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初めてのVRMMO2
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2人は街の噴水近くのベンチに腰を下ろしながら、しばらくの間少女に慰められ、やっと星は落ち着きを取り戻した。
そして、星がどうして泣いていたのか、その理由を聞いた途端。今まで優しい笑顔を浮かべていた少女が、急に顔を真っ赤にして怒り出す。
「――なにそれ! それは間違いなく向こうが悪いわ!」
「いえ、でも……私からぶつかっちゃったので……」
腕で涙を拭う星を覗き込む様に、少女が顔を近付ける。
その美しい青い瞳を細め、小首を傾げた彼女は視線を逸らす星に尋ねた。
「あなた。ほんとにそう思ってる?」
「えっ? は、はい……」
「はぁ……そうね。初めてじゃ、そう思うのも無理もないか……」
少女はため息をついてそう呟くと、自分の膝の上に手を置いてゆっくりと話し始める。
「――いい? このゲームでエルフは、3種族内で最もスピードが速い種族なの。多分向こうからは、レベル差もあるからあなたの動きなんて、きっと止まって見えていたはずよ?」
「……えっ? でもぶつかって……」
彼女は呆れ顔でため息を漏らすと、こめかみの辺りを押さえた。
「はぁ……だから、向こうはわざとあなたにぶつからせたの! よく居るのよね。初心者プレイヤーを虐めて喜んでるやからが……」
その話を聞いた星は、しょんぼりと肩を落としただただ地面を見つめる。
落ち込んだ様子の星を見て、少女が声を上げた。
「――そうだ! 今から私が戦い方を教えてあげる!」
「……えっ?」
「もちろん。あなたが良ければの話だけど、どうかしら?」
「は、はい! よろしくお願いします!」
星は嬉しそうに頷くと、彼女のその申し出を快く受け入れた。
正直。ゲーム自体初心者で右も左も分からない星にとって、彼女の申し出は願ってもないものだった。しかし、VRMMOという現実世界と類似して肉体を動かすこのゲームでは、ゲーム自体が初心者の星には優しいとはとても言えない。だが、戦闘を覚えておくのは、今後の為にも有意義なものになるだろう。
街を出た2人は【始まりの草原】という見渡す限り、木なども全くない大草原へとやってきた。
草原には多数のLv1と表示されたこの世界最弱モンスターのラットが、草原を我が物顔で歩き回っている。
その中には初心者のプレイヤーも複数居るようだが、間隔も十分に空いているので邪魔にはならなそうだ――。
隣に立っていた少女が、ゆっくりと星の方を向く。
「そういえば、あなたVRMMO系の戦闘は初めて?」
「は、はい……」
悠々と歩くラットを見て肩を強張らせながら、緊張した様子で返事をする星の姿を見るなり少女は「ぷっ」と息を漏らした。
「あんなラットくらいで緊張してたら、先が思いやられるわよ? ほら、肩の力を抜いて……同じレベルなんだし。油断しなければやられないから、安心していいわよ?」
「……は、はい」
何度か深呼吸をしたものの。それでも緊張した様子で頷く星に、少女は軽く咳払いをしてゲームの説明を始める。
「このゲームの特徴は武器や攻撃なんかのスキルがないところなの。あっ、ないと言うか……まあ、あるにはあるんだけど、今は使わないから。まずはHPバーの説明だけど……多分、目に見えるところに青い円の中に数字が書いてあるでしょ?」
「はい。15って出てます」
「うん。それがヒットポイントね! でも、無くなっても近くの街の教会に送られるだけで、本当に死ぬわけじゃないから安心して」
「そうなんですね。良かったぁ……」
それを聞いた星はほっと胸を撫で下ろすと、息を大きく吐いた。
安心しきって完全に緊張を解いた顔になっている星の目の前に、少女の人差し指が突き出され。
「でも、死ぬと実際に死ぬほどではないにしても、凄く痛いから覚悟して戦うように!」
少女は真面目な顔で注意する。
一度は全身から抜けた力が緊張と恐怖から全身に再び力が入り、星は強張った全身を小刻みに震わせている。
その時、この世界にきて初めて起きた出来事が星の頭の中を駆け巡る。
(やっぱり痛いんだ……)
ゲーム世界にきてからバラの花を持った時、転んだ時、どちらも痛みがあった。
