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クロヌの言う男
まさか、ここに大きなトラップがあったなんて……
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「大丈夫ですか? カガミヤさん」
「いや、俺よりリヒトの方が大丈夫か?」
「……………………体重計に乗らなければ、大丈夫です」
遠い目を浮かべているなぁ、悪かったって。
結局俺は、生クリームに胃がやられ、リヒトが俺の分も完食。
余裕そうに食っていたなぁ。
甘いものは別腹ってやつか? さすがにすごいなと感心しちまった。
「リヒトは動いているんだから、特に問題はないだろうが」
「う、うっう…………」
「はいはい」
顔を覆って泣くんじゃありません。
そんなに体重を気にしなくてもいいだろうが。おめぇ、軽いんだからよ。
女は痩せすぎより、少し肉あった方がいいんだぞ。
健康体が一番だ。
「んじゃ、今から歩いて、少しでも食ったもん消費するか」
「はい…………」
「美味しかったんだからいいだろう。それとも、美味しくなかったか?」
顔を覗き込み聞くと、すぐに首を横に振った。
「ものすごく美味しかったです! 止まらないくらいに!」
「それなら良かったじゃねぇか。今まで大変だった分、少しは自分に甘い褒美でもあげてやれ。心が休まらんくなるぞ」
今まで休暇と呼べる休暇はなかったし。
こんな時ぐらい、我慢する必要ないだろう。
まぁ、俺には女の気持ちを理解するなんて無理だし、これ以上は何も言わんよ。
痩せて綺麗でいたいと思うのも、女らしいしな。
「あ、ありがとうございます」
「礼を言われるようなことは言っとらん」
さて、このあとどうすっかなぁ。
俺はこのまま帰ってもいいが、リヒトは俺がもう問題ないくらい回復したとわかってくれただろうか。
後ろを見ると――見なければ良かった。
リヒト、めっちゃ赤かった、顔。
しかも、なんか、恋する乙女みたいな顔を浮かべていた。
いや、え、――――あっ!!?
そういや、今のこの状況って、普通に考えればやばくないか?
まったく意識していなかったが、確実にこれって、デート………だよ、な?
いや、俺は全く意識していなかったんだから、ノーカウントか?
つーか、これ、ロゼ姫にばれたらまずくないか?
…………知っていたんだったぁぁぁぁぁぁあ!!
帰ったら確実に溶かされる。
酸の魔法で溶かされる!!
「あ、あの、カガミヤさん? 大丈夫ですか?」
「…………ナンデモナイデス」
思わず頭を抱えてしまった。
いや、わかってくれるはず。ロゼ姫なら、わかってくれるはずだ。
「――――あ、あれ」
「ん? どうした?」
――――あ?
なんか、人の波が変わった?
「受け付け始まったみたい!」
「行こうぜ行こうぜ!」
な、なんだなんだ?? 何の受付だ?
オスクリタ海底の住人達が皆、一つの場所に向かって行く。
「受付という事は、何かが始まるんですね。行ってみませんか?」
「………………………………はい」
無邪気な笑みを向けられては、断れるわけがなかった。
昔の俺なら確実に断っていたんだがなぁ。
いや、前までの俺ならまずここまでこいつのために行動しないか。
もう、絆されたと完全に認めますよ、はい。
・
・
・
・
・
・
人波に乗り向かった先は、闘技場?
野外の闘技場だ、なんだ、ここ。
「今日はどんな奴が参加するんだろうな!!」
「どんな戦いを見る事が出来るんだろう!!」
なんか、ワクワクしてんな。
これって、なんだ?
「さぁ!! 受け付け始まりました!! 参加希望の方はこちらで受付を済ませてください!!」
前の方で男の声が聞こえる。
受付、イベントか何かか?
「何が始まるんでしょう」
「わからん。まぁ、俺達には関係のない事だろう。行くぞ」
まったく、こんなもんのために俺はここまでついて来てしまったのか。
早くこの人の波から抜けだっ――……
「今年の受賞者への豪華賞品は、めったに手に入れる事が出来ない魔導書と、賞金として三百万ヘリトだぁぁぁぁ!!!」
………………………………ほう。
三百万ヘリト、三百万か。悪くは無い金額だな。
「か、カガミヤさん? なんか、あの、顔が…………」
魔導書は正直、今ので十分だから特にいいが、賞金の方がおいしいな。
「リヒト」
「は、はい」
「出るぞ」
「へ?」
「このイベント、なにかわからんが、出るぞ!!!」
「え、え?」
困惑しているリヒトの手を引き受付に向かう。
よし、ちょうど列が切れたみたいだな。
「すんませーん」
「はい、タッグバトル参加希望者ですか?」
「タッグバトル? まぁ、よくわからんが参加希望だ」
「わかりました。二人の参加者が必要ですが、どなたが参加いたしますか?」
「俺とこいつ」
後ろにいるリヒトを指さすと、何故か眉を下げ申し訳ないというような顔を浮かべられた。
な、なんだ?
「申し訳ありません。女性の参加はNGなんです」
「…………え」
う、そだろ?
「いや、俺よりリヒトの方が大丈夫か?」
「……………………体重計に乗らなければ、大丈夫です」
遠い目を浮かべているなぁ、悪かったって。
結局俺は、生クリームに胃がやられ、リヒトが俺の分も完食。
余裕そうに食っていたなぁ。
甘いものは別腹ってやつか? さすがにすごいなと感心しちまった。
「リヒトは動いているんだから、特に問題はないだろうが」
「う、うっう…………」
「はいはい」
顔を覆って泣くんじゃありません。
そんなに体重を気にしなくてもいいだろうが。おめぇ、軽いんだからよ。
女は痩せすぎより、少し肉あった方がいいんだぞ。
健康体が一番だ。
「んじゃ、今から歩いて、少しでも食ったもん消費するか」
「はい…………」
「美味しかったんだからいいだろう。それとも、美味しくなかったか?」
顔を覗き込み聞くと、すぐに首を横に振った。
「ものすごく美味しかったです! 止まらないくらいに!」
「それなら良かったじゃねぇか。今まで大変だった分、少しは自分に甘い褒美でもあげてやれ。心が休まらんくなるぞ」
今まで休暇と呼べる休暇はなかったし。
こんな時ぐらい、我慢する必要ないだろう。
まぁ、俺には女の気持ちを理解するなんて無理だし、これ以上は何も言わんよ。
痩せて綺麗でいたいと思うのも、女らしいしな。
「あ、ありがとうございます」
「礼を言われるようなことは言っとらん」
さて、このあとどうすっかなぁ。
俺はこのまま帰ってもいいが、リヒトは俺がもう問題ないくらい回復したとわかってくれただろうか。
後ろを見ると――見なければ良かった。
リヒト、めっちゃ赤かった、顔。
しかも、なんか、恋する乙女みたいな顔を浮かべていた。
いや、え、――――あっ!!?
そういや、今のこの状況って、普通に考えればやばくないか?
まったく意識していなかったが、確実にこれって、デート………だよ、な?
いや、俺は全く意識していなかったんだから、ノーカウントか?
つーか、これ、ロゼ姫にばれたらまずくないか?
…………知っていたんだったぁぁぁぁぁぁあ!!
帰ったら確実に溶かされる。
酸の魔法で溶かされる!!
「あ、あの、カガミヤさん? 大丈夫ですか?」
「…………ナンデモナイデス」
思わず頭を抱えてしまった。
いや、わかってくれるはず。ロゼ姫なら、わかってくれるはずだ。
「――――あ、あれ」
「ん? どうした?」
――――あ?
なんか、人の波が変わった?
「受け付け始まったみたい!」
「行こうぜ行こうぜ!」
な、なんだなんだ?? 何の受付だ?
オスクリタ海底の住人達が皆、一つの場所に向かって行く。
「受付という事は、何かが始まるんですね。行ってみませんか?」
「………………………………はい」
無邪気な笑みを向けられては、断れるわけがなかった。
昔の俺なら確実に断っていたんだがなぁ。
いや、前までの俺ならまずここまでこいつのために行動しないか。
もう、絆されたと完全に認めますよ、はい。
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人波に乗り向かった先は、闘技場?
野外の闘技場だ、なんだ、ここ。
「今日はどんな奴が参加するんだろうな!!」
「どんな戦いを見る事が出来るんだろう!!」
なんか、ワクワクしてんな。
これって、なんだ?
「さぁ!! 受け付け始まりました!! 参加希望の方はこちらで受付を済ませてください!!」
前の方で男の声が聞こえる。
受付、イベントか何かか?
「何が始まるんでしょう」
「わからん。まぁ、俺達には関係のない事だろう。行くぞ」
まったく、こんなもんのために俺はここまでついて来てしまったのか。
早くこの人の波から抜けだっ――……
「今年の受賞者への豪華賞品は、めったに手に入れる事が出来ない魔導書と、賞金として三百万ヘリトだぁぁぁぁ!!!」
………………………………ほう。
三百万ヘリト、三百万か。悪くは無い金額だな。
「か、カガミヤさん? なんか、あの、顔が…………」
魔導書は正直、今ので十分だから特にいいが、賞金の方がおいしいな。
「リヒト」
「は、はい」
「出るぞ」
「へ?」
「このイベント、なにかわからんが、出るぞ!!!」
「え、え?」
困惑しているリヒトの手を引き受付に向かう。
よし、ちょうど列が切れたみたいだな。
「すんませーん」
「はい、タッグバトル参加希望者ですか?」
「タッグバトル? まぁ、よくわからんが参加希望だ」
「わかりました。二人の参加者が必要ですが、どなたが参加いたしますか?」
「俺とこいつ」
後ろにいるリヒトを指さすと、何故か眉を下げ申し訳ないというような顔を浮かべられた。
な、なんだ?
「申し訳ありません。女性の参加はNGなんです」
「…………え」
う、そだろ?
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