二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族（ハーレム）を増やす〜

グレートフェンリル

　それから他愛のない話をしながら、陽が沈むまで飛ぶとある森の上で誰かの助けを呼ぶ声が聞こえた。

「きゃああああ！　助けてええええええ！！」

　俺は森の中を見るが、木々が邪魔で見えない。だが、声を聞くにまだ幼い女の子の声だった。

　更に高度を下げるニールの背中から、集中のスキルで拡大して地面を見た。

　声の方向に視線を向けると、木の近くに一人の少女がいた。木に鎖で繋がれた裸の少女が叫んでいた。

　少女はどうやら獣人のようで、短い黒髪に猫のような耳と尻尾が生えていて、鎖の付いた首輪を外そうと必死にもがいている。

　それを取り囲むようにしてアサルトウルフの群れがじわじわと少女との距離を縮めていく。

「まずいな……先に行く！　お前達は後から来い！」

　俺はそう言い残してニールの背中から飛び降りた。

　体に何も身に付けていないまさに全裸の状態で、黒髪のショートヘアーに琥珀のような綺麗な茶色い瞳の少女の頭には黒い猫耳、小ぶりなお尻には細くて長い尻尾が生えていた。

「助けてええええ！！　誰か！　誰か……神様……ボク、まだ死にたくない……死にたくないよぉ……」

　何とか木に括り付けられた首輪の鎖を外そうと必死にもがいていた裸の少女だったが、次第に諦めたのか首輪に繋がる鎖を握りしめたまま地面に座り込んで泣き崩れてしまう。

　満身創痍の少女に、一頭のアサルトウルフが襲い掛かる。もうだめだと少女が瞼を強く瞑ると、アサルトウルフの鳴き声が響いて少女はゆっくりと目を開けた。

　すると、目の前に黒い甲冑を着た黒髪に赤眼の少年が立っていた。彼は地面に倒れたアサルトウルフの体から剣を引き抜くと少女の方を向いた。
　
「よう。大丈夫か？」
「……あなたは。神様？　それとも天使様？」

　目をぱちくりと何度も瞬きさせながら、少女が尋ねると俺は口元に不敵な笑みを浮かべた。

「残念だが、神や天使とは真逆の存在だ。俺は吸血鬼なんでな……どうだ？　俺の眷族になるなら助けてやるぞ？」
「なります！　なんでもします！　だから……だから……ボクを、助けて下さい！！」

　涙で潤んだ茶色の瞳で少女は必死に叫んだ。その目に嘘偽りはなさそうだ……

「フッ……いい返事だ……」

　剣を構えた俺に向かって鋭利な爪でアサルトウルフ達が襲い掛かってきた。

　俺はそれを軽々と避けながら、次々と向かってくる狼達を斬り伏せていった。

　華麗な身のこなしで次々とアサルトウルフを撃破する俺を少女は瞳を輝かせながら見ていた。

「すごい……」

　少女が驚いた様子で目を丸くしていると、そこにリアラ達が合流した。

「ベイル様。遅くなりました！」

　リアラは剣を構えて近くのアサルトウルフを撃破する。