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小さな宿場町

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 翌朝。ルイが目を覚ますと、自分の手を見て魔王の刻印が消えていた事を確認して嬉しそうに叫ぶ。

「やったー!! ボク。これで奴隷じゃないんだ! お姉ちゃん見て! 見て! 手に付いてた模様が消えたんだよ!」
「ええそうね。ルイちゃん。良かったわねぇ……なら、ベイル様に感謝しないとね!」
「……どうして?」
 
 不思議そうに首を傾げたルイにリアラが微笑んだ。

「ルイちゃんが昨日頑張ったから、ベイル様が消してくれたのよ?」
「そうなんだ……ご主人様。ありがとう!」

 それを聞いたルイは俺の方に走ってきて抱き付いた。

 嬉しそうに微笑んでいるルイの頭を優しく撫でてやる。

 俺はルイの体を見て少し困ったようにため息を漏らす。それもそうだろう。ルイは一糸纏わなぬ姿でいる。子供のサイズに合う服は持っていない。ルイには何か服を買ってやらなければならないだろう。

 裸のまま嬉しさのあまり、部屋中を駆け回っているルイを呼び止めると、ひとまずローブを着せた。だが、奴隷から解放され、嬉しくて元気に走り回るルイにローブ一枚では心許ない。

「リアラ。ルイの服を買いに行きたいんだが、さすがにローブ一枚で外に出すわけにもいかない。何かいい案はないか?」

 リアラは少し考え、何かを思いついた様子で言った。

「それなら、即席で服を作ってあげたらどうですか? スピルちゃん! レヴィちゃん! 2人は裁縫はできる?」
「えっ? できますよ。以前はあちこちを転々としてましたから、服のほつれとかは自分で直してました」
「うちは……まあ、教えてもらえれば?」

 スピルは大丈夫そうだが、レヴィは少し不安だ。だがまあ、リアラとスピルがいればなんとかなるだろう……

 俺はリアラとスピルに予備に持っていたローブをハサミで切ってルイのサイズに合わせる。

 ルイとレヴィは、手際良く服の形にローブを縫い合わせていくのを興味津々で見つめていた。

 最初はレヴィも何かしようとしていたが、リアラとスピルのあまりの手際の良さに諦めてしまったのか、最後は俺が余った糸を使って教えたあやとりでルイと遊んでいた。

 そうこうしてるうちに服が完成してルイがそれに袖を通す。ちゃんと獣族のルイ用に尻尾を出す穴が付いているのが芸が細かい。

「ありがとう! お姉ちゃん! スピルお姉ちゃん!」
 
 ルイはそれを着ると嬉しそうにリアラとスピルにお礼を言った。

「ルイちゃんにピッタリで良かったわ」
「どういたしまして」

 リアラとスピルは喜んでいるルイの姿を見て優しく微笑む。

「とりあえず。朝食を食べてから、ルイの服を買いに行こう!」
「ボク。服を買ってもらうなんて初めて! ご主人様ありがとう!」

 俺がそう言うと、嬉しさを体で表現するようにその場でぴょんぴょんと跳ねた後、ルイは俺に全力で抱き付いてきた。
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