124 / 130
記憶の欠片
「記憶が失ってもそう思える相手なんですから」
しおりを挟む
「こんにちわ。いらっしゃ──あ、真美ちゃん、こんにちわ。今日はショートケーキあるよ」
「本当に!? わぁい!! お母さん、私苺がいい!」
「わかったわよ。そんなに慌てなくてもケーキは逃げないから大丈夫」
外観はレンガで出来ており、レトロな雰囲気のケーキ屋に少女を連れた女性が手を繋ぎながら入る。
そのケーキ屋は【パステール】という名前だ。有名なケーキ屋で、チェーン店なため数多く様々な場所にある。その一つ一つの店は小さく、レトロな雰囲気で統一していた。
値段もお手ごろで、毎日ガラスケースの中にあるケーキは変わる。日替わりランチみたいなものだ。
真陽留はそこで働いており、ケーキなどは作れないためレジや接客メインでお店に立っていた。
記憶力も人並み以上なため、数回来たお客様を覚える事も可能。そのため、このように名前を呼んだりして、楽しく会話をしながら接客をしていた。
ショートケーキを頼み、大事そうに両手で少女はケーキを抱え帰っていく。
「ありがとう、お兄ちゃん!!!」
「どういたしまして」
手を振り二人を見送ったあと、真陽留は今日一日の仕事を終わらせたためお店を閉めようとした時、音禰がギリギリのタイミングでハイヒールの音を鳴らしながら走ってきた。
「はぁ、間に合った──かな?」
「ギリギリアウト──と、言いたいけど。残念ながらセーフだよ」
「なら良かったわ。なんでアウトと言いたいのかは分からないけれどね!!!」
音禰は頬を膨らませ怒り、彼を睨む。
「ははっ。とりあえずいつもの場所に座ってて。何が食べたいの?」
「今日のオススメ!!」
「なら、抹茶ロールケーキとかどうだ?」
「採用!!」
「はいはい」
返事すると、真陽留はそのまま店の奥に姿を消した。
音禰は、さっき真陽留に言われた言葉など一瞬のうちに忘れ、ウキウキとしながらお店に置いてあるソファーに座り、彼が来るのを待ちながら店の中を見回す。
パステールの中も、外の雰囲気を壊さないようにレトロを意識されている。
家具などは木製で統一しており、壁にはアリスの模様が入っている時計や、ハンガー掛け。少し小さめなテレビも置いてある。ここでお茶が出来るようになっており、カフェとも呼べる内装になっていた。
そんな暖かくほっとする空間に、音禰は仕事の疲れを癒しによく通っていた。
「お待たせ」
家具や壁紙などを楽しんでいると、真陽留が片手にお盆を持ち、営業スマイルを浮かべながら彼女の元へと向かい、テーブルにケーキなどを置いた。
お皿の上には、綺麗に飾られている抹茶ロールケーキが鮮やかに置かれ、その隣には湯気の立つ香り高い飲み物、珈琲も一緒に置かれた。
「珈琲も良いの?」
「僕の奢りだよ。後でしっかりと請求するから」
「それ、奢りじゃなくて立て替えって言うんだよ。なら、今普通に払うよ」
「冗談だよ。しっかりと奢るから安心して食べて」
テーブルに置き、真陽留も腰エプロンを取る。腰掛に置くと、向かいにある一人用の椅子に腰を下ろした。
「いただきます」
「召し上がれ」
二人は静かな時間を過ごしていた。そんな中、お店の奥から一人の女性が姿を現し、二人に近づいて行く。
「こんにちは、音禰ちゃん。今日も来てくれて嬉しいわ」
「あ、沙恵さん。こんにちは、今日もすごく美味しいです!」
「ありがとう」
沙恵と呼ばれた女性は、このお店の社長令嬢だ。だが、高飛車な性格ではなく、どちらかと言うとおっとりマイペースな人で、誰とでも仲良くできる性格。だが、少々天然なところもあり、時々話を聞いているとついていけない時もあった。
「ところで音禰ちゃん。最近彼氏とかそういう話は無いのかしら?」
「ぶっ!!! ゴホゲホ!!」
いきなりの質問に、彼女は飲んでいた珈琲を吹き出すところだった。真陽留は慌てて紙ナプキンを渡して背中を摩ってあげる。
「あらあら~。ごめんなさい。聞くタイミングが悪かったわね。次は気をつけるわ!」
気合いを入れ直す沙恵に、音禰と真陽留は何も言えなかった。そして、なんとか息を整えた彼女は、口に紙ナプキンを添えながら話し出す。
「えっと、こほ。なんでしたっけ……」
「彼氏さんよ。見たところ、真陽留君は違うように見えるし、他に好きな人でもいるのかしらと思ってね」
沙恵は時々ものすごく勘が鋭い時がある。
以前、一人の男性社員がお店のお金を横領しようとしていた時があり、それを偶然見合わせた沙恵が未然に防いだ事があった。その時の言葉が「何となくお店に行かないといけない気がしたのよねぇ」だったのだ。
「他にって──まぁ、真陽留とはそういう関係ではありませんが……」
「ただの幼馴染ですよ」
「それも少し違う気がするけれど……。でも、そこを今聞きたい訳では無いの。音禰ちゃん、最近気になる人でも出来てないかしら?」
彼女は目を輝かせて音禰に顔を近付ける。その迫力に圧倒され、少し気後れしている彼女だが、思い当たる人物が思い浮かばず首を横に振る。
「あの、申し訳ありませんが、そのような人は──」
否定しようとした時、何かを思い出し途中で言葉を切り、目を見張る。不思議に思った真陽留は、固まってしまった音禰に問いかけた。
「どうしたんだ、音禰」
「音禰ちゃん、やっぱり誰かいるのね?! 一体誰なの!?」
不思議に思っている真陽留とは対照的に、沙恵は先程より遥かに目を輝かせ彼女に迫る。
「いえ。なんか、少し引っかかる感じがして……。でも、思い出せないんです。なんか、すごく大事な人を忘れている気がするのですが……」
音禰は呟き、思い出そうと頭を抱えるがどうしても思い出せず項垂れてしまう。
「大事な人を忘れてしまっているという事かしら。でも、それって本当は大事な人では──」
「ちっ、違います!!!」
沙恵は冷静に言葉を口にしようとしたが、それを音禰が全力で遮り否定した。その事に驚き、沙恵と真陽留は肩を震わせる。
思ったより大きな声を出してしまった事に彼女自身も驚き、体を小さくしてしまった。
「すいません……。でも、大事な人なのは確かなんです。絶対忘れない、忘れてはいけない。そんな人が居たはずなんです」
音禰は頭を支え、何とか思い出そうとした。その行動と必死さに、沙恵は優しい笑みを向ける。
「なら、きっと思い出す事が出来るわ。記憶が失ってもそう思える相手なんですから」
沙恵の優しい笑みに、音禰はほっと息をつき「ありがとうございます」と笑みを零した。
「うんうん。まだまだ私達は若いのだから、人生はこれからよ!! 一緒にがんばりましょう!!」
沙恵は「おー」と手を伸ばし、音禰も一緒に手を突き上げた。そんな二人を真陽留は、温かく優しい瞳で見つめる。
その時、女子が一人、男子が二人の三人組がお店の中へと入ってきた。高校の制服を身にまとっているため、学生だとわかる。
今は十時近いため閉店なのだが、音禰が来た時に閉店の看板をつけるのを忘れてしまっていた。
お店側のミスなため、閉店時間だからと帰らせるわけにはいかず、真陽留と沙恵は音禰に一礼してレジの方へと向かった。
三人は注文したあと、お持ち帰りにするらしく、その場で話しながら待っていた。
音禰が抹茶ロールケーキを口に含みながら真陽留達を待っていると、三人の会話が耳に入り動きを止めた。
「本当に!? わぁい!! お母さん、私苺がいい!」
「わかったわよ。そんなに慌てなくてもケーキは逃げないから大丈夫」
外観はレンガで出来ており、レトロな雰囲気のケーキ屋に少女を連れた女性が手を繋ぎながら入る。
そのケーキ屋は【パステール】という名前だ。有名なケーキ屋で、チェーン店なため数多く様々な場所にある。その一つ一つの店は小さく、レトロな雰囲気で統一していた。
値段もお手ごろで、毎日ガラスケースの中にあるケーキは変わる。日替わりランチみたいなものだ。
真陽留はそこで働いており、ケーキなどは作れないためレジや接客メインでお店に立っていた。
記憶力も人並み以上なため、数回来たお客様を覚える事も可能。そのため、このように名前を呼んだりして、楽しく会話をしながら接客をしていた。
ショートケーキを頼み、大事そうに両手で少女はケーキを抱え帰っていく。
「ありがとう、お兄ちゃん!!!」
「どういたしまして」
手を振り二人を見送ったあと、真陽留は今日一日の仕事を終わらせたためお店を閉めようとした時、音禰がギリギリのタイミングでハイヒールの音を鳴らしながら走ってきた。
「はぁ、間に合った──かな?」
「ギリギリアウト──と、言いたいけど。残念ながらセーフだよ」
「なら良かったわ。なんでアウトと言いたいのかは分からないけれどね!!!」
音禰は頬を膨らませ怒り、彼を睨む。
「ははっ。とりあえずいつもの場所に座ってて。何が食べたいの?」
