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七天神グリモワール

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 目的の大蠍の素材をゲットして森を出ると、俺はドワーフの地底都市に戻る前に王国に戻る事にした。

 疲労しているという事もあるが、すでに辺りは暗くなってきていたし、眷族の少女達も魔法を多用して魔力を消耗している。

 魔力の補給と水竜族の生き残りの人達の生活の世話もしなければならないだろう。

「一度、王国に戻る。アクアの街の皆の事も気掛かりだしな」
「ベイル。ありがとう!」

 そう言った俺にアクアは嬉しそうに抱き付いてくる。

 アクアの豊満な胸が俺に当たっている。どうにもアクアの距離感がバグっている気がする。

 柔らかい胸の感触に俺は表情を緩ませていると、悲しそうな表情をしているスイレンの横にいたツバキが俺に殺気を向けていた。

 俺を視線だけで殺しそうな勢いだ。

 慌ててアクアから離れた俺はツバキにぎこちない笑顔を向ける。

 すると、ツバキは満面の笑みを浮かべた。その笑みが逆に怖い……

 俺が苦笑いを浮かべている間にも眷族の少女達は俺の側に集まってきた。

「ベイル様。それじゃワープを使いますね!」

 リアラはそう言って手を前に突き出すと異次元の空間が開く。

 俺達がそれに入ろうとした時、紫色の光の柱がスピルとアクアの足元から立ち上がり彼女達の姿が消えた。

「……スピルお姉ちゃん?」

 近くに立っていたルイが急に消えたスピルの姿を探しながら不思議そうに首を傾げる。

「ルイちゃんは私の近くに来て!」

 リアラはルイの体を抱き寄せると辺りを警戒するようにきょろきょろと見た。

「スピルちゃんとアクアちゃんが消えた!!」

 セリアが目の前で消えたスピルとアクアに驚いて目を丸くしている。

「ご主人様! これは敵襲です!」

 レヴィはすぐにトライデントを装備しなおして構えた。

「姫様! お側にいて下さい!」
「……殿はわたしがお守りします」

 薙刀を持ったスイレンが俺の側に走って来ると、ツバキも彼女の横で長刀を構えた。

 その時、空中に突然一人の魔族が現れる。

 コウモリのような翼に金髪赤眼に丸眼鏡をした華奢な男だ。

 その人物は眼鏡をくいくいと動かして知的そうな素振りを見せている。

「……私は七天神の一人。知恵のグリモワールです。魔王様の命により反乱分子に成り得る賊どもを討伐していたところ。まさか、魔王様に土を付けた無礼者に出会うとは……光栄です」

 丁寧な喋り方とは裏腹に空中から見下ろすその瞳は鋭く冷たい。

 グリモワールは俺達を興味深そうに観察すると、小さく鼻で笑った。

「……くッ!!」

 その態度にツバキが眉間にしわをよせて激怒する。
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