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一つ進んでもまた進めなくなってしまう
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包丁を持っているけれど、襲ってはこない。
俺とリヒトが警戒しているからなのか。それとも、他に理由があるのか。
時間稼ぎ? そうだとしたら、こっちから攻めないといけないんじゃないか?
でも、変に攻めてすり抜けられてしまったら、ロゼ姫様が危険だ。
こういう時、カガミヤはどのように潜り抜けていたのか。
思い出してみろ、カガミヤのやり方は――……
・・・・・・・・・・・・・・。
あっ、大量の魔力を使った強引な手だった。
今までの戦闘ほとんどが、最後にはめんどくさくなって魔力を考えずに魔法を放っていたんだった。
絶対に俺にはできない。
カガミヤは、すまない、参考にならん。
それなら、どうすればいい。
今回は、倒す事を目的としていない。
一番の目的は、ロゼ姫様に近付かせない事。
次の目的は、少しでもロゼ姫様に情報を渡す事。今欲しい情報はなんだろう。
「…………動かないね、アルカ」
「うん。どうすればいいんだ……?」
攻めようとはしている。
さっきから足は動いている。
目的……モンスターの目的って、ダンジョン攻略する冒険者を邪魔するのが目的か、普通に考えて。
ダンジョンを、攻略させない。それが、あのモンスターの目的。
俺達の、足止めをメインで今、動いている可能性があるかも。
攻めてこないのも、俺達をここに縛り付ける事を目的としているから、無理に襲おうとしない。
「なぁ、あのモンスター。俺達をここにいさせることを目的としているんじゃないか?」
「え? それって、時間稼ぎをしているってこと?」
リヒトの質問に、頷く。
怪訝そうな顔を浮かべているけど、それしか俺には思いつかない。
まぁ、時間稼ぎしてどうするんだっていうのも、あるけど……。
なんか、そんな動きだよな、こいつは。
さっきまでは俺達を殺そうとしたけど、今回は慎重。
「まだ、わかんねぇけど。さっきのモンスターを倒したことで、次への道が開かれてしまったから、そこに行かせないようにしている、とかって、考えられないか?」
もう一度リヒトに問いかけるけど、視線を俺からロゼ姫様に移した。
答えに困っちまったらしい。
警戒を解かず、俺も考えているロゼ姫様を見る。
すると、ハッと、何か思いついたように顔を上げた。
「なるほど。――――そう言えば、二手に分かれてしまう前、チサトさんが合わせ鏡をしていましたね。モンスターの奥に、合わせ鏡の片割れが落ちているのかも……」
合わせ鏡、か。
たしかに、カガミヤが合わせ鏡というものを試そうと言って、実際にやったら事態が急展開したんだったな。
合わせ鏡の意味がよくわかっていないけど、このダンジョンを攻略するには絶対に絡んでいるだろう。
「合わせ鏡に使っていた手鏡を探しましょう。あのモンスターを倒して」
ロゼ姫様が言いきると、モンスターが俺達の空気を察したのか、どこか焦ったように走り出した。
ここで足止めしていては駄目だと感じたらしい。
「ground・blade」
土の刃で動きを制限すると、足を止めた。
その隙に走り抜ける。
倒さなければならないわけではないらしいし、ここは無視させてもらう!
走ると、後ろから足音。
簡単に俺の土の刃を抜けたらしい。
それでも、走り続ければ何かを見つけられるかもしれない。
目だけを周りに向け、目的である手鏡を――……
「後ろ!!」
リヒトの声で後ろを見ると、さっきまででは考えられないほどの足の速さで追いかけてきていた。
これでは追い付かれてしまう!
「ドンちゃん、フィンちゃん! 足止めしなさい!」
あっ、ロゼ姫様のイルカ二体が生きていた!
すぐに向かう。これで少しは足止めを――……
――――ザシュッ
「――――え?」
「そんなっ!」
簡単に、酸のイルカを、切った?
でも、酸だぞ。包丁で切れる訳がない!
「あの包丁も普通ではないらしいですね。酸魔法が効かない」
「やっぱり、鎖魔法か物理で攻撃するしかないのか!?」
「そうしかないかもしれませんが、今は魔力の温存も考えたいです。走るだけ走って、追いつかれそうでしたら魔法を繰り出しましょう!」
「はい!」
走りながら手鏡を探していると――……
「あ、ありました!」
廊下の真ん中にポツンと落ちている手鏡を走りながら拾い上げると、カガミヤが持っていた物と同じくお札というものが貼られていた。
「これを使って合わせ鏡というものをすればいいんだよな!」
「そのはずですよ! ですが――……」
ロゼ姫様が一瞬だけ襖を開けようとするけど、開かない。
「姿見があるはずの襖の奥に行く事が出来ません」
「えっ、どうすればいいんだ!?」
手鏡を覗くと――――あ、あれ? な、なんか魔力を感じる?
ん? なんか、赤くひかっ──……
俺とリヒトが警戒しているからなのか。それとも、他に理由があるのか。
時間稼ぎ? そうだとしたら、こっちから攻めないといけないんじゃないか?
でも、変に攻めてすり抜けられてしまったら、ロゼ姫様が危険だ。
こういう時、カガミヤはどのように潜り抜けていたのか。
思い出してみろ、カガミヤのやり方は――……
・・・・・・・・・・・・・・。
あっ、大量の魔力を使った強引な手だった。
今までの戦闘ほとんどが、最後にはめんどくさくなって魔力を考えずに魔法を放っていたんだった。
絶対に俺にはできない。
カガミヤは、すまない、参考にならん。
それなら、どうすればいい。
今回は、倒す事を目的としていない。
一番の目的は、ロゼ姫様に近付かせない事。
次の目的は、少しでもロゼ姫様に情報を渡す事。今欲しい情報はなんだろう。
「…………動かないね、アルカ」
「うん。どうすればいいんだ……?」
攻めようとはしている。
さっきから足は動いている。
目的……モンスターの目的って、ダンジョン攻略する冒険者を邪魔するのが目的か、普通に考えて。
ダンジョンを、攻略させない。それが、あのモンスターの目的。
俺達の、足止めをメインで今、動いている可能性があるかも。
攻めてこないのも、俺達をここに縛り付ける事を目的としているから、無理に襲おうとしない。
「なぁ、あのモンスター。俺達をここにいさせることを目的としているんじゃないか?」
「え? それって、時間稼ぎをしているってこと?」
リヒトの質問に、頷く。
怪訝そうな顔を浮かべているけど、それしか俺には思いつかない。
まぁ、時間稼ぎしてどうするんだっていうのも、あるけど……。
なんか、そんな動きだよな、こいつは。
さっきまでは俺達を殺そうとしたけど、今回は慎重。
「まだ、わかんねぇけど。さっきのモンスターを倒したことで、次への道が開かれてしまったから、そこに行かせないようにしている、とかって、考えられないか?」
もう一度リヒトに問いかけるけど、視線を俺からロゼ姫様に移した。
答えに困っちまったらしい。
警戒を解かず、俺も考えているロゼ姫様を見る。
すると、ハッと、何か思いついたように顔を上げた。
「なるほど。――――そう言えば、二手に分かれてしまう前、チサトさんが合わせ鏡をしていましたね。モンスターの奥に、合わせ鏡の片割れが落ちているのかも……」
合わせ鏡、か。
たしかに、カガミヤが合わせ鏡というものを試そうと言って、実際にやったら事態が急展開したんだったな。
合わせ鏡の意味がよくわかっていないけど、このダンジョンを攻略するには絶対に絡んでいるだろう。
「合わせ鏡に使っていた手鏡を探しましょう。あのモンスターを倒して」
ロゼ姫様が言いきると、モンスターが俺達の空気を察したのか、どこか焦ったように走り出した。
ここで足止めしていては駄目だと感じたらしい。
「ground・blade」
土の刃で動きを制限すると、足を止めた。
その隙に走り抜ける。
倒さなければならないわけではないらしいし、ここは無視させてもらう!
走ると、後ろから足音。
簡単に俺の土の刃を抜けたらしい。
それでも、走り続ければ何かを見つけられるかもしれない。
目だけを周りに向け、目的である手鏡を――……
「後ろ!!」
リヒトの声で後ろを見ると、さっきまででは考えられないほどの足の速さで追いかけてきていた。
これでは追い付かれてしまう!
「ドンちゃん、フィンちゃん! 足止めしなさい!」
あっ、ロゼ姫様のイルカ二体が生きていた!
すぐに向かう。これで少しは足止めを――……
――――ザシュッ
「――――え?」
「そんなっ!」
簡単に、酸のイルカを、切った?
でも、酸だぞ。包丁で切れる訳がない!
「あの包丁も普通ではないらしいですね。酸魔法が効かない」
「やっぱり、鎖魔法か物理で攻撃するしかないのか!?」
「そうしかないかもしれませんが、今は魔力の温存も考えたいです。走るだけ走って、追いつかれそうでしたら魔法を繰り出しましょう!」
「はい!」
走りながら手鏡を探していると――……
「あ、ありました!」
廊下の真ん中にポツンと落ちている手鏡を走りながら拾い上げると、カガミヤが持っていた物と同じくお札というものが貼られていた。
「これを使って合わせ鏡というものをすればいいんだよな!」
「そのはずですよ! ですが――……」
ロゼ姫様が一瞬だけ襖を開けようとするけど、開かない。
「姿見があるはずの襖の奥に行く事が出来ません」
「えっ、どうすればいいんだ!?」
手鏡を覗くと――――あ、あれ? な、なんか魔力を感じる?
ん? なんか、赤くひかっ──……
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