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決戦20
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その攻撃で、がしゃどくろのHPゲージが今までにないほどのスピードで減少を始めた。
「「いっけえええええええええ――――ッ!!」」
エミルと星の声が響き、2体のドラゴンの炎の勢いが更に激しさを増す。
がしゃどくろのHP減少の勢いは、衰えることなく『0』になり。巨大な体はキラキラと光になって空に向かって消え、地面にはその大きな頭蓋だけが口を大きく開けた状態で残っていた。
目の前から敵が消え、勝ったのだと理解できるまでには結構な時間が掛かった。
「やった……」
星は気が抜けたのか、その場にぺたんと座り込んだ。
まだ半信半疑の星は、その場でぼーっと一点を見つめている。
その視界の中に突然【Congratulation】と表示され、そこに取得したアイテム名が表示された。
「――なにこれ『炎霊刀 正宗』……?」
星がその表示を見て、不思議そうに首を傾げていた次の瞬間。体が強い衝撃とともに仰向けに地面に倒された。
それに驚き目をパチクリさせている星の眼前に、にっこりと微笑んでいるエリエの顔が飛び込んできた。
「やった! やったよ! 星。お手柄だよ~。ほら、いい子いい子~♪」
星に抱きつきながら、エリエが嬉しそうに星の頭を撫で回す。
顔を真っ赤に染めて照れていると、星の周りに皆が集まってきた。
それを見た星は、逆に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
(……私が剣を刺したせいでこんな事になっちゃった。ちゃんと謝らないと……)
そう思った星は起き上がると、勇気を出して言葉を発した。
「……あの! ごめんなさい。私のせいでこんな事に……」
星は勢い良く頭を下げると口をつぐんだ。
まあ、自分の攻撃が原因でがしゃどくろを、もうワンランクパワーアップさせてしまったのだと思い込んでいる星にとって、絶体絶命のピンチを招いたのを仲間達に謝罪するのは当然のことだった。
その時、下を向く星にエリエの申し訳なさそうな声が聞こえた。
「ううん。もとはといえば、私が星の装備をゲットしに行こうと言ったのが悪いんだし……ごめんなさい」
「……えっ? いえ、私が謝ったのは、その……剣を胸の火に刺しちゃった事で……」
エリエが謝ったことに驚き、星は手をぶんぶんと首を左右に振りながら、あたふたしてそう言った。
それを聞いた全員が無言のまま、きょとんとした顔をしている。
「……ふっ。はっはははははははははッ!!」
その直後、マスターの大きな笑い声が部屋中に響いた。その声をかわきりにそこにいた全員が笑い出す。
星はその状況に困惑しながらも恥ずかしくなり、しょんぼりと俯いしまう。
すると、そこにエミルの優しい声が聞こえてきた。
「星ちゃんは何か勘違いしているみたいだけどね。あなたのおかげでボスが最終形態までいったのよ?」
「……最終形態?」
星はその言葉を聞いて不思議そうに首を傾げると、エミルの顔を見上げた。
「そう。もし星ちゃんが剣でウィークポイントの胸の炎を攻撃してなかったら、疲労し切って全滅してたわ。だから謝る事なんて少しもないのよ?」
「……エミルさん!?」
エミルはそう言うと、星の頬にそっと手を当てた。星はそれに驚き、目を丸くさせる。
困惑する星にエミルは優しく微笑みかけると、困惑している星に優しい眼差しで見つめると。
「あなたがいてくれて本当に良かった。私達だけだったら間違いなく全滅していた……良くやったわね星ちゃん。本当に偉いわ……ありがとう星ちゃん」
「……は、はい」
星は心の底から熱い何かが込み上げてきて、気が付いた時には瞳の中が涙でいっぱいになっていた。
エミルが慌てていると、星がエミルの胸に飛び込んでいった。
「うぅ……うわああああああん。エミルさん……」
「……うん。良く頑張ったわね」
星はエミルの胸に顔を埋めると、泣きじゃくっている。エミルはそんな星の頭を優しく撫でた。
それはエミルに言われた『あなたがいてくれて本当に良かった』という言葉が一番大きかった。
今まで星は、自分に自信がなかった。これまで他人にそんな言葉を言われたことがなかった。このダンジョンに来る前も、本当は行きたくないと思っていた。レベルの低い星が行ったところで邪魔にしかならないし、途中から険悪なムードになるのが嫌だったからだ。
現に険悪なムードにはならないまでも、周りに多大な迷惑を掛けていたのは自覚していた。だが、エミルの言葉が『こんな非力な自分でも必要なのだ』ということが分かって、何よりも嬉しかった。
それと同時に、今までの恐怖や努力といった感情が涙となって、一気に吹き出してきたのだ。
エミルの胸で泣き続けていた星だったがしばらく経って、だいぶ少し気持ちが落ち着いてきた。
そこにエリエとデイビッドが話す声が聞こえてくる。
「……エリエ。お前足の方は大丈夫なのか?」
「――えっ? ああ、ボスがいなくなったらなんともなくなっちゃった」
そう言って笑っているエリエを、デイビッドは心配そうに見つめている。
