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決戦18
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その時、突如としてがしゃどくろの口が大きく開き赤く光った。
「おいおい。まさかこの状態でもあれを撃てるのかよッ!?」
デイビッドが身構えた直後。横から物凄い衝撃を受け、彼の体はそのまま突き飛ばされた。その直後、赤黒い炎がデイビッドがいた場所を飲み込んだ。
後数秒遅かったら、デイビッドは間違いなく黒焦げにされていたところだった。
「痛った~。危なかったぜ……」
地面に強く体を打ち付けたデイビッドがそう言って横を見ると、エリエが苦痛に顔を歪め、その場に足を押さえて倒れ込んでいた。
「エリエ!? どうしてお前がここに!?」
「うぅ……あぁ……あ、んたが……バカだからに……決まってるでしょ……」
エリエはいつもの様に憎まれ口を叩いてはいるものの。額から尋常じゃない汗を流し、その表情からは余裕を全く感じられない。
両手で足を押さえ苦痛に歪むその顔が、普段の美少女と言われる彼女からはとても想像できないほどに変わってとても痛々しく感じられた。
デイビッドは直ぐ様ヒールストーンを手に、エリエに声を掛ける。
「どこかやられたのか? 見せてみろ!」
「……だ、だい……じょうぶよ……このくらい……アイテムには……かぎりが、あるんだから……それはあんたが……」
「いいから見せろ!!」
彼女の言葉を遮って叫ぶと、必死に足首を手で覆い隠しているエリエの手を避けて、デイビッドは自分の目を疑った。
それもそのはずだ。彼女の足は赤黒く変色していて、とてもエリエの言ったように大丈夫そうには見えない。
現実世界なら、切断する以外にはないと言われるくらいのものだった……おそらく。その痛みも、デイビッドの想像を絶するものだろう。
デイビッドは一先ずエリエを背負うと、この戦場で最も安全なストーンドラゴンの陰の気を失っている星の隣に寝かせ、ヒールストーンとリカバリーストーンを使った。しかし、HPは回復したものの、炎を受け赤黒く変色した足は治らない。
普段ならどんな状態異常でも回復できるリカバリーストーンが効かないことに、彼は不思議そうに首を傾げた。
(どういう事だ……これは異常状態ではないって事か? なら、いったいなんなんだこれは……)
考え込んでいるデイビッドの横で、気を失っていた星が目を覚ます。
「――うぅ……戦いは……?」
頭を押さえながら星が横に顔を向けると、苦しそうに肩で息をしているエリエの姿が目に飛び込んできた。
「エリエさん!? いったい何が……」
まだ意識の混濁があるのか、星は状況が全く飲み込めずに慌てて辺りを見渡す。
そこには壁際で倒れているカレンを抱きながら戦いを見守るマスターの姿。
赤黒い炎のようなオーラを纏ったがしゃどくろの姿。
それと懸命に戦っているサラザの姿。
大きな白いドラゴンの背に乗りながら険しい表情を浮かべているエミルの姿。
そして、横で苦痛に顔を歪ませているエリエとその隣に俯いているデイビッドの姿があった。
「こ……これはいったい……」
星はその光景を見て愕然とした。
あれほど手練れ揃いのPTメンバー達が、がしゃどくろの前ではまるで手も足も出ない。
がしゃどくろのHP残量を考慮しても、初期の半数以上が戦闘不能という現実の中で勝算は全くと言っていいほどないことが、混乱する星の頭でもすぐに理解できた。
その時、星の頭の中には自分が気を失う前の光景が蘇ってくる。自分が剣をがしゃどくろの胸の炎に突き刺し、その大きな手が自分を襲った光景が――。
(そうか……あの時、剣を刺したから……こんな事に……私の……私のせいだ……)
星は徐ろに立ち上がると、のろのろと飛ばされ地面に突き刺さっていた自分の剣の方へと歩いていった。
「……星ちゃん?」
「…………」
その後ろ姿を見てデイビッドが声を掛けたが、しかし、歩いている星からの返答はない。
だが、デイビッドはその先にある地面に刺さったままになっている剣を見て、星の行動の意味を悟ったのか顔が青ざめる。
「君は何をしようとしているんだ!? いいからこっちに戻って来なさい!」
「…………」
「聞こえているんだろ! 戻って来るんだ!!」
無言のまま歩みを止める様子のない星に、デイビッドがなおも強い口調で言った。
しかし、星はその声を無視して剣の柄を握ると地面から引き抜き、デイビッドの方を振り向いてにっこりと微笑んだ。
デイビッドは星が何を言ってるのか分からず。ただただ言葉を失ったまま、彼女の方を見つめている。
「……全部私のせいなので、なんとかしてきます。デイビッドさんは休んでて下さい……」
握った剣の先を天に掲げて胸の前に突き出した星は、無意識に頭の中に浮かび上がってきた言葉を力一杯に叫んだ。
「――ソードマスター!!」
その言葉に反応したように、星の体を中心に周りが金色の光りに包まれた。
この惨劇の中。今まで気を失っていた星には、今までの出来事の一部始終が把握できてはいない。しかし、この現状を引き起こしたのが自分だという思い込みと自責の念だけは人一倍感じていた。
「おいおい。まさかこの状態でもあれを撃てるのかよッ!?」
デイビッドが身構えた直後。横から物凄い衝撃を受け、彼の体はそのまま突き飛ばされた。その直後、赤黒い炎がデイビッドがいた場所を飲み込んだ。
後数秒遅かったら、デイビッドは間違いなく黒焦げにされていたところだった。
「痛った~。危なかったぜ……」
地面に強く体を打ち付けたデイビッドがそう言って横を見ると、エリエが苦痛に顔を歪め、その場に足を押さえて倒れ込んでいた。
「エリエ!? どうしてお前がここに!?」
「うぅ……あぁ……あ、んたが……バカだからに……決まってるでしょ……」
エリエはいつもの様に憎まれ口を叩いてはいるものの。額から尋常じゃない汗を流し、その表情からは余裕を全く感じられない。
両手で足を押さえ苦痛に歪むその顔が、普段の美少女と言われる彼女からはとても想像できないほどに変わってとても痛々しく感じられた。
デイビッドは直ぐ様ヒールストーンを手に、エリエに声を掛ける。
「どこかやられたのか? 見せてみろ!」
「……だ、だい……じょうぶよ……このくらい……アイテムには……かぎりが、あるんだから……それはあんたが……」
「いいから見せろ!!」
彼女の言葉を遮って叫ぶと、必死に足首を手で覆い隠しているエリエの手を避けて、デイビッドは自分の目を疑った。
それもそのはずだ。彼女の足は赤黒く変色していて、とてもエリエの言ったように大丈夫そうには見えない。
現実世界なら、切断する以外にはないと言われるくらいのものだった……おそらく。その痛みも、デイビッドの想像を絶するものだろう。
デイビッドは一先ずエリエを背負うと、この戦場で最も安全なストーンドラゴンの陰の気を失っている星の隣に寝かせ、ヒールストーンとリカバリーストーンを使った。しかし、HPは回復したものの、炎を受け赤黒く変色した足は治らない。
普段ならどんな状態異常でも回復できるリカバリーストーンが効かないことに、彼は不思議そうに首を傾げた。
(どういう事だ……これは異常状態ではないって事か? なら、いったいなんなんだこれは……)
考え込んでいるデイビッドの横で、気を失っていた星が目を覚ます。
「――うぅ……戦いは……?」
頭を押さえながら星が横に顔を向けると、苦しそうに肩で息をしているエリエの姿が目に飛び込んできた。
「エリエさん!? いったい何が……」
まだ意識の混濁があるのか、星は状況が全く飲み込めずに慌てて辺りを見渡す。
そこには壁際で倒れているカレンを抱きながら戦いを見守るマスターの姿。
赤黒い炎のようなオーラを纏ったがしゃどくろの姿。
それと懸命に戦っているサラザの姿。
大きな白いドラゴンの背に乗りながら険しい表情を浮かべているエミルの姿。
そして、横で苦痛に顔を歪ませているエリエとその隣に俯いているデイビッドの姿があった。
「こ……これはいったい……」
星はその光景を見て愕然とした。
あれほど手練れ揃いのPTメンバー達が、がしゃどくろの前ではまるで手も足も出ない。
がしゃどくろのHP残量を考慮しても、初期の半数以上が戦闘不能という現実の中で勝算は全くと言っていいほどないことが、混乱する星の頭でもすぐに理解できた。
その時、星の頭の中には自分が気を失う前の光景が蘇ってくる。自分が剣をがしゃどくろの胸の炎に突き刺し、その大きな手が自分を襲った光景が――。
(そうか……あの時、剣を刺したから……こんな事に……私の……私のせいだ……)
星は徐ろに立ち上がると、のろのろと飛ばされ地面に突き刺さっていた自分の剣の方へと歩いていった。
「……星ちゃん?」
「…………」
その後ろ姿を見てデイビッドが声を掛けたが、しかし、歩いている星からの返答はない。
だが、デイビッドはその先にある地面に刺さったままになっている剣を見て、星の行動の意味を悟ったのか顔が青ざめる。
「君は何をしようとしているんだ!? いいからこっちに戻って来なさい!」
「…………」
「聞こえているんだろ! 戻って来るんだ!!」
無言のまま歩みを止める様子のない星に、デイビッドがなおも強い口調で言った。
しかし、星はその声を無視して剣の柄を握ると地面から引き抜き、デイビッドの方を振り向いてにっこりと微笑んだ。
デイビッドは星が何を言ってるのか分からず。ただただ言葉を失ったまま、彼女の方を見つめている。
「……全部私のせいなので、なんとかしてきます。デイビッドさんは休んでて下さい……」
握った剣の先を天に掲げて胸の前に突き出した星は、無意識に頭の中に浮かび上がってきた言葉を力一杯に叫んだ。
「――ソードマスター!!」
その言葉に反応したように、星の体を中心に周りが金色の光りに包まれた。
この惨劇の中。今まで気を失っていた星には、今までの出来事の一部始終が把握できてはいない。しかし、この現状を引き起こしたのが自分だという思い込みと自責の念だけは人一倍感じていた。
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