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牢屋の中のルイ

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 さらわれたルイは後ろ手に縄で縛られ、足も縄で縛られて首には紐のついた首輪がはめられていた。

 目を覚ましたルイは、まだぼんやりとしていた目で辺りを見渡した。

「……ここは、どこ?」

 周囲を見渡すと、そこには椅子に座っている赤いメッシュの入った黒髪を後で結んでいた少女が目に入った。

「やっと目を覚ましたか?」
「ボクを捕まえてどうするの? 何をする気なの?」

 ルイは不安そうな表情を浮かべながらそう言った。すると赤いメッシュの入った黒髪の少女は不敵な笑みを見せた。
 その瞬間に、ルイは自分の身に危険が迫っている事を感じ取ったのか、体を小刻み震わせ怯えた表情を見せる。

 手足の自由を奪われたルイは何もできない。しかも、体が痺れていてうまく動かせない。

 そんな状況の中、恐怖心だけがルイを支配していく。

「別に何もしないさ。ただ、お前はチビのくせに力が強いから拘束させてもらってるだけだ」

 赤いメッシュの入った黒髪の少女は椅子に深々と座ると、脚を組んで不敵に微笑んだ。

「オレは虐げられた獣人族のハーフを保護している。お前もオレ達の仲間になれ! どうせ、奴隷にされてたんだろ?」

 その言葉を聞いてルイは驚いたような顔をして口を開いた。
 だが、すぐに口を閉じて俯いたまま、難しい顔をして黙り込んでしまった。

 ルイも反論したかったが、手足と体の自由が奪われたこの状況で言い返したら何をされるか分からない。

(きっと、お兄ちゃんが助けに来てくれる! それまでは何をされたって我慢するんだ。ボクは痛いのに慣れてるから大丈夫……)

 口をつぐんだまま黙っているルイの目を見て少女は不機嫌そうに眉間にしわを寄せる。

「反抗的な目だ……気に食わないやつ。人間ごときに従順な奴隷は嫌いだ! 頭を冷やせば気も変わるだろう。こいつを牢に放り込んでおけ!」

 少女は取り巻きの少女達にそう言って部屋から出ていった。

 取り巻きの少女達に運ばれて牢に入れられたルイに茶髪のショートボブの少女が言い放つ。

「バカね。素直に仲間になるって言えば、こんな目に遭わなくてすんだのに……」

 それだけ言うと少女達は牢の前から歩いて去っていった。そして誰もいなくなった牢屋の中でルイは横になると、目を瞑って眠った。ルイの目尻からは涙が流れていた。


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