21 / 80
犬宮賢とヤクザ
「嫌な予感――……」
しおりを挟む
「結局、自ら動くのね」
「うるさいよ」
心優がいなくなってから数分後、犬宮も自ら動き出していた。
その時にはもう最古はいなくなっており、心優について行ったことは犬宮には把握済み。
心優について行ったのなら安心と、彼は自分が行わなければならないことに集中する。
「今回動いている怪異って、どんな奴なの、黒田」
「まず俺だな。今回の事件に関わっている怪異」
「…………」
「めっちゃ冷たい目線向けて来るじゃねぇかよ。俺は間違ったこと言ってねぇぞ!! ちなみに、お前も怪異の仲間だから、ひとまず今回関わっている怪異は二人、わかったな」
胸を張り、訳のわからんことを堂々と言っている黒田のケツを思いっきり蹴り飛ばし、犬宮は人の笑い声で埋め尽くされている繁華街を見回した。
二人は、人が集まる場所に怪異が潜んでいると踏んでいる。
人の中に怪異が紛れ、生活しているのは特に珍しいことでは無い。
現に、犬宮も黒田も人間と同じ生活をしている。
自分達と同じ生活をしているのなら、見つけるのはちょっと骨が折れるなと思いながらも、二人は共に足を運んでいた。
「いつまで痛がっているのさ、早く案内して」
「お前がそれを言うか…………」
勢いのある蹴りをケツに食らった黒田は、何とか痛みに耐えながらも立ちあがり、涙を浮かべながら道案内を始めた。
「まだいてぇよ…………」
「自業自得」
「はぁ、いいけどよぉ。それより、何か臭ってはいないのか? 俺よりお前の方が鼻が利くから、なにか感じているのなら教えて欲しいんだが……」
「今は何も感じない。香水や飲食店の臭いとかが鼻を曲がらせているのかもしれないけど」
眉間に深い皺を寄せ、鼻をつまみ不愉快そうに答える。
黒田は「あはは…………」と顔を引きつらせ、視線を周りに散らばせた。
「今回の怪異、気配を消すのが上手い奴かもしれねぇな」
「そうだね。俺の鼻はあまり役に立たない可能性もあるし、視野を広げ、気配に集中しようか」
「そうだなぁ」
二人は、周りの人に怪しまれないように平然を装いつつも、周りに意識を集中し警戒を強める。
「黒田、今回の怪異は、大体目星ついてんの?」
「人を惑わす怪異だろうなとは思っている。だが、それ以上の事はさすがに分かってねぇよ。俺も、尾行していた一瞬の隙に見つけようとしただけだからな」
「その一瞬の内を狙われたのが偶然なのかどうなのか。それも気になるところだな」
「確かにねぇ」
二人が冷静に話していると、急に黒田が足を止め一つの店を見た。
つられて犬宮も足を止め、同じ店を見上げる。
そこは、高級ブランドショップのお店。
中を覗き込むと、お嬢様のような人や、セレブっぽい人がお買い物を楽しんでいた。
なぜここで足を止めたのかわからない犬宮は、中を凝視している黒田を横目で見る。その時、体に嫌な予感が走った。
「…………なに、また発動したの?」
「発動なんて言い方、失礼だなぁ。俺はただ、面白そうな女性がいるなぁって思っただけだ。つーわけで、アタックしてきまーす!!」
黒田は明るい笑顔を浮かべ、ホクホクとした表情のまま自動ドアを開き中へと入る。
「はぁ……、最悪」
黒田は、自分好みの女性を見つけると、必ずアタックに行ってしまう程の女性好き。
一度狙った女性が現れるとテコでも動かなくなるのは、十年以上共に過ごしてきた犬宮はわかっていた。
そのため、今回も何も言うことなくお店の壁に背中を付け、彼の話が終わるのを待つことにする。
「どうせ、すぐに振られて終わりだろうし」
腕を組み、青空を見上げた。
風が優しく吹き、犬宮の黒い髪を揺らす。
闇のように黒い瞳には、青空を自由に飛び回る鳥が映り込んでいた。
暇だなぁと思いながら待っていると微かに、鼻を掠める怪異の臭いがした。
「…………ん?」
青空から目を離し、鼻をヒクヒクと動かし臭いを辿る。
だが、本当に微かなため分りにくい。
眉間に深い皺を寄せ立ち上がり、何とか臭いを辿る。
すると、微かな臭いは店の中から感じているとわかった。
「――――中?」
店の中を覗くと、黒田が派手な女性と話している姿があった。
ちょうど口説いていたらしい。
「────ん? あれ、おかしいなぁ。黒田って、あんなに派手な女性が好みだったっけ……?」
今まで選んだことがないような女性と楽しく話している黒田に違和感を感じる。
同時に臭いが誰から漂っていたのかもわかり、目を見開いた。
「この臭い、黒田が今話している女性から?」
金色に近い髪をふわふわ動かし、露出度の高い服を身に纏っている女性。
男性を墜とそうとしているのがわかる服装。
化粧も濃く、黒田の好みからはかけ離れている。
眉を顰め、犬宮は外から二人の動向を確認。すると、黒田の赤い瞳と目が合った。
直感でわかる。
黒田は女性が怪異だと気づいていた。
気づいて、自ら近付いた。
――――怪異をおびき出すために。
今まで微かにもわからなかった臭いが、黒田がお店に入って数分してから臭いを感じ始めた。
彼が言葉巧みに今、人の姿をしている怪異をおびき出そうとしているのがわかる。
「…………任せたよ、黒田」
ここで、人のいない所まで黒田がおびき出す事が出来れば簡単に始末が出来る。
そう考え犬宮は慌てず、黒田が上手くおびき出してくれるのを店の外で待った。
「――――ん? 怪異とはまた違う、臭い?」
風に乗り、またしても違う臭いが犬宮の鼻を掠めた。
だが、流石に今、ここから離れるわけにはいかない。
気にはなるが、そっちは諦め待機する事にした。
すると、何故か直後、頭の中に心優の姿が現れた。
「っ……。なんだこの、嫌な予感――……」
直後、店の中から物が倒れるような大きな音が聞こえ始めた。
「うるさいよ」
心優がいなくなってから数分後、犬宮も自ら動き出していた。
その時にはもう最古はいなくなっており、心優について行ったことは犬宮には把握済み。
心優について行ったのなら安心と、彼は自分が行わなければならないことに集中する。
「今回動いている怪異って、どんな奴なの、黒田」
「まず俺だな。今回の事件に関わっている怪異」
「…………」
「めっちゃ冷たい目線向けて来るじゃねぇかよ。俺は間違ったこと言ってねぇぞ!! ちなみに、お前も怪異の仲間だから、ひとまず今回関わっている怪異は二人、わかったな」
胸を張り、訳のわからんことを堂々と言っている黒田のケツを思いっきり蹴り飛ばし、犬宮は人の笑い声で埋め尽くされている繁華街を見回した。
二人は、人が集まる場所に怪異が潜んでいると踏んでいる。
人の中に怪異が紛れ、生活しているのは特に珍しいことでは無い。
現に、犬宮も黒田も人間と同じ生活をしている。
自分達と同じ生活をしているのなら、見つけるのはちょっと骨が折れるなと思いながらも、二人は共に足を運んでいた。
「いつまで痛がっているのさ、早く案内して」
「お前がそれを言うか…………」
勢いのある蹴りをケツに食らった黒田は、何とか痛みに耐えながらも立ちあがり、涙を浮かべながら道案内を始めた。
「まだいてぇよ…………」
「自業自得」
「はぁ、いいけどよぉ。それより、何か臭ってはいないのか? 俺よりお前の方が鼻が利くから、なにか感じているのなら教えて欲しいんだが……」
「今は何も感じない。香水や飲食店の臭いとかが鼻を曲がらせているのかもしれないけど」
眉間に深い皺を寄せ、鼻をつまみ不愉快そうに答える。
黒田は「あはは…………」と顔を引きつらせ、視線を周りに散らばせた。
「今回の怪異、気配を消すのが上手い奴かもしれねぇな」
「そうだね。俺の鼻はあまり役に立たない可能性もあるし、視野を広げ、気配に集中しようか」
「そうだなぁ」
二人は、周りの人に怪しまれないように平然を装いつつも、周りに意識を集中し警戒を強める。
「黒田、今回の怪異は、大体目星ついてんの?」
「人を惑わす怪異だろうなとは思っている。だが、それ以上の事はさすがに分かってねぇよ。俺も、尾行していた一瞬の隙に見つけようとしただけだからな」
