110 / 130
ベルゼ
「さぁ、人間様からの下克上の時間だ」
しおりを挟む
「これで終わりだ」
ベルゼは瞬きする一瞬で音禰の目の前まで移動し、右手で音禰の頭を握りつぶそうと伸ばす。
「…………しぶとい人間だ」
ベルゼが伸ばした手は、何も掴めず行き場をなくす。目を細め、横を見た。
「おい、しっかりしやがれ。死にてぇのか」
「ご、ごめんなさい」
明人が音禰の肩を引き寄せ、後ろに下がりベルゼから距離を置いた。
「小賢しい」
「俺だからな」
明人の後ろに音禰を下げ、ベルゼを睨みつける。音禰は明人の肩越しに、ベルゼの近くに落ちてしまった弓を見た。取りに行くタイミングを計るように、彼女は明人とベルゼを交互に見る。
「おい、お前はここから動くな」
「え、でも…………」
「お前が動いたところで、今の状況は変えられねぇよ。弓は運悪くあいつの足元、格闘術を習得していないお前は自分を守事もできねぇだろ」
「そうかもしれないけど、それは相想も一緒じゃない」
「俺は慣れてる、問題ねぇよ」
「でも!!」
明人はベルゼの動きに警戒しつつ、音禰を説得しようとする。だが、彼女もここで引くわけにはいかないと首を縦に振らない。その事に、明人は困った様に眉を下げ後ろにいる音禰を見た。
「お前は、俺を信じてくれねぇのか?」
哀しく、今にも消えてしまいそうな声で、明人は問いかけた。その声と言葉に、音禰は言葉を詰まれせ俯く。
「そんな聞き方……ずるいよ…………」
「知ってる」
明人は薄く笑みを浮かべ、音禰の頭を撫でた。
「お前はここから動くなよ。絶対に」
今の言葉に返答はない。だが、もう動かなければベルゼが先行してしまう。そうなれば、明人達は四kr津ことに徹する事となり、何もで出来ない。
音禰の頭から手を離し、明人はベルゼに向かって歩き出す。なにも出来ないと悲観してしまった音禰は、近くに落ちていた空の小瓶に目が止まる。
「これって、私が最初。小瓶の中にあった想いの欠片を、悪魔にかけた時に使った小瓶だ」
少しだけ見下ろし見つめていると、何を思ったのか。眉を吊り上げ、音禰は小瓶を片手に立ち上がる。
足を肩幅に広げ、小瓶を持った手を振り上げた。
「っ」
「っ、!?」
ベルゼが瞬時に音禰の動きに反応し、明人も彼の目線に振り返った。
「お、音禰ぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!」
明人の声が反響し、響き渡る。それと同時に、音禰は明人に腕を引っ張られ地面に倒れ込んだ。
「っ、そう…………し…………?」
すぐに体を起こし、元居た場所を見ると。そこには、無数の黒い手によって、動きを封じ込められている、明人の姿。
両腕両足。頭、首、腰と。すべての関節などが封じ込められ、明人は顔を歪め歯を食いしばる。折れている腕も遠慮なく掴まれ、痛みが明人を襲っていた。
「愚かだな。その女くらい放っておけばいいものを」
ジャリ、ジャリと。足音を鳴らし、ベルゼは明人に近付いて行く。
音禰は体から力が抜け動けず、声すら出す事が出来ない。自分のせいで明人が捕らわれてしまった事に後悔の念が芽生え、それが彼女の身体を硬直させていた。
「女を庇ったのは、失敗だったな」
「うるせぇよ」
楽し気に明人を見るベルゼ。影を操作し、明人の首を掴んでいた手を離せる。息苦しさから開放されたのもつかの間、ベルゼが両手で明人の首を絞め始めた。
「がっ」
「相想!!」
音禰が震える体を無理やり立たせ、転びながらも明人に走り寄ろうとする。だが、二本の手が音禰の両足を掴み転ばせた。その間も、ベルゼが明人の首を絞め、口角を上げる。
「残念だったな人間よ!! お主は確かに厄介だったが、やはりただの人間。殺すなど容易い。今すぐここで死んでもらうぞ!!」
ベルゼは手に力を込め首の骨を折ろうした。ミシミシという音がなり、明人は必死に手を離させようと藻掻くが、体が無数の黒い手に掴まれているため身動きが取れず何も出来ない。
明人の顔が徐々に青くなり、意識が飛びそうになっている。音禰は足を掴んでいる手を無理やり離させようとするがびくともしない。
「終わりだ、つまらなくはなかったぞ」
「相想ぃぃぃいいいい!!!!!」
音禰が喉の裂けそうな叫び声をあげ手を伸ばすのと同時に、ベルゼが明人の首を掴み力を強めた。
──────ドゴンッ!!!
「っ、なんだ」
何かがぶつかり崩れたような音が洞窟の奥から聞こえた。それと同時に土埃が舞い、ベルゼは思わず手を離す。明人は力が入らず項垂れた。
「ゴホッゴホッゲホッ……たくっ、遅せぇよ。この、のろま」
ベルゼにも聞こえないほど小さな声で呟く。そんな明人の口元はなぜか上がっており、笑みが浮かんでいた。
音が聞こえた最奥から、コツッ……コツッ……という。人が歩く音が静かなった洞窟に響く。
「なんだ、結構ぎりぎりじゃねぇか。もう少し遅かったらもしかすっとやばかったか?」
そこにはカクリを脇に抱え、怒りの炎を目に宿した真陽留がベルゼを睨みながら立っていた。
「いないと思ったら……。今までどこに居た、魔蛭よ」
「お前みたいな悪魔に言う義理はない。お前は僕達が全力で殺してやる!!!」
顔を赤くし、ベルゼに向かって怒鳴り散らす。だが、そんな怒りの声など彼にとっては全く興味のないもの。何か喚いているなぐらいの感覚だった。
つまらないと言うように目を細め、真陽留の方を見続ける。
「もう貴様は要らぬ。使えんガラクタが勝手に反発するでない」
「確かに僕は使えないガラクタかもしれない。でも、ガラクタはガラクタなりに役に立ちたいと思うんだよ。人のため、人の大事な物の為に、動きたいと思うんだ」
真陽留は脇に抱えているカクリを一目見下ろしながら言い、明人の方へと歩き出す。
「こいつ、まだ気絶してるが息はある。可能性はゼロじゃねぇよ」
「分かっとるわ」
明人は何とか掴まれている手から逃れようと動くが、無駄だった。真陽留はそんな姿の彼を見て立ち止まった。冷静に周りを見て、状況を把握しする。すると、ベルゼから少しだけ距離が離れている音禰を見つけた。
「音禰」
「真陽留……」
ベルゼから目を逸らし、音禰へと駆け寄りカクリを彼女の近くに優しく下ろした。
「少し、預かっててくれ」
優しく微笑み、真陽留は再度ベルゼを見た。肩幅に足を広げたかと思うと、右手を強く握り、肘を後ろに下げる。代わりに左手を前に出し、左足を持ち上げた。
「げっ!」
明人は何が起きるのかを察し、苦虫をつぶしたような表情になる。ベルゼは何をしようとしているのか察する事が出来ず、眉を顰め見ているのみ。
「明人、歯を食いしばれよ!!!」
力の込められた言葉と共に、ダンッと地面を踏み、引いた右手を思いっきり前へと突き出した。すると、前方に人を飛ばせるほどの勢いはある突風が吹き荒れた。
「何をっ――――」
ベルゼはもろに食らい立っている事が出来ず後方へと跳んでしまった。明人は衝撃に備え目を閉じ、顔を逸らす。黒い手はベルゼが吹っ飛ばされた事により明人を掴む力が緩まり、その隙に体を捻り抜け出した。
地面に転がり、頭を支える。折れている腕が痛く、起き上がる際少しでも衝撃が行かないように気を付けた。
「大丈夫か」
「大丈夫に見えるのなら、お前の目は節穴だな。今更眼科に行ったところで意味もなさそうだ。お前の視力は終わったな、お疲れさん」
「助けてもらっといてその言い方かよ…………」
「お前が遅いからこんな事になったんだ。自分を棚に上げるな」
「…………スイマセンデシタ」
もうキリがないと思い、真陽留は項垂れ謝罪する。明人はそんな彼の様子など見えていないかのように、普段と変わらない口調で問いかけた。
「少しの時間、任せていいんだな?」
「っ、あぁ、問題ない。あいつは、僕がやらなければならない」
真陽留は憤怒の炎を瞳に宿し、壁に背中を預けているベルゼへと近付く。
「驚いたな。まさかこんな力を持っていたとは。だが、それでも貴様では我には叶わん。死ぬだけだ」
「死ぬのはお前だ。ベルゼ」
その場で軽く跳んだり、手首や足首を曲げたりして。真陽留はいつでも行けるように準備する。
「さぁ、人間様からの下克上の時間だ」
真陽留は決意を表すように宣言すると、ベルゼへと向かって走り出した。
ベルゼは瞬きする一瞬で音禰の目の前まで移動し、右手で音禰の頭を握りつぶそうと伸ばす。
「…………しぶとい人間だ」
ベルゼが伸ばした手は、何も掴めず行き場をなくす。目を細め、横を見た。
