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プルウィア
繋げる事に成功してよかったよ
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「それじゃ、アマリア、服を脱げ」
「…………え?」
笑っていたアマリアが、俺の言葉で凍り付く。
後ろにいる三人…………の中でもリヒトが一番甲高い声をあげていた、うるさっ。
「えっと……。男の身体に興味あるの?」
「ふざけているのか、真面目に言っているのかわからない無表情で言うのやめてくれない? 普通に傷つくから。普通に、上半身だけでいいっつーの。魔石がどこら辺に埋め込まれているのか、外付けされているのかどうか。的確な場所を知らないと繋げる事が出来ないんだよ」
「あぁ、なるほど。脱いでもいいけど、気持ち悪いよ? 大丈夫?」
そういう言い方するって事は、外付けされているってことか?
「問題ない」
「ちなみにだけど、魔石は埋め込まれているから目視は出来ないよ」
「え、そうなの? なら、なんで気持ち悪いの?」
「見ればわかる」
言いながらローブとスーツを脱ぐアマリア。
気持悪いってなんだろう、古傷とか? グロすぎるのは俺、苦手だから無理だぞ。
────あっ、アマリアが服を脱いでいる時、見えちまった。
「それって…………」
「火傷の痕、気持ち悪いでしょ?」
アマリアの身体には、色濃く火傷の痕が残されていた。
お腹や胸辺り、腕の肌が変色している。
痛々しい、見ているこっちが鳥肌立ってしまう。
「それは…………」
「女性には少々、刺激が強すぎたかな。んー、もう少し体を鍛えておいた方が良かったかな。その方がフェアズも僕に集中してくれたと思う?」
「え? そ、それは、私には分からないのですが……」
リヒトが困ってる。
そりゃそうだろう、何言ってんだ。それに、筋肉はついているだろう、少しだけ。ゴリは今の時代もてないぞ。
「だから、無表情で冗談を言うな。それより、魔石は火傷が色濃く残っている左胸辺りでいいのか?」
「そうだね。心臓部分に埋め込まれているはずだよ」
「ふーん。リンク、もう起きただろ。最後に頑張ってほしい」
手の中にいるリンクを見ると、疲れてはいるみたいだが、プライドが勝っているのか何とか羽を動かし、アマリアへと近付いて行った。
『これでラストよ。これ以上は主の魔力もなくなるわ』
「わかっている。これで最後だから、頼む」
『ふん、わかったわよ。主様の命令は、私達精霊にとっては絶対。必ず、やってやるわよ!!』
やる気は問題ないように見えるが、リンクが言う通り俺の魔力があと少しで底をつく。
早くやった方がいい。
「アビリティ、俺の視覚とリンクの視覚を繋ぎ、透視を発動してくれ」
『わかりました。透視を発動』
透視が発動したことにより、アマリアの心臓部分に埋め込まれている赤色に輝く魔石を見る事が出来た。
リンクも俺と同じ視界なため、迷うことなく魔石へと手を伸ばす。
すると、アマリアの左胸が緑色に淡く光り出した。
『────主様の魔力とアマリアの魔石を繋ぐことに成功したわ。続いて、魔力の供給を開始するわよ』
おっ、魔力が吸われている感覚。
成功したらしい、案外あっという間だったな。
『…………流石に疲れたわ。しばらく寝るわよ』
「寝てもおめぇの魔法は継続されるのか?」
『それに対しては、ご心配ありません』
おっ、アビリティが大丈夫という事は、大丈夫だな。
「それじゃ、これからはアマリア。お前は俺達の、ため、に…………しっか…………」
「知里?」
目が霞んできた、瞼が重たい。
頭が動かなくっ――――――
「カガミヤ!!」
近くなる地面、誰かの俺を呼ぶ声が聞こえたのを最後、視界は真っ暗になった。
※
熱帯森林、プルウィアを見下ろす事が出来る丘の上には、三人の管理者が立っていた。
一人は子供のように小さな少年、クロ。
もう一人は、処刑人であるアクア。
最後の一人は、管理者を束ねている長、クロヌ=ヴァルテン。
「クロヌ様、フェアズの魔石破壊は成功しました。ですが、アマリアは鏡谷知里により避けられた模様。いかがいたしますか」
「かまわん。もう魔力の供給はせん、そのうち魔石に残されている魔力が底を尽き、体が滅びるだろう」
それだけを残し、クロヌはその場から姿を消した。
残されたクロは、構えていた狙撃銃を下ろし立ち上がる。
アクアは丘の上から、森林の中にいる知里を見下ろし続けた。
「アクア、今回の件はアクアの意思じゃなかったからお咎めはないけど、次に同じことをしたら今回のようにならないから気を付けなよ。勝ってな行動をした二人に手を貸すみたいなマネをしたんだからね」
「はーい」
クロからの問いかけに、アクアは熱帯森林から目を逸らし、いつもの笑みを浮かべ返事をした。
返答を聞いたクロは、鼻を鳴らし疑いの目を向けながらも、その場を後にするため歩き出す。
アクアも置いて行かれないように歩き出そうとするが、すぐに足を止め、再度振り返った。
「…………アマリア、貴方がそんな無謀な事をするなんて思っていませんでしたよ、残念です。信じて、手を貸したというのに…………」
悲し気に目を細め、今度こそアクアもクロと共にその場を後にした。
「…………え?」
笑っていたアマリアが、俺の言葉で凍り付く。
後ろにいる三人…………の中でもリヒトが一番甲高い声をあげていた、うるさっ。
「えっと……。男の身体に興味あるの?」
「ふざけているのか、真面目に言っているのかわからない無表情で言うのやめてくれない? 普通に傷つくから。普通に、上半身だけでいいっつーの。魔石がどこら辺に埋め込まれているのか、外付けされているのかどうか。的確な場所を知らないと繋げる事が出来ないんだよ」
「あぁ、なるほど。脱いでもいいけど、気持ち悪いよ? 大丈夫?」
そういう言い方するって事は、外付けされているってことか?
