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ファンタジー23
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「――飛んでけぇー!!」
すごい速度でぐるぐると回転して、全力で遠くに放り投げた。
高速で飛んでいくおじさんは両腕を突き出し背筋を伸ばした状態で、どこかの星に返っていきそうな勢いで夜の空へと消えていった。
その一部始終を見ていたサラザとエリエは驚いた様子で目を丸くする。それとは対照的に、突如として頭が軽くなった星が不思議そうにしている。
まあ、頭上で行われていたことなので、星が分からないのは当然なのだが……。
「あれ? 急に頭が軽くなった……」
星がそう呟いた直後、再び頭の上にずっしりと何かが乗ってきた。頭の方に目を向けると、レイニールがにっこりと微笑んでいた。
小首を傾げた星は、不思議そうな顔で「おじさんは?」と尋ねると。
「ああ、あの奇っ怪な者は家に帰ったようじゃぞ?」
っと、何事もなかったのかのように平然と言葉を返すレイニール。
「そうなんだ。でも急に居なくなったから……」
「うむ! きっと急用が出来たのであろうな!」
レイニールはそう言い放つと「急用じゃしかたないね」と星も納得したように微笑んだ。
その出来事の一部始終を見ていたエリエとサラザは小声で話し始めた。
「なんか帰ったとか言ってるわよ~」
「まあ、色々な意味で自分の星に帰っていったかもしれないけど……でも、レイニールはあの体の大きさで、あのパワーは脅威だよね」
「そうね~。でも私の力にはかなわないけど――脅威だわ~」
「そうだね。とりあえず星にべったりみたいだからあまり刺激しない方が良さそうかな」
2人はそう話すと、微笑み合っている星とレイニールを見て頷いた。
そんな時、先導していたエミルが突然振り向き、顔の前で人差し指を立てている。
「……みんなそろそろ近くなってきたから、ここからはあまり話さないでね」
そう言ったエミルの前に遮るように、イシェルが割り込んできた。
「それじゃー。みんなも準備せんとなぁ~。星ちゃんちょっと目を閉じてもらってええ?」
「――えっ? は、はい」
星は少しおかしいと思いながらも、言われた通りに瞳を閉じる。すると、イシェルがコマンドから香水を取り出し、それを星の頭にふきかけた。
その瞬間、星の全身が一瞬だけ黄色に光った。それを見て、エリエがイシェルに尋ねた。
「なにそれ、そんなアイテム私見たことないんだけど」
そう言って首を傾げているエリエにイシェルは笑顔を見せると、香水の容器をエリエの顔の前に出した。
「これはな~。使うと自分達のレベルを隠す事が出来るアイテムなんよ――っということでエリエちゃんも目瞑っててな~」
「きゃっ!!」
イシェルは話し終える前にエリエの顔に香水の中身を噴射した。
「うわ~。目にちょっと入った……」
エリエはそう言いながら必死に目を擦っている。
にこにこと微笑みながらイシェルは「ごめんなー」と謝ると、香水の容器を大きく上げた。
「これで計画を知らん2人は終了っと……ほな、皆も順番に並んでな~。ここからはこれなしで行ったらあかんよ~」
香水を持った手を大きく振って、そう告げるイシェルに従うように順番に並ぶ。
メンバー全員に香水の中の液体を吹きかけて、イシェルはにっこりと微笑んだ。
「――よし。これで準備完了やね!」
イシェルは香水をしまうと、また前を向いて歩き出した。
更に森の奥へと進んでいくのと同じくして、星の不安も大きくなっていった。
(どこに向かってるんだろう……どうして誰も向かっている場所を聞かないの?)
星は心の中でそう呟きながらも、静寂の中黙々と前に進んでいる中でその意味を尋ねることもできずに、皆の後を歩いていた。
しばらくして先導していたエミルが足を止め、星を呼びながら手招きしている。
「――星ちゃん、いらっしゃい」
「な、なんですか? エミルさん」
少しビクつきながらも、星はエミルの側までいくとエミルの顔を恐る恐る見上げた。
エミルはそんな星に微笑み掛けると、耳元でそっとささやいた。
「星ちゃん。向こうの林の先を見てみて……」
エミルにそう言われ。指差された先に目をやると、そこには湖に口をつけて水を飲んでいる動物の姿が見えた。
その見た目は、白馬で背には大きく真っ白な翼が折りたたまれている。だが、それはファンタジーでよく描かれている姿そのものだった……。
「――あれって……ペガサス?」
驚いた顔をしてそう呟いてる星の肩にエミルがそっと手を置いて話し掛ける。
「どう? 驚いたかしら」
「はい。とっても……」
星は目の前の光景が信じられないといった様子で、目を丸くさせながら小さく頷いた。
そして、その次のエミルの言葉に思わず耳を疑う。
「なら、乗せてもらいましょうか!」
「……えっ!?」
その言葉を聞いて、星は目をぱちくりさせながら驚いた表情でエミルの顔を見た。
エミルはにっこりと微笑むと、そのまま星の手を持ってペガサスに向かって歩き出す。
すごい速度でぐるぐると回転して、全力で遠くに放り投げた。
高速で飛んでいくおじさんは両腕を突き出し背筋を伸ばした状態で、どこかの星に返っていきそうな勢いで夜の空へと消えていった。
その一部始終を見ていたサラザとエリエは驚いた様子で目を丸くする。それとは対照的に、突如として頭が軽くなった星が不思議そうにしている。
まあ、頭上で行われていたことなので、星が分からないのは当然なのだが……。
「あれ? 急に頭が軽くなった……」
星がそう呟いた直後、再び頭の上にずっしりと何かが乗ってきた。頭の方に目を向けると、レイニールがにっこりと微笑んでいた。
小首を傾げた星は、不思議そうな顔で「おじさんは?」と尋ねると。
「ああ、あの奇っ怪な者は家に帰ったようじゃぞ?」
っと、何事もなかったのかのように平然と言葉を返すレイニール。
「そうなんだ。でも急に居なくなったから……」
「うむ! きっと急用が出来たのであろうな!」
レイニールはそう言い放つと「急用じゃしかたないね」と星も納得したように微笑んだ。
その出来事の一部始終を見ていたエリエとサラザは小声で話し始めた。
「なんか帰ったとか言ってるわよ~」
「まあ、色々な意味で自分の星に帰っていったかもしれないけど……でも、レイニールはあの体の大きさで、あのパワーは脅威だよね」
「そうね~。でも私の力にはかなわないけど――脅威だわ~」
「そうだね。とりあえず星にべったりみたいだからあまり刺激しない方が良さそうかな」
2人はそう話すと、微笑み合っている星とレイニールを見て頷いた。
そんな時、先導していたエミルが突然振り向き、顔の前で人差し指を立てている。
「……みんなそろそろ近くなってきたから、ここからはあまり話さないでね」
そう言ったエミルの前に遮るように、イシェルが割り込んできた。
「それじゃー。みんなも準備せんとなぁ~。星ちゃんちょっと目を閉じてもらってええ?」
「――えっ? は、はい」
星は少しおかしいと思いながらも、言われた通りに瞳を閉じる。すると、イシェルがコマンドから香水を取り出し、それを星の頭にふきかけた。
その瞬間、星の全身が一瞬だけ黄色に光った。それを見て、エリエがイシェルに尋ねた。
「なにそれ、そんなアイテム私見たことないんだけど」
そう言って首を傾げているエリエにイシェルは笑顔を見せると、香水の容器をエリエの顔の前に出した。
「これはな~。使うと自分達のレベルを隠す事が出来るアイテムなんよ――っということでエリエちゃんも目瞑っててな~」
「きゃっ!!」
イシェルは話し終える前にエリエの顔に香水の中身を噴射した。
「うわ~。目にちょっと入った……」
エリエはそう言いながら必死に目を擦っている。
にこにこと微笑みながらイシェルは「ごめんなー」と謝ると、香水の容器を大きく上げた。
「これで計画を知らん2人は終了っと……ほな、皆も順番に並んでな~。ここからはこれなしで行ったらあかんよ~」
香水を持った手を大きく振って、そう告げるイシェルに従うように順番に並ぶ。
メンバー全員に香水の中の液体を吹きかけて、イシェルはにっこりと微笑んだ。
「――よし。これで準備完了やね!」
イシェルは香水をしまうと、また前を向いて歩き出した。
更に森の奥へと進んでいくのと同じくして、星の不安も大きくなっていった。
(どこに向かってるんだろう……どうして誰も向かっている場所を聞かないの?)
星は心の中でそう呟きながらも、静寂の中黙々と前に進んでいる中でその意味を尋ねることもできずに、皆の後を歩いていた。
しばらくして先導していたエミルが足を止め、星を呼びながら手招きしている。
「――星ちゃん、いらっしゃい」
「な、なんですか? エミルさん」
少しビクつきながらも、星はエミルの側までいくとエミルの顔を恐る恐る見上げた。
エミルはそんな星に微笑み掛けると、耳元でそっとささやいた。
「星ちゃん。向こうの林の先を見てみて……」
エミルにそう言われ。指差された先に目をやると、そこには湖に口をつけて水を飲んでいる動物の姿が見えた。
その見た目は、白馬で背には大きく真っ白な翼が折りたたまれている。だが、それはファンタジーでよく描かれている姿そのものだった……。
「――あれって……ペガサス?」
驚いた顔をしてそう呟いてる星の肩にエミルがそっと手を置いて話し掛ける。
「どう? 驚いたかしら」
「はい。とっても……」
星は目の前の光景が信じられないといった様子で、目を丸くさせながら小さく頷いた。
そして、その次のエミルの言葉に思わず耳を疑う。
「なら、乗せてもらいましょうか!」
「……えっ!?」
その言葉を聞いて、星は目をぱちくりさせながら驚いた表情でエミルの顔を見た。
エミルはにっこりと微笑むと、そのまま星の手を持ってペガサスに向かって歩き出す。
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