上 下
286 / 520
クロヌの言う男

もうそろそろ本気で情報収集していかないといけなくなったな

しおりを挟む
「体の方は大丈夫だよ。取り乱してごめん」
「俺も取り乱していたわ。んで、なんで駄目なんだ?」

 つい色々質問しちまったが、アマリアがだいぶ冷静になってくれたからカオスな状態にならんで済んだ。

「クロヌはおそらく、まだ大きく動かないと思うよ。今回も確認の為とか言っていたでしょ?」
「会話、聞こえていたんだな」
「さすがに苦しかったし辛かったけど、聞き逃してはいけないって思ってね。あとは、管理者だった頃の癖かな」

 何があっても話は聞き逃してはいけない、というルールが管理者には合ったのだろうか。

 俺だったら確実に寝るから無理だな。
 会議とかの場合は、特に。

「確認って、何をしたかったのでしょうか」
「それが全く分からないんだよな。クラウドが使える人材なのを確認するためとかだったら普通に笑うな」

「あっはっはっはっ」と笑い飛ばそうとすると、なぜかみんなの視線が集中する。
 特に、クラウドからの視線が痛い。

 な、なに?
 俺が見られる事嫌いなの知っているだろう、なんで見て来る、見るな。

「…………今の、あり得るかもね。知里がいない時に狙ったのは、リヒトか誰かを運よく殺せたらとかかもしれないし」
「…………マジ?」

 そんなことあるのか? 
 超適当に言ったんだが?

「クロヌなら考えそうなことだよ。目的の為なら手段は選ばない。仲間である管理者達も、道具としか思っていないだろうしね。言うなれば、捨て駒」

 ……本当に、腐ってんな。
 そういう思想だから、アマリアは受け付けなかったんだな。だが、フェアズの為、耐えてきた──と。

「でも、管理者が動ているのは明白だろう? クロヌじゃないのなら、他に誰が動いているとかは予想出来ないのか?」
「そうだね。それなら、ウズルイフが濃厚かな。アクアとクロは命令されないと動かないし、頭を使う事もさせないしね」

 頭を使うことをさせない……?

「その二人、馬鹿なのか?」
「頭を使うことは得意では無いよ」

 なるほどなぁ、言い方を柔らかくしているが、簡単に言えば馬鹿なんだな。
 アクアは感覚派そうだもんな、別に驚かんわ。

 でも、いつもクロと共に行動しているんじゃないのか?

 最初、アクアと初めて会った時しかクロを見ていないが、そこまで馬鹿ではないような気がする。

「なぁ、アクアは納得できるが、クロも馬鹿なのか?」
「普通だよ。リヒトくらいの頭脳じゃないかな」

 あっ、リヒトが目を丸くしている。
 名前を呼ばれるとは思っていなかったんだな。

「なるほど。確かにそれだと、自ら動くのは難しいかもな」
「そうなんだよね」

 アクアとクロが動き出す線は薄い。
 なら、やっぱり最初アマリアが言っていたようにウズルイフか。

 あいつが動いているのは厄介だな、今度はどこから攻めて来るんだ。予想ができない。

 いや、それも気になるんだが、クラウドとクロヌについても考えないといけなくなってきた。

「なぁ、クラウド。というか、アンヘル族のおめぇらは、管理者について知っているんだよな?」

 三人は顔を見合せ、代表としてアンジェロが教えてくれた。

「知っているよぉ~。僕と姉さんは、目を付けられて殺されかけたんだからぁ~」
「え、そうなの?」
「うんうん」

 アマリアを見てみるけど、目を丸くしている。

 知らない案件だったの思うよ
 でも、アマリアが知らないなんてこと――忘れているだけかもしれないな。

 アマリアはぼぉ~っとしていることが多いし。

「今、僕の事、馬鹿にしなかった?」
「気のせい」
「そう。それより、アンヘル族を襲ったのって、おっさんだった?」

 言い方よ。
 もう、クロヌの事を指しているじゃん。

「おっさんとぉ、紫の人ぉ~」
「クロヌとウズルイフだね。この二人、関係長いらしいし、一緒に行動することが多いのかな」

 へぇ、その二人、長いんだ。

 クロヌが指示出しをしていたという事は、リーダー的な立場なんだろう?
 なら、ウズルイフは側近的な立場か? クロヌを守る騎士的な?

 …………性格上ありえないか。

「あぁ、それとぉ~。おそらくだけど、まだアマリアはいなかったと思うよぉ。管理者にぃ~」
「え、そうなのか? アマリアって、古株じゃないのか?」

 驚きのあまり聞いてしまうと、アマリアは首を振って「違うよ」と言った。

「どっちかというと、僕は新しい方じゃないかな。僕の後に入ったのはアクアとクロだけだったはず」
「新参者だったのか」
「まぁ、そうね」

 なるほどねぇ。
 クロとアクアがアマリアの後となると、フィルムとウズルイフが先に入っていたって事か。

「…………本格的に管理者についてと、アンヘル族について、調べないといけなくなってきたな」
「僕も、もうそろそろ本気で話そうかな。管理者について」

 おっ、それはマジで助かるわ。

「ただ、興味がなかったから、そこまで有益な情報ではないことは覚悟してね」
「…………はい」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

処理中です...