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新たな仲間2
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薄暗い洞窟の中は少し怖いのかリアラが俺の腕にしがみついている。
しばらく洞窟の中を歩くと広い空間に出た。老人の持った松明が辺りを照らし出すと、そこは金貨や宝石などが山のように積まれ光り輝いた。
老人はその財宝を指差して言う。
「これは儂が人生を懸けて集め続けた物です! どうぞ受け取ってくだされ!」
「これほど……さすがに全ては受け取れない」
俺がそう言った直後、老人は首を横に振って俺の前に手の平を突き出した。
「いいのです! それに、こちらの品々はスピルの両親を殺した魔王討伐の前金。魔王と戦ってもらうのに、命に見合った報酬を受け取るのは、当然の事……それとスピルが貴殿の眷族になった時に役に立つでしょう!」
俺は老人の言葉を聞きながら、目の前にある金貨や宝石の山を見つめて老人に頷いた。
彼は嬉しそうに笑うと、リアラに向かって手招きする。
リアラは不思議そうな顔をしていたが、老人は手招きするとゆっくりと歩いてきた彼女の手を取る。
緊張した面持ちでリアラは老人の顔を見上げる。
老人は優しい笑顔を浮かべると宝石の方に歩いていった。
「お嬢さんの剣は儂の鱗で刃が欠けてしまったからな。儂の鱗に傷を付けた唯一の剣だ……この剣ならば、どんなものでも斬り伏せられよう。どうか、これを代わりに使ってくれ!」
老人が指差したのは一本の美しい剣だった。明らかに高そうな装飾が施されたその剣を見て、リアラは全力で手と首を振って断る。
「いえいえ! 私にあの剣は高価すぎます! ベイル様にはこそ相応しいと思いますけど、私にはとてもとても!」
「リアラ、貰ってやれよ。俺はもう自慢の剣を持っている。それに、剣は身を守る上で最良の物を持つのは剣士の常識」
俺がリアラにそう言うと、彼女は恐る恐るという感じで老人に近づいていく。
老人はリアラに鞘に入った状態の剣を渡す。リアラは受け取ると、老人はリアラに柄の部分を握るように促す。
リアラが剣を鞘から抜くと、刀身に埋め込まれた赤い石が光輝く。
老人は満足げに微笑むと、リアラは嬉しそうに頷いた。
俺はそれを眺めていると、スピルが俺の肩を叩いて話しかけてきた。
「あの! さっそく。私をベイル様の眷族にして頂けますか?」
「ああ、眷族になるには夜の方が都合がいいんだ。だから、街に戻って宿屋に着いてから夜を待って眷族の儀式をしよう」
「そうなのですね! 夜にならないと……今すぐは無理なのですね」
スピルは残念そうに呟くと、俺の顔を悲しげな瞳で見た。
「ベイル殿。改めて我が名を預けようファフニールだ。だが、目立つからなニールと呼んでもらえると助かる。親しき者は皆、儂をそう呼ぶ」
「スピルです! 未熟者ですがベイル様のお役に立てるように頑張ります!」
俺は二人に微笑みを浮かべながら手を差し出した。
「これからよろしく」
ニールとスピルは交互にその手を取ってぎゅっと握りしめた。
それから、俺は全ての財宝を次元空間に収納するとドラゴンの姿に戻った
ニールの背に乗ると俺はインビジブルを発動させてドラゴンの姿を隠す。
街の近くの森に降りた俺達は、街の宿に戻ると夜を待った。
しばらく洞窟の中を歩くと広い空間に出た。老人の持った松明が辺りを照らし出すと、そこは金貨や宝石などが山のように積まれ光り輝いた。
老人はその財宝を指差して言う。
「これは儂が人生を懸けて集め続けた物です! どうぞ受け取ってくだされ!」
「これほど……さすがに全ては受け取れない」
俺がそう言った直後、老人は首を横に振って俺の前に手の平を突き出した。
「いいのです! それに、こちらの品々はスピルの両親を殺した魔王討伐の前金。魔王と戦ってもらうのに、命に見合った報酬を受け取るのは、当然の事……それとスピルが貴殿の眷族になった時に役に立つでしょう!」
俺は老人の言葉を聞きながら、目の前にある金貨や宝石の山を見つめて老人に頷いた。
彼は嬉しそうに笑うと、リアラに向かって手招きする。
リアラは不思議そうな顔をしていたが、老人は手招きするとゆっくりと歩いてきた彼女の手を取る。
緊張した面持ちでリアラは老人の顔を見上げる。
老人は優しい笑顔を浮かべると宝石の方に歩いていった。
「お嬢さんの剣は儂の鱗で刃が欠けてしまったからな。儂の鱗に傷を付けた唯一の剣だ……この剣ならば、どんなものでも斬り伏せられよう。どうか、これを代わりに使ってくれ!」
老人が指差したのは一本の美しい剣だった。明らかに高そうな装飾が施されたその剣を見て、リアラは全力で手と首を振って断る。
「いえいえ! 私にあの剣は高価すぎます! ベイル様にはこそ相応しいと思いますけど、私にはとてもとても!」
「リアラ、貰ってやれよ。俺はもう自慢の剣を持っている。それに、剣は身を守る上で最良の物を持つのは剣士の常識」
俺がリアラにそう言うと、彼女は恐る恐るという感じで老人に近づいていく。
老人はリアラに鞘に入った状態の剣を渡す。リアラは受け取ると、老人はリアラに柄の部分を握るように促す。
リアラが剣を鞘から抜くと、刀身に埋め込まれた赤い石が光輝く。
老人は満足げに微笑むと、リアラは嬉しそうに頷いた。
俺はそれを眺めていると、スピルが俺の肩を叩いて話しかけてきた。
「あの! さっそく。私をベイル様の眷族にして頂けますか?」
「ああ、眷族になるには夜の方が都合がいいんだ。だから、街に戻って宿屋に着いてから夜を待って眷族の儀式をしよう」
「そうなのですね! 夜にならないと……今すぐは無理なのですね」
スピルは残念そうに呟くと、俺の顔を悲しげな瞳で見た。
「ベイル殿。改めて我が名を預けようファフニールだ。だが、目立つからなニールと呼んでもらえると助かる。親しき者は皆、儂をそう呼ぶ」
「スピルです! 未熟者ですがベイル様のお役に立てるように頑張ります!」
俺は二人に微笑みを浮かべながら手を差し出した。
「これからよろしく」
ニールとスピルは交互にその手を取ってぎゅっと握りしめた。
それから、俺は全ての財宝を次元空間に収納するとドラゴンの姿に戻った
ニールの背に乗ると俺はインビジブルを発動させてドラゴンの姿を隠す。
街の近くの森に降りた俺達は、街の宿に戻ると夜を待った。
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