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江戸の城主2
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年齢は50代半ばといったところで、顔立ちは整っているが、どこか冷たい印象を受ける。
俺がじっと見つめると、彼は俺の方を真っ直ぐに見つめていた。
「しかし! 殿。この者は森を抜けて来ました。ここ数百年間決して破られた事のないあの森を! 得体の知れない者を城内に入れるわけには参りません!」
兵士は必死になってその男に訴えかけるが、男は全く動じていない様子だ。
冷静な口調で淡々と告げる。
「ならばその数百年ぶりにこの森を抜けた得体の知れない者がこの城一つ落とせぬわけがあるまい。そうせぬという事は、理由があるからだ。善悪は儂が見定める! 客人を通せ!」
「は、はい!」
その言葉には有無を言わせない何かがあった。
この男は一瞬で俺の力量を推し量り判断した。出来る奴だ。それに、あの眼差し……面白い。
俺は自然とあの男に興味を抱いていた。
甲冑を着た兵士達は渋々、門の前に立つ俺を開門して中へと通した。
俺は堂々と歩いて城内に入ると、二人の着物を着たピンク色の髪の少女達が深々と頭を下げた。
「お館様がお待ちです」
「父上に言われて参りました。どうぞ中へとお入り下さい」
案内されるがままに連れて行かれた。
最上階の襖を開けると、畳を一面に敷かれた。目の前の座布団に座るよう促されて腰掛けると、先程の男が一段高くなった場所で胡座を掻いて座っている。
「儂は面倒な事は嫌いだ。君の目的を聞かせてくれ」
「俺達は魔王の討伐を考えている。その為に敵の情報が欲しい……知っている事を教えてくれないか?」
「ほう……歴代最強と言われている魔王に勝てると?」
男の心の内を見透かすような瞳に、俺は臆する事なく答える。
「勝てなければ挑みはしないさ……」
そう言った俺の瞳を覗き込んだ男は、その言葉に嘘はないと分かりフッと笑みを浮かべた。
「いいだろう! 儂はお前が気に入った! この江戸は全面的にお前に協力しよう! スイレン!!」
「……はい。父上」
横で正座で座っていた淡いピンク色の長髪の少女が小さく頷いた。
「スイレンは儂の娘だ。お前の連れている青髪の娘……ハーフだろう? それも同じ鬼と人間のハーフだ。我々の同盟の証だ。それはお前の良いように使うといい……」
「スイレンと申します。この通り、鬼の血を引いております。この命、如何様にもお使い下さい。あなた様に尽くしたいと存じます。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」
男がそう告げると、少女はその場で手を付いて深々と頭を下げた。
少女の額には先程までなかった鬼の象徴でもある二本のツノが現れていた。
俺がじっと見つめると、彼は俺の方を真っ直ぐに見つめていた。
「しかし! 殿。この者は森を抜けて来ました。ここ数百年間決して破られた事のないあの森を! 得体の知れない者を城内に入れるわけには参りません!」
兵士は必死になってその男に訴えかけるが、男は全く動じていない様子だ。
冷静な口調で淡々と告げる。
「ならばその数百年ぶりにこの森を抜けた得体の知れない者がこの城一つ落とせぬわけがあるまい。そうせぬという事は、理由があるからだ。善悪は儂が見定める! 客人を通せ!」
「は、はい!」
その言葉には有無を言わせない何かがあった。
この男は一瞬で俺の力量を推し量り判断した。出来る奴だ。それに、あの眼差し……面白い。
俺は自然とあの男に興味を抱いていた。
甲冑を着た兵士達は渋々、門の前に立つ俺を開門して中へと通した。
俺は堂々と歩いて城内に入ると、二人の着物を着たピンク色の髪の少女達が深々と頭を下げた。
「お館様がお待ちです」
「父上に言われて参りました。どうぞ中へとお入り下さい」
案内されるがままに連れて行かれた。
最上階の襖を開けると、畳を一面に敷かれた。目の前の座布団に座るよう促されて腰掛けると、先程の男が一段高くなった場所で胡座を掻いて座っている。
「儂は面倒な事は嫌いだ。君の目的を聞かせてくれ」
「俺達は魔王の討伐を考えている。その為に敵の情報が欲しい……知っている事を教えてくれないか?」
「ほう……歴代最強と言われている魔王に勝てると?」
男の心の内を見透かすような瞳に、俺は臆する事なく答える。
「勝てなければ挑みはしないさ……」
そう言った俺の瞳を覗き込んだ男は、その言葉に嘘はないと分かりフッと笑みを浮かべた。
「いいだろう! 儂はお前が気に入った! この江戸は全面的にお前に協力しよう! スイレン!!」
「……はい。父上」
横で正座で座っていた淡いピンク色の長髪の少女が小さく頷いた。
「スイレンは儂の娘だ。お前の連れている青髪の娘……ハーフだろう? それも同じ鬼と人間のハーフだ。我々の同盟の証だ。それはお前の良いように使うといい……」
「スイレンと申します。この通り、鬼の血を引いております。この命、如何様にもお使い下さい。あなた様に尽くしたいと存じます。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」
男がそう告げると、少女はその場で手を付いて深々と頭を下げた。
少女の額には先程までなかった鬼の象徴でもある二本のツノが現れていた。
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