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初冬
「狗神の退治方法、教えてはくれぬか?」
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「狗神が出現したかもしれないだと? 優輝は大丈夫なのか?」
「銀籠さんに心配されたら俺、なんでもできるような気がするよ、ありがとう」
「そうではない…………」
何時もの時間に優輝は森へと訪れ、銀籠と話していた。
その時、昨日開成達と話していた狗神についても話してみると、銀籠も存在は知っていたようで眉を顰める。
「まさかだが、九重家に狗神討伐の依頼が来てしまったのか?」
「いや、依頼自体は来ていないよ。ただ、知ってしまった以上、ほっとけないんだって。じじぃが言っていた。俺も同じ気持ちだから、調べようかなとは思ってっ――――」
「駄目だ!!!」
「っえ。ど、どうしたの?」
狗神について調べると言うと、何故か銀籠が過激に反応をした。
「え、あ。えっと……。い、狗神は強いのだろう? 会ったことはないが、話を聞くだけでも相手にしたくない程強力だと聞いたことがある。簡単に倒せる相手ではないぞ」
「そうみたいだね。狗神は結構有名だから、それだけでも人の想いが集まり力が強くなる。想いだけなのなら何とかなるんだけど、負のエネルギーまで集まっているから簡単ではないのは容易に予想が出来るよ。でも、心配いらない」
隣に立つ銀籠に笑みを向ける。
「俺はこれでも九重家の跡取りとして推されているんだよ? 自分で言うのはちょっと恥ずかしけど、力もそこまで弱くない。だから、大丈夫」
「…………そういう割には、跡取りにはなりたくないと言っておるよな」
「責任のある立場ってめんどくさいじゃん、やだ」
「…………そうか」
苦笑を浮かべながらも、銀籠はどこか楽しそうに笑う。
優輝もつられるように笑い、楽しい時間を過ごした。
お互い笑い、また話す。
二人にとって一日の中で一番楽しい時間を過ごしている時、銀籠の頭の片隅には、いつも夕凪が存在する。
自分より、優輝のことを愛してくれる人間と共にいた方が、優輝自身も絶対に良い。
そう、頭で理解はしているものの、銀籠は優輝と共にいたい、話したい。
そう思ってしまい、思考から逃げ、自身のために行動している自分が、嫌になる。
もう、いっそのこと、流れに任せ深く考えない様にしよう。そう、思ってしまった。
今日もまた、銀が迎えに来て幸せな時間が幕を閉じる。
何時ものように手を振り、優輝は帰って行った。
残された銀籠は、銀に狗神について聞こうと、小屋に戻っている途中に問いかけた。
「狗神かぁ、厄介なものが復活したのぉ」
「復活? 一度封印など消滅などをさせられているという事か?」
「消滅させたと思っていたのじゃよ、ワシ」
「…………ん? え、その言い方だと、父上が昔、狗神を退治したみたいな言い方なんだが?」
「む? そうじゃが?」
何気なく話していたため、銀からの爆弾発言に銀籠は思わず足を止めてしまった。
隣から銀籠がいなくなり、銀も足を止め振り向く。
「どうしたんじゃ?」
「…………いや、何でもない」
事前に話してほしかったと言いたかったが、そもそも話すきっかけがなかったため、そんなことを言っても意味はないと口を閉ざす。
首を傾げている銀の隣まで歩き、再度小屋へ歩き出した。
「父上からして、狗神は強かったのか?」
「あぁ、強かった。あの頃はまだ表に出たばかりというのもあり、力が制御出来ておらんかった。その隙をつき何とかなったんじゃがのぉ。また、復活するとは……」
銀は難しい顔を浮かべ、むむむっと唸る。
今までこの手の話では余裕な顔を浮かべていた銀が珍しく難しい顔を浮かべている為、狗神がどれだけ強かったのか銀籠は察する。
「優輝…………」
「そういえば、さっき言っていたな。まさか、優輝は自ら狗神と対峙するつもりではなかろうな」
「調べるとは言っていたが、どうだろうか……。強いから大丈夫と言っていたのが気がかりだ」
「うーむ。少々心配じゃのぉ。ワシも昔のような力を出す事が出来んから、今狗神と対峙するのなら力を貸す事が出来ん。銀籠も難しいじゃろう。九重家と言えどそう簡単に倒せん、手を出さんでほしいが…………」
「危険を知ってしまった九重家なら、何を言っても狗神を退治すると言いかねない……の、だろう?」
「そうじゃ、どうするかのぉ…………」
ここまで銀が悩むなんて相当。
銀籠は九重家の心配もしているが、一番は優輝。
優輝は自分は強いと言っていたが、それは人間の世界ではと言う話。
あやかしの中ではトップクラスの力を持っている銀でさえ、狗神の話を聞いた途端難しい顔を浮かべた。
人間である優輝が太刀打ちできるとは思えない。
危険な目に合うかもしれないと思い、銀籠は不安が胸を占め息苦しくなる。
小屋に辿り着くと中へ入り、いつものように囲炉裏を囲い座った。
火を点け、冷えた体を温めるが、不安で冷たくなってしまった心は温かくならない。
どうにか、優輝が狗神と関わらない方法はないだろうか。
