90 / 561
決戦6
しおりを挟む
だが、どうしてHPバーが赤いと2万以上だと分かるかというと。
HP――ヒットポイントは、モンスターによってその数値は様々だ。雑魚ならば一撃で撃破でき、ボスなら膨大な時間とリスクを伴う。その中で基準の様なものが、プレイヤー達の長年の努力で大体の数値は予測できるようになっていた。
赤い色=危険とされ、それだけプレイヤーからしたら危険な存在だということを表している。
長きに渡る研鑽で得た情報では、HPは青、緑、黄、赤のゲージ1つ5000に設定されており。赤色を全て減らすと黄色。黄色を減らすと緑…………っと続いていく。
しかし、赤いゲージ以上からは色の変更がない。その為、減らしても減らしても赤いゲージが出てくることだってあるのだ。
紛らわしいので運営側にも改善して欲しいと要望を出した者もいるのだが、その返答は【NO】だった。
おそらく。黄色になるまでの緊張感を楽しんでもらいたいと運営側は考えているのだろうが、プレイしている側としては何時まで経ってもゴールの見えないレースをしているようなものだ。
毎回の運営への要望の中でも『敵のHPバーを改善して欲しい』が、日本サーバーのランキングのトップ5に必ず入っているほどだった。
「皆、配置につけ! ゆくぞッ!!」
メンバーはマスターの声に『了解』と叫ぶと、事前の作戦通りに前衛2後衛1のフォーメーションを取る。
星もエリエ、カレンと共に後方へ下がり剣を構えている。
(マスターさんの作戦は――まず、マスターさんとエミルさんが敵を引きつけ攻撃する。その後、HPの残りが半分を下回ったら第二前衛のサラザさんとデイビッドさんが入れ替わって攻撃。その繰り返し……。そして私達の仕事は下がって来た人達へのHPの回復。これは完璧な作戦です!)
星は勝てるという自信に満ち溢れた表情で左手をぎゅっと握った。
だが、星のその考えでは約20%程度しかこの作戦の意図は図りきれていない。
マスターが何故前衛ニ後衛一の3つに分けたのか、そこには明確な意図があった。
普段ならHP残量を気にせずに殴り続けることが可能だ。それはダンジョン開始時に同じPTのメンバーが全滅していなければ、街の教会での復活後【現地に戻る】というコマンドが現れ、すぐにその場所に戻って来れる仕様になっていた。
しかし、今の状況ではそれは不可能に近い。何故なら、死んでもいいのか分からないこの状況で『死ぬ』ということは非常にリスクが高く危険だからだ。その為、死なないことが前提の戦闘を想定しなければならなかった。
普通なら前衛と後衛の2つに分けて後衛は回復に専念し『前衛は殴り続けた方が良いのではないか?』『どうしてダメージが分散するような非効率的な事をしているのか?』という考えが出ると思う。
確かに前衛と後衛2つに分けた方が回転率がいい。ヘイトをコントロールする為、ボスは一人に集中して攻撃する。後は周囲からヘイトを取っているプレイヤーのダメージを超えない程度でタコ殴りにすれば問題ない。だが、そこに1つ部隊を増やすだけで、ダメージを与えるという上での回転率は著しく低下してしまう。
しかし、それは通常時の作戦だ――ということだ。先にも言ったように、今のフリーダムは異常な状況下にあり。ログアウトとボス部屋の前に設置してあるはずの帰還用ワープゾーンの消失。
更にゲーム内での死が現実世界の死に繋がるという異常に異常が重なるという。まさに異常事態のミルフィーユを作り出している状況だ。
マスターはそれを理解しているからこそ。まず、この作戦は死者を出さないことを第一に考えているのだろう。
前衛1のマスターとエミルという組み合わせは、手数の多いマスターがヘイトを稼ぎボスの注意を引き、管理し続けることでエミルは攻撃に集中できる。
この2人は特殊な固有スキルの持ち主で、マスターはスキル発動中。様々なスキルを交互に発動できるのが利点だが、最大の欠点である回復のアイテムが使用ができなくなる制約でヒールストーンは使用できない。そして、エミルの固有スキルは所有しているドラゴンの召喚と自身の肉体を強化するものではない。
前衛2のサラザとデイビッドだが、こちらは両者とも固有スキルの使用ができる。
中でもサラザの固有スキル『ビルドアップ』は体から金色のオーラを発生させ、使用者の戦闘経験により。全ステータスが大幅に上がる上に、制限時間もなく強力なスキルだ。
デイビッドの固有スキル『背水の陣』も自身のHP残量によって攻撃力と防御力を大幅に上昇させる。これもまた、使用時間に制限はないく強力なスキルと言えるだろう。
HP――ヒットポイントは、モンスターによってその数値は様々だ。雑魚ならば一撃で撃破でき、ボスなら膨大な時間とリスクを伴う。その中で基準の様なものが、プレイヤー達の長年の努力で大体の数値は予測できるようになっていた。
赤い色=危険とされ、それだけプレイヤーからしたら危険な存在だということを表している。
長きに渡る研鑽で得た情報では、HPは青、緑、黄、赤のゲージ1つ5000に設定されており。赤色を全て減らすと黄色。黄色を減らすと緑…………っと続いていく。
しかし、赤いゲージ以上からは色の変更がない。その為、減らしても減らしても赤いゲージが出てくることだってあるのだ。
紛らわしいので運営側にも改善して欲しいと要望を出した者もいるのだが、その返答は【NO】だった。
おそらく。黄色になるまでの緊張感を楽しんでもらいたいと運営側は考えているのだろうが、プレイしている側としては何時まで経ってもゴールの見えないレースをしているようなものだ。
毎回の運営への要望の中でも『敵のHPバーを改善して欲しい』が、日本サーバーのランキングのトップ5に必ず入っているほどだった。
「皆、配置につけ! ゆくぞッ!!」
メンバーはマスターの声に『了解』と叫ぶと、事前の作戦通りに前衛2後衛1のフォーメーションを取る。
星もエリエ、カレンと共に後方へ下がり剣を構えている。
(マスターさんの作戦は――まず、マスターさんとエミルさんが敵を引きつけ攻撃する。その後、HPの残りが半分を下回ったら第二前衛のサラザさんとデイビッドさんが入れ替わって攻撃。その繰り返し……。そして私達の仕事は下がって来た人達へのHPの回復。これは完璧な作戦です!)
星は勝てるという自信に満ち溢れた表情で左手をぎゅっと握った。
だが、星のその考えでは約20%程度しかこの作戦の意図は図りきれていない。
マスターが何故前衛ニ後衛一の3つに分けたのか、そこには明確な意図があった。
普段ならHP残量を気にせずに殴り続けることが可能だ。それはダンジョン開始時に同じPTのメンバーが全滅していなければ、街の教会での復活後【現地に戻る】というコマンドが現れ、すぐにその場所に戻って来れる仕様になっていた。
しかし、今の状況ではそれは不可能に近い。何故なら、死んでもいいのか分からないこの状況で『死ぬ』ということは非常にリスクが高く危険だからだ。その為、死なないことが前提の戦闘を想定しなければならなかった。
普通なら前衛と後衛の2つに分けて後衛は回復に専念し『前衛は殴り続けた方が良いのではないか?』『どうしてダメージが分散するような非効率的な事をしているのか?』という考えが出ると思う。
確かに前衛と後衛2つに分けた方が回転率がいい。ヘイトをコントロールする為、ボスは一人に集中して攻撃する。後は周囲からヘイトを取っているプレイヤーのダメージを超えない程度でタコ殴りにすれば問題ない。だが、そこに1つ部隊を増やすだけで、ダメージを与えるという上での回転率は著しく低下してしまう。
しかし、それは通常時の作戦だ――ということだ。先にも言ったように、今のフリーダムは異常な状況下にあり。ログアウトとボス部屋の前に設置してあるはずの帰還用ワープゾーンの消失。
更にゲーム内での死が現実世界の死に繋がるという異常に異常が重なるという。まさに異常事態のミルフィーユを作り出している状況だ。
マスターはそれを理解しているからこそ。まず、この作戦は死者を出さないことを第一に考えているのだろう。
前衛1のマスターとエミルという組み合わせは、手数の多いマスターがヘイトを稼ぎボスの注意を引き、管理し続けることでエミルは攻撃に集中できる。
この2人は特殊な固有スキルの持ち主で、マスターはスキル発動中。様々なスキルを交互に発動できるのが利点だが、最大の欠点である回復のアイテムが使用ができなくなる制約でヒールストーンは使用できない。そして、エミルの固有スキルは所有しているドラゴンの召喚と自身の肉体を強化するものではない。
前衛2のサラザとデイビッドだが、こちらは両者とも固有スキルの使用ができる。
中でもサラザの固有スキル『ビルドアップ』は体から金色のオーラを発生させ、使用者の戦闘経験により。全ステータスが大幅に上がる上に、制限時間もなく強力なスキルだ。
デイビッドの固有スキル『背水の陣』も自身のHP残量によって攻撃力と防御力を大幅に上昇させる。これもまた、使用時間に制限はないく強力なスキルと言えるだろう。
10
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる