79 / 520
プルウィア
見た目が気持ち悪いとかもう勘弁して…………
しおりを挟む
森の中に入り、ヒュース皇子を先頭に周りを警戒しながら歩く。
アルカとリヒトも足元に気を付けつつ、周りに意識を向けていた。
俺も、めんどくさいが周りを見回してみると、怪しいものは何もない。
太陽光は中を歩く俺達に降り注いでいるし、鳥や動物が珍しい俺達を見ている。
ただ、綺麗な森の中という印象しかないな。
「結構、普通な森の中だな」
「だが、油断はするな。そのように油断させ、死角から襲ってくる可能性がある」
「確かにそうだな。だが、周りに意識向けすぎても疲れるんだが…………」
こんなにずっと周りに意識を向け続けていたら、体力や精神的なものが削られるぞ。無駄に戦闘前に色々なものを削りたくない。
……………俺、サボってもいいかな。
今はモンスターの気配も感じる事が出来ないし、体力使うのは得策じゃない。
よしっ、俺は休む。気配察知はこいつらに任せよう。
と、思った瞬間、カサカサと草が揺れる音が聞こえるだけの空間に、突如アビリティの声が脳に直接聞こえた。
(『主、強いモンスターの気配を察知しました』)
(っ、マジか。俺にはまったく感じないんだが? どこ?)
何故かアビリティが俺の脳に直接語り掛けて来る。
周りに聞かれないようにしている……そういう事か?
なぜわざわざそんな事…………。
(『右側、姿を変えております。こちらを見ている鹿からモンスターの気配を感じます』)
隣にいる鹿……。
歩くのは止めずに横目で見てみると、俺達をジィっと見ている鹿が居た。
歩いている俺達を目で追っている。標的認定されたか?
なるほど。気づいたことにばれると、モンスターは確実に襲ってくる。
こんな動きにくい場所で戦闘になれば、不利なのは確実にこっち。どこか開けている場所にあいつを誘導できれば、少しでも戦闘が楽になる。
「なぁ」
「? どうしたんですか? カガミヤさん」
「この森の中って、ずっとこんな細道が続いてんのか? もっと歩きやすい場所とかないのか?」
聞くと、アルカとリヒトはわからないらしく、ヒュース皇子に視線を向けた。
「もう少し歩いた先に開けた場所があったはずだ」
「おぉ、良かった。そこで少し休もう。森の中を歩いて足や腰が痛くなってきたんだ。歳には勝てん」
「だが、早くモンスタ―を見つけなければ日が暮れ辺りが暗くなる。戦闘が困難になるぞ」
「相手はSSランク、体力が半減されている時に戦闘をすれば同じこと。どちらも苦しいのなら、体力的に楽な方がいい」
「…………わかった」
おい、なんだその間。顔が納得していない…………いや、呆れているような顔だな。
今は若いからわからんだろうけど、歳を取ればわかるぞ。俺の今の気持ちがな。
休みたいという理由より、戦闘しやすい所にあいつをおびき出したいという気持ちの方が強いがな。
そのまま歩き続けること十分程度。ずっと鹿は、不自然にならないように距離を保ち、俺達に付いて来ている。
いつ襲ってくるか分からんから、正直精神が削られる。ずっと背後を取られている状態、きついなぁ。
「はぁ…………」
「大丈夫か? カガミヤ。疲れたか?」
おっと、アルカが俺のため息に気づいちまった。
「大丈夫ではない。森の中なんて普段あるかんし、変に筋肉を使うから体力が倍削られている気がするんだ。早く開けた場所に辿り着かないか?」
先頭を歩いているヒュース皇子に聞くと、「もう少し」と言うだけ。
本当にもう少しなんだよな? もう少しと言っときながら数十分もかかるとかないよな? それなら怒るぞ。
「着いたぞ」
「本当にあともう少しだったのか…………」
疑って悪かったヒュース皇子、お前の言葉は本当だったよ。
付いて行くと、戦闘用に作られたのかと思える広場が姿を現した。
円形に空間が作られている。
広さも、ちょっと狭いがまぁまぁ。このくらいの広さなら戦闘可能か。
「ここでなら少しは休めそうだな。カガミヤ、座るか?」
「いや、戦闘準備を始めてほしい」
「え?」
三人の困惑の声を耳にしながら、魔導書の準備。
さっきから視線がうるさいから、早く殺しっ――コホン。退治したい。
「と、いうわけで、行きます。flame」
右手に炎の玉を作り出し、視線の感じる方に放つ。
すると、鹿が上に大きく跳び、叫ぶように鳴き声を響き渡らせた。
目で追っていると、空中で鹿の姿が変わり始めた。
スライムのように鹿の身体がぐにゃりと歪に変わり、まるでアメーバのような姿に。
気持悪い見た目に、吐き気が……。
ここまで大きなアメーバ、一瞬で殺したい。
「まさか、もう出現していたなんて…………」
「ぼけっとしている暇はないぞ、皇子様。アルカとリヒトは準備出来ているか?」
後ろを振り向くと、心配は無用だとすぐに分かった。
モンスターが現れたとわかった瞬間、二人はすぐに自身の武器を