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ファンタジー13
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止まったというより何かに阻まれ、それ以上は前に進めないと言った感じだ。
「――これでしまいや……ほな、さいなら……」
神楽鈴を前に突き出すと、冷酷な視線をインプ達に向ける。
イシェルの持っていた神楽鈴が、チリンチリンと音を立てた直後。空中で制止していたはずのインプ達の体がばらばらに切断され、肉片が一瞬でキラキラと輝き空に吸い込まれるように消えていった。
一方的なイシェルの戦闘の様子を見ていた星がぼそっと呟く。
「……すごい。これがイシェルさんの能力なんだ……」
目を皿のようにしている星の肩の上にぽんと手が乗った。それに驚いた様子で、星が視線を向けた先にはエミルの姿があった。
エミルは微笑みを浮かべ、星の疑問に答えるように徐ろに口を開く。
「――そうよ。あれがイシェの固有スキルの力。あの子のスキルは、衝撃波を作り出すものなの」
「……しょうげきは?」
彼女の話を聞いて、星はそう聞き返しながら首を傾げた。
まあ、小学生の女子に衝撃波と言っても、今一つピンと来ないものがあるのだろう。
エミルは少し首を傾げて「うーん」と考える素振りを見せると。
「ああ、簡単に説明するとお風呂に入った時に出る波紋を、動かなくても体の周りから全体に出せるってこと。まあ、イシェの起こしているのは空気でだけどね!」
「なるほど……って、それってすごくないですか!?」
星は更に驚いた様子でエミルの顔を見上げる。
エミルはそんな星に微笑んでていると、ふと星はあることに気が付く。
「でもモンスターばらばらでしたよ? それも衝撃波?」
「えっと……強い衝撃波にはそれぐらいの力があるって事なのよ!」
エミルが人差し指を立てて、自信なさげにそう言い放つと、そこに戦いを終えたイシェルが大きなため息をつきながら戻ってきた。
「はぁー、エミル。いい加減な事教えたらあかんよ?」
「――えっ? 違うの!?」
「全然ちゃうよ。だいち、うちの力は敵を弾き返すくらいが精一杯やねん。せやけど、それを変えてくれんのがこれなんよ!」
イシェルは2人の目の前に持っていた神楽鈴を突き出した。
木の棒の周りに小さな鈴が数多く付いたそれを、2人に向けて見せる。
2人は不思議そうにその見慣れない道具を見つめている。
「ふふっ。音ってのは、空気を振動させることで相手に聞こえるんよ。そして振動させた空気の中には細かい波ができる。その波を薄く小刻みに高速で打ち出してやることで、空気の刃を作り出し。敵を切り刻むことができるっていうんが、この技の仕掛けなんよ! 名付けて。かまいたち!!」
「――なるほど『かまいたち』凄い技だわ……って、そのままじゃないの!」
「あははっ、シンプルイズベストや~」
「シンプル過ぎるわよ!」
2人が言い争っているのを見て、星は思わず笑みをこぼした。
それを2人は不思議そうに首を傾げると、星をの顔を見つめていた。
「あっ、ごめんなさい……」
星はそれに気付いて慌てて頭を下げた。
突如として謝ってきた星に、驚いた表情を見せるイシェル。
イシェルは星の様子を見て、エミルと顔を見合わせると首を傾げながら小さな声で尋ねる。
「エミル。なんであの子は謝ってるん?」
「ああ、星ちゃんはとりあえず。なんでも謝っちゃう子なのよ。もう癖みたいなものね」
「また。けったいな話やねぇ……」
それを聞いて、イシェルはそう小さく呟いて眉をひそめた。その後、頭を下げている星の前で立ち止まる。
星は恐る恐る顔を見上げると、イシェルの顔色を窺いながら、不安そうな表情を向けている。しかし、イシェルは微笑んでいるだけで、その表情からは何も感じ取ることはできない――。
すると、イシェルは星と目線を合わせると、にっこりと微笑んで星の頬に両手を押し当てた。
「ふふっ。星ちゃん?」
「……えっ? はい」
星がイシェルの顔をじーっと見つめていると、急に両頬に痛みが走った。
(――なに!? ほっぺたがすごく痛い!!)
星は混乱しながらも、その痛みの原因はすぐに分かった。
「あはは、星ちゃんのほっぺはやわらかいな~。こない伸びるよ~」
そう。その痛みの原因は、イシェルが星の頬を引っ張っていたからだったのだ。
両手をバタつかせ、星は驚いた様子で目を見開いている。
「いはいへふ。ははしてくあはい~」
星は「痛いです放して下さい」と言ったつもりだったのだが、頬を引っ張られていたことによって上手く言葉にできていない。
楽しそうに星の頬を引っ張っているイシェル。
彼女の突然の行動に驚いたエミルが、慌てて声を荒らげながら叫んだ。
「ちょっとイシェ! 星ちゃんが痛がってるでしょ! 放しなさい!!」
「……そないに怒らんでもええやん」
エミルは強い口調でそう言い放つと、イシェルは口を尖らせながら渋々その手を放した。
手を放された直後、イシェルから離れるように少し距離を開ける。
「うぅ~。痛かった……」
星はヒリヒリと少し腫れた頬を撫でていると、目の前にエミルが現れた。
「ごめんなさい。後でイシェにはきつく言っておくから」
エミルのその本当に申し訳無さそうな顔を見て、星はにっこりと微笑み返した。
「――これでしまいや……ほな、さいなら……」
神楽鈴を前に突き出すと、冷酷な視線をインプ達に向ける。
イシェルの持っていた神楽鈴が、チリンチリンと音を立てた直後。空中で制止していたはずのインプ達の体がばらばらに切断され、肉片が一瞬でキラキラと輝き空に吸い込まれるように消えていった。
一方的なイシェルの戦闘の様子を見ていた星がぼそっと呟く。
「……すごい。これがイシェルさんの能力なんだ……」
目を皿のようにしている星の肩の上にぽんと手が乗った。それに驚いた様子で、星が視線を向けた先にはエミルの姿があった。
エミルは微笑みを浮かべ、星の疑問に答えるように徐ろに口を開く。
「――そうよ。あれがイシェの固有スキルの力。あの子のスキルは、衝撃波を作り出すものなの」
「……しょうげきは?」
彼女の話を聞いて、星はそう聞き返しながら首を傾げた。
まあ、小学生の女子に衝撃波と言っても、今一つピンと来ないものがあるのだろう。
エミルは少し首を傾げて「うーん」と考える素振りを見せると。
「ああ、簡単に説明するとお風呂に入った時に出る波紋を、動かなくても体の周りから全体に出せるってこと。まあ、イシェの起こしているのは空気でだけどね!」
「なるほど……って、それってすごくないですか!?」
星は更に驚いた様子でエミルの顔を見上げる。
エミルはそんな星に微笑んでていると、ふと星はあることに気が付く。
「でもモンスターばらばらでしたよ? それも衝撃波?」
「えっと……強い衝撃波にはそれぐらいの力があるって事なのよ!」
エミルが人差し指を立てて、自信なさげにそう言い放つと、そこに戦いを終えたイシェルが大きなため息をつきながら戻ってきた。
「はぁー、エミル。いい加減な事教えたらあかんよ?」
「――えっ? 違うの!?」
「全然ちゃうよ。だいち、うちの力は敵を弾き返すくらいが精一杯やねん。せやけど、それを変えてくれんのがこれなんよ!」
イシェルは2人の目の前に持っていた神楽鈴を突き出した。
木の棒の周りに小さな鈴が数多く付いたそれを、2人に向けて見せる。
2人は不思議そうにその見慣れない道具を見つめている。
「ふふっ。音ってのは、空気を振動させることで相手に聞こえるんよ。そして振動させた空気の中には細かい波ができる。その波を薄く小刻みに高速で打ち出してやることで、空気の刃を作り出し。敵を切り刻むことができるっていうんが、この技の仕掛けなんよ! 名付けて。かまいたち!!」
「――なるほど『かまいたち』凄い技だわ……って、そのままじゃないの!」
「あははっ、シンプルイズベストや~」
「シンプル過ぎるわよ!」
2人が言い争っているのを見て、星は思わず笑みをこぼした。
それを2人は不思議そうに首を傾げると、星をの顔を見つめていた。
「あっ、ごめんなさい……」
星はそれに気付いて慌てて頭を下げた。
突如として謝ってきた星に、驚いた表情を見せるイシェル。
イシェルは星の様子を見て、エミルと顔を見合わせると首を傾げながら小さな声で尋ねる。
「エミル。なんであの子は謝ってるん?」
「ああ、星ちゃんはとりあえず。なんでも謝っちゃう子なのよ。もう癖みたいなものね」
「また。けったいな話やねぇ……」
それを聞いて、イシェルはそう小さく呟いて眉をひそめた。その後、頭を下げている星の前で立ち止まる。
星は恐る恐る顔を見上げると、イシェルの顔色を窺いながら、不安そうな表情を向けている。しかし、イシェルは微笑んでいるだけで、その表情からは何も感じ取ることはできない――。
すると、イシェルは星と目線を合わせると、にっこりと微笑んで星の頬に両手を押し当てた。
「ふふっ。星ちゃん?」
「……えっ? はい」
星がイシェルの顔をじーっと見つめていると、急に両頬に痛みが走った。
(――なに!? ほっぺたがすごく痛い!!)
星は混乱しながらも、その痛みの原因はすぐに分かった。
「あはは、星ちゃんのほっぺはやわらかいな~。こない伸びるよ~」
そう。その痛みの原因は、イシェルが星の頬を引っ張っていたからだったのだ。
両手をバタつかせ、星は驚いた様子で目を見開いている。
「いはいへふ。ははしてくあはい~」
星は「痛いです放して下さい」と言ったつもりだったのだが、頬を引っ張られていたことによって上手く言葉にできていない。
楽しそうに星の頬を引っ張っているイシェル。
彼女の突然の行動に驚いたエミルが、慌てて声を荒らげながら叫んだ。
「ちょっとイシェ! 星ちゃんが痛がってるでしょ! 放しなさい!!」
「……そないに怒らんでもええやん」
エミルは強い口調でそう言い放つと、イシェルは口を尖らせながら渋々その手を放した。
手を放された直後、イシェルから離れるように少し距離を開ける。
「うぅ~。痛かった……」
星はヒリヒリと少し腫れた頬を撫でていると、目の前にエミルが現れた。
「ごめんなさい。後でイシェにはきつく言っておくから」
エミルのその本当に申し訳無さそうな顔を見て、星はにっこりと微笑み返した。
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