「今日のオススメ!!」
「なら、抹茶ロールケーキとかどうだ?」
「採用!!」
「はいはい」
返事すると、真陽留はそのまま店の奥に姿を消した。
音禰は、さっき真陽留に言われた言葉など一瞬のうちに忘れ、ウキウキとしながらお店に置いてあるソファーに座り、彼が来るのを待ちながら店の中を見回す。
パステールの中も、外の雰囲気を壊さないようにレトロを意識されている。
家具などは木製で統一しており、壁にはアリスの模様が入っている時計や、ハンガー掛け。少し小さめなテレビも置いてある。ここでお茶が出来るようになっており、カフェとも呼べる内装になっていた。
そんな暖かくほっとする空間に、音禰は仕事の疲れを癒しによく通っていた。
「お待たせ」
家具や壁紙などを楽しんでいると、真陽留が片手にお盆を持ち、営業スマイルを浮かべながら彼女の元へと向かい、テーブルにケーキなどを置いた。
お皿の上には、綺麗に飾られている抹茶ロールケーキが鮮やかに置かれ、その隣には湯気の立つ香り高い飲み物、珈琲も一緒に置かれた。
「珈琲も良いの?」
「僕の奢りだよ。後でしっかりと請求するから」
「それ、奢りじゃなくて立て替えって言うんだよ。なら、今普通に払うよ」
「冗談だよ。しっかりと奢るから安心して食べて」
テーブルに置き、真陽留も腰エプロンを取る。腰掛に置くと、向かいにある一人用の椅子に腰を下ろした。
「いただきます」
「召し上がれ」
二人は静かな時間を過ごしていた。そんな中、お店の奥から一人の女性が姿を現し、二人に近づいて行く。
「こんにちは、音禰ちゃん。今日も来てくれて嬉しいわ」
「あ、沙恵さん。こんにちは、今日もすごく美味しいです!」
「ありがとう」
沙恵と呼ばれた女性は、このお店の社長令嬢だ。だが、高飛車な性格ではなく、どちらかと言うとおっとりマイペースな人で、誰とでも仲良くできる性格。だが、少々天然なところもあり、時々話を聞いているとついていけない時もあった。
「ところで音禰ちゃん。最近彼氏とかそういう話は無いのかしら?」
「ぶっ!!! ゴホゲホ!!」
いきなりの質問に、彼女は飲んでいた珈琲を吹き出すところだった。真陽留は慌てて紙ナプキンを渡して背中を摩ってあげる。
「あらあら~。ごめんなさい。聞くタイミングが悪かったわね。次は気をつけるわ!」
気合いを入れ直す沙恵に、音禰と真陽留は何も言えなかった。そして、なんとか息を整えた彼女は、口に紙ナプキンを添えながら話し出す。
「えっと、こほ。なんでしたっけ……」
「彼氏さんよ。見たところ、真陽留君は違うように見えるし、他に好きな人でもいるのかしらと思ってね」
沙恵は時々ものすごく勘が鋭い時がある。
以前、一人の男性社員がお店のお金を横領しようとしていた時があり、それを偶然見合わせた沙恵が未然に防いだ事があった。その時の言葉が「何となくお店に行かないといけない気がしたのよねぇ」だったのだ。
「他にって──まぁ、真陽留とはそういう関係ではありませんが……」
「ただの幼馴染ですよ」
「それも少し違う気がするけれど……。でも、そこを今聞きたい訳では無いの。音禰ちゃん、最近気になる人でも出来てないかしら?」
彼女は目を輝かせて音禰に顔を近付ける。その迫力に圧倒され、少し気後れしている彼女だが、思い当たる人物が思い浮かばず首を横に振る。
「あの、申し訳ありませんが、そのような人は──」
否定しようとした時、何かを思い出し途中で言葉を切り、目を見張る。不思議に思った真陽留は、固まってしまった音禰に問いかけた。
「どうしたんだ、音禰」
「音禰ちゃん、やっぱり誰かいるのね?! 一体誰なの!?」
不思議に思っている真陽留とは対照的に、沙恵は先程より遥かに目を輝かせ彼女に迫る。
「いえ。なんか、少し引っかかる感じがして……。でも、思い出せないんです。なんか、すごく大事な人を忘れている気がするのですが……」
音禰は呟き、思い出そうと頭を抱えるがどうしても思い出せず項垂れてしまう。
「大事な人を忘れてしまっているという事かしら。でも、それって本当は大事な人では──」
「ちっ、違います!!!」
沙恵は冷静に言葉を口にしようとしたが、それを音禰が全力で遮り否定した。その事に驚き、沙恵と真陽留は肩を震わせる。
思ったより大きな声を出してしまった事に彼女自身も驚き、体を小さくしてしまった。
「すいません……。でも、大事な人なのは確かなんです。絶対忘れない、忘れてはいけない。そんな人が居たはずなんです」
音禰は頭を支え、何とか思い出そうとした。その行動と必死さに、沙恵は優しい笑みを向ける。
「なら、きっと思い出す事が出来るわ。記憶が失ってもそう思える相手なんですから」
沙恵の優しい笑みに、音禰はほっと息をつき「ありがとうございます」と笑みを零した。
「うんうん。まだまだ私達は若いのだから、人生はこれからよ!! 一緒にがんばりましょう!!」
沙恵は「おー」と手を伸ばし、音禰も一緒に手を突き上げた。そんな二人を真陽留は、温かく優しい瞳で見つめる。
その時、女子が一人、男子が二人の三人組がお店の中へと入ってきた。高校の制服を身にまとっているため、学生だとわかる。
今は十時近いため閉店なのだが、音禰が来た時に閉店の看板をつけるのを忘れてしまっていた。
お店側のミスなため、閉店時間だからと帰らせるわけにはいかず、真陽留と沙恵は音禰に一礼してレジの方へと向かった。
三人は注文したあと、お持ち帰りにするらしく、その場で話しながら待っていた。
音禰が抹茶ロールケーキを口に含みながら真陽留達を待っていると、三人の会話が耳に入り動きを止めた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
世界的名探偵 青井七瀬と大福係!~幽霊事件、ありえません!~
ミラ
キャラ文芸
派遣OL3年目の心葉は、ブラックな職場で薄給の中、妹に仕送りをして借金生活に追われていた。そんな時、趣味でやっていた大福販売サイトが大炎上。
「幽霊に呪われた大福事件」に発展してしまう。困惑する心葉のもとに「その幽霊事件、私に解かせてください」と常連の青井から連絡が入る。
世界的名探偵だという青井は事件を華麗に解決してみせ、なんと超絶好待遇の「大福係」への就職を心葉に打診?!青井専属の大福係として、心葉の1ヶ月間の試用期間が始まった!
次々に起こる幽霊事件の中、心葉が秘密にする「霊視の力」×青井の「推理力」で
幽霊事件の真相に隠れた、幽霊の想いを紐解いていく──!
「この世に、幽霊事件なんてありえません」
幽霊事件を絶対に許さない超偏屈探偵・青木と、幽霊が視える大福係の
ゆるバディ×ほっこり幽霊ライトミステリー!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
大正石華恋蕾物語
響 蒼華
キャラ文芸
■一:贄の乙女は愛を知る
旧題:大正石華戀奇譚<一> 桜の章
――私は待つ、いつか訪れるその時を。
時は大正。処は日の本、華やぐ帝都。
珂祥伯爵家の長女・菫子(とうこ)は家族や使用人から疎まれ屋敷内で孤立し、女学校においても友もなく独り。
それもこれも、菫子を取り巻くある噂のせい。
『不幸の菫子様』と呼ばれるに至った過去の出来事の数々から、菫子は誰かと共に在る事、そして己の将来に対して諦観を以て生きていた。
心許せる者は、自分付の女中と、噂畏れぬただ一人の求婚者。
求婚者との縁組が正式に定まろうとしたその矢先、歯車は回り始める。
命の危機にさらされた菫子を救ったのは、どこか懐かしく美しい灰色の髪のあやかしで――。
そして、菫子を取り巻く運命は動き始める、真実へと至る悲哀の終焉へと。
■二:あやかしの花嫁は運命の愛に祈る
旧題:大正石華戀奇譚<二> 椿の章
――あたしは、平穏を愛している
大正の時代、華の帝都はある怪事件に揺れていた。
其の名も「血花事件」。
体中の血を抜き取られ、全身に血の様に紅い花を咲かせた遺体が相次いで見つかり大騒ぎとなっていた。
警察の捜査は後手に回り、人々は怯えながら日々を過ごしていた。
そんな帝都の一角にある見城診療所で働く看護婦の歌那(かな)は、優しい女医と先輩看護婦と、忙しくも充実した日々を送っていた。
目新しい事も、特別な事も必要ない。得る事が出来た穏やかで変わらぬ日常をこそ愛する日々。
けれど、歌那は思わぬ形で「血花事件」に関わる事になってしまう。
運命の夜、出会ったのは紅の髪と琥珀の瞳を持つ美しい青年。
それを契機に、歌那の日常は変わり始める。
美しいあやかし達との出会いを経て、帝都を揺るがす大事件へと繋がる運命の糸車は静かに回り始める――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる