二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族（ハーレム）を増やす〜

魔王襲来５

　少年はゆっくりと歩いて行くと崩壊した瓦礫の中からスピルは立ち上がるが、槍を杖にしてやっと立っている状態だ。

「はぁ……はぁ……ま、まだ……」

　足が震える中で何とか立っているスピルに少年は剣を振り上げる。

　目には光がなく気力だけで立っている状態で、今のスピルには攻撃をかわせる余裕はない。

「やめろおおおおおおおおおお！！」

　俺はスピルが殺されると分かって立ち上がり、剣を構えて少年に向かって行く。

　少年は剣で受け止めたが俺が動けないと甘く見ていたからか、軽々と吹き飛ばされた。

「はぁ……はぁ……お父様。お母様……ベイル様……ごめん……なさい……」

　俺は力なく倒れるスピルを受け止めると地面に寝かせる。

「俺がしっかりしていれば……すまないスピル。ゆっくり休んでいろ……」

　スピルを地面に寝かせてゆっくりと立ち上がると、俺は少年に殺意のこもった目を向ける。

　少年は剣を構えて笑う。

「ほう？ まだ、そんな目が出来るか……だが、貴様はここで死ぬ。それは変わらん」

　俺は剣を握り締めると少年に向かって行く。

　少年は俺の剣を弾くとすぐに俺の腹に剣を振り抜く。

　しかし、その剣は俺に届く事はなかった。

　俺はすぐに少年から距離を取ると剣を構えて少年を睨む。

　少年は自分の見て笑うと剣を地面に突き刺す。

　両手を前に突き出した少年はニヤリと笑って言う。

「剣技は大したものだが……魔法はどうかな？」

　少年の両手から黒い炎が噴き出す。その炎は徐々に形を成していき、巨大なドラゴンの姿に変わって俺に向かって来る。

　俺は剣を構えて巨大な黒い炎の竜を迎え撃つ。

　黒い炎の竜と剣がぶつかり激しい火花を散らす。

「くっ……うおぉぉおおおおおおおおおお！！」

　俺は歯を噛み締めて剣を振り下ろし、巨大な黒い炎を真っ二つに切り裂いた。

　切り裂かれた黒い炎は左右に分かれて遠くの山を消し飛ばした。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

　俺は息を切らしながら少年を睨む。

　少年は不敵に笑うと地面に刺した剣を抜いて俺に向かって来る。

　剣を振り下ろして来る少年の攻撃を防ぎ鍔迫り合いになる。ギリギリと火花と金属音が周囲に響く。

「我の魔法を切り裂くとはやるな！　これほどの者は初めてだ！」

　少年は剣を振り払って俺を吹き飛ばす。俺は地面を転がりながら受け身を取ってすぐに立ち上がると少年は笑いながら俺に向かって来る。

　俺は剣を握り締めて向かい撃つが少年は俺の攻撃を軽々と受け止めて剣を振り払って吹き飛ばす。