二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族（ハーレム）を増やす〜

ハーフのメイドの少女３

　少女は表情を和らげると安心した様子で話し始める。

「この国の王様はハーフでも人権を認めています。ですが、実際には奴隷商がハーフの子を騙して攫い別の国に売り飛ばしたりしています。それに迫害が完全に無いわけではありません。ハーフは半分でも魔族……魔族を恐れるあまり、ハーフというだけで魔法の力もない少女に乱暴や劣悪な環境でタダ同然な仕事だけを与え仕事の過酷さ故に飢えて死ぬ者も少なくありません」

　少女の悲しそうな表情を見ていると、彼女達がどれだけ辛い思いをして生きてきたのかが分かる。

　まあ、そういう世界なのだから仕方ないと言えば仕方ない。

　人は生まれながらにして平等ではない。平等とは責任だ……生きる責任を個人が背負わなければならない。死ねば自分の責任。生活環境が悪いのは稼げない自分の責任。生まれた人種、階級、地方か首都かで必ず格差や弊害が生まれる。

　しかし、生きるのは平等なのだ。生きる上で命は一つしかない。

　奴隷はあくまで商品。商品で金を使うからこそ売る側も買う側も最低限の配慮はする。

　だが、社会システムから排除された下の階級に生まれた者は放置され生きる為には泥水をすすり残飯を漁る。それが平等で公平な社会の真実だ……

　この子もその被害者らしく、魔族と人間のハーフで戦争後に奴隷として売られていたのを国王が見つけて保護したらしい。

　それから、ここで使用人としての教育を受けたらしい。

　少女は掃除を終えて昼食を運んで来る。食事はパンに野菜や肉などを挟んだものだ。まあ、地球で言うところのサンドイッチだ。

　昼食を食べ終えると、テーブルに座っている眷族の少女達と話を始めた。

　テーブルにはリアラ、ニール、レヴィ、スイレン、ツバキがいた。

　スピルは屋敷でルイの面倒を見ているので、今回は外れてもらっている。

「さて、国王と話するのはまだ時間が掛かるだろうが。でも、この国から依頼されてるからには勇者を助けるのは決まっているだろ？　俺は正直、あまり今回の件で注目を集めたくない。面倒事はごめんだ……俺達は人間に肩入れしたくないからな」

　俺がそういうとニールも静かに頷いて口を開く。

「ベイル殿の言う通りですね……この国に呼ばれた以上は勇者達の尻拭いはしなければならない。が、我々だけでやるわけにはいかない……勇者達に手柄を全て持ってもらわないといけませんな」

　ニールの言葉に俺は頷く。

　人間の社会の中ではただの冒険者でしかない。

　国王の親書という武器はあってもそれは所詮紙切れ一枚に過ぎない。

　それでも、あくまで俺達は人間に協力して資金や戦力を吸い上げる為に協力している。まあ、敵の敵は味方という事だ……

　俺は口を開いて言った。

「俺達はただ恩を売っておけばいい。人間にも勇者にも……な」

　その言葉に皆が頷いた。

　俺達が会話をしていると、ノックの音が響き兵士が入ってくる。

「お待ちして申し訳ありません。王様の準備が出来ました。謁見の間に案内致します」

　その兵士は伝言を伝えてきたので俺達は兵士に連れられ王との謁見の間に向かった。