そうなのだろうとは予想をしていたものの。あらためて痛みがあると聞くと、やはり物怖じしてしまう……。
そして、星がどうして泣いていたのか、その理由を聞いた途端。今まで優しい笑顔を浮かべていた少女が、急に顔を真っ赤にして怒り出す。
「――なにそれ! それは間違いなく向こうが悪いわ!」
「いえ、でも……私からぶつかっちゃったので……」
腕で涙を拭う星を覗き込む様に、少女が顔を近付ける。
その美しい青い瞳を細め、小首を傾げた彼女は視線を逸らす星に尋ねた。
「あなた。ほんとにそう思ってる?」
「えっ? は、はい……」
「はぁ……そうね。初めてじゃ、そう思うのも無理もないか……」
少女はため息をついてそう呟くと、自分の膝の上に手を置いてゆっくりと話し始める。
「――いい? このゲームでエルフは、3種族内で最もスピードが速い種族なの。多分向こうからは、レベル差もあるからあなたの動きなんて、きっと止まって見えていたはずよ?」
「……えっ? でもぶつかって……」
彼女は呆れ顔でため息を漏らすと、こめかみの辺りを押さえた。
「はぁ……だから、向こうはわざとあなたにぶつからせたの! よく居るのよね。初心者プレイヤーを虐めて喜んでるやからが……」
その話を聞いた星は、しょんぼりと肩を落としただただ地面を見つめる。
落ち込んだ様子の星を見て、少女が声を上げた。
「――そうだ! 今から私が戦い方を教えてあげる!」
「……えっ?」
「もちろん。あなたが良ければの話だけど、どうかしら?」
「は、はい! よろしくお願いします!」
星は嬉しそうに頷くと、彼女のその申し出を快く受け入れた。
正直。ゲーム自体初心者で右も左も分からない星にとって、彼女の申し出は願ってもないものだった。しかし、VRMMOという現実世界と類似して肉体を動かすこのゲームでは、ゲーム自体が初心者の星には優しいとはとても言えない。だが、戦闘を覚えておくのは、今後の為にも有意義なものになるだろう。
街を出た2人は【始まりの草原】という見渡す限り、木なども全くない大草原へとやってきた。
草原には多数のLv1と表示されたこの世界最弱モンスターのラットが、草原を我が物顔で歩き回っている。
その中には初心者のプレイヤーも複数居るようだが、間隔も十分に空いているので邪魔にはならなそうだ――。
隣に立っていた少女が、ゆっくりと星の方を向く。
「そういえば、あなたVRMMO系の戦闘は初めて?」
「は、はい……」
悠々と歩くラットを見て肩を強張らせながら、緊張した様子で返事をする星の姿を見るなり少女は「ぷっ」と息を漏らした。
「あんなラットくらいで緊張してたら、先が思いやられるわよ? ほら、肩の力を抜いて……同じレベルなんだし。油断しなければやられないから、安心していいわよ?」
「……は、はい」
何度か深呼吸をしたものの。それでも緊張した様子で頷く星に、少女は軽く咳払いをしてゲームの説明を始める。
「このゲームの特徴は武器や攻撃なんかのスキルがないところなの。あっ、ないと言うか……まあ、あるにはあるんだけど、今は使わないから。まずはHPバーの説明だけど……多分、目に見えるところに青い円の中に数字が書いてあるでしょ?」
「はい。15って出てます」
「うん。それがヒットポイントね! でも、無くなっても近くの街の教会に送られるだけで、本当に死ぬわけじゃないから安心して」
「そうなんですね。良かったぁ……」
それを聞いた星はほっと胸を撫で下ろすと、息を大きく吐いた。
安心しきって完全に緊張を解いた顔になっている星の目の前に、少女の人差し指が突き出され。
「でも、死ぬと実際に死ぬほどではないにしても、凄く痛いから覚悟して戦うように!」
少女は真面目な顔で注意する。
一度は全身から抜けた力が緊張と恐怖から全身に再び力が入り、星は強張った全身を小刻みに震わせている。
その時、この世界にきて初めて起きた出来事が星の頭の中を駆け巡る。
(やっぱり痛いんだ……)
ゲーム世界にきてからバラの花を持った時、転んだ時、どちらも痛みがあった。
そうなのだろうとは予想をしていたものの。あらためて痛みがあると聞くと、やはり物怖じしてしまう……。
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