79 / 130
ファルシー
「これで終わりだ」
しおりを挟む
ファルシーはいきなり明人から視線を向けられたため、困惑の表情を浮かべ、額からは脂汗を流し始める。嫌な予感が頭の中を駆け巡り、引きつった笑みを浮かべた。
「えっと、私が何?」
「おい堕天使。お前、俺のために協力してくれるんだよなぁ? なら、早速手を貸してくれるな?」
明人はファルシーに手を差し出し、協力を仰いだ。だが、何か良からぬ事を企んでいるような表情に、彼女は少し手を取るのを躊躇している。
「えっと…………。具体的には何を?」
「おめぇが協力すると言ったら教えてやる」
その言葉に彼女は「えぇ……」と肩を落とす。その後、明人の手と顔を交互に見る。ムムムッと考え、どうする事も出来ないと悟り、諦めたように手を握った。
「これでお前は俺と協力関係だ。もしもの時はそれなりの対処をさせてもらう。いいな?」
「う、うん」
明人は、ファルシーの手を引っ張り自身の顔に近付かせ、脅すように言葉を投げかける。その威圧に押されるように、ファルシーは顔を青くしながらも小さく、肝に銘じるように何度も頷いた。
「んじゃ、まずは──」
ファルシーを解放し、明人はこの後何をするのかを二人に話し出した。
☆
「なるほどな。それはいつなんだい?」
「あいつらはもう動き出していてもおかしく無い、明日から始める。堕天使は病院、俺達はこの小屋で待機だ。人間相手なんだから一人でも楽勝だろ」
「まぁ、なんとなく腑に落ちないところはあるけれど、内容自体は面白そうだし、頑張るわ。でも、なぜ私が病院? 子狐ちゃんより私の方が戦えるわよ?」
「俺は小屋から動けない。そんで、カクリは俺と契約している。お前は呪いでむしばまれているか弱くかわいそうな俺を放置するつもりか?」
「…………もう、何も言わないわ」
「なら素直に従っとけ」
肩を落とし、ファルシーは自身の失言に項垂れる。カクリは哀れみの目を向け、肩にポンと、手を置いた。
この後もカクリと明人、ファルシーは作戦をしっかりと立て、明日から実行するということで話が終わる。
その後はそれぞれが時間を過ごし、夜には眠る事が出来た。その際、明人は何か企んでいるような怪しい笑みを浮かべ、ファルシーを横目で見ていた。
「さぁ、どんな反応をするかねぇ~」
☆
次の日朝。日が昇り街を照らしている。雲一つない晴天で、空は青く輝き眩しい。心地よい風も吹いており、外出している人が多い。
そんな中、ファルシーは神霧音禰《しんむおとね》が眠る病室に来ており、翼を広げ空中を漂い。暇そうに唇を尖らせ、ベッドで眠っている音禰を見下ろしていた。
看護師がいつものように音禰の様子を確認すると、ファルシーに一切目を向けず病室を出て行く。ファルシーの姿など一切見えていない。
「さて、ここでまず男が来るのを待つって事ね。それに関しては、本当につまらないわねぇ」
愚痴を零しながらも、音禰の近くで空中に浮き、時間が経過するのを待ち続けた。
☆
ファルシーが待ち続けていると、音禰がなんの前触れもなく苦しみだしてしまい目を丸くする。
息が突如として乱れ、脂汗を流し前髪を濡らす。その様子は異常で、ファルシーは眉を顰め顔を覗き込んだ。
「魘され始めた? もしかして、この子の体も限界に近いのかしら」
冷静に音禰の顔付近に手を添える。すると、淡い光が徐々に彼女を照らす。その光は儚くも見え、暖かくも感じた。
「どのような悪夢を見ているのかしら。少し、気になるわね」
呑気な事を言いながらも、音禰に光を当て続けていた。すると、荒かった呼吸は治まり始め、静かな空間にはファルシーと音禰の息遣いだけが響く。
「はぁ……はぁ……」
落ち着きを取り戻し、音禰はそのまま深い眠りに入った。
「これが禁忌魔術。代償は大きいはずなのにね。これをやった魔蛭とかいう男、一般的な思考の人間じゃない事は確かなようね。それに、悪魔が近くにいる。しかも、悪魔の中でも最悪な人物、ベルッ──」
ファルシーが悪魔の名前を口にしようとした時、どこからか黒いナイフが光の速さで彼女へと飛んでいく。反射的に避ける事が出来たファルシーの頬と腕を掠め、赤い血が流れ服を汚した。
「ちょっと、話が違うじゃない。なんでこっちに悪魔が来るのよ」
文句を口にしながら、彼女は出入口に立っている人物に目を向け、舌打ちをする。
「なんの話しか分からんな」
「こっちの話よ、気にしないで」
余裕そうに口角を上げ、ファルシーに少しずつ近付いているのは魔蛭の相棒である悪魔、ベルゼだった。
その姿は青年男性と変わらない。口角を上げ、怪しい笑みを浮かべている。
ファルシーは最初こそ驚いていたが、今はしっかりと体勢を立て直し、ベルゼを見ている。
「今すぐそこから離れてもらうぞ。邪魔だからな、堕天使よ」
楽しげに影を操り、ファルシーに向けてナイフのような鋭く尖った影を飛ばした。
ファルシーは翼を広げ空中を舞い、軽やかに全てのナイフを避けている。だが、病室の中は狭いため上手く動けず、最初こそ良かったが、今は行動を制限された状態なため、徐々に削られてしまう。
頬、腕、足。徐々に掠め始め、舌打ちが零れた。
「くっ! 堕天使を舐めないで欲しいわよ!!」
避けながら彼女は、紫色の霧を手に纏わせ、ベルゼに向かって放った。
「こんなもの──」
ナイフのような影で霧を消そうとしたが、それは無駄な行動。霧は一度分散され、再度形を作りだしそのままベルゼへと突っ込んでいく。
「ふふっ。私は堕天使。そのような甘い攻撃は効かないわよ? 悪魔は悪魔らしく、地獄で自身の行いを嘆きなさい」
妖艶な微笑みを浮かべ、右手を口元に持っていき、キスを投げかける。相手を誘惑するような姿だが、手から出しているのは黒い霧だ。
紫色の霧で動きを制限したあと、ベルゼを包み込むように黒い霧が動き出す。
「それは堕天使である、貴様がやるべき事だろう?」
ベルゼは先程より口角を上げ、鋭い牙を覗かせる。楽しげに笑いながら、ベルゼは自身の袖をめくり、腕を尖った爪で切り裂いた。
血飛沫が舞い、白い病室を赤く染める。ファルシーが出した霧もついでというように、消えてなくなってしまった。
「あらら。私は私の行いに未練はないわ。自由を手に入れたかったんだもの。仕方がないでしょ?」
霧を消された事など一切気にせず、どちらも楽しげに会話を交わし続ける。
ベルゼが出した鮮血は、霧を消し、白い病室を染めただけでなく。徐々に彼の右手に集まり始める。
「そうだな。堕天使とはそういうものだ。嫉妬、傲慢、自由を求める意思。そのようなものを優先したばかりに、お前は地上に落ち、人間にもなれず、悪魔となった。興味深い生き物だが、今は我の邪魔をする者。地獄へ落としてやろう」
ベルゼの手に集まっていた鮮血は、少しずつ形を作り始める。その形は、死神がよく持っているような大鎌。
赤く輝いている刃は、少し掠っただけでも深く切れてしまいそうに見え、普通の人なら立っている事すら出来ないだろう。
悪魔であるベルゼがそのような武器を手にしている時点で、何をしでかすか分からない。これにはファルシーも余裕な笑みを浮かべる事などできず、引き攣らせた顔でベルゼを見返した。
「それは、さすがにまずいかも」
「さぁ、堕天使。これで終わりだ」
ベルゼは鮮血で作られた大鎌を、大きく振りあげた──…………
「えっと、私が何?」
「おい堕天使。お前、俺のために協力してくれるんだよなぁ? なら、早速手を貸してくれるな?」
明人はファルシーに手を差し出し、協力を仰いだ。だが、何か良からぬ事を企んでいるような表情に、彼女は少し手を取るのを躊躇している。
「えっと…………。具体的には何を?」
「おめぇが協力すると言ったら教えてやる」
その言葉に彼女は「えぇ……」と肩を落とす。その後、明人の手と顔を交互に見る。ムムムッと考え、どうする事も出来ないと悟り、諦めたように手を握った。
「これでお前は俺と協力関係だ。もしもの時はそれなりの対処をさせてもらう。いいな?」
「う、うん」
明人は、ファルシーの手を引っ張り自身の顔に近付かせ、脅すように言葉を投げかける。その威圧に押されるように、ファルシーは顔を青くしながらも小さく、肝に銘じるように何度も頷いた。
「んじゃ、まずは──」
ファルシーを解放し、明人はこの後何をするのかを二人に話し出した。
☆
「なるほどな。それはいつなんだい?」
「あいつらはもう動き出していてもおかしく無い、明日から始める。堕天使は病院、俺達はこの小屋で待機だ。人間相手なんだから一人でも楽勝だろ」
「まぁ、なんとなく腑に落ちないところはあるけれど、内容自体は面白そうだし、頑張るわ。でも、なぜ私が病院? 子狐ちゃんより私の方が戦えるわよ?」
「俺は小屋から動けない。そんで、カクリは俺と契約している。お前は呪いでむしばまれているか弱くかわいそうな俺を放置するつもりか?」
「…………もう、何も言わないわ」
「なら素直に従っとけ」
肩を落とし、ファルシーは自身の失言に項垂れる。カクリは哀れみの目を向け、肩にポンと、手を置いた。
この後もカクリと明人、ファルシーは作戦をしっかりと立て、明日から実行するということで話が終わる。
その後はそれぞれが時間を過ごし、夜には眠る事が出来た。その際、明人は何か企んでいるような怪しい笑みを浮かべ、ファルシーを横目で見ていた。
「さぁ、どんな反応をするかねぇ~」
☆
次の日朝。日が昇り街を照らしている。雲一つない晴天で、空は青く輝き眩しい。心地よい風も吹いており、外出している人が多い。
そんな中、ファルシーは神霧音禰《しんむおとね》が眠る病室に来ており、翼を広げ空中を漂い。暇そうに唇を尖らせ、ベッドで眠っている音禰を見下ろしていた。
看護師がいつものように音禰の様子を確認すると、ファルシーに一切目を向けず病室を出て行く。ファルシーの姿など一切見えていない。
「さて、ここでまず男が来るのを待つって事ね。それに関しては、本当につまらないわねぇ」
愚痴を零しながらも、音禰の近くで空中に浮き、時間が経過するのを待ち続けた。
☆
ファルシーが待ち続けていると、音禰がなんの前触れもなく苦しみだしてしまい目を丸くする。
息が突如として乱れ、脂汗を流し前髪を濡らす。その様子は異常で、ファルシーは眉を顰め顔を覗き込んだ。
「魘され始めた? もしかして、この子の体も限界に近いのかしら」
冷静に音禰の顔付近に手を添える。すると、淡い光が徐々に彼女を照らす。その光は儚くも見え、暖かくも感じた。
「どのような悪夢を見ているのかしら。少し、気になるわね」
呑気な事を言いながらも、音禰に光を当て続けていた。すると、荒かった呼吸は治まり始め、静かな空間にはファルシーと音禰の息遣いだけが響く。
「はぁ……はぁ……」
落ち着きを取り戻し、音禰はそのまま深い眠りに入った。
「これが禁忌魔術。代償は大きいはずなのにね。これをやった魔蛭とかいう男、一般的な思考の人間じゃない事は確かなようね。それに、悪魔が近くにいる。しかも、悪魔の中でも最悪な人物、ベルッ──」
ファルシーが悪魔の名前を口にしようとした時、どこからか黒いナイフが光の速さで彼女へと飛んでいく。反射的に避ける事が出来たファルシーの頬と腕を掠め、赤い血が流れ服を汚した。
「ちょっと、話が違うじゃない。なんでこっちに悪魔が来るのよ」
文句を口にしながら、彼女は出入口に立っている人物に目を向け、舌打ちをする。
「なんの話しか分からんな」
「こっちの話よ、気にしないで」
余裕そうに口角を上げ、ファルシーに少しずつ近付いているのは魔蛭の相棒である悪魔、ベルゼだった。
その姿は青年男性と変わらない。口角を上げ、怪しい笑みを浮かべている。
ファルシーは最初こそ驚いていたが、今はしっかりと体勢を立て直し、ベルゼを見ている。
「今すぐそこから離れてもらうぞ。邪魔だからな、堕天使よ」
楽しげに影を操り、ファルシーに向けてナイフのような鋭く尖った影を飛ばした。
ファルシーは翼を広げ空中を舞い、軽やかに全てのナイフを避けている。だが、病室の中は狭いため上手く動けず、最初こそ良かったが、今は行動を制限された状態なため、徐々に削られてしまう。
頬、腕、足。徐々に掠め始め、舌打ちが零れた。
「くっ! 堕天使を舐めないで欲しいわよ!!」
避けながら彼女は、紫色の霧を手に纏わせ、ベルゼに向かって放った。
「こんなもの──」
ナイフのような影で霧を消そうとしたが、それは無駄な行動。霧は一度分散され、再度形を作りだしそのままベルゼへと突っ込んでいく。
「ふふっ。私は堕天使。そのような甘い攻撃は効かないわよ? 悪魔は悪魔らしく、地獄で自身の行いを嘆きなさい」
妖艶な微笑みを浮かべ、右手を口元に持っていき、キスを投げかける。相手を誘惑するような姿だが、手から出しているのは黒い霧だ。
紫色の霧で動きを制限したあと、ベルゼを包み込むように黒い霧が動き出す。
「それは堕天使である、貴様がやるべき事だろう?」
ベルゼは先程より口角を上げ、鋭い牙を覗かせる。楽しげに笑いながら、ベルゼは自身の袖をめくり、腕を尖った爪で切り裂いた。
血飛沫が舞い、白い病室を赤く染める。ファルシーが出した霧もついでというように、消えてなくなってしまった。
