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犬宮探偵事務所
「俺は興味ねぇからさっさと帰らせろ」
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ビルが立ち並ぶビジネス街。
古びたビルの中には女性と少年の二人と、男性が回転する椅子に背中を預け、本を顔に乗せ眠っている姿があった。
「犬宮さん、本当に寝てますか?」
「…………」
「本当に寝てる?」
「…………」
寝ている男性の隣で、女性が手に資料を抱えながら問いかけていた。
女性の名前は真矢心優。
黒いスーツを着こなし、ネクタイもきちっと付けている心優は真面目な性格。
セミロングの黒髪は、後ろで一つにまとめられていた。
「犬宮さん~~??」
────んー……。犬宮さん、本当に寝てるのぉ?
さっきから声をかけているけど、一切反応がない。
無視されているのか、それともガチ寝か……。
椅子の上で寝ている男性、犬宮賢を心優は起こそうか迷うが、結局諦めた。
「はぁ、まったく………。なんで、こうも毎日やる気がないんだろう……」
────いや、やる気も出ないよねぇ、依頼無いし……。
心優の立っている窓側からだと、ドアの方に顔を向ければ部屋全体を見渡す事が出来る。
壁側には大きな本棚、真ん中にはソファーとテーブルが置かれている。
窓際に事務机が置かれ、様々な資料や本が置かれていた。
ソファーには、一人の少年がニコニコと笑いながら足を揺らし座っていた。
紫色のおかっぱが足の揺れに合わせるように、ふわふわと動く。
――――最古君も、暇だろうなぁ。
「え、えっと……。最古君。何かしたい事とかあるかな。どこかで遊びたいとか、何か欲しいとか」
心優は手に持っていた資料を事務机に置き、最古と呼んだ少年へと駆け寄る。
――――ま、まだまだ最古君との距離は遠いし、この時間を使って少しでも距離縮めてやる!
隣に座り、笑顔で声をかけるが、ニコニコと笑い返されるだけで何も返してくれない。
――――もぉぉおおおお!!! なんで私とはこんなに距離が遠いの最古君!!
「はぁ……」
まだ、距離を縮める事が出来ない。
微妙な空気に耐えきれず、心優は息を吐き窓の外を見た。
その時、廊下の方からコツ、コツと。
人が向かってくる足音が聞こえ始める。
――――はっ、この足音、もしかして依頼人!?
慌ててポケットの中に入っているネームタグを首にかけ、慣れた手つきで寝ている犬宮の本を奪い取り、心優は椅子を蹴って起こした。
「起きてください犬宮さん!! お客様です!!」
「んー……。あと五分…………」
「朝起きられない学生ですか!! いい年のおっさんが!!」
「俺の年齢は二十九だ、おっさんじゃない」
「そこだけしっかりと否定しないでください!! ほら!! さっさと起きる!!」
犬宮の着ている白いワイシャツ引っ張り、無理やり立たせた。
「はぁ、仕方がないなぁ…………」
黒い皺が付いているスーツを申し訳ない程度に直し、椅子の背もたれにかけていた白衣を肩にかける。
まだ眠いらしく、欠伸を零し涙を拭いていた。
「まったくもぉ……。しっかりしてください!」
「しっかりしなくてもよさそうだけどね」
犬宮は何かを確認するように、鼻をスンスンと動かす。
――――え、どういうこと?
疑問には思ったが心優は質問せず、頭一個分以上違う犬宮を見上げるのみ。
心優の視線など気にせず、ソファーに座る少年、最古翔の隣に座った。
ガシガシと、黒い髪を掻きながら欠伸をこぼす犬宮を見て、心優はため息。
――――これは、もうだめだ。
諦めたところで、足音がドアの前で止まった。
気を引き締め、心優はドアの近くまで移動。ガチャガチャと音を鳴らし、ドアが開かれた。
「こんにちは、犬宮探偵事務所へようこそ。では、あちらのソファーにどうぞ」
入ってきたのは、ラフな服装を着こなしている女性。
心優の出迎えに戸惑いながらも、言われた通りソファーに腰かけた。
前に座っている犬宮と最古が気になり、ちらちらと視線を向けている。
――――なっ、犬宮さん……。明後日の方向を向かないで、依頼人に集中してくださいよ!!
最古は依頼人を気にせずニコニコ笑っているだけだが、子供だから仕方がない。
問題は、大人である犬宮の態度。
心優は鼻を鳴らし、女性に聞こえないよう耳打ちした。
『しっかりしてください! 大事なお客様の前ですよ!』
肩越しに注意され、犬宮はちらっと心優を見る。
めんどくさそうな顔を浮かべた犬宮は遠慮する事なく、低音ボイスで言い放った。
「こいつからは金の匂いがしない。俺は興味ねぇからさっさと帰らせろ」
※
ビルの一角にある探偵事務所、犬宮探偵事務所。
浮気調査や探し物など。幅広く依頼をこなしている事務所だが依頼人は少なく、一日で一回も依頼がない事などしょっちゅうであった。
その理由は、明白。
事務所を立ち上げた本人、犬宮賢のやる気が全くないから。
「勘弁してくださいよ犬宮さん!!!!!!」
「あ?」
静まり返っていた空間に、心優の甲高い怒り声が響き渡った。
先ほど来た依頼人は、犬宮の言葉で怒ってしまった。
心優が止めるが振り切られ、帰ってしまった。
女性が帰った途端、犬宮は面倒事が去ったというように窓側に置いてある回転椅子に座り直し、寝ようと顔に本を乗せる。
「ちょっと!! 話を聞いてくださいよ!!」
だが、すぐに本を奪い取り怒りをぶつけた。
「せっかくのお客様だったのに、なんで帰らせてしまうんですか!!」
――――さっきの言葉は本当にありえない!
犬宮はげんなりとした表情を浮かべ、隣に立つ心優を見上げた。
「もしかしたら今のお客様がきっかけにこの探偵事務所が有名になって、いろんなお客様に囲まれて、もっと豪華な探偵事務所を作り上げる事が出来たかもしれないのに!!」
「ポジティブなのはいい事だね。それを俺に押し付けないでほしいかな」
「あわよくばイケメンさん二人を引き込んで目の保養に出来たかもしれないのにぃぃぃい!!」
「そんなの確実に無理なのと、それはもうほとんど君の願望、夢物語だね」
心優の言葉を全て冷静に返す犬宮。
肩を落とし、心優は項垂れながら壁側に上着と共に引っかかっていた革の鞄から、一冊の薄い本を取り出した。
「この人、犬宮さんにそっくりなんですよ!! 髪色や高身長とか。あと、ものぐさなところやお金大好きなところまで! 見てください犬宮さん!!」
心優が掲げた本の表紙には、犬宮に似たボサボサな黒髪の青年が、金髪青年に押し倒され、赤面している二人の男性が描かれていた。
見る気すらない犬宮は一切動かず、寝る体勢を崩さない。
彼の様子に頬を膨らめせ、心優は本を片手に近付く。
――――絶対にこの本の良さをわからせてやる!
目を閉じている犬宮の眼前に、無理やり本を突きつけた。
「これ!! やってほしいです!!」
「…………そもそも、これは君のような嫁に行き遅れた腐った女性達の妄想だろ? 妄想というのは、捕らわれの心によって、真実でないものを真実だと誤ってしまう事を指す」
「え、はぁ!?」
「君は、自身の願望に捕らわれた可哀そうな人になっている。早くその心を正さなければ今後、普通の人間に戻れなくなるよ」
「そこまで言わなくてもいいでしょうが!!」
「君にはここまで言わないと通じないと思って。捕らわれた可哀そうな女性だからね」
「余計なお世話でっ――」
心優が本を大事に抱きしめ怒り狂っていると、部屋のドアがギギギと、音を鳴らしゆっくりと開き始めた。
「あ、お客様」
「厳密に言えば依頼人だけどね」
「どっちでもいいです!! 早く迎え入れないと、また帰られる!!」
心優は急いで、事務机の引き出しに宝物である薄い本を入れドアへと向かう。
今だドアが開ききっておらず、どんな方が依頼を持ってきてくれたのかわからない。
「お待たせしまし――た?」
急いで開きかけのドアを開け挨拶をしようとしたが、目に映るのは廊下の壁。
――――え、誰もいない?
思わず、廊下に一歩足を踏み出す。
その時、足に何かがぶつかる感覚と共に、倒れる音が下から聞こえた。
「へ、ちょ!? ご、ごごごごごごめんなさい!!」
咄嗟に下を向くと、茶髪の少年が床にしりもちを付き、心優を見上げている姿があった。
古びたビルの中には女性と少年の二人と、男性が回転する椅子に背中を預け、本を顔に乗せ眠っている姿があった。
「犬宮さん、本当に寝てますか?」
「…………」
「本当に寝てる?」
「…………」
寝ている男性の隣で、女性が手に資料を抱えながら問いかけていた。
女性の名前は真矢心優。
黒いスーツを着こなし、ネクタイもきちっと付けている心優は真面目な性格。
セミロングの黒髪は、後ろで一つにまとめられていた。
「犬宮さん~~??」
────んー……。犬宮さん、本当に寝てるのぉ?
さっきから声をかけているけど、一切反応がない。
無視されているのか、それともガチ寝か……。
椅子の上で寝ている男性、犬宮賢を心優は起こそうか迷うが、結局諦めた。
「はぁ、まったく………。なんで、こうも毎日やる気がないんだろう……」
────いや、やる気も出ないよねぇ、依頼無いし……。
心優の立っている窓側からだと、ドアの方に顔を向ければ部屋全体を見渡す事が出来る。
壁側には大きな本棚、真ん中にはソファーとテーブルが置かれている。
窓際に事務机が置かれ、様々な資料や本が置かれていた。
ソファーには、一人の少年がニコニコと笑いながら足を揺らし座っていた。
紫色のおかっぱが足の揺れに合わせるように、ふわふわと動く。
――――最古君も、暇だろうなぁ。
「え、えっと……。最古君。何かしたい事とかあるかな。どこかで遊びたいとか、何か欲しいとか」
心優は手に持っていた資料を事務机に置き、最古と呼んだ少年へと駆け寄る。
――――ま、まだまだ最古君との距離は遠いし、この時間を使って少しでも距離縮めてやる!
隣に座り、笑顔で声をかけるが、ニコニコと笑い返されるだけで何も返してくれない。
――――もぉぉおおおお!!! なんで私とはこんなに距離が遠いの最古君!!
「はぁ……」
まだ、距離を縮める事が出来ない。
微妙な空気に耐えきれず、心優は息を吐き窓の外を見た。
その時、廊下の方からコツ、コツと。
人が向かってくる足音が聞こえ始める。
――――はっ、この足音、もしかして依頼人!?
慌ててポケットの中に入っているネームタグを首にかけ、慣れた手つきで寝ている犬宮の本を奪い取り、心優は椅子を蹴って起こした。
「起きてください犬宮さん!! お客様です!!」
「んー……。あと五分…………」
「朝起きられない学生ですか!! いい年のおっさんが!!」
「俺の年齢は二十九だ、おっさんじゃない」
「そこだけしっかりと否定しないでください!! ほら!! さっさと起きる!!」
犬宮の着ている白いワイシャツ引っ張り、無理やり立たせた。
「はぁ、仕方がないなぁ…………」
黒い皺が付いているスーツを申し訳ない程度に直し、椅子の背もたれにかけていた白衣を肩にかける。
まだ眠いらしく、欠伸を零し涙を拭いていた。
「まったくもぉ……。しっかりしてください!」
「しっかりしなくてもよさそうだけどね」
犬宮は何かを確認するように、鼻をスンスンと動かす。
――――え、どういうこと?
疑問には思ったが心優は質問せず、頭一個分以上違う犬宮を見上げるのみ。
心優の視線など気にせず、ソファーに座る少年、最古翔の隣に座った。
ガシガシと、黒い髪を掻きながら欠伸をこぼす犬宮を見て、心優はため息。
――――これは、もうだめだ。
諦めたところで、足音がドアの前で止まった。
気を引き締め、心優はドアの近くまで移動。ガチャガチャと音を鳴らし、ドアが開かれた。
「こんにちは、犬宮探偵事務所へようこそ。では、あちらのソファーにどうぞ」
入ってきたのは、ラフな服装を着こなしている女性。
心優の出迎えに戸惑いながらも、言われた通りソファーに腰かけた。
前に座っている犬宮と最古が気になり、ちらちらと視線を向けている。
――――なっ、犬宮さん……。明後日の方向を向かないで、依頼人に集中してくださいよ!!
最古は依頼人を気にせずニコニコ笑っているだけだが、子供だから仕方がない。
問題は、大人である犬宮の態度。
心優は鼻を鳴らし、女性に聞こえないよう耳打ちした。
『しっかりしてください! 大事なお客様の前ですよ!』
肩越しに注意され、犬宮はちらっと心優を見る。
めんどくさそうな顔を浮かべた犬宮は遠慮する事なく、低音ボイスで言い放った。
「こいつからは金の匂いがしない。俺は興味ねぇからさっさと帰らせろ」
※
ビルの一角にある探偵事務所、犬宮探偵事務所。
浮気調査や探し物など。幅広く依頼をこなしている事務所だが依頼人は少なく、一日で一回も依頼がない事などしょっちゅうであった。
その理由は、明白。
事務所を立ち上げた本人、犬宮賢のやる気が全くないから。
「勘弁してくださいよ犬宮さん!!!!!!」
「あ?」
静まり返っていた空間に、心優の甲高い怒り声が響き渡った。
先ほど来た依頼人は、犬宮の言葉で怒ってしまった。
心優が止めるが振り切られ、帰ってしまった。
女性が帰った途端、犬宮は面倒事が去ったというように窓側に置いてある回転椅子に座り直し、寝ようと顔に本を乗せる。
「ちょっと!! 話を聞いてくださいよ!!」
だが、すぐに本を奪い取り怒りをぶつけた。
「せっかくのお客様だったのに、なんで帰らせてしまうんですか!!」
――――さっきの言葉は本当にありえない!
犬宮はげんなりとした表情を浮かべ、隣に立つ心優を見上げた。
「もしかしたら今のお客様がきっかけにこの探偵事務所が有名になって、いろんなお客様に囲まれて、もっと豪華な探偵事務所を作り上げる事が出来たかもしれないのに!!」
「ポジティブなのはいい事だね。それを俺に押し付けないでほしいかな」
「あわよくばイケメンさん二人を引き込んで目の保養に出来たかもしれないのにぃぃぃい!!」
「そんなの確実に無理なのと、それはもうほとんど君の願望、夢物語だね」
心優の言葉を全て冷静に返す犬宮。
肩を落とし、心優は項垂れながら壁側に上着と共に引っかかっていた革の鞄から、一冊の薄い本を取り出した。
「この人、犬宮さんにそっくりなんですよ!! 髪色や高身長とか。あと、ものぐさなところやお金大好きなところまで! 見てください犬宮さん!!」
心優が掲げた本の表紙には、犬宮に似たボサボサな黒髪の青年が、金髪青年に押し倒され、赤面している二人の男性が描かれていた。
見る気すらない犬宮は一切動かず、寝る体勢を崩さない。
彼の様子に頬を膨らめせ、心優は本を片手に近付く。
――――絶対にこの本の良さをわからせてやる!
目を閉じている犬宮の眼前に、無理やり本を突きつけた。
「これ!! やってほしいです!!」
「…………そもそも、これは君のような嫁に行き遅れた腐った女性達の妄想だろ? 妄想というのは、捕らわれの心によって、真実でないものを真実だと誤ってしまう事を指す」
「え、はぁ!?」
「君は、自身の願望に捕らわれた可哀そうな人になっている。早くその心を正さなければ今後、普通の人間に戻れなくなるよ」
「そこまで言わなくてもいいでしょうが!!」
「君にはここまで言わないと通じないと思って。捕らわれた可哀そうな女性だからね」
「余計なお世話でっ――」
心優が本を大事に抱きしめ怒り狂っていると、部屋のドアがギギギと、音を鳴らしゆっくりと開き始めた。
「あ、お客様」
「厳密に言えば依頼人だけどね」
「どっちでもいいです!! 早く迎え入れないと、また帰られる!!」
心優は急いで、事務机の引き出しに宝物である薄い本を入れドアへと向かう。
今だドアが開ききっておらず、どんな方が依頼を持ってきてくれたのかわからない。
「お待たせしまし――た?」
急いで開きかけのドアを開け挨拶をしようとしたが、目に映るのは廊下の壁。
――――え、誰もいない?
思わず、廊下に一歩足を踏み出す。
その時、足に何かがぶつかる感覚と共に、倒れる音が下から聞こえた。
「へ、ちょ!? ご、ごごごごごごめんなさい!!」
咄嗟に下を向くと、茶髪の少年が床にしりもちを付き、心優を見上げている姿があった。
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