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今のが言い過ぎじゃないって事は、相当やばいじゃん

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「そんなこと出来るわけないだろうが。俺を殺したいのか?」
「だって、今まで何度か怒りや恥ずかしさのパワーで魔法を繰り出していたでしょ? 今回も同じことをすれば成功すると思うよ」
「だからって、なんで俺がリヒトに抱き着かんといかんのだ」
「恥ずかしいという感情を早く出させる方法では一番でしょ? ほら、時間ないし」
「勘違いさせたら責任とれるのか?」
「それは取るよ」

 ぐぬぬぬ……。
 つーか、なんでそこまで焦ってるの? 現状をまったく理解できないんだけど。

 絶対に襖の方は見ないでと念押しされているから見ないけど。
 なんだよぉ~。なんで、俺がこんなことを言われないといけないの……。

「時間ありませんよ、チサト様」
「許しがたい事ですが、仕方がありません、今回だけですからね、チサトさん」
「カガミヤ、何かよくわからんが、頑張れ!!」
「ほらほら、早く早く。知里、時間がないよ」

 …………全員、死ねばいいのに。

「はぁ…………。女心を弄ぶような事をしたくはないんだよなぁ~。後がめんどくさいし、女の恨みは怖いし…………」
「実体験?」
「御想像にお任せします」

 アマリアが背中をつついて来たから、流石に覚悟を決めないといけないらしい。

「はぁ……。リヒト、許せ」

 近くまで移動したけど、気づかない。
 イメージをしっかりしているだろうし、今なら大丈夫かな。

 抱きついて、魔法を爆発させたらクリアだ。
 んで、そのあとはアマリアにぶん投げ。

 俺は知らんからな、後の責任を持つと言ったのはアマリアだ。
 リヒトの怒りをぶつけられやがれ。

 深呼吸して、タイミングを図る。
 もうそろそろ……やるか。

 両手を伸ばし、後ろからリヒトに抱き着いてみた。

「――――え?」
「よっ」
「き、きゃぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 おっと、うわぁ、凄い。

「思っていた通り、爆発したね」
「したねぇ」

 うわぁ、水の玉が至る所に現れた。
 見た感じ、ほとんどが小さいけど、二つくらいは大人が入れるくらい大きいのがある。

「な、ななな、なに、ななな…………」
「悪いね、リヒト。時間がなかったから知里に協力してもらったの」

 真っ赤になっているリヒト。
 そんな顔をされると、俺もなんとなく思う所があるぞ。

 なんでこんなおっさんがいいんだ、とかな。
 あ、これは前から思っていたわ。

「まぁ、これで、僕含めて三人かな、中に入れるの」
「人が入れそうな玉が二つだからな。誰が行く?」

 リヒトはまだ顔が赤く、ロゼ姫が落ち着かせている。
 なんか、俺ががめついとか、金にしか執着がないとか聞こえるんだけど、なんだよ。

 なんで俺、罵倒されてるの? 
 今回、俺、罵倒させられるところ。ある? 解せぬ。

「アルカと知里、行くよ」
「え、お、俺!?」

 俺は確実に来るとは思っていたけど、まさかアルカが抜擢されるとは思わなかったな。グレールじゃないんだ。

「今回はアルカだよ。グレールはさっきまでの戦闘で疲れているだろうし、怪我もしている。アルカの方が今回は動けると思う」
「なんで俺から目を逸らして言うの、アマリア君。ねーねー。俺と目を合わせてよ、アマリア君や」

 アマリアが俺と一切目を合わせないで、アルカだけを見つめている。
 俺を絶対に視界に入れてなるものかという強い意志を感じるよ。

 まぁ、何かわからないけど、体中痛いんだよなぇ。
 そこまで気にするほどじゃないし、動けるからあえて言わなかったけど。

 それより、アマリアの剣幕と、作戦に気を取られて、言う機会がなかったと言うべきか。

「それじゃ、リヒト。照れているところ悪いけど、魔力に集中して」

 ロゼ姫と話しているリヒトに、アマリアが声をかけた。
 すると、驚いたように二人がアマリアを見る。

「これから、リヒトがアルカと知里の命を背負うの。リヒトが気を抜いて魔法を解かれれば、二人は十秒もしないうちに死ぬ」

 おいおい、そんな脅してやるなって。
 流石にそれは言い過ぎだろう。

「知里辺り、言い過ぎとか思っているかもしれないけど、言い過ぎじゃないんだよ。僕がそれを経験しているんだ」
「…………まじ?」
「まじまじ」

 こ、怖いな……。
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