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再会6

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 星は大事にならないかと、2人のやり取りをはらはらしながら見守っている。それに引き換え、エミルは至って冷静な様子でエリエに尋ねた。

「それで、エリー? その解決法っていうのは……?」
「あっ、そうだった」

 エミルに尋ねられたエリエは思い出したようにコマンドを操作し始める。すると、突然エリエの服が消え、彼女のレース付きのピンク色の下着が露わになる。

 そのあられもない姿に、周りにいた全員が驚愕した。

「あっ…………」
「……えっ? えぇっ!?」
「ちょっ! ちょっと、エリー!!」

 星は困惑しながらも慌てて両手で顔を覆う。
 突然下着姿になったエリエにエミルも声を荒げた。エリエは慌ててコマンドを操作すると、ピンク色のパジャマ姿へと変わる。

 その後、エリエは茶目っ気いっぱいに舌を出し「あははっ。失敗、失敗」と笑い飛ばすと、さっきまで着ていた服をエミルに差し出した。

「とりあえず。エミル姉、これを装備してみてよ!」
「もう。装備を外す時は気を付けないとダメでしょ? 誰に見られてるかわからないんだからね!」

 呆れ顔で告げるエミルにエリエは口を尖らせる。

「分かってるよ~。別にエミル姉と星しかいないんだからいいでしょ?」

 注意されたエリエは頬を膨らましてそう言った。反省しているのかしていないのか、とにかく不服そうな顔のエリエの言葉に小さく「俺も居るんだが……」というデイビッドの言葉がスルーされたのは言うまでもない。

 反省する様子もないエリエを見て、呆れながら大きなため息をついたエミルが彼女から服を受け取り装備してみる。
 エリエの服を装備したエミルの姿に、星は思わず「うわぁ~。きれい……」と声を漏らした。

 普段の銀色の鎧を身にまとっているエミルも素敵だが、エリエの白い布地にピンク色のフリルのあしらわれたドレスの様な可愛らしい服を着ると、普段凛々しい姿の彼女からは想像も出来ない可愛らしさを感じる。

 だが、それがエミルの長く透き通るような青い髪が白とピンクの服と相まって、どこかの国のお姫様のように見えた。
 まあ、普段からファンタジー小説を読んで空想の世界にどっぷり浸かっている星にとって、その光景はまるで、物語のワンシーンを見ている様だったに違いない。

 瞳をキラキラと輝かせながらエミルを見つめている星とは対照的に、エミルは普段通り冷静に装備のステータスを確認している。

「こ、これは……」

 驚いた様子で自分のステータス画面を見ている彼女に、エリエがにこにこと微笑んでいる。

 エミルの反応が彼女の予想通りのもので、本人も納得しているのだろう。

「ちょっと、エリー。これはどうなってるの!?」
「おっ、エミル姉気付いた? これはまだ多分、私しか気が付いてないと思うよ~」

 エミルは困惑した様子でそう尋ねると、エリエは更に楽しそうに笑みを浮かべながらその顔を見つめた。

「服を装備していてHPが増えるなんて……自分で見ているものが信じられない。いったいどうやったの?」
「そんなの簡単だよ。アイテムを使って鎧と服を合成させたの。実はダンジョンの中に隠し通路があってね、それをクリアすると――なんと! トレジャーアイテムをゲットできるんだよ!」
「そんなところがあったなんて……それで、そこはどこのダンジョンなの?」

 エミルは至って冷静にそう尋ねると、エミルの反応が彼女の思っていたものとは違かったのだろう。

 冷静に聞き返したエミルに、エリエは不服そう頬を膨らましてそっぽを向いてしまう。
 その様子にエミルはエリエの頭を優しく撫でると「よく見つけたわね。さすがエリーね。えらいえらい」と褒め倒す。

 それはまるで、拗ねた犬を飼い主がなだめる姿に似ていた。

 デイビッドはそれを見て「そんな子供騙しでエリエの機嫌が直る訳がない」と呟いてエリエの方を見る。すると、エリエはパァーっと表情を明るくさせ上機嫌で話し始めた。

「そうでしょ、そうでしょ! 頑張ったんだから!!」
「うん! えらいえらい。それで、どこのダンジョンで見つけたのかしら?」
「――もう。しかたないなぁ~。今日だけ特別だよ? 実はね――富士の遺産のダンジョンでゲットしたんだ~」

 自慢げにそう告げると、また褒めてもらいたそうに目を輝かせている。

 エミルはその意図を汲み取ってエリエの頭を撫でると、顎の下に手を当て考え込んだ。

 ダンジョン【富士の遺産】は日本の富士山の『かぐや姫伝説』から作られたダンジョンだったが、難易度は高いものの。それほど良い報酬が得られない為、行く者も極端に少ない不人気ダンジョンだった。

 本来はトレジャーアイテムの様な貴重なアイテムが出るような場所ではない。だが、エリエの装備がそのトレジャーアイテムを使用して作られたとすれば、今の星の防具の問題を手っ取り早く解決できる方法は他にはない。それだけで、そのダンジョンをクリアする目的としては十分なのだが……。

「でも、この人数じゃ少し不安ね……」

 エミルは眉をひそめ、そう呟くと辺りを見渡した。
 そう。自分を含めても今の人数は4人――その中で戦力になるのが星を除いた3人。それは、フルパーティーの6人の丁度半分の戦力しかない。

 しかも【富士の遺産】のダンジョンのランクは『マスターランク』最低でも、レベル100のフルパーティーが10組以上は必要なクラスだ――。
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