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ワンダー博士、お客様です。
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村でマヤカスと対峙した後。
ワンダー達はシーアの家に戻って来ていた。
「ワンダー博士! 安請け合いして、大丈夫なんですか!?」
シーアはワンダーに向かって叫ぶ。
「良いじゃないか、シーア嬢! ボクの錬金術を村人達に披露する絶好の機会だぞう!」
「ワンダー博士の錬金術の腕は疑っている訳ではないんです。問題なのはマヤカスの方……」
シーアは苦い顔をする。
「マヤカスは自分に都合の良い勝負を仕掛けてくるに決まってます。あいつのことだから、妨害だってしてくるだろうし!」
「逆境を跳ね返し、奇跡を起こしてこその錬金術師さ!」
ワンダーはバサリ、とマントを翻した。
「さあて、最高の錬金術を披露するために、今は英気を養おうではないか! では、おやすみ~」
ワンダーはスキップしながら、客室に向かう。
「お休みなさいませ、ワンダー博士」
バニバニはワンダーの背中に一礼した。
「もう……呑気なんだから」
「ワンダー博士は自分の錬金術を過信しているところがありますから。それで何度も痛い目を見ているはずなんですがね」
「やっぱり、錬金術も万能じゃないんだ……」
バニバニはムッと唇を尖らせて、不快感を表す。
「錬金術は万能です。それを扱う人間が万能でないのです。お間違えなきよう、人間様」
「な、なんか怒ってます?」
「バニバニはワンダー博士に錬金されたガイノロイド。怒ることはありません。しかし、錬金術を馬鹿にすることは、バニバニを馬鹿にすることと同義だということを、お忘れなきようれ
「あ、そうだった。あまりにも人間らしかったから忘れてた。ごめんなさい……」
バニバニは「よろしい」と言うように頷いた。
「さて。シーア様も今日のところはお休みになられては?」
「……はい。そうします」
シーアは浮かない顔で、寝室に行った。
ワンダーとシーアを見送った後、バニバニは窓の外に目を向けた。
「──さて」
窓の外、無数の赤い光が、こちらに向かってくるのが見えた。
□
「いらっしゃいませ、お客様」
バニバニは家の前で客人を出迎える。
客人は手に松明を持っている。
先ほど見えた赤い光の正体はそれだろう。
客人はバニバニを見て、動揺する。
「お前は……変な服の奴と一緒にいた、もっと変な服の奴!」
「バニバニと申します。ワンダー博士の助手をしています。以後お見知りきを」
バニバニは丁寧にお辞儀をする。
「ワンダー博士は人々を『あっ!』と驚かせるため、睡眠をとっておられます。お引き取りを」
「あのインチキ錬金術師には、村を出て行って貰わねえと困るんだよ。錬金術対決なんて、マヤカス様のお手を煩わせる訳にゃあいかねえ」
客人は武器を取り出した。
スコップにクワといった農具だ。
「……どうやら、お引き取り頂けないようですね」
バニバニは拳を構えた。
「それでは、このバニバニが丁重におもてなし致しましょう」
□
早朝。
外で野鳥が鳴いているのを聞いて、ワンダーは目を覚ました。
「ふああ、よく寝たー」
ワンダーは大欠伸をしながら、リビングに姿を現す。
「おはようございます、ワンダー博士」
「おはよう、バニバニ! ……おや?」
ワンダーはバニバニの手を握り、顔を近づける。
「手が汚れているじゃないか。夜、何かあったのかい?」
「大きな虫が出ました」
「なんと、虫が出たのか! まだ近くにいるかい!?」
ワンダーはキョロキョロと家の中を見回した。
「申し訳ありません。バニバニが森に逃してしまいました」
「なあんだ。見たかったなあ、千年後の虫。生態系も色々と変わっているだろうから、気になるんだけど……まあ、また次の機会だな! これからいくらでも見られるだろう!」
ワンダーはうんうん、と頷いた。
「おはようございます、ワンダー博士」
シーアがキッチンから顔を出した。
「おはよう、シーア!」
「今丁度、朝食の準備が出来ましたよ。どうぞ」
シーアはパンとスープの皿をテーブルに置いた。
「何から何までありがとう!」
ワンダーは食卓についた。
「ワンダー博士、錬金術対決、勝機はあるんですか?」
「あるさ! ポチがあるだろう?」
「ポチ?」
「ボクの車さ!」
「ああ、あの空を飛ぶ車!」
「あれを対価にすれば何でも出来るぞう。なんてったって、元兵器だからな……」
兵器には時代の最先端の技術が使われる。
それを対価に差し出せば、ありとあらゆるものを錬金出来るだろう。
「人の命を奪うため錬金術を使うなんて、錬金術への冒涜だ。今後は、皆を驚かせるために有効利用させて貰おう!」
ワンダーは朝食を食べ終え、意気揚々と外に出た。
「おはよう、ポチー! キミは次、どんな姿になりたいー?」
車体は泥だらけ、殴られたようにボコボコに凹んでいる。
そこにピカピカだったワンダーの愛車・ポチの姿はなかった。
「ああーっ! ボクのポチが見るも無惨な姿にーっ!?」
「マヤカスの仕業ね……! どうするんですか!? これがないと、錬金術対決に勝てないんでしょう!?」
ワンダーは泣きながら、愛車ポチにしなだれかかった。
「うっうっ。ポチぃ……」
「ワンダー博士、しっかりして下さい! 泣いてないで、どうするか考えないと!」
シーアはワンダーの肩を掴み、ゆさゆさと揺さぶった。
その様子を木の影から見ていた村人達は、ニヤニヤと笑っていた。
ワンダー達はシーアの家に戻って来ていた。
「ワンダー博士! 安請け合いして、大丈夫なんですか!?」
シーアはワンダーに向かって叫ぶ。
「良いじゃないか、シーア嬢! ボクの錬金術を村人達に披露する絶好の機会だぞう!」
「ワンダー博士の錬金術の腕は疑っている訳ではないんです。問題なのはマヤカスの方……」
シーアは苦い顔をする。
「マヤカスは自分に都合の良い勝負を仕掛けてくるに決まってます。あいつのことだから、妨害だってしてくるだろうし!」
「逆境を跳ね返し、奇跡を起こしてこその錬金術師さ!」
ワンダーはバサリ、とマントを翻した。
「さあて、最高の錬金術を披露するために、今は英気を養おうではないか! では、おやすみ~」
ワンダーはスキップしながら、客室に向かう。
「お休みなさいませ、ワンダー博士」
バニバニはワンダーの背中に一礼した。
「もう……呑気なんだから」
「ワンダー博士は自分の錬金術を過信しているところがありますから。それで何度も痛い目を見ているはずなんですがね」
「やっぱり、錬金術も万能じゃないんだ……」
バニバニはムッと唇を尖らせて、不快感を表す。
「錬金術は万能です。それを扱う人間が万能でないのです。お間違えなきよう、人間様」
「な、なんか怒ってます?」
「バニバニはワンダー博士に錬金されたガイノロイド。怒ることはありません。しかし、錬金術を馬鹿にすることは、バニバニを馬鹿にすることと同義だということを、お忘れなきようれ
「あ、そうだった。あまりにも人間らしかったから忘れてた。ごめんなさい……」
バニバニは「よろしい」と言うように頷いた。
「さて。シーア様も今日のところはお休みになられては?」
「……はい。そうします」
シーアは浮かない顔で、寝室に行った。
ワンダーとシーアを見送った後、バニバニは窓の外に目を向けた。
「──さて」
窓の外、無数の赤い光が、こちらに向かってくるのが見えた。
□
「いらっしゃいませ、お客様」
バニバニは家の前で客人を出迎える。
客人は手に松明を持っている。
先ほど見えた赤い光の正体はそれだろう。
客人はバニバニを見て、動揺する。
「お前は……変な服の奴と一緒にいた、もっと変な服の奴!」
「バニバニと申します。ワンダー博士の助手をしています。以後お見知りきを」
バニバニは丁寧にお辞儀をする。
「ワンダー博士は人々を『あっ!』と驚かせるため、睡眠をとっておられます。お引き取りを」
「あのインチキ錬金術師には、村を出て行って貰わねえと困るんだよ。錬金術対決なんて、マヤカス様のお手を煩わせる訳にゃあいかねえ」
客人は武器を取り出した。
スコップにクワといった農具だ。
「……どうやら、お引き取り頂けないようですね」
バニバニは拳を構えた。
「それでは、このバニバニが丁重におもてなし致しましょう」
□
早朝。
外で野鳥が鳴いているのを聞いて、ワンダーは目を覚ました。
「ふああ、よく寝たー」
ワンダーは大欠伸をしながら、リビングに姿を現す。
「おはようございます、ワンダー博士」
「おはよう、バニバニ! ……おや?」
ワンダーはバニバニの手を握り、顔を近づける。
「手が汚れているじゃないか。夜、何かあったのかい?」
「大きな虫が出ました」
「なんと、虫が出たのか! まだ近くにいるかい!?」
ワンダーはキョロキョロと家の中を見回した。
「申し訳ありません。バニバニが森に逃してしまいました」
「なあんだ。見たかったなあ、千年後の虫。生態系も色々と変わっているだろうから、気になるんだけど……まあ、また次の機会だな! これからいくらでも見られるだろう!」
ワンダーはうんうん、と頷いた。
「おはようございます、ワンダー博士」
シーアがキッチンから顔を出した。
「おはよう、シーア!」
「今丁度、朝食の準備が出来ましたよ。どうぞ」
シーアはパンとスープの皿をテーブルに置いた。
「何から何までありがとう!」
ワンダーは食卓についた。
「ワンダー博士、錬金術対決、勝機はあるんですか?」
「あるさ! ポチがあるだろう?」
「ポチ?」
「ボクの車さ!」
「ああ、あの空を飛ぶ車!」
「あれを対価にすれば何でも出来るぞう。なんてったって、元兵器だからな……」
兵器には時代の最先端の技術が使われる。
それを対価に差し出せば、ありとあらゆるものを錬金出来るだろう。
「人の命を奪うため錬金術を使うなんて、錬金術への冒涜だ。今後は、皆を驚かせるために有効利用させて貰おう!」
ワンダーは朝食を食べ終え、意気揚々と外に出た。
「おはよう、ポチー! キミは次、どんな姿になりたいー?」
車体は泥だらけ、殴られたようにボコボコに凹んでいる。
そこにピカピカだったワンダーの愛車・ポチの姿はなかった。
「ああーっ! ボクのポチが見るも無惨な姿にーっ!?」
「マヤカスの仕業ね……! どうするんですか!? これがないと、錬金術対決に勝てないんでしょう!?」
ワンダーは泣きながら、愛車ポチにしなだれかかった。
「うっうっ。ポチぃ……」
「ワンダー博士、しっかりして下さい! 泣いてないで、どうするか考えないと!」
シーアはワンダーの肩を掴み、ゆさゆさと揺さぶった。
その様子を木の影から見ていた村人達は、ニヤニヤと笑っていた。
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