二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族（ハーレム）を増やす〜

セリアとの婚姻の儀３

　しばらく無言のまま、その場に二人で立っていると、スイレンが少し言いにくそうに口を開く。

「……殿。御守りできずに申し訳ありませんでした」
「いや、俺こそすまなかった。守ってやるって言ったのに不甲斐ない姿を見せてしまったな……」

　謝るスイレンに俺は逆に頭を下げた。

　それを見たスイレンは慌てた様子で頭を激しく横に振った。

「やめて下さい殿！　私が弱いのがいけないんです。殿に謝られる事なんて何もありません！」
「……いや、でもなぁ」

　いつもなら絶対に見せないスイレンのあたふたしている姿を見ている俺も困ってしまっていると、そこにツバキがやってきた。

「いいんですよスイレン様。この男は謝らせないと……」
「ツバキ？」

　スイレンがツバキに首を傾げる。

　俺もツバキの方を振り向く。

「ツバキか。ツバキもすまなかったな……もう体は大丈夫か？」
「大丈夫か？　じゃないわよ。私達よりあんたでしょそれは！　何日も気を失ってたのは自分の方なんだから。まったく、私達への魔力の補給だってあるのに……まあ、あんたのコピーだからいいけど……」

　ツバキはいつものようにツンケンしながらそういうと頬を赤く染めている。

「……それで？　あ、あんたは大丈夫なの？」

　頬を赤く染めながら視線を逸らしながら聞いた。

「ああ、俺も大丈夫だ。本当にすまなかったな。ツバキもスイレンも」
「いえ、私こそ……」
「そうよ！　あんたはいい加減に反省してよね！　スイレン様がいるのに他の女の子ばかり引っ掛けてきて、結婚式までして……スイレン様の気持ちも少しは考えなさいよ！」
「ツバキ！」
「本当の事じゃないですか！　スイレン様はもっと怒った方がいいんですよ！」

　ツバキにスイレンに怒っていると、スイレンも少し複雑そうな顔をしている。

　チラッと俺を見たその瞳は悲しそうに見えた。

　スイレンも妾や側室の存在は仕方ないと思っているが、それはスイレンが諦めているだけで自分だけを見てほしいと考えている。

　胸も他の子に比べれば慎ましく、スイレンは女性の肉体的な魅力ではなく献身的で男性を支える健気さでアピールするしかない。それもいつまでも続けられるか分からないし、俺の気持ちが他の子に移ってしまえば子供も出来ないかもしれない。そうなれば、父親や国の為に役に立つ事は出来ない。役割を果たせなければスイレンには存在価値はない……そういう環境で生きてきた彼女は不安なのだろう。