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二度目の異世界

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 宿屋で薄い白い布に絹のような白い肌を包む長い金髪に紫の瞳の少女に甲冑の男が告げる。

「俺の眷族になるかならないかはお前が決めろ。遅かれ早かれ、奴隷のお前は誰かに犯される。俺の眷族にならなければお前は弱いままだ……強くならなければ、この世界にお前の居場所はない。得る為には失う事が必要だ」

 怯えて体を微かに震わせていた少女から恐怖が消え、決意に満ちた瞳で裸体を覆っていた布を脱ぎ捨てると、目の前に立つ甲冑姿の男に告げた。

「私は力が欲しい! だから、私の全てを貴方に……捧げます!」

 少女の裸体を見つめながら、甲冑の男は口元に笑みを浮かべると。

「良い返事だ。ならば、俺の眷族にしてやろう……」

 甲冑の男は少女の体をベッドに押し倒して首元に牙を突き立てた。


 * * *


 俺の名前は巴崎隆道。26歳の普通の会社員だった。しかし、それも遠い昔の記憶だ。交通事故で暴走する高級車に轢かれた俺は異世界に転生した。以前は仲間達と別の世界で最強の勇者。アラン・イセスベイルと呼ばれていた。だが、もう数千年も前の話だ。

 俺は今、別の異世界にいる。しかも、この世界で最強種の吸血鬼として。
 どうやらステータスは以前の異世界の時のままこの世界でも引き継がれてるらしい。女神様に気に入られていた俺は相当優遇されてこの世界に送られたようだ。これはありがたい……

「とりあえず。ここでは以前の名から取ってベイルと名乗ろう……名は体を表すものだとどこかで聞いたしな。うっ! 頭が痛い。どこで聞いたかは思い出せない」

 激しい頭痛に頭を押さえふらつく。

「まあ、ひとまず周囲を探索だ。スキル。インビジブル、フライ!」

 俺の体は消えて背中から生えたコウモリの翼で空に舞い上がった。
 月の光だけが照らす空を飛びながら周囲を見渡した。すると、少し先に馬車が見えた。

「あれは何だ?」

 すると、馬車が拡大され積荷の中の様子が透けて見える。スキル『集中』と『透視』の能力だ。
 中には金髪に紫色の瞳の美少女が首輪を付けて手足は鎖に繋がれていた。
 肌白で目鼻立ちもはっきりしている。整った顔に胸は大きく膨らんでいてスタイルも良い。おそらく年齢は16歳くらいだろう。その周りには5人の男達が囲んでいた。

 男達は下卑た笑みを浮かべながら少女に近づいていく。
 嫌がって視線を逸らす少女だったが、首輪が光って少女の意思とは関係なく男の方を向く。

「おいおい。ハーフのお前が純血種の俺達に魔力で敵うわけないだろ? それにしても……良い顔してるぜ。ハーフじゃなきゃ俺が貰ってやるのにな」
「……いや」

 瞳に涙を浮かべて嫌がる少女の頬を舌で舐めて男の一人が言った。

「よせよ! 家畜と変わらない畜生だぞ。半端なハーフのガキなんて作ったら、烙印が移って奴隷身分に降格させられちまう」
「良いじゃねぇーか。雌なのには変わりねぇーんだ。ガキが出来なければ文句はねぇーんだろ? 魔法で避妊させればいいだけだ。こっち来いよ……人間様がお前を使ってやる。嬉しいだろ?」
「……いや。お母様……」

 男は手をかざして魔法で少女のその華奢な体を荷台の床に押し付け、笑い声を上げながら。そして一人の男がズボンに手を掛けた時だった……。
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