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タッグバトル

言い方を間違えるんじゃねぇぞ、俺は巻き込まれただけだ

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 タッグバトル開催は明日の朝、十時かららしい。
 それまでに準備を整えていろだとよ。

 場所は、受付の近くにあった場外闘技場。
 感覚的には、相撲するときの部屋より少し大きい程度。格技場位かな。

 もう少し大きかったらありがたかったんだが、こればっかりは仕方がない。
 俺は全力でやるだけだ、賞金のために。

「あまり本気を出さないでよ、知里」
「なんでだよ、アマリア。本気を出さないで負けるとか、普通にかっこ悪いだろう」

 今は城に戻っている途中。
 賑わっている道を邪魔にならないように歩いていた。

 そんな時、アマリアに何故か警戒されているような言葉を言われた。

「君の魔力は普通と違って、チート級なんだよ? それに、本気を出して僕が作った機械を壊したこと覚えてる? 油断してもいいんだよ、君の場合は」

 あー、こいつ、まだ根に持ってやがるな。

 俺が、油断せず魔力をぶっぱなって、アマリアの冒険者入隊のために作られたであろう機械を壊したの。

「基本はクラウドに任せた方がいいと思うよ。殺しそうになったら止める感じで。どうせ、クラウドも簡単には負けないし、出番ないでしょ」
「なんか、言葉の節々に棘を感じるんだが、怒ってんのか?」
「別に」

 これは、さっきネチネチと責めた事も根に持ってんな。
 顔を逸らしているだけだけど、なんとなく察した。

 アマリアって、表情とか態度とかがいつも冷静でわかりにくいが、意外と子供っぽい所があるから、察する事は可能なんだよな。

 俺の場合は、アマリアと魔力が繋がっているからというのもあるかもだけど。

「あの、一つ気がかりな事があるのですが、よろしいですか?」
「おう、どうした?」

 後ろを歩いていたグレールが声をかけてきた。
 気がかりとはなんだ?

「気がかりというか、少々警戒して頂きたいことがあります」
「警戒?」

 今回のタッグバトルで、警戒しないといけない人物がいるのか?

「今回の参加者名簿、明日しっかり確認した方がいいと思います」
「なんでだ?」
「毎年同じ人が参加できるのがこのイベントの良い所なのですが、毎年勝つ人は同じだったはずですよ」
「え、まじ?」

 その人とは、一体誰なんだ?

「はい。興味ないので名前までは憶えていませんが、毎年同じ組が勝ち進み、参加者が減ってきていると悩みを耳にしたことがあります」
「グレールが相談を受けたのか?」
「はい。私に話しても意味はないと突っぱねましたがね」

 ロゼ姫関連じゃないから興味を持たなかったんだな。

 グレールを動かしたかったらまず、ロゼ姫を納得させないといけないが、相手は姫、話すだけでも無理か。

「今年も今までと同じやり方のはずなので、参加者は少ないかもしれないですね」
「少なければ少ないほど、参加者的には嬉しいことだろう。トーナメント戦だしな」

 すぐに終わらせることが出来るはず。

「そう簡単に行きますかねぇ」
「…………不穏な事を言うな、グレール。対戦相手以外にもなにか不安に思う要素があるのか?」
「今までの経験ですよ、不安要素」

 経験? どういう事だ?

「今まで、チサト様が関わってきた物事、スムーズに進んだ経験、あります?」
「言わないで」

 つーか、言葉を間違えるな。
 俺が関わってきたというより、俺が巻き込まれてきた物事だ。 

 そこを間違えるんじゃねぇよ、大きな違いだぞ。

「まぁ、大丈夫だろう。今回はルールの元で行われるわけだし、さすがにこんなイベントで管理者などは関わっていないだろう」

 管理者さえ関わっていなければ、特に問題はないはず。

 少しトラブルが起きたとしても、俺が解決しなければならない案件ってないだろうし、後は警備員とかにぶん投げるだろう。

 最悪、グレールとロゼ姫にぶん投げる、俺は知らん。
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