まあ、それも無理はないだろう。元はと言えば、エリエはデイビッドを助ける為に、あのがしゃどくろの炎を受けたのだ。彼が責任を感じるのは当たり前のことだ――。
「「いっけえええええええええ――――ッ!!」」
エミルと星の声が響き、2体のドラゴンの炎の勢いが更に激しさを増す。
がしゃどくろのHP減少の勢いは、衰えることなく『0』になり。巨大な体はキラキラと光になって空に向かって消え、地面にはその大きな頭蓋だけが口を大きく開けた状態で残っていた。
目の前から敵が消え、勝ったのだと理解できるまでには結構な時間が掛かった。
「やった……」
星は気が抜けたのか、その場にぺたんと座り込んだ。
まだ半信半疑の星は、その場でぼーっと一点を見つめている。
その視界の中に突然【Congratulation】と表示され、そこに取得したアイテム名が表示された。
「――なにこれ『炎霊刀 正宗』……?」
星がその表示を見て、不思議そうに首を傾げていた次の瞬間。体が強い衝撃とともに仰向けに地面に倒された。
それに驚き目をパチクリさせている星の眼前に、にっこりと微笑んでいるエリエの顔が飛び込んできた。
「やった! やったよ! 星。お手柄だよ~。ほら、いい子いい子~♪」
星に抱きつきながら、エリエが嬉しそうに星の頭を撫で回す。
顔を真っ赤に染めて照れていると、星の周りに皆が集まってきた。
それを見た星は、逆に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
(……私が剣を刺したせいでこんな事になっちゃった。ちゃんと謝らないと……)
そう思った星は起き上がると、勇気を出して言葉を発した。
「……あの! ごめんなさい。私のせいでこんな事に……」
星は勢い良く頭を下げると口をつぐんだ。
まあ、自分の攻撃が原因でがしゃどくろを、もうワンランクパワーアップさせてしまったのだと思い込んでいる星にとって、絶体絶命のピンチを招いたのを仲間達に謝罪するのは当然のことだった。
その時、下を向く星にエリエの申し訳なさそうな声が聞こえた。
「ううん。もとはといえば、私が星の装備をゲットしに行こうと言ったのが悪いんだし……ごめんなさい」
「……えっ? いえ、私が謝ったのは、その……剣を胸の火に刺しちゃった事で……」
エリエが謝ったことに驚き、星は手をぶんぶんと首を左右に振りながら、あたふたしてそう言った。
それを聞いた全員が無言のまま、きょとんとした顔をしている。
「……ふっ。はっはははははははははッ!!」
その直後、マスターの大きな笑い声が部屋中に響いた。その声をかわきりにそこにいた全員が笑い出す。
星はその状況に困惑しながらも恥ずかしくなり、しょんぼりと俯いしまう。
すると、そこにエミルの優しい声が聞こえてきた。
「星ちゃんは何か勘違いしているみたいだけどね。あなたのおかげでボスが最終形態までいったのよ?」
「……最終形態?」
星はその言葉を聞いて不思議そうに首を傾げると、エミルの顔を見上げた。
「そう。もし星ちゃんが剣でウィークポイントの胸の炎を攻撃してなかったら、疲労し切って全滅してたわ。だから謝る事なんて少しもないのよ?」
「……エミルさん!?」
エミルはそう言うと、星の頬にそっと手を当てた。星はそれに驚き、目を丸くさせる。
困惑する星にエミルは優しく微笑みかけると、困惑している星に優しい眼差しで見つめると。
「あなたがいてくれて本当に良かった。私達だけだったら間違いなく全滅していた……良くやったわね星ちゃん。本当に偉いわ……ありがとう星ちゃん」
「……は、はい」
星は心の底から熱い何かが込み上げてきて、気が付いた時には瞳の中が涙でいっぱいになっていた。
エミルが慌てていると、星がエミルの胸に飛び込んでいった。
「うぅ……うわああああああん。エミルさん……」
「……うん。良く頑張ったわね」
星はエミルの胸に顔を埋めると、泣きじゃくっている。エミルはそんな星の頭を優しく撫でた。
それはエミルに言われた『あなたがいてくれて本当に良かった』という言葉が一番大きかった。
今まで星は、自分に自信がなかった。これまで他人にそんな言葉を言われたことがなかった。このダンジョンに来る前も、本当は行きたくないと思っていた。レベルの低い星が行ったところで邪魔にしかならないし、途中から険悪なムードになるのが嫌だったからだ。
現に険悪なムードにはならないまでも、周りに多大な迷惑を掛けていたのは自覚していた。だが、エミルの言葉が『こんな非力な自分でも必要なのだ』ということが分かって、何よりも嬉しかった。
それと同時に、今までの恐怖や努力といった感情が涙となって、一気に吹き出してきたのだ。
エミルの胸で泣き続けていた星だったがしばらく経って、だいぶ少し気持ちが落ち着いてきた。
そこにエリエとデイビッドが話す声が聞こえてくる。
「……エリエ。お前足の方は大丈夫なのか?」
「――えっ? ああ、ボスがいなくなったらなんともなくなっちゃった」
そう言って笑っているエリエを、デイビッドは心配そうに見つめている。
まあ、それも無理はないだろう。元はと言えば、エリエはデイビッドを助ける為に、あのがしゃどくろの炎を受けたのだ。彼が責任を感じるのは当たり前のことだ――。
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