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報告
しおりを挟むワープで洋館の自室に戻ると、そこにはリアラが待っていた。
「ベイル様、おかえりなさい。随分と遅かったですね」
「ああ、なんか成り行きで同盟を取り付けてきた」
俺がそう言うと、リアラは驚いたような顔を見せる。
「えっ!? 同盟って国とですか!?」
俺は苦笑いを浮かべながら頷くと、リアラも何となく理由を察したのか、それ以上は何も聞いてこなかった。
「食事はどうなさいますか? フランさんの部下の人達が作ってくれたのが残っていますけど……」
「いや、食事は向こうで食べてきた。レヴィとニールも同じだ。それに、朝には向こうに一度は戻らないといけない」
リアラは少し残念そうな顔をしたが、すぐにいつも通りの彼女に戻った。
「リアラ。悪いが、大事な話があるからみんなを食堂に呼んでおいてもらえるか?」
俺がリアラに皆を集めるように頼むと、彼女は真面目な顔で頷いて急いで皆を集める為に走って行った。
そんな彼女を見送ると、一度レヴィとニールを呼びにワープで次元の狭間に入って行った。
皆を集めて食堂に集まった俺達だったが、その空気は少しピリピリとして重苦しいものだった。
リアラ、ルイ、レヴィ、スピル、ニールに加え。フランと部下のアン、ドゥ、トロワ、カトル、サンク、スィス。
全員の視線が俺に向いていた。
「夜遅くに集まってもらってすまない。実はお前達に頼みたい事がある」
俺のその言葉に全員が更に真剣な面持ちに変わる。
「……近々、ある街で魔王軍の侵攻に備えて義勇兵を募集するらしい。そこで俺はその義勇軍に参加する事にした。今回は俺と一緒に参加する者を選ぼうと思うのだが、皆の意見を聞きたい」
俺がそう言うと真っ先に手を上げたのはスピルだった。
「ベイル様。私を連れて行って下さい!」
確かに両親を魔王軍に殺されたスピルが今回の作戦に参加したいのは当たり前だ。
だが、魔王軍は側近の魔王の七天神は出してこないだろう。せいぜい出してきても一人か二人。
まあ、最初から激戦にはならないだろうから、スピルとニールが復讐に囚われるあまりに我を忘れてしまわないかを確認する上でも、二人には参加してもらう予定だった。
それはスピルとニールも同じらしく、2人のその瞳からは強い意志を感じる。
スピルに負けまいと他にもほぼ全員が手を上げる。やはり俺と共に戦いたいという者ばかりだ。
ただ、リアラだけは黙って俯いたまま何も言わず、その表情は暗く沈んでいた。
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