付け加える事ができる――」
ディーノがそう呟き左手を前に突き出すと、刺客5人の両手足が異次元から現れた光る鎖で拘束される。
「これは私の固有スキル――バインド!? でも、私の力では1人だけだったはず。それに拘束力も桁違いに上がってる!?」
女はそういうと手足を必死に動かして、なんとか拘束を解こうと試みるが、その拘束の強さに手も足もでない。
他の者達も彼女と同じように、必死に鎖から逃れようと手足を激しく動かしている。
ディーノはそんな彼らの前にゆっくり歩いていくと、徐ろに口を開いた。
「――どうだい? これが僕の固有スキル『アブソーブ』だよ。このスキルは周囲の相手の固有スキルを一時的に使用する事ができる……勿論、僕が同時に使用できる固有スキルの数に制限もない。敵が多ければ多いほど君達は固有スキルを使用できなくなり、僕は君等の固有スキルを使い放題というわけだ……さて、スキルの種明かしはここまでだ――そろそろ終わりにしようか?」
説明を終えたディーノは、まるで害虫でも見るような目で鎖で拘束され、地面に伏せる彼等を見下ろす。
その瞳を見て、刺客の5人の体が小刻みに震え出す――それは、彼等が絶対的な力の差を自覚し始めていることを裏付けている。
これが俗に言う『蛇に睨まれた蛙』というものなのだろう……。
その時、ディーノが星の方を向いてにっこりと微笑んで言った。
「悪いけど、君達は少し耳と目を塞いでてくれるかい? すぐに済ますから」
「えっ? あ、はい……」
星は頷くと、不思議そうに首を傾げているレイニールの方を向いて言った。
「ん? 主、どうしたのじゃ?」
「……レイ。今はあの人に言われた通りにして」
「我輩は納得いかぬが、主がそういうなら仕方ない」
星は彼の放つ威圧感を感じ取ったのか、レイニールの耳元で言われた通りにするようにとささやき、急いで目と耳を塞いだ。
ディーノはそれを確認すると、不敵な笑みを浮かべると5人に冷たい視線を向ける。
「――さて、この俺の邪魔をした罪は重いよ? 覚悟は……出来てるんだろうね。君達」
狂気に満ちた声で、持っている剣の先を大男の首元に突きつけた。
大男は額に大粒の汗を浮かべながら「いったいお前は何者なんだ」とディーノに尋ねた。ディーノはニヤリと不気味な口元に笑みを浮かべ、小さな声で呟いた。
「僕が何者か……いいけど、聞いたら必ず後悔するよ? でも、そうだね。君も自分を殺した者の名前くらい知っておきたいだろうから、特別に教えてあげるよ。僕の名前は…………」
「お前……もしかしてフリーダムのβテストプレイヤー!?」
彼の名前を聞いた大男の表情が一瞬で青ざめる。
怯える彼にディーノは微笑みを浮かべ「正解」と答えた。そして再び冷たい瞳に戻ると、手に持った剣を大きく振り上げる。
「ふっ……僕に会ったという事が君達の不幸だよ。それじゃ、話はもう終わりにしようか……さよなら」
「ぐあああああああッ!!」
「隊長!!」
ディーノは冷たい口調でそう言い放つと、素早く剣を振り抜いた。その直後、大男の体が一瞬で光になって消え去った。
だが、そんなことは通常のPVPではありえないことだ。
何故ならこのゲームのシステム上、プレイヤーキルは認められていない。対人戦ではHPが必ず1残り、更に勝負が終わり次第HPは全回復する。
どんなことがあっても、プレイヤーの装備で他のプレイヤーのHPを全損することは不可能なのだ。しかし、大男はHPが回復するどころか、消滅する時のエフェクトで粉々に光の粒子となって消えた。
それは本来なら絶対にありえないことが、現実になったと言うこと――。
「驚いているようだね……そう、普通ならここでHPが回復する。でもこのトレジャーアイテム『ダーインスレイヴ』は斬った相手のHPを吸い尽くす――さて、次は君達の番だよ。覚悟はいいかな?」
残された刺客達は、ディーノの持っていた剣を見た直後、怯えた顔で彼のことを見つめている。
そんな彼等のもとに、ゆっくりと近付いて行くディーノ。
それを見て、ガクガクと震え出す4人の刺客達、その時、ディーノと刺客達との間に、星が突然割って入って叫んだ。
「――だめです! どんな事があっても人を傷つけちゃだめです! それはいけない事です!!」
星はディーノの顔を見上げてそう必死に訴えると、ディーノは呆れ顔で剣を鞘に収めた。
ディーノは星の涙で潤んだ瞳を見つめ、剣を下ろしゆっくりと口を開いた。
「はぁ……分かった。目の前に立ちはだかって、そんな顔をされたら仕方ないよね。でも、君達を襲いに来たんだよ? 彼等は……それを助けるの? 僕は君のためなら、こんな奴等殺したっていいんだけど……」
「……だめです。私と仲良くしたいなら、もうこの人達を許してあげてください」
星の決意にディーノの顔を見つめ、にっこりと微笑んだ。
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