「おい、しっかりしやがれ。死にてぇのか」
「ご、ごめんなさい」
明人が音禰の肩を引き寄せ、後ろに下がりベルゼから距離を置いた。
「小賢しい」
「俺だからな」
明人の後ろに音禰を下げ、ベルゼを睨みつける。音禰は明人の肩越しに、ベルゼの近くに落ちてしまった弓を見た。取りに行くタイミングを計るように、彼女は明人とベルゼを交互に見る。
「おい、お前はここから動くな」
「え、でも…………」
「お前が動いたところで、今の状況は変えられねぇよ。弓は運悪くあいつの足元、格闘術を習得していないお前は自分を守事もできねぇだろ」
「そうかもしれないけど、それは相想も一緒じゃない」
「俺は慣れてる、問題ねぇよ」
「でも!!」
明人はベルゼの動きに警戒しつつ、音禰を説得しようとする。だが、彼女もここで引くわけにはいかないと首を縦に振らない。その事に、明人は困った様に眉を下げ後ろにいる音禰を見た。
「お前は、俺を信じてくれねぇのか?」
哀しく、今にも消えてしまいそうな声で、明人は問いかけた。その声と言葉に、音禰は言葉を詰まれせ俯く。
「そんな聞き方……ずるいよ…………」
「知ってる」
明人は薄く笑みを浮かべ、音禰の頭を撫でた。
「お前はここから動くなよ。絶対に」
今の言葉に返答はない。だが、もう動かなければベルゼが先行してしまう。そうなれば、明人達は四kr津ことに徹する事となり、何もで出来ない。
音禰の頭から手を離し、明人はベルゼに向かって歩き出す。なにも出来ないと悲観してしまった音禰は、近くに落ちていた空の小瓶に目が止まる。
「これって、私が最初。小瓶の中にあった想いの欠片を、悪魔にかけた時に使った小瓶だ」
少しだけ見下ろし見つめていると、何を思ったのか。眉を吊り上げ、音禰は小瓶を片手に立ち上がる。
足を肩幅に広げ、小瓶を持った手を振り上げた。
「っ」
「っ、!?」
ベルゼが瞬時に音禰の動きに反応し、明人も彼の目線に振り返った。
「お、音禰ぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!」
明人の声が反響し、響き渡る。それと同時に、音禰は明人に腕を引っ張られ地面に倒れ込んだ。
「っ、そう…………し…………?」
すぐに体を起こし、元居た場所を見ると。そこには、無数の黒い手によって、動きを封じ込められている、明人の姿。
両腕両足。頭、首、腰と。すべての関節などが封じ込められ、明人は顔を歪め歯を食いしばる。折れている腕も遠慮なく掴まれ、痛みが明人を襲っていた。
「愚かだな。その女くらい放っておけばいいものを」
ジャリ、ジャリと。足音を鳴らし、ベルゼは明人に近付いて行く。
音禰は体から力が抜け動けず、声すら出す事が出来ない。自分のせいで明人が捕らわれてしまった事に後悔の念が芽生え、それが彼女の身体を硬直させていた。
「女を庇ったのは、失敗だったな」
「うるせぇよ」
楽し気に明人を見るベルゼ。影を操作し、明人の首を掴んでいた手を離せる。息苦しさから開放されたのもつかの間、ベルゼが両手で明人の首を絞め始めた。
「がっ」
「相想!!」
音禰が震える体を無理やり立たせ、転びながらも明人に走り寄ろうとする。だが、二本の手が音禰の両足を掴み転ばせた。その間も、ベルゼが明人の首を絞め、口角を上げる。
「残念だったな人間よ!! お主は確かに厄介だったが、やはりただの人間。殺すなど容易い。今すぐここで死んでもらうぞ!!」
ベルゼは手に力を込め首の骨を折ろうした。ミシミシという音がなり、明人は必死に手を離させようと藻掻くが、体が無数の黒い手に掴まれているため身動きが取れず何も出来ない。
明人の顔が徐々に青くなり、意識が飛びそうになっている。音禰は足を掴んでいる手を無理やり離させようとするがびくともしない。
「終わりだ、つまらなくはなかったぞ」
「相想ぃぃぃいいいい!!!!!」
音禰が喉の裂けそうな叫び声をあげ手を伸ばすのと同時に、ベルゼが明人の首を掴み力を強めた。
──────ドゴンッ!!!
「っ、なんだ」
何かがぶつかり崩れたような音が洞窟の奥から聞こえた。それと同時に土埃が舞い、ベルゼは思わず手を離す。明人は力が入らず項垂れた。
「ゴホッゴホッゲホッ……たくっ、遅せぇよ。この、のろま」
ベルゼにも聞こえないほど小さな声で呟く。そんな明人の口元はなぜか上がっており、笑みが浮かんでいた。
音が聞こえた最奥から、コツッ……コツッ……という。人が歩く音が静かなった洞窟に響く。
「なんだ、結構ぎりぎりじゃねぇか。もう少し遅かったらもしかすっとやばかったか?」
そこにはカクリを脇に抱え、怒りの炎を目に宿した真陽留がベルゼを睨みながら立っていた。
「いないと思ったら……。今までどこに居た、魔蛭よ」
「お前みたいな悪魔に言う義理はない。お前は僕達が全力で殺してやる!!!」
顔を赤くし、ベルゼに向かって怒鳴り散らす。だが、そんな怒りの声など彼にとっては全く興味のないもの。何か喚いているなぐらいの感覚だった。
つまらないと言うように目を細め、真陽留の方を見続ける。
「もう貴様は要らぬ。使えんガラクタが勝手に反発するでない」
「確かに僕は使えないガラクタかもしれない。でも、ガラクタはガラクタなりに役に立ちたいと思うんだよ。人のため、人の大事な物の為に、動きたいと思うんだ」
真陽留は脇に抱えているカクリを一目見下ろしながら言い、明人の方へと歩き出す。
「こいつ、まだ気絶してるが息はある。可能性はゼロじゃねぇよ」
「分かっとるわ」
明人は何とか掴まれている手から逃れようと動くが、無駄だった。真陽留はそんな姿の彼を見て立ち止まった。冷静に周りを見て、状況を把握しする。すると、ベルゼから少しだけ距離が離れている音禰を見つけた。
「音禰」
「真陽留……」
ベルゼから目を逸らし、音禰へと駆け寄りカクリを彼女の近くに優しく下ろした。
「少し、預かっててくれ」
優しく微笑み、真陽留は再度ベルゼを見た。肩幅に足を広げたかと思うと、右手を強く握り、肘を後ろに下げる。代わりに左手を前に出し、左足を持ち上げた。
「げっ!」
明人は何が起きるのかを察し、苦虫をつぶしたような表情になる。ベルゼは何をしようとしているのか察する事が出来ず、眉を顰め見ているのみ。
「明人、歯を食いしばれよ!!!」
力の込められた言葉と共に、ダンッと地面を踏み、引いた右手を思いっきり前へと突き出した。すると、前方に人を飛ばせるほどの勢いはある突風が吹き荒れた。
「何をっ――――」
ベルゼはもろに食らい立っている事が出来ず後方へと跳んでしまった。明人は衝撃に備え目を閉じ、顔を逸らす。黒い手はベルゼが吹っ飛ばされた事により明人を掴む力が緩まり、その隙に体を捻り抜け出した。
地面に転がり、頭を支える。折れている腕が痛く、起き上がる際少しでも衝撃が行かないように気を付けた。
「大丈夫か」
「大丈夫に見えるのなら、お前の目は節穴だな。今更眼科に行ったところで意味もなさそうだ。お前の視力は終わったな、お疲れさん」
「助けてもらっといてその言い方かよ…………」
「お前が遅いからこんな事になったんだ。自分を棚に上げるな」
「…………スイマセンデシタ」
もうキリがないと思い、真陽留は項垂れ謝罪する。明人はそんな彼の様子など見えていないかのように、普段と変わらない口調で問いかけた。
「少しの時間、任せていいんだな?」
「っ、あぁ、問題ない。あいつは、僕がやらなければならない」
真陽留は憤怒の炎を瞳に宿し、壁に背中を預けているベルゼへと近付く。
「驚いたな。まさかこんな力を持っていたとは。だが、それでも貴様では我には叶わん。死ぬだけだ」
「死ぬのはお前だ。ベルゼ」
その場で軽く跳んだり、手首や足首を曲げたりして。真陽留はいつでも行けるように準備する。
「さぁ、人間様からの下克上の時間だ」
真陽留は決意を表すように宣言すると、ベルゼへと向かって走り出した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
大正石華恋蕾物語
響 蒼華
キャラ文芸
■一:贄の乙女は愛を知る
旧題:大正石華戀奇譚<一> 桜の章
――私は待つ、いつか訪れるその時を。
時は大正。処は日の本、華やぐ帝都。
珂祥伯爵家の長女・菫子(とうこ)は家族や使用人から疎まれ屋敷内で孤立し、女学校においても友もなく独り。
それもこれも、菫子を取り巻くある噂のせい。
『不幸の菫子様』と呼ばれるに至った過去の出来事の数々から、菫子は誰かと共に在る事、そして己の将来に対して諦観を以て生きていた。
心許せる者は、自分付の女中と、噂畏れぬただ一人の求婚者。
求婚者との縁組が正式に定まろうとしたその矢先、歯車は回り始める。
命の危機にさらされた菫子を救ったのは、どこか懐かしく美しい灰色の髪のあやかしで――。
そして、菫子を取り巻く運命は動き始める、真実へと至る悲哀の終焉へと。
■二:あやかしの花嫁は運命の愛に祈る
旧題:大正石華戀奇譚<二> 椿の章
――あたしは、平穏を愛している
大正の時代、華の帝都はある怪事件に揺れていた。
其の名も「血花事件」。
体中の血を抜き取られ、全身に血の様に紅い花を咲かせた遺体が相次いで見つかり大騒ぎとなっていた。
警察の捜査は後手に回り、人々は怯えながら日々を過ごしていた。
そんな帝都の一角にある見城診療所で働く看護婦の歌那(かな)は、優しい女医と先輩看護婦と、忙しくも充実した日々を送っていた。
目新しい事も、特別な事も必要ない。得る事が出来た穏やかで変わらぬ日常をこそ愛する日々。
けれど、歌那は思わぬ形で「血花事件」に関わる事になってしまう。
運命の夜、出会ったのは紅の髪と琥珀の瞳を持つ美しい青年。
それを契機に、歌那の日常は変わり始める。
美しいあやかし達との出会いを経て、帝都を揺るがす大事件へと繋がる運命の糸車は静かに回り始める――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
世界的名探偵 青井七瀬と大福係!~幽霊事件、ありえません!~
ミラ
キャラ文芸
派遣OL3年目の心葉は、ブラックな職場で薄給の中、妹に仕送りをして借金生活に追われていた。そんな時、趣味でやっていた大福販売サイトが大炎上。
「幽霊に呪われた大福事件」に発展してしまう。困惑する心葉のもとに「その幽霊事件、私に解かせてください」と常連の青井から連絡が入る。
世界的名探偵だという青井は事件を華麗に解決してみせ、なんと超絶好待遇の「大福係」への就職を心葉に打診?!青井専属の大福係として、心葉の1ヶ月間の試用期間が始まった!
次々に起こる幽霊事件の中、心葉が秘密にする「霊視の力」×青井の「推理力」で
幽霊事件の真相に隠れた、幽霊の想いを紐解いていく──!
「この世に、幽霊事件なんてありえません」
幽霊事件を絶対に許さない超偏屈探偵・青木と、幽霊が視える大福係の
ゆるバディ×ほっこり幽霊ライトミステリー!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる