16 / 130
夏恵
「お前が戻せ」
しおりを挟む
「お見苦しい所を見せてしまって申し訳ございません」
明人は想いの匣が入った小瓶をポケットに入れ、夏恵を家まで送った。
夏恵の家に付き、玄関先で明人が頭を下げ謝罪。夏恵は慌てて顔を上げさせる。
「へ!? いっ、いえいえ! こちらこそ、助けていただきありがとうございます」
明人の下がった眉と心配そうに揺れる瞳と目を合わせ、夏恵は無理に笑みを浮かべながらお礼を口にする。
その後すぐ、夏恵は不安げに質問した。
「それであの……。美由紀は──」
「大丈夫ですよ、治す方法は分かりました。あとはお任せ下さい」
明人は安心させるように笑みを浮かべ、小瓶が入っているポケットに手を添える。
夏恵はその言葉を聞き、肩に入っていた力を抜けた。
「では、また後日、貴方の友人宅にお邪魔させていただきたいと考えております。その時もご一緒がよろしいのですが、明後日はいかがですか?」
「あ、大丈夫です。ちょうど学校も休みなのでいつでも」
「でしたら、明後日の午後二時に迎えにあがります」
微笑みながら腰を折る姿は、どこかの執事をやっていたのかと思うほど凛々しく、美しい。
「──って、明後日、ですか? 明日じゃなくて?」
「明日は少しお時間が取れそうにないのです。申し訳ありません」
明人はすぐに謝罪し、背中を向ける。
「では、これで失礼します。また明後日に……」
明人は歩き出し、夜の闇へと姿を消した。
月は完全に登りきっているはずなのに、何故か明人の近くは闇に覆われ、すぐに姿を確認す事が出来なくなってしまった。
※
「とりあえず明日一日は猶予がある。どうやって匣を戻すかを考えるか」
明人はいつも通りに小屋の中にあるソファーへ寝転び、返してもらった小瓶を片手で弄びながら呟いた。
小瓶は、明人が匣を抜き取った状態によく似ている。だが、似ているというだけで同じではない。
彼が抜き取るのは大抵真っ黒に染まった物。しかし、手に持っているのは黄色く輝いている液体が入った小瓶。
これはそもそも抜き取ってはならない。
これだけ輝いていると言う事は、それだけ夢や想いが詰まっていると言う事になる。
それを無理やり抜き取ってしまったら戻すのは困難。
明人自身、匣を戻す方法など知らない。一日しか有余がないのも難しい案件だった。
「なぜ明後日にした? 今回の依頼人なら一週間後とかでも誤魔化せたと思うが」
「依頼人の心配なんかしてねぇよ。誰だろうと、なんか適当に言えば納得すんだろ」
「では、何故なんだい?」
「もう友人の体が持たん」
「そんなに時間が経っていたかい?」
「たりめぇだ。俺の所に来る前でもう、一週間以上経ってんだぞ、今だってギリギリな状態だ。今すぐに戻してやらんといけないところを明後日にしてんだ。正直、上手くいく保証はねぇ」
小瓶を見ながら険しい顔で言う。
彼の表情から察する事が出来る、今回の依頼は今までの比にならないくらい難しい。
時間も意識しなければならなく、遅くなれば美由紀は、本当の人形になってしまう。
「だから、明後日なのだな」
「一日でどうにかするしかねぇ」
明人がなぜ、相手の記憶を見たり、匣と呼ばれている人の想いを抜き取ったり出来るのか。それは、カクリが明人に二つの力を分けたからだ。
一つは、”真実を見る”。二つ目は”真実を取り除く”。この二つのみ。
なら、なぜ記憶を取ったり、匣と言う名の想いを引き出したり出来るのか。
それは、明人が自身で考え力の応用をさせたからだ。
記憶は真実しか映さない。
記憶を見るという事は、真実を見ると同じ。隠された想いもまたその人自身の真実。
そう考えた明人がどのようにすれば効率よく、真実を見つける事が出来るか考え、今の”匣を開ける”になった。だから、今回も応用させれば出来ると信じ、明人は考え続けた。
「おい、カクリ」
「なんだい?」
「抜き取るを入れ込むには出来ないのか?」
「どういう事だい?」
明人が何を言っているのかカクリには分からず、聞き返した。
「取ると入れるは裏と表みたいな感じだろ。逆の意味だが、完全に切り離す事が出来ない。裏と表が切り離せないなら、取ると入れるも同じ意味だから切り離す事は出来ないはず。なら、取り除くという力で取り入れるを出来ないか?」
「言ってる意味がさっぱりわからん」
「馬鹿なのか?」
「貴様がな」
カクリは頭を抱え何とか理解しようとするが、それでもわからず肩を落とす。
ふざけて言っているのならカクリももっと言い返す事が出来るが、明人は本気。
カクリは彼の真剣な表情を見てしまい、否定が出来ない。
「抜き取る、取り入れる……。どうにかなる気がするんだよな……」
「真実を取り除くと真実を見るを使い、友人の中に明人の意思と共に匣を入れる事は叶わぬのか?」
「どうやってだよ。手に持ってるだけじゃ無理に決まってんだろ。これはお前の力なんだから本人がしっかりわかってねぇと意味ねぇだろうが。猫に小判、豚に真珠だな。手に余るもん持ってると足元すくわれるぞ」
「余計なお世話だ」
カクリの力だが、カクリ自身使った事などないため、どこまでできるのかさっぱり分かっていない。
そもそも、カクリの力をこのような使い方するのは明人ぐらいなため、彼がわからないのならカクリ自身わかるはずがなかった。
「────ん? 待てよ。意思と一緒に、だと?」
明人は何かに気づくとわ寝っ転がっていた体勢から起き上がり、小瓶を凝視しながら片手を顎あたりに置きまた黙り込んだ。
「明人?」
カクリが声をかけるが、聞こえておらず反応なし。
ぼそほぞと何か言っているがカクリは今、完全に少年の姿をしているため聞き取る事が出来ない。
勝手に聞き取ると、また必要ないほどの文句を言われるのは誰でも予想ができる。
カクリは溜息を吐き、彼の考えがまとまるのを待っている事にした。
※
カクリが待ち疲れ始めた時、明人は声を上げ目を輝かせながら小瓶を高々と上げた。
「そうか、意思だ! 意思と一緒に入れればいい!」
「そうか。そういう事か」と自分一人で納得し、うんうんと頷いている。
「いい案でも思いついたのかい?」
「あぁ」
カクリを見た明人の表情は、子供が公園で遊んでいるようなキラキラした笑みだった。
そのため、カクリは明人の普段浮かべない笑顔に顔を思いっきり歪ませる。
明人と目が合った瞬間、嫌な悪寒が頭を過り、カクリは耳を塞ぎたくなる気持ちをぐっと抑えた。
「お前が戻せ、これをな!!」
テーブルにドンッと叩きつけるように小瓶をカクリに見せつけた。
聞いたカクリは、世界滅亡のような表情で見返す。体に走った悪寒の正体を知り、顔を真っ青にした。
「もう、これしか方法はないと思ってる。ま、細かな説明は明日するわ。俺は寝る、疲れた」
それだけを残し、カクリの反応を一切気にせず部屋の奥へと歩いてしまう。
匣の入った小瓶は、しっかりと手に持ちながら。
そんな彼の背中を目で追い、姿が見えなくなってもカクリはその場から動けない。
そして──
「────ふざけるな!!!!」
やっと我に返ったカクリの怒りは、小屋の中で響いたが誰の耳にも届かなかった。
明人は想いの匣が入った小瓶をポケットに入れ、夏恵を家まで送った。
夏恵の家に付き、玄関先で明人が頭を下げ謝罪。夏恵は慌てて顔を上げさせる。
「へ!? いっ、いえいえ! こちらこそ、助けていただきありがとうございます」
明人の下がった眉と心配そうに揺れる瞳と目を合わせ、夏恵は無理に笑みを浮かべながらお礼を口にする。
その後すぐ、夏恵は不安げに質問した。
「それであの……。美由紀は──」
「大丈夫ですよ、治す方法は分かりました。あとはお任せ下さい」
明人は安心させるように笑みを浮かべ、小瓶が入っているポケットに手を添える。
夏恵はその言葉を聞き、肩に入っていた力を抜けた。
「では、また後日、貴方の友人宅にお邪魔させていただきたいと考えております。その時もご一緒がよろしいのですが、明後日はいかがですか?」
「あ、大丈夫です。ちょうど学校も休みなのでいつでも」
「でしたら、明後日の午後二時に迎えにあがります」
微笑みながら腰を折る姿は、どこかの執事をやっていたのかと思うほど凛々しく、美しい。
「──って、明後日、ですか? 明日じゃなくて?」
「明日は少しお時間が取れそうにないのです。申し訳ありません」
明人はすぐに謝罪し、背中を向ける。
「では、これで失礼します。また明後日に……」
明人は歩き出し、夜の闇へと姿を消した。
月は完全に登りきっているはずなのに、何故か明人の近くは闇に覆われ、すぐに姿を確認す事が出来なくなってしまった。
※
「とりあえず明日一日は猶予がある。どうやって匣を戻すかを考えるか」
明人はいつも通りに小屋の中にあるソファーへ寝転び、返してもらった小瓶を片手で弄びながら呟いた。
小瓶は、明人が匣を抜き取った状態によく似ている。だが、似ているというだけで同じではない。
彼が抜き取るのは大抵真っ黒に染まった物。しかし、手に持っているのは黄色く輝いている液体が入った小瓶。
これはそもそも抜き取ってはならない。
これだけ輝いていると言う事は、それだけ夢や想いが詰まっていると言う事になる。
それを無理やり抜き取ってしまったら戻すのは困難。
明人自身、匣を戻す方法など知らない。一日しか有余がないのも難しい案件だった。
「なぜ明後日にした? 今回の依頼人なら一週間後とかでも誤魔化せたと思うが」
「依頼人の心配なんかしてねぇよ。誰だろうと、なんか適当に言えば納得すんだろ」
「では、何故なんだい?」
「もう友人の体が持たん」
「そんなに時間が経っていたかい?」
「たりめぇだ。俺の所に来る前でもう、一週間以上経ってんだぞ、今だってギリギリな状態だ。今すぐに戻してやらんといけないところを明後日にしてんだ。正直、上手くいく保証はねぇ」
小瓶を見ながら険しい顔で言う。
彼の表情から察する事が出来る、今回の依頼は今までの比にならないくらい難しい。
時間も意識しなければならなく、遅くなれば美由紀は、本当の人形になってしまう。
「だから、明後日なのだな」
「一日でどうにかするしかねぇ」
明人がなぜ、相手の記憶を見たり、匣と呼ばれている人の想いを抜き取ったり出来るのか。それは、カクリが明人に二つの力を分けたからだ。
一つは、”真実を見る”。二つ目は”真実を取り除く”。この二つのみ。
なら、なぜ記憶を取ったり、匣と言う名の想いを引き出したり出来るのか。
それは、明人が自身で考え力の応用をさせたからだ。
記憶は真実しか映さない。
記憶を見るという事は、真実を見ると同じ。隠された想いもまたその人自身の真実。
そう考えた明人がどのようにすれば効率よく、真実を見つける事が出来るか考え、今の”匣を開ける”になった。だから、今回も応用させれば出来ると信じ、明人は考え続けた。
「おい、カクリ」
「なんだい?」
「抜き取るを入れ込むには出来ないのか?」
「どういう事だい?」
明人が何を言っているのかカクリには分からず、聞き返した。
「取ると入れるは裏と表みたいな感じだろ。逆の意味だが、完全に切り離す事が出来ない。裏と表が切り離せないなら、取ると入れるも同じ意味だから切り離す事は出来ないはず。なら、取り除くという力で取り入れるを出来ないか?」
「言ってる意味がさっぱりわからん」
「馬鹿なのか?」
「貴様がな」
カクリは頭を抱え何とか理解しようとするが、それでもわからず肩を落とす。
ふざけて言っているのならカクリももっと言い返す事が出来るが、明人は本気。
カクリは彼の真剣な表情を見てしまい、否定が出来ない。
「抜き取る、取り入れる……。どうにかなる気がするんだよな……」
「真実を取り除くと真実を見るを使い、友人の中に明人の意思と共に匣を入れる事は叶わぬのか?」
「どうやってだよ。手に持ってるだけじゃ無理に決まってんだろ。これはお前の力なんだから本人がしっかりわかってねぇと意味ねぇだろうが。猫に小判、豚に真珠だな。手に余るもん持ってると足元すくわれるぞ」
「余計なお世話だ」
カクリの力だが、カクリ自身使った事などないため、どこまでできるのかさっぱり分かっていない。
そもそも、カクリの力をこのような使い方するのは明人ぐらいなため、彼がわからないのならカクリ自身わかるはずがなかった。
「────ん? 待てよ。意思と一緒に、だと?」
明人は何かに気づくとわ寝っ転がっていた体勢から起き上がり、小瓶を凝視しながら片手を顎あたりに置きまた黙り込んだ。
「明人?」
カクリが声をかけるが、聞こえておらず反応なし。
ぼそほぞと何か言っているがカクリは今、完全に少年の姿をしているため聞き取る事が出来ない。
勝手に聞き取ると、また必要ないほどの文句を言われるのは誰でも予想ができる。
カクリは溜息を吐き、彼の考えがまとまるのを待っている事にした。
※
カクリが待ち疲れ始めた時、明人は声を上げ目を輝かせながら小瓶を高々と上げた。
「そうか、意思だ! 意思と一緒に入れればいい!」
「そうか。そういう事か」と自分一人で納得し、うんうんと頷いている。
「いい案でも思いついたのかい?」
「あぁ」
カクリを見た明人の表情は、子供が公園で遊んでいるようなキラキラした笑みだった。
そのため、カクリは明人の普段浮かべない笑顔に顔を思いっきり歪ませる。
明人と目が合った瞬間、嫌な悪寒が頭を過り、カクリは耳を塞ぎたくなる気持ちをぐっと抑えた。
「お前が戻せ、これをな!!」
テーブルにドンッと叩きつけるように小瓶をカクリに見せつけた。
聞いたカクリは、世界滅亡のような表情で見返す。体に走った悪寒の正体を知り、顔を真っ青にした。
「もう、これしか方法はないと思ってる。ま、細かな説明は明日するわ。俺は寝る、疲れた」
それだけを残し、カクリの反応を一切気にせず部屋の奥へと歩いてしまう。
匣の入った小瓶は、しっかりと手に持ちながら。
そんな彼の背中を目で追い、姿が見えなくなってもカクリはその場から動けない。
そして──
「────ふざけるな!!!!」
やっと我に返ったカクリの怒りは、小屋の中で響いたが誰の耳にも届かなかった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
便利屋ブルーヘブン、営業中。~そのお困りごと、大天狗と鬼が解決します~
卯崎瑛珠
キャラ文芸
とあるノスタルジックなアーケード商店街にある、小さな便利屋『ブルーヘブン』。
店主の天さんは、実は天狗だ。
もちろん人間のふりをして生きているが、なぜか問題を抱えた人々が、吸い寄せられるようにやってくる。
「どんな依頼も、断らないのがモットーだからな」と言いつつ、今日も誰かを救うのだ。
神通力に、羽団扇。高下駄に……時々伸びる鼻。
仲間にも、実は大妖怪がいたりして。
コワモテ大天狗、妖怪チート!?で、世直しにいざ参らん!
(あ、いえ、ただの便利屋です。)
-----------------------------
ほっこり・じんわり大賞奨励賞作品です。
アルファポリス文庫より、書籍発売中です!
おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
大正石華恋蕾物語
響 蒼華
キャラ文芸
■一:贄の乙女は愛を知る
旧題:大正石華戀奇譚<一> 桜の章
――私は待つ、いつか訪れるその時を。
時は大正。処は日の本、華やぐ帝都。
珂祥伯爵家の長女・菫子(とうこ)は家族や使用人から疎まれ屋敷内で孤立し、女学校においても友もなく独り。
それもこれも、菫子を取り巻くある噂のせい。
『不幸の菫子様』と呼ばれるに至った過去の出来事の数々から、菫子は誰かと共に在る事、そして己の将来に対して諦観を以て生きていた。
心許せる者は、自分付の女中と、噂畏れぬただ一人の求婚者。
求婚者との縁組が正式に定まろうとしたその矢先、歯車は回り始める。
命の危機にさらされた菫子を救ったのは、どこか懐かしく美しい灰色の髪のあやかしで――。
そして、菫子を取り巻く運命は動き始める、真実へと至る悲哀の終焉へと。
■二:あやかしの花嫁は運命の愛に祈る
旧題:大正石華戀奇譚<二> 椿の章
――あたしは、平穏を愛している
大正の時代、華の帝都はある怪事件に揺れていた。
其の名も「血花事件」。
体中の血を抜き取られ、全身に血の様に紅い花を咲かせた遺体が相次いで見つかり大騒ぎとなっていた。
警察の捜査は後手に回り、人々は怯えながら日々を過ごしていた。
そんな帝都の一角にある見城診療所で働く看護婦の歌那(かな)は、優しい女医と先輩看護婦と、忙しくも充実した日々を送っていた。
目新しい事も、特別な事も必要ない。得る事が出来た穏やかで変わらぬ日常をこそ愛する日々。
けれど、歌那は思わぬ形で「血花事件」に関わる事になってしまう。
運命の夜、出会ったのは紅の髪と琥珀の瞳を持つ美しい青年。
それを契機に、歌那の日常は変わり始める。
美しいあやかし達との出会いを経て、帝都を揺るがす大事件へと繋がる運命の糸車は静かに回り始める――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
世界的名探偵 青井七瀬と大福係!~幽霊事件、ありえません!~
ミラ
キャラ文芸
派遣OL3年目の心葉は、ブラックな職場で薄給の中、妹に仕送りをして借金生活に追われていた。そんな時、趣味でやっていた大福販売サイトが大炎上。
「幽霊に呪われた大福事件」に発展してしまう。困惑する心葉のもとに「その幽霊事件、私に解かせてください」と常連の青井から連絡が入る。
世界的名探偵だという青井は事件を華麗に解決してみせ、なんと超絶好待遇の「大福係」への就職を心葉に打診?!青井専属の大福係として、心葉の1ヶ月間の試用期間が始まった!
次々に起こる幽霊事件の中、心葉が秘密にする「霊視の力」×青井の「推理力」で
幽霊事件の真相に隠れた、幽霊の想いを紐解いていく──!
「この世に、幽霊事件なんてありえません」
幽霊事件を絶対に許さない超偏屈探偵・青木と、幽霊が視える大福係の
ゆるバディ×ほっこり幽霊ライトミステリー!
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる