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激昂した刃3
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コマンドから黒い革製のグローブを取り出すと、マスターはそれを手にはめた。
その後、鋭い眼光をメルディウスに向ける。
「――良いだろう。お前がそこまで言うなら、望み通り全力で相手をしてやる。そしてお前が儂に勝てれば、お前の固有スキルを二度と使わないと誓ってやろう……」
「――その言葉に嘘はねぇーな?」
確認する様に言ったメルディウスの言葉に、マスターは静かに頷く。
2人は両端が断崖絶壁の崖に覆われた荒野の中央へと進むと、互いの顔を睨み合った。
「無いようだな……なら俺も、お前に負けたら俺達のギルドはお前の作るギルドに協力してやる」
「ほう、その言葉に相違無いか?」
「ああ、まずはこっちから行かせてもらうぜ……」
短く告げると、メルディウスは体を低く構え大剣を肩に担いだまま、マスター目掛けて突進してきた。
「――消えろおおおおおおおおおおおッ!!」
全力で振り下ろした大剣を、マスターはそれをかわすことなく両手でガードする。
攻撃をグローブで大剣の刃を受け止めたが、その重みに耐えかね。マスターの足元の地面が大きく陥没する。
だが、それだけの威力がある一撃を受けてもマスターの体は微動だにしなかった。
その直後、目にも留まらぬ速さで繰り出されたメルディウスの右足がマスターの腹部に直撃し、勢い良く後方に突き飛ばされた体はそのまま横の崖にめり込む。
人の形に大きく変形した岩肌から強引に体を引き剥がすと、マスターは取り出したヒールストーンで体力を全快にする。
「相変わらず凄まじい攻撃だな……」
マスターは笑みを浮かべ、ぼそっと呟くと目の前に一瞬の間にメルディウスが現れた。
一瞬で目の前に現れたメルディウスは、間髪入れずに大きな黄金の大剣を振りかぶっている。
「……なっ!?」
「なに油断してんだよ!」
そう叫んだ瞬間。メルディウスは持っていた大剣を力任せに振り抜いた。
大きな爆発音が辺りに響き渡った直後、メルディウスの攻撃をまともに受けた崖が音を立てて崩れ始めた。
崖の崩落の影響で大量の土砂が舞い上がり、メルディウスの視界を完全に遮った。
彼は舞い上がった砂煙で視界を奪われているのを嫌ったのか、避けるように素早く後方に移動する。
数十メートルはあった崖が、地響きを鳴らしながら大きく手前に崩れてくる土砂を、軽々と避けるとメルディウスは持っていた得物を肩に担ぐ。
「――ふんっ、呆気ないもんだな……しかもあの土砂の量じゃ、十中八九HPは残ってねぇーだろ……じじい。成仏しろよ」
っとメルディウスは舞い上がった砂埃を見つめ、勝ちを確信したようにそう呟く。よく見ると、彼の持っていた武器が大剣ではなく、大斧の形に変わっていた。
メルディウスはその大斧を天に突き上げると、上に上がっていた刃が下りてきて二又に広がり柄の部分を担ってまた大剣の形へと戻った。
そう。大剣の柄の部分の両側にも大きな刃が付いていたのには、こういう仕掛けがあったのだ。メルディウスの奇妙な形の武器は、始めから大剣と大斧両方にシフトできるような構造になっていたのである。
「これで俺の固有スキルは、本当に俺だけの物になったわけだ。帰るぞベルセルク……奴を倒した。これで紅蓮にもバカにされなくなるぜ!」
メルディウスはそう呟いてほくそ笑むと、剣を背中の鞘に収めてその場を後にしようとした。
っとその直後に、仕留めたと思っていたマスターの声がメルディウスの耳に飛び込んできた。
「――ほう。それがその武器の性能ということか……入れ替わる武器とあの威力。それはトレジャーアイテムだな?」
一瞬驚いた表情を見せたメルディウスだったが、舞い上がる砂煙の中からゆっくりと出てきたマスターを見てすぐに平静を取り戻し、大剣をマスターに見えるように前へと掲げる。
「……ああ、これは戦斧ベルセルクだ」
「儂がギルドマスターをしていた時、その武器をお前は持っていなかった。いつ手に入れたのだ?」
マスターがそう尋ねると、メルディウスはニヤッと不敵な笑みを浮かべながら、彼のその質問に答えた。
「お前が居なくなってからだ――それより俺も聞きたい。どうやってあの攻撃をかわした? 確実に回避できるようなタイミングではなかったはずだ!」
「ああ、このグローブ……いや、これもトレジャーアイテムでな。名を『デーモンハンド』という……」
彼の突き出したグローブには、黒いオーラが巻き付いている。
「デーモンハンド? 悪魔の手とは大層な名前だな」
「まあ、そう言うな。この装備は闇属性のエネルギーを高密度収束して放つ事ができる。あの刹那に拳に集めたエネルギー放ち、自分の体を吹き飛ばしてダメージを和らげたただけのこと……」
その話を聞いて、メルディウスの表情は一変する。
彼からすると、先程の一撃は確実に撃破したという手応えがあったのだろう。基本的に高レベルプレイヤーを一撃で撃破できるだけのダメージは与えられない。
だが、攻撃のダメージと岩肌に激突させたダメージに崖が崩れた時の瓦礫によるダメージがあれば一撃で撃破できたはずだった……。
その後、鋭い眼光をメルディウスに向ける。
「――良いだろう。お前がそこまで言うなら、望み通り全力で相手をしてやる。そしてお前が儂に勝てれば、お前の固有スキルを二度と使わないと誓ってやろう……」
「――その言葉に嘘はねぇーな?」
確認する様に言ったメルディウスの言葉に、マスターは静かに頷く。
2人は両端が断崖絶壁の崖に覆われた荒野の中央へと進むと、互いの顔を睨み合った。
「無いようだな……なら俺も、お前に負けたら俺達のギルドはお前の作るギルドに協力してやる」
「ほう、その言葉に相違無いか?」
「ああ、まずはこっちから行かせてもらうぜ……」
短く告げると、メルディウスは体を低く構え大剣を肩に担いだまま、マスター目掛けて突進してきた。
「――消えろおおおおおおおおおおおッ!!」
全力で振り下ろした大剣を、マスターはそれをかわすことなく両手でガードする。
攻撃をグローブで大剣の刃を受け止めたが、その重みに耐えかね。マスターの足元の地面が大きく陥没する。
だが、それだけの威力がある一撃を受けてもマスターの体は微動だにしなかった。
その直後、目にも留まらぬ速さで繰り出されたメルディウスの右足がマスターの腹部に直撃し、勢い良く後方に突き飛ばされた体はそのまま横の崖にめり込む。
人の形に大きく変形した岩肌から強引に体を引き剥がすと、マスターは取り出したヒールストーンで体力を全快にする。
「相変わらず凄まじい攻撃だな……」
マスターは笑みを浮かべ、ぼそっと呟くと目の前に一瞬の間にメルディウスが現れた。
一瞬で目の前に現れたメルディウスは、間髪入れずに大きな黄金の大剣を振りかぶっている。
「……なっ!?」
「なに油断してんだよ!」
そう叫んだ瞬間。メルディウスは持っていた大剣を力任せに振り抜いた。
大きな爆発音が辺りに響き渡った直後、メルディウスの攻撃をまともに受けた崖が音を立てて崩れ始めた。
崖の崩落の影響で大量の土砂が舞い上がり、メルディウスの視界を完全に遮った。
彼は舞い上がった砂煙で視界を奪われているのを嫌ったのか、避けるように素早く後方に移動する。
数十メートルはあった崖が、地響きを鳴らしながら大きく手前に崩れてくる土砂を、軽々と避けるとメルディウスは持っていた得物を肩に担ぐ。
「――ふんっ、呆気ないもんだな……しかもあの土砂の量じゃ、十中八九HPは残ってねぇーだろ……じじい。成仏しろよ」
っとメルディウスは舞い上がった砂埃を見つめ、勝ちを確信したようにそう呟く。よく見ると、彼の持っていた武器が大剣ではなく、大斧の形に変わっていた。
メルディウスはその大斧を天に突き上げると、上に上がっていた刃が下りてきて二又に広がり柄の部分を担ってまた大剣の形へと戻った。
そう。大剣の柄の部分の両側にも大きな刃が付いていたのには、こういう仕掛けがあったのだ。メルディウスの奇妙な形の武器は、始めから大剣と大斧両方にシフトできるような構造になっていたのである。
「これで俺の固有スキルは、本当に俺だけの物になったわけだ。帰るぞベルセルク……奴を倒した。これで紅蓮にもバカにされなくなるぜ!」
メルディウスはそう呟いてほくそ笑むと、剣を背中の鞘に収めてその場を後にしようとした。
っとその直後に、仕留めたと思っていたマスターの声がメルディウスの耳に飛び込んできた。
「――ほう。それがその武器の性能ということか……入れ替わる武器とあの威力。それはトレジャーアイテムだな?」
一瞬驚いた表情を見せたメルディウスだったが、舞い上がる砂煙の中からゆっくりと出てきたマスターを見てすぐに平静を取り戻し、大剣をマスターに見えるように前へと掲げる。
「……ああ、これは戦斧ベルセルクだ」
「儂がギルドマスターをしていた時、その武器をお前は持っていなかった。いつ手に入れたのだ?」
マスターがそう尋ねると、メルディウスはニヤッと不敵な笑みを浮かべながら、彼のその質問に答えた。
「お前が居なくなってからだ――それより俺も聞きたい。どうやってあの攻撃をかわした? 確実に回避できるようなタイミングではなかったはずだ!」
「ああ、このグローブ……いや、これもトレジャーアイテムでな。名を『デーモンハンド』という……」
彼の突き出したグローブには、黒いオーラが巻き付いている。
「デーモンハンド? 悪魔の手とは大層な名前だな」
「まあ、そう言うな。この装備は闇属性のエネルギーを高密度収束して放つ事ができる。あの刹那に拳に集めたエネルギー放ち、自分の体を吹き飛ばしてダメージを和らげたただけのこと……」
その話を聞いて、メルディウスの表情は一変する。
彼からすると、先程の一撃は確実に撃破したという手応えがあったのだろう。基本的に高レベルプレイヤーを一撃で撃破できるだけのダメージは与えられない。
だが、攻撃のダメージと岩肌に激突させたダメージに崖が崩れた時の瓦礫によるダメージがあれば一撃で撃破できたはずだった……。
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