「あらら。私は私の行いに未練はないわ。自由を手に入れたかったんだもの。仕方がないでしょ?」
霧を消された事など一切気にせず、どちらも楽しげに会話を交わし続ける。
ベルゼが出した鮮血は、霧を消し、白い病室を染めただけでなく。徐々に彼の右手に集まり始める。
「そうだな。堕天使とはそういうものだ。嫉妬、傲慢、自由を求める意思。そのようなものを優先したばかりに、お前は地上に落ち、人間にもなれず、悪魔となった。興味深い生き物だが、今は我の邪魔をする者。地獄へ落としてやろう」
ベルゼの手に集まっていた鮮血は、少しずつ形を作り始める。その形は、死神がよく持っているような大鎌。
赤く輝いている刃は、少し掠っただけでも深く切れてしまいそうに見え、普通の人なら立っている事すら出来ないだろう。
悪魔であるベルゼがそのような武器を手にしている時点で、何をしでかすか分からない。これにはファルシーも余裕な笑みを浮かべる事などできず、引き攣らせた顔でベルゼを見返した。
「それは、さすがにまずいかも」
「さぁ、堕天使。これで終わりだ」
ベルゼは鮮血で作られた大鎌を、大きく振りあげた──…………
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
大正石華恋蕾物語
響 蒼華
キャラ文芸
■一:贄の乙女は愛を知る
旧題:大正石華戀奇譚<一> 桜の章
――私は待つ、いつか訪れるその時を。
時は大正。処は日の本、華やぐ帝都。
珂祥伯爵家の長女・菫子(とうこ)は家族や使用人から疎まれ屋敷内で孤立し、女学校においても友もなく独り。
それもこれも、菫子を取り巻くある噂のせい。
『不幸の菫子様』と呼ばれるに至った過去の出来事の数々から、菫子は誰かと共に在る事、そして己の将来に対して諦観を以て生きていた。
心許せる者は、自分付の女中と、噂畏れぬただ一人の求婚者。
求婚者との縁組が正式に定まろうとしたその矢先、歯車は回り始める。
命の危機にさらされた菫子を救ったのは、どこか懐かしく美しい灰色の髪のあやかしで――。
そして、菫子を取り巻く運命は動き始める、真実へと至る悲哀の終焉へと。
■二:あやかしの花嫁は運命の愛に祈る
旧題:大正石華戀奇譚<二> 椿の章
――あたしは、平穏を愛している
大正の時代、華の帝都はある怪事件に揺れていた。
其の名も「血花事件」。
体中の血を抜き取られ、全身に血の様に紅い花を咲かせた遺体が相次いで見つかり大騒ぎとなっていた。
警察の捜査は後手に回り、人々は怯えながら日々を過ごしていた。
そんな帝都の一角にある見城診療所で働く看護婦の歌那(かな)は、優しい女医と先輩看護婦と、忙しくも充実した日々を送っていた。
目新しい事も、特別な事も必要ない。得る事が出来た穏やかで変わらぬ日常をこそ愛する日々。
けれど、歌那は思わぬ形で「血花事件」に関わる事になってしまう。
運命の夜、出会ったのは紅の髪と琥珀の瞳を持つ美しい青年。
それを契機に、歌那の日常は変わり始める。
美しいあやかし達との出会いを経て、帝都を揺るがす大事件へと繋がる運命の糸車は静かに回り始める――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
世界的名探偵 青井七瀬と大福係!~幽霊事件、ありえません!~
ミラ
キャラ文芸
派遣OL3年目の心葉は、ブラックな職場で薄給の中、妹に仕送りをして借金生活に追われていた。そんな時、趣味でやっていた大福販売サイトが大炎上。
「幽霊に呪われた大福事件」に発展してしまう。困惑する心葉のもとに「その幽霊事件、私に解かせてください」と常連の青井から連絡が入る。
世界的名探偵だという青井は事件を華麗に解決してみせ、なんと超絶好待遇の「大福係」への就職を心葉に打診?!青井専属の大福係として、心葉の1ヶ月間の試用期間が始まった!
次々に起こる幽霊事件の中、心葉が秘密にする「霊視の力」×青井の「推理力」で
幽霊事件の真相に隠れた、幽霊の想いを紐解いていく──!
「この世に、幽霊事件なんてありえません」
幽霊事件を絶対に許さない超偏屈探偵・青木と、幽霊が視える大福係の
ゆるバディ×ほっこり幽霊ライトミステリー!
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる