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マスターの真意6
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「ううん。絶対だめ! マスターは必ず帰って来るし。ここにはエミル姉もイシェルさんもデイビッドもいる。あんたはここにいた方が安全なんだから!」
「だから俺は安全な場所で待っているだけなんて嫌なんだよ!」
「このわからずやっ!」
「わからずやはどっちだっ!」
2人はそう言って、またいがみ合う。
星は一触即発の2人に「ケンカはだめですよ」とあたふたしながら間に割り込んで止めに入った。
その時、カレンの視界に突然。
【マスター様からメッセージが入りました。】
っと表示が現れる。
カレンは「マスターからだ!」と呟き慌ててコマンドを開き、メッセージボックスでその内容を確認する。
そこには――。
『カレン。まさかとは思うが儂の後を追いかけてはおらんだろうな? もしそうならすぐにエミル達の元へ戻れ。良いな! お前にはエミル達の護衛を任せる。一週間程度で戻る。それまで、しっかり修行しておれ!』
カレンはそれを読むと、小さくため息をついて歩き出した。
「ちょっと! どこ行くのよ!?」
「どこって城に戻るんだろ? お前も早く来いよ……」
それを見て叫んぶエリエに、カレンは振り返らずに答えた。
エリエと星は顔を見合わせて首を傾げると、カレンの背中を追いかけていった。
* * *
月が水面に映る湖で白馬が水を飲んでいた。その横にはテントが立ててあり、その隣で焚き火を炊きながらマスターがコマンドを操作している。
「はぁー。カレンの方はこれで良いだろう……しかし、あいつにも困ったものよ。男勝りに育ってしまってこれから先が思いやられるな」
マスターはコマンドを閉じてそう呟くと大きく息を吐いた。
「しかし、あやつらに会うのも久しぶりだ。よもや、腕は鈍ってはおらんだろうな……メルディウス」
マスターはそう呟くと、拳を空へと突き上げて笑みを浮かべた。
その頃、城のエミルの部屋ではエミル、イシェル、デイビッドが3人の帰りを待っていた。
飛び出していった3人が気掛かりだったが、いったところで状況を混乱させるだけなのは分かっている。
部屋の中は、まるでお通夜のようにな静けさで、外にいるモンスター達の鳴き声が部屋に聞こえそうなくらいに静まり返っていた。
「ちょい遅くない? うち心配やから見てこようか?」
「……いいわよ。待ってましょう」
イシェルの言葉にエミルはそう返したもののその表情は険しく、明らかにこの中で一番心配していのは彼女だろう。
そんな彼女を見て、イシェルはくすっと笑みを浮かべると徐ろに席を立つ。
「ちょっとイシェ。行かなくてもいいって言ってるのに!」
意地を張っているのか、イシェルが立ち上がったことで驚いて声を上げたエミルに向かって、イシェルはにっこりと微笑んだ。
「大丈夫、行かへんよ。でも、あの子らが帰ってきても気まずくなるのは見えとるやろ? エリエちゃんは確かお菓子が好きやったはずやし。紅茶とお菓子をこさえて待ってよう思ってな~」
それを聞いたエミルとデイビッドが紅茶と聞いて、同時に声を上げた。
「「飲み物は紅茶じゃない方がいいと思う!」」
その息の合った声を聞いてイシェルは驚き目を丸くさせたが、すぐに「了解」と微笑み返すと、キッチンへと向かって歩き出した。
おそらく。この時のデイビッドとエミルにはエリエが「紅茶の気分じゃないんだけどな~」とぼやくのが見えていたのだろう。
エミルとデイビッドはその姿を見送ると、お互いの顔を見つめる。
「はぁ~。それにしても、マスターはいったい何を考えてるのかしら……」
「そうだなー。でもマスターの事だから、それなりに考えがあっての行動だとは思う。けど、イシェルさんまで呼び出すとはな……」
大きなため息をつき、頭を押さえているエミルにデイビッドも腕を組んで椅子の背凭れに体を預けた。
エミルはそんなデイビッドの顔を見つめると、真面目な顔をして口を開く。
「私の勘違いならいいんだけど……マスターはもしかして、何か大規模な作戦を考えてるんじゃないかしら。イシェのスキルは複数戦闘が得意だし、マスターが直接出向いて呼びに行く人間なんて数人しか思い当たらないのだけど……」
エミルの真剣な顔が徐々に不安で崩れていくのを見て、デイビッドは何かを察したのか、ゆっくりと口を開いた。
「あ……いや、まさか、あの人達に声を掛けるわけないだろ? だって『3日もあればゲーム内のモンスターを狩り尽くす』なんて言われるくらいでたらめな力を持っているのに、性格もばらばらで戦闘スタイルは強引な人達だろ? それに確か、彼等はマスターとは仲悪かったんじゃないか?」
「ええ、そのはずなんだけどね。でも緊急時だし、もしログアウトできなくなった時にプレイしていたとなると……」
「ああ、皆筋金入りのゲーマーだろうから。そうなると……」
2人は顔を見合わせると、その表情からは徐々に血の気が引いて青ざめていく……。
「「すっごく怒ってる――」」
「――でしょうね」
「――だろうな」
同時に呟き、エミル達は大きなため息を付いた。
そこにコーヒーが入ったカップをおぼんに乗せたイシェルが歩いてきた。
「だから俺は安全な場所で待っているだけなんて嫌なんだよ!」
「このわからずやっ!」
「わからずやはどっちだっ!」
2人はそう言って、またいがみ合う。
星は一触即発の2人に「ケンカはだめですよ」とあたふたしながら間に割り込んで止めに入った。
その時、カレンの視界に突然。
【マスター様からメッセージが入りました。】
っと表示が現れる。
カレンは「マスターからだ!」と呟き慌ててコマンドを開き、メッセージボックスでその内容を確認する。
そこには――。
『カレン。まさかとは思うが儂の後を追いかけてはおらんだろうな? もしそうならすぐにエミル達の元へ戻れ。良いな! お前にはエミル達の護衛を任せる。一週間程度で戻る。それまで、しっかり修行しておれ!』
カレンはそれを読むと、小さくため息をついて歩き出した。
「ちょっと! どこ行くのよ!?」
「どこって城に戻るんだろ? お前も早く来いよ……」
それを見て叫んぶエリエに、カレンは振り返らずに答えた。
エリエと星は顔を見合わせて首を傾げると、カレンの背中を追いかけていった。
* * *
月が水面に映る湖で白馬が水を飲んでいた。その横にはテントが立ててあり、その隣で焚き火を炊きながらマスターがコマンドを操作している。
「はぁー。カレンの方はこれで良いだろう……しかし、あいつにも困ったものよ。男勝りに育ってしまってこれから先が思いやられるな」
マスターはコマンドを閉じてそう呟くと大きく息を吐いた。
「しかし、あやつらに会うのも久しぶりだ。よもや、腕は鈍ってはおらんだろうな……メルディウス」
マスターはそう呟くと、拳を空へと突き上げて笑みを浮かべた。
その頃、城のエミルの部屋ではエミル、イシェル、デイビッドが3人の帰りを待っていた。
飛び出していった3人が気掛かりだったが、いったところで状況を混乱させるだけなのは分かっている。
部屋の中は、まるでお通夜のようにな静けさで、外にいるモンスター達の鳴き声が部屋に聞こえそうなくらいに静まり返っていた。
「ちょい遅くない? うち心配やから見てこようか?」
「……いいわよ。待ってましょう」
イシェルの言葉にエミルはそう返したもののその表情は険しく、明らかにこの中で一番心配していのは彼女だろう。
そんな彼女を見て、イシェルはくすっと笑みを浮かべると徐ろに席を立つ。
「ちょっとイシェ。行かなくてもいいって言ってるのに!」
意地を張っているのか、イシェルが立ち上がったことで驚いて声を上げたエミルに向かって、イシェルはにっこりと微笑んだ。
「大丈夫、行かへんよ。でも、あの子らが帰ってきても気まずくなるのは見えとるやろ? エリエちゃんは確かお菓子が好きやったはずやし。紅茶とお菓子をこさえて待ってよう思ってな~」
それを聞いたエミルとデイビッドが紅茶と聞いて、同時に声を上げた。
「「飲み物は紅茶じゃない方がいいと思う!」」
その息の合った声を聞いてイシェルは驚き目を丸くさせたが、すぐに「了解」と微笑み返すと、キッチンへと向かって歩き出した。
おそらく。この時のデイビッドとエミルにはエリエが「紅茶の気分じゃないんだけどな~」とぼやくのが見えていたのだろう。
エミルとデイビッドはその姿を見送ると、お互いの顔を見つめる。
「はぁ~。それにしても、マスターはいったい何を考えてるのかしら……」
「そうだなー。でもマスターの事だから、それなりに考えがあっての行動だとは思う。けど、イシェルさんまで呼び出すとはな……」
大きなため息をつき、頭を押さえているエミルにデイビッドも腕を組んで椅子の背凭れに体を預けた。
エミルはそんなデイビッドの顔を見つめると、真面目な顔をして口を開く。
「私の勘違いならいいんだけど……マスターはもしかして、何か大規模な作戦を考えてるんじゃないかしら。イシェのスキルは複数戦闘が得意だし、マスターが直接出向いて呼びに行く人間なんて数人しか思い当たらないのだけど……」
エミルの真剣な顔が徐々に不安で崩れていくのを見て、デイビッドは何かを察したのか、ゆっくりと口を開いた。
「あ……いや、まさか、あの人達に声を掛けるわけないだろ? だって『3日もあればゲーム内のモンスターを狩り尽くす』なんて言われるくらいでたらめな力を持っているのに、性格もばらばらで戦闘スタイルは強引な人達だろ? それに確か、彼等はマスターとは仲悪かったんじゃないか?」
「ええ、そのはずなんだけどね。でも緊急時だし、もしログアウトできなくなった時にプレイしていたとなると……」
「ああ、皆筋金入りのゲーマーだろうから。そうなると……」
2人は顔を見合わせると、その表情からは徐々に血の気が引いて青ざめていく……。
「「すっごく怒ってる――」」
「――でしょうね」
「――だろうな」
同時に呟き、エミル達は大きなため息を付いた。
そこにコーヒーが入ったカップをおぼんに乗せたイシェルが歩いてきた。
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