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ファンタジー24
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そんな2人を見ていたエリエが呟いた。
「へぇ~。やっぱりそういうことだったんだ。言ってくれれば協力したのに!」
自分が仲間はずれにされたと膨れっ面をしているエリエに向かって、デイビッドが口を開いた。
「お前が寝ちゃったのが悪いんだろ。俺達はエミルに聞いてたぞ?」
彼の話を聞いたエリエの頬が更に膨れ上がる。
「へぇ~。デイビッドは知ってたんだ……この裏切り者!」
エリエは大声でそう叫ぶと、勢い良くサラザの胸に飛び込んだ。
サラザは何も言わず、その屈強な大胸筋でエリエを受け止めるとエリエの頭を撫でる。その直後、エリエは涙ながらに叫ぶ。
「うわ~ん。デイビッドが私をバカにしてるよ~。デイビッドのくせに~」
「あら~、デイビッドちゃんはひどいわね~。大丈夫よエリー、泣かないで」
サラザはそう言って、泣いているエリエの頭を優しく撫でている。
(いや、あんたもエミルの話聞いてたよな!)
デイビッドは心の中でそう呟くと、不機嫌そうにサラザを見た。
そんな3人とは対照的にカレンは目をきらきらさせながら、ペガサスを見つめている。
おそらく。彼女も乗ってみたくて仕方がないのだろう。まあ、無理もない。ファンタジー系のゲームをする人間なら、誰しも一度はペガサスなどの幻獣系のモンスターを手懐けてみたいと感じるものだ――。
だが、カレンは分かっていた。もしも自分がペガサスに乗りたいと言えば、星は絶対にカレンに譲ってしまう。そうなれば、せっかくエミルが用意したこのフィールド攻略そのものが無駄になってしまうことになる。
年長者としても、仲間としても、それだけは避けなければならない。何故なら、今はエミルのパーティーに所属していて、マスターはこの場にいないのだから……。
カレンは頭を激しく左右に振って自分の心を戒める。
星はカレンがそんな葛藤をしていることなど露知らず。エミルに連れられペガサスの前までくると、びくびくしながらペガサスの瞳を見つめている。
そんな星をペガサスも警戒することもなく、興味深く見つめたままその場に佇む。しばらくの間、星とペガサスは近付くわけでもなく、離れるわけでもなく、にらめっこした状態が続いていた。
互い睨み合いが続いた瞳を見合って膠着状態が続く中で、見かねたエミルが星の優しく肩を掴んでそっと耳打ちする。
「――星ちゃん。じっとしてても何も始まらないわよ? ペガサスは敵対心を燃やさない限り、逃げることも襲ってくることのないから大丈夫。まずは、スキンシップしてみないとね!」
「あっ、ちょっとエミルさん!?」
エミルは星の手を握ると、その手をペガサスの首元にそっと押し当てた。ペガサスは嫌がるどころか、星の顔をひと舐めしてまた星の瞳をじっと見つめている。
星はその様子に困惑しているような瞳をエミルに向けると、エミルは優しい声で話し始めた。
「星ちゃんがこの子に乗りたいと少しでも思うなら、その気持を素直に心で念じてみて」
「……えっ? は、はい!」
星は小さく頷くと、瞼を閉じてエミルに言われた通りに心の中で念じた。
すると、それから数秒の間を空けてペガサスがゆっくりと頷き、今度は自分の背中の方に首を向ける。
それはまるで、星に『乗ってもいいよ』と言っているように思えた。
「ほら、星ちゃん乗せてくれるって言ってるわよ?」
「そうなんですか?」
「ええ、その証拠に翼を広げているでしょ」
エミルに言われ、ペガサスの方を向くと背中にたたんでいた翼が大きく広がっていた。
その翼は実に美しく、月が映った湖の光で輝いているように見える。
神々しいという言葉が相応しいペガサスの幻想的な姿に、星が目を奪われていると、体が急に宙に浮き上がった。
驚きすぐに振り返ると、エミルが星の体を掲げている。
「ほら、ペガサスさんを待たせたらいけないでしょ?」
「わっ! あっ、あっ……」
動揺して声にならない声を上げたが、エミルに抱き上げられ。そのまま、ペガサスの背中へと乗せられてしまう。
背中に跨りながら星は不安そうな表情を浮かべ、弱々しい声でエミルに尋ねる。
「――あの、エミルさん。私だけで行くんですか?」
「大丈夫。私も行くから」
そう言ったエミルは慣れた様子でペガサスの背に跨って、先に乗っていた星の腰に腕を絡めた。
普段からドラゴンに跨がっている彼女からしてみれば、ペガサスもそれほど物怖じする対象にはならないのだろう。
星は困惑した様子でエミルの顔を見ると、そんな星の耳元でエミルがそっと告げる。
「……星ちゃんいい? ペガサスには手綱も無いから上昇する時は前屈みになって。私がいいって言うまでは顔を上げちゃだめよ? バランスを崩して落っこちちゃうからね……」
「は、はい!」
星は緊張しながら小さく頷くと、頭を前に倒し前屈みになる。
「へぇ~。やっぱりそういうことだったんだ。言ってくれれば協力したのに!」
自分が仲間はずれにされたと膨れっ面をしているエリエに向かって、デイビッドが口を開いた。
「お前が寝ちゃったのが悪いんだろ。俺達はエミルに聞いてたぞ?」
彼の話を聞いたエリエの頬が更に膨れ上がる。
「へぇ~。デイビッドは知ってたんだ……この裏切り者!」
エリエは大声でそう叫ぶと、勢い良くサラザの胸に飛び込んだ。
サラザは何も言わず、その屈強な大胸筋でエリエを受け止めるとエリエの頭を撫でる。その直後、エリエは涙ながらに叫ぶ。
「うわ~ん。デイビッドが私をバカにしてるよ~。デイビッドのくせに~」
「あら~、デイビッドちゃんはひどいわね~。大丈夫よエリー、泣かないで」
サラザはそう言って、泣いているエリエの頭を優しく撫でている。
(いや、あんたもエミルの話聞いてたよな!)
デイビッドは心の中でそう呟くと、不機嫌そうにサラザを見た。
そんな3人とは対照的にカレンは目をきらきらさせながら、ペガサスを見つめている。
おそらく。彼女も乗ってみたくて仕方がないのだろう。まあ、無理もない。ファンタジー系のゲームをする人間なら、誰しも一度はペガサスなどの幻獣系のモンスターを手懐けてみたいと感じるものだ――。
だが、カレンは分かっていた。もしも自分がペガサスに乗りたいと言えば、星は絶対にカレンに譲ってしまう。そうなれば、せっかくエミルが用意したこのフィールド攻略そのものが無駄になってしまうことになる。
年長者としても、仲間としても、それだけは避けなければならない。何故なら、今はエミルのパーティーに所属していて、マスターはこの場にいないのだから……。
カレンは頭を激しく左右に振って自分の心を戒める。
星はカレンがそんな葛藤をしていることなど露知らず。エミルに連れられペガサスの前までくると、びくびくしながらペガサスの瞳を見つめている。
そんな星をペガサスも警戒することもなく、興味深く見つめたままその場に佇む。しばらくの間、星とペガサスは近付くわけでもなく、離れるわけでもなく、にらめっこした状態が続いていた。
互い睨み合いが続いた瞳を見合って膠着状態が続く中で、見かねたエミルが星の優しく肩を掴んでそっと耳打ちする。
「――星ちゃん。じっとしてても何も始まらないわよ? ペガサスは敵対心を燃やさない限り、逃げることも襲ってくることのないから大丈夫。まずは、スキンシップしてみないとね!」
「あっ、ちょっとエミルさん!?」
エミルは星の手を握ると、その手をペガサスの首元にそっと押し当てた。ペガサスは嫌がるどころか、星の顔をひと舐めしてまた星の瞳をじっと見つめている。
星はその様子に困惑しているような瞳をエミルに向けると、エミルは優しい声で話し始めた。
「星ちゃんがこの子に乗りたいと少しでも思うなら、その気持を素直に心で念じてみて」
「……えっ? は、はい!」
星は小さく頷くと、瞼を閉じてエミルに言われた通りに心の中で念じた。
すると、それから数秒の間を空けてペガサスがゆっくりと頷き、今度は自分の背中の方に首を向ける。
それはまるで、星に『乗ってもいいよ』と言っているように思えた。
「ほら、星ちゃん乗せてくれるって言ってるわよ?」
「そうなんですか?」
「ええ、その証拠に翼を広げているでしょ」
エミルに言われ、ペガサスの方を向くと背中にたたんでいた翼が大きく広がっていた。
その翼は実に美しく、月が映った湖の光で輝いているように見える。
神々しいという言葉が相応しいペガサスの幻想的な姿に、星が目を奪われていると、体が急に宙に浮き上がった。
驚きすぐに振り返ると、エミルが星の体を掲げている。
「ほら、ペガサスさんを待たせたらいけないでしょ?」
「わっ! あっ、あっ……」
動揺して声にならない声を上げたが、エミルに抱き上げられ。そのまま、ペガサスの背中へと乗せられてしまう。
背中に跨りながら星は不安そうな表情を浮かべ、弱々しい声でエミルに尋ねる。
「――あの、エミルさん。私だけで行くんですか?」
「大丈夫。私も行くから」
そう言ったエミルは慣れた様子でペガサスの背に跨って、先に乗っていた星の腰に腕を絡めた。
普段からドラゴンに跨がっている彼女からしてみれば、ペガサスもそれほど物怖じする対象にはならないのだろう。
星は困惑した様子でエミルの顔を見ると、そんな星の耳元でエミルがそっと告げる。
「……星ちゃんいい? ペガサスには手綱も無いから上昇する時は前屈みになって。私がいいって言うまでは顔を上げちゃだめよ? バランスを崩して落っこちちゃうからね……」
「は、はい!」
星は緊張しながら小さく頷くと、頭を前に倒し前屈みになる。
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