考えていると、一つだけいいことを思いつき銀に問いかけた。
「父上」
「なんじゃ?」
「狗神の退治方法、教えてはくれぬか?」
「銀籠さんに心配されたら俺、なんでもできるような気がするよ、ありがとう」
「そうではない…………」
何時もの時間に優輝は森へと訪れ、銀籠と話していた。
その時、昨日開成達と話していた狗神についても話してみると、銀籠も存在は知っていたようで眉を顰める。
「まさかだが、九重家に狗神討伐の依頼が来てしまったのか?」
「いや、依頼自体は来ていないよ。ただ、知ってしまった以上、ほっとけないんだって。じじぃが言っていた。俺も同じ気持ちだから、調べようかなとは思ってっ――――」
「駄目だ!!!」
「っえ。ど、どうしたの?」
狗神について調べると言うと、何故か銀籠が過激に反応をした。
「え、あ。えっと……。い、狗神は強いのだろう? 会ったことはないが、話を聞くだけでも相手にしたくない程強力だと聞いたことがある。簡単に倒せる相手ではないぞ」
「そうみたいだね。狗神は結構有名だから、それだけでも人の想いが集まり力が強くなる。想いだけなのなら何とかなるんだけど、負のエネルギーまで集まっているから簡単ではないのは容易に予想が出来るよ。でも、心配いらない」
隣に立つ銀籠に笑みを向ける。
「俺はこれでも九重家の跡取りとして推されているんだよ? 自分で言うのはちょっと恥ずかしけど、力もそこまで弱くない。だから、大丈夫」
「…………そういう割には、跡取りにはなりたくないと言っておるよな」
「責任のある立場ってめんどくさいじゃん、やだ」
「…………そうか」
苦笑を浮かべながらも、銀籠はどこか楽しそうに笑う。
優輝もつられるように笑い、楽しい時間を過ごした。
お互い笑い、また話す。
二人にとって一日の中で一番楽しい時間を過ごしている時、銀籠の頭の片隅には、いつも夕凪が存在する。
自分より、優輝のことを愛してくれる人間と共にいた方が、優輝自身も絶対に良い。
そう、頭で理解はしているものの、銀籠は優輝と共にいたい、話したい。
そう思ってしまい、思考から逃げ、自身のために行動している自分が、嫌になる。
もう、いっそのこと、流れに任せ深く考えない様にしよう。そう、思ってしまった。
今日もまた、銀が迎えに来て幸せな時間が幕を閉じる。
何時ものように手を振り、優輝は帰って行った。
残された銀籠は、銀に狗神について聞こうと、小屋に戻っている途中に問いかけた。
「狗神かぁ、厄介なものが復活したのぉ」
「復活? 一度封印など消滅などをさせられているという事か?」
「消滅させたと思っていたのじゃよ、ワシ」
「…………ん? え、その言い方だと、父上が昔、狗神を退治したみたいな言い方なんだが?」
「む? そうじゃが?」
何気なく話していたため、銀からの爆弾発言に銀籠は思わず足を止めてしまった。
隣から銀籠がいなくなり、銀も足を止め振り向く。
「どうしたんじゃ?」
「…………いや、何でもない」
事前に話してほしかったと言いたかったが、そもそも話すきっかけがなかったため、そんなことを言っても意味はないと口を閉ざす。
首を傾げている銀の隣まで歩き、再度小屋へ歩き出した。
「父上からして、狗神は強かったのか?」
「あぁ、強かった。あの頃はまだ表に出たばかりというのもあり、力が制御出来ておらんかった。その隙をつき何とかなったんじゃがのぉ。また、復活するとは……」
銀は難しい顔を浮かべ、むむむっと唸る。
今までこの手の話では余裕な顔を浮かべていた銀が珍しく難しい顔を浮かべている為、狗神がどれだけ強かったのか銀籠は察する。
「優輝…………」
「そういえば、さっき言っていたな。まさか、優輝は自ら狗神と対峙するつもりではなかろうな」
「調べるとは言っていたが、どうだろうか……。強いから大丈夫と言っていたのが気がかりだ」
「うーむ。少々心配じゃのぉ。ワシも昔のような力を出す事が出来んから、今狗神と対峙するのなら力を貸す事が出来ん。銀籠も難しいじゃろう。九重家と言えどそう簡単に倒せん、手を出さんでほしいが…………」
「危険を知ってしまった九重家なら、何を言っても狗神を退治すると言いかねない……の、だろう?」
「そうじゃ、どうするかのぉ…………」
ここまで銀が悩むなんて相当。
銀籠は九重家の心配もしているが、一番は優輝。
優輝は自分は強いと言っていたが、それは人間の世界ではと言う話。
あやかしの中ではトップクラスの力を持っている銀でさえ、狗神の話を聞いた途端難しい顔を浮かべた。
人間である優輝が太刀打ちできるとは思えない。
危険な目に合うかもしれないと思い、銀籠は不安が胸を占め息苦しくなる。
小屋に辿り着くと中へ入り、いつものように囲炉裏を囲い座った。
火を点け、冷えた体を温めるが、不安で冷たくなってしまった心は温かくならない。
どうにか、優輝が狗神と関わらない方法はないだろうか。
考えていると、一つだけいいことを思いつき銀に問いかけた。
「父上」
「なんじゃ?」
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