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プルウィア

魔法や魔力が強ければその人自身が強く感じるの不思議

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 アルカとグレールはそこでひとまず終了。
 横から女性の声が聞こえたため、そっちに目を向けるとリヒトとロゼ姫が動き出していた。

 リヒトは杖を上げ、いつものように魔法を発動。

chainチェイン!」

 リヒトが唱えると、地面や自身の周りを囲っているシールドから鎖が出現。
 ロゼ姫を掴もうと勢いよく向かって行く。

「甘いわね」

 ロゼ姫は右手で何かを掴む動きをしたかと思うと、水の杖が現れ、前に突き出した。

acidアシッド

 ロゼ姫の魔法、初めて見るな……。
 ワクワクしながら見ていると、ロゼ姫に向かって行く鎖が何かにぶつかり、溶けた……?

 何が起きたのかロゼ姫を見ると、周りに俺の魔法、acquaアクアと同じような水の球が作り出されている。

 まさか、あれで鎖を溶かしたのか? そんな馬鹿な……。

「ロゼ姫の魔法は、確か酸だったはず」
「っ、え? 酸? 酸って、あの、酸?」
「なんの酸を思い浮かべているかわからないけど、多分その酸でいいと思うよ」

 酸って、触れた物を溶かすじゃん。
 それって、一度でも当たってしまったら終わり。掠っただけでも怪我では済まされないだろう。

 あんな綺麗な顔して、怖い魔法を使うのなぁ…………。

「これで終わりかしら、リヒトさん」
「くっ、まだです!! 拘束魔法は、なにも、拘束するだけのものではないんですよ! chainチェイン!!」

 またしても鎖魔法を発動。これでは、また溶かされて終わりだろう。
 なんか考えがあるのだろうか。

 ロゼ姫は先程と同じように、杖で魔法を操り、acidアシッドで鎖を溶かそうとした。

 リヒトも杖を動かし、鎖を操作。酸に向けて、あえて溶かさせ相殺し、残った鎖をロゼ姫に向かわせる。

「数で攻めるという事ね。なら、こっちはよく使う魔法を放させてもらうわ。dolphinacidドルフィン・アシッド

 慌てることなく、ロゼ姫は次の魔法を発動。
 出てきたのは、二体のイルカ? 

 鎖に向け、泳ぎ出した。

「ドンちゃん、フィンちゃん。超音波」
『キュイ!!』

 返事をするように頷くと、二匹のイルカは口を大きく開く。すると、鎖は全て弾かれ、地面にジャラッと落ちてしまった。

「なっ……」
「終わりかしら。まだ、何かある?」
「…………参りました」
「いい勝負だったわ」

 こっちも勝負あり。
 やっぱり、リヒトは一対一での戦闘は難しいみたいだな。援護をメインとして動いてもらった方が、リヒトの持ち味をしっかりと出せそう。

 シールドから出てきた二組は、俺達に気づき駆け寄ってきた。

「カガミヤ!! 起きたのか!? 体の方は大丈夫か?」
「カガミヤさん! 痛いところや気持ち悪い所はありませんか? 目眩なども大丈夫ですか?!」

 お、おう。
 こんなに心配されるの、なんか、変。
 慌てている二人の頭を撫で、大丈夫だと伝えると安心したように安堵の息を漏らしていた。

「「よかったぁ……」」
「心配かけたな。魔力の枯渇だったから、特に体の方は問題ねぇよ。一か月はさすがに寝すぎたから体はなまっているが、痛い所とかはない」

 ロゼ姫とグレールも俺の様子を見て安心していた。
 二人も心配してくれていたのか……複雑な気分……。

「というかロゼ姫って、あんなに強力な魔法が扱えるんだな。それなら、フェアズを捕まえる時連れて行けばよかった」
「確かに魔法単体は強いのですが、魔力をたくさん使うのですぐに枯渇してしまうのです。それと、私は守られて生きてきたため、いざ戦闘の場に立たされてしまうと、魔法をうまく扱う事が出来るのか不安です」
「だが、今、リヒトを相手にいい勝負していたじゃねぇか」
「それは、お相手様がリヒトさんだからですよ。自分が死ぬ立場に立たされているわけではないため、まだ余裕を残す事が出来るのです」

 あぁ、なるほど。

 リヒトなら負けたとしても殺されはしない、模擬戦だしな。
 本当の戦闘とはまた違う、そう思うのは仕方がないか。

「ロゼ姫様、本当に強かったです」
「私は魔法に恵まれただけですよ。私自身は強くもなんともないです」

 それを言うなら、俺は魔力に恵まれた感じか? 
 俺自身はそこまで強くないし、魔力が少なかったら今頃、ここに居なかったかもしれない。

 魔力様様だな。

「グレールもやっぱり強かったぞ!! 俺、本気で戦って、凄い楽しかった!!」
「はいはい、アルカはすごい楽しそうだったなぁ。よかったよかった」

 めっちゃ目を輝かせて俺に報告してくるアルカを抑え周りを見ていると、一人、いないことに気づいた。

「あれ、そういえば、ヒュース皇子は?」
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