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ツムリエ帝国

魔法の原理ってそんな感じだったんだなぁ~

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「ふーん、こんな感じなんだなぁ~」
「そういえば、知里のacquaアクアは足止めとかにも使える代物だったね。今後、同じようなことに遭遇したら知里にお願いしようか」
「勘弁して」

 一気に襲ってきた不良どもに新acquaアクアをぶつけ、地面にくっつけ置いて来た。

「知里なら~、許されるならお金を不良達から盗むと思っていましたぁ~」
「俺をなんだと思ってやがる。そんな汚い金はいらねぇーよ。俺が欲しいのは使っても罪悪感の感じない正当な権利で手に入れた金だけだ」
「なるほど~」

 森の中をまた歩く。
 ザデットには馬車はないのか? …………ないか。
 合ったらソフィアが言ってくるもんな、多分。

「ふあぁぁあ……」
「眠いのか?」
「眠いというか、疲れた。ずっと歩いているし、休憩も休憩じゃなかったし」
「そうか」

 そうか、だけで終わるのかよ。
 まぁ、終わるか。今そんなことを言われてもソフィアはどうする事も出来ないもんな。

 ――――ザリ ザリ

 前を歩く人達は、楽しそうに話しているなぁ。
 疲れないのか? 子供ってすごいなぁ。

「――――そう言えば、知里さん」
「なんだぁ~」
「リヒトさんと私が魔法学校に編入している間、貴方達は何をされる予定ですか?」

 あー、それは考えないといけないな。
 今回の目的は、管理者に見つけられないようにする場所移動と、リヒトの魔法を強くすることだもんな。

 リヒトメインだし、俺達は何していようか。

「新しい魔道具や魔導書でも見ていたらどう? 魔道具はあるに越したことはないし、お金ならたくさんあるでしょ」
「それもそうだな」

 今は魔導書を使わなくなったけど、今の俺に合う魔道書とか、他に何か防具や武器があればいいし、見て回るのも手だな。

「なら、散策って感じか?」
「そうだな。アルカも、武器を新調していいんじゃないか? それ、いつから使ってんだ?」

 アルカが振り向いた時、なんとなく背中に抱えている剣が目に入った。
 聞いてみると、うーんと悩み、首を傾げる。

「いつだったかなぁ。冒険者を初めてからずっと同じ物を使っていたはず」
「それなら、もうそろそろ買い替え時かもしれないね。今まで酷使して来たし。いつ折れてもおかしくないかも」
「え」

 アマリアの言葉でアルカがショックを受けた。
 今まで相棒のように扱ってきた武器がもうそろそろで壊れそうと聞いたら、たしかにショックかも。

 俺は普通に魔導書を捨てたけど。

「なら、新しい武器の新調などを行っているのですね。数か月単位で行う形になると思いますが、頑張って時間を潰してください!」
「大変なのはお前らだけどな。編入、本当に出来るのか?」

 大きい魔法学校なんだろう?
 なんか、色々難しいんじゃないか? エトワールは問題ないと思うが、リヒトが。

「編入試験が近々あるはずなので、そこに滑り込むことが出来れば、あとは流れに任せるだけですよ。編入さえ、出来ればなんですがね」
「怖い事を言うなよ、どういうことだ?」
「私は余裕で編入試験をクリア出来ると思います。問題はリヒトさんなんですよね」

 自信満々だなぁ~。
 まぁ、過去、カケルと共に冒険者として活動していた魔法使いだもんな。
 そりゃぁ、自信も持てるか。

「編入試験は魔力量を図る簡単な実技試験なんですよ。それがリヒトさんに関しては、他の人の倍難しいのです」
「どう難しいんだ?」
「基本攻撃魔法を全力で放つ。これが編入試験なんです」

 あぁ、なるほど、それは悩むな。
 だって、リヒトは基本攻撃魔法を放てない。

 今の説明を聞いていたリヒトは、気まずそうに顔を下げてしまった。

「それは困ったねぇ。リヒトの気持ち次第で放てるとは思うんだけど…………」
「そうなのか?」
「魔法は基本、本人の気持ち次第だよ。頭の中でしっかりとイメージが出来ていれば、基本魔法ぐらいは放てる。属性魔法は体に適正していなければどんなにイメージしても無理だけどね」

 へぇ、魔法ってそういう原理なんだな、知らなかった。
 俺が今まで放てていたのって、どういう事なんだ?

「知里の場合はチートだから、原理を知らなくても仕方がないよ」
「そうか」

 ゲームだから、って感じだな。
 ご都合主義と言う事で。

「リヒトは、おそらく水属性が体には馴染んでいると思うんだよね。だから、知里と同じacquaアクアを出せるようになればいいと思うんだよ」

 アマリアが簡単に言うけど、それが出来ないから困っているんだろう?
 リヒトも、困ったように眉を下げている。

「リヒトさんは、何故基本攻撃魔法を出せないのか、自分で理解出来ていますか?」
「い、いえ……。何度か調べたり、自分でも放とうとしたのですが、何をやっても出来なくて。でも、攻撃魔法以外なら出せる事を知ったので、それに集中して練習したんです」
「そうなんですね」

 エトワールも眉を下げて考え込んでしまった。
 色々と、厄介ごとが重なるなぁ~。

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