「問題ない」
「ちなみにだけど、魔石は埋め込まれているから目視は出来ないよ」
「え、そうなの? なら、なんで気持ち悪いの?」
「見ればわかる」
言いながらローブとスーツを脱ぐアマリア。
気持悪いってなんだろう、古傷とか? グロすぎるのは俺、苦手だから無理だぞ。
────あっ、アマリアが服を脱いでいる時、見えちまった。
「それって…………」
「火傷の痕、気持ち悪いでしょ?」
アマリアの身体には、色濃く火傷の痕が残されていた。
お腹や胸辺り、腕の肌が変色している。
痛々しい、見ているこっちが鳥肌立ってしまう。
「それは…………」
「女性には少々、刺激が強すぎたかな。んー、もう少し体を鍛えておいた方が良かったかな。その方がフェアズも僕に集中してくれたと思う?」
「え? そ、それは、私には分からないのですが……」
リヒトが困ってる。
そりゃそうだろう、何言ってんだ。それに、筋肉はついているだろう、少しだけ。ゴリは今の時代もてないぞ。
「だから、無表情で冗談を言うな。それより、魔石は火傷が色濃く残っている左胸辺りでいいのか?」
「そうだね。心臓部分に埋め込まれているはずだよ」
「ふーん。リンク、もう起きただろ。最後に頑張ってほしい」
手の中にいるリンクを見ると、疲れてはいるみたいだが、プライドが勝っているのか何とか羽を動かし、アマリアへと近付いて行った。
『これでラストよ。これ以上は主の魔力もなくなるわ』
「わかっている。これで最後だから、頼む」
『ふん、わかったわよ。主様の命令は、私達精霊にとっては絶対。必ず、やってやるわよ!!』
やる気は問題ないように見えるが、リンクが言う通り俺の魔力があと少しで底をつく。
早くやった方がいい。
「アビリティ、俺の視覚とリンクの視覚を繋ぎ、透視を発動してくれ」
『わかりました。透視を発動』
透視が発動したことにより、アマリアの心臓部分に埋め込まれている赤色に輝く魔石を見る事が出来た。
リンクも俺と同じ視界なため、迷うことなく魔石へと手を伸ばす。
すると、アマリアの左胸が緑色に淡く光り出した。
『────主様の魔力とアマリアの魔石を繋ぐことに成功したわ。続いて、魔力の供給を開始するわよ』
おっ、魔力が吸われている感覚。
成功したらしい、案外あっという間だったな。
『…………流石に疲れたわ。しばらく寝るわよ』
「寝てもおめぇの魔法は継続されるのか?」
『それに対しては、ご心配ありません』
おっ、アビリティが大丈夫という事は、大丈夫だな。
「それじゃ、これからはアマリア。お前は俺達の、ため、に…………しっか…………」
「知里?」
目が霞んできた、瞼が重たい。
頭が動かなくっ――――――
「カガミヤ!!」
近くなる地面、誰かの俺を呼ぶ声が聞こえたのを最後、視界は真っ暗になった。
※
熱帯森林、プルウィアを見下ろす事が出来る丘の上には、三人の管理者が立っていた。
一人は子供のように小さな少年、クロ。
もう一人は、処刑人であるアクア。
最後の一人は、管理者を束ねている長、クロヌ=ヴァルテン。
「クロヌ様、フェアズの魔石破壊は成功しました。ですが、アマリアは鏡谷知里により避けられた模様。いかがいたしますか」
「かまわん。もう魔力の供給はせん、そのうち魔石に残されている魔力が底を尽き、体が滅びるだろう」
それだけを残し、クロヌはその場から姿を消した。
残されたクロは、構えていた狙撃銃を下ろし立ち上がる。
アクアは丘の上から、森林の中にいる知里を見下ろし続けた。
「アクア、今回の件はアクアの意思じゃなかったからお咎めはないけど、次に同じことをしたら今回のようにならないから気を付けなよ。勝ってな行動をした二人に手を貸すみたいなマネをしたんだからね」
「はーい」
クロからの問いかけに、アクアは熱帯森林から目を逸らし、いつもの笑みを浮かべ返事をした。
返答を聞いたクロは、鼻を鳴らし疑いの目を向けながらも、その場を後にするため歩き出す。
アクアも置いて行かれないように歩き出そうとするが、すぐに足を止め、再度振り返った。
「…………アマリア、貴方がそんな無謀な事をするなんて思っていませんでしたよ、残念です。信じて、手を貸したというのに…………」
悲し気に目を細め、今度こそアクアもクロと共にその場を後にした。
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