「その一瞬の内を狙われたのが偶然なのかどうなのか。それも気になるところだな」
「確かにねぇ」
二人が冷静に話していると、急に黒田が足を止め一つの店を見た。
つられて犬宮も足を止め、同じ店を見上げる。
そこは、高級ブランドショップのお店。
中を覗き込むと、お嬢様のような人や、セレブっぽい人がお買い物を楽しんでいた。
なぜここで足を止めたのかわからない犬宮は、中を凝視している黒田を横目で見る。その時、体に嫌な予感が走った。
「…………なに、また発動したの?」
「発動なんて言い方、失礼だなぁ。俺はただ、面白そうな女性がいるなぁって思っただけだ。つーわけで、アタックしてきまーす!!」
黒田は明るい笑顔を浮かべ、ホクホクとした表情のまま自動ドアを開き中へと入る。
「はぁ……、最悪」
黒田は、自分好みの女性を見つけると、必ずアタックに行ってしまう程の女性好き。
一度狙った女性が現れるとテコでも動かなくなるのは、十年以上共に過ごしてきた犬宮はわかっていた。
そのため、今回も何も言うことなくお店の壁に背中を付け、彼の話が終わるのを待つことにする。
「どうせ、すぐに振られて終わりだろうし」
腕を組み、青空を見上げた。
風が優しく吹き、犬宮の黒い髪を揺らす。
闇のように黒い瞳には、青空を自由に飛び回る鳥が映り込んでいた。
暇だなぁと思いながら待っていると微かに、鼻を掠める怪異の臭いがした。
「…………ん?」
青空から目を離し、鼻をヒクヒクと動かし臭いを辿る。
だが、本当に微かなため分りにくい。
眉間に深い皺を寄せ立ち上がり、何とか臭いを辿る。
すると、微かな臭いは店の中から感じているとわかった。
「――――中?」
店の中を覗くと、黒田が派手な女性と話している姿があった。
ちょうど口説いていたらしい。
「────ん? あれ、おかしいなぁ。黒田って、あんなに派手な女性が好みだったっけ……?」
今まで選んだことがないような女性と楽しく話している黒田に違和感を感じる。
同時に臭いが誰から漂っていたのかもわかり、目を見開いた。
「この臭い、黒田が今話している女性から?」
金色に近い髪をふわふわ動かし、露出度の高い服を身に纏っている女性。
男性を墜とそうとしているのがわかる服装。
化粧も濃く、黒田の好みからはかけ離れている。
眉を顰め、犬宮は外から二人の動向を確認。すると、黒田の赤い瞳と目が合った。
直感でわかる。
黒田は女性が怪異だと気づいていた。
気づいて、自ら近付いた。
――――怪異をおびき出すために。
今まで微かにもわからなかった臭いが、黒田がお店に入って数分してから臭いを感じ始めた。
彼が言葉巧みに今、人の姿をしている怪異をおびき出そうとしているのがわかる。
「…………任せたよ、黒田」
ここで、人のいない所まで黒田がおびき出す事が出来れば簡単に始末が出来る。
そう考え犬宮は慌てず、黒田が上手くおびき出してくれるのを店の外で待った。
「――――ん? 怪異とはまた違う、臭い?」
風に乗り、またしても違う臭いが犬宮の鼻を掠めた。
だが、流石に今、ここから離れるわけにはいかない。
気にはなるが、そっちは諦め待機する事にした。
すると、何故か直後、頭の中に心優の姿が現れた。
「っ……。なんだこの、嫌な予感――……」
直後、店の中から物が倒れるような大きな音が聞こえ始めた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
【連載中】は、短時間で読めるように短い文節ごとでの公開になります。
(お気に入り登録いただけると通知が行き、便利かもです)
その後、誤字脱字修正や辻褄合わせが行われて、合成された1話分にタイトルをつけ再公開されます。
(その前に、仮まとめ版が出る場合もある、かも、しれない、可能性)
物語の細部は連載時と変わることが多いので、二度読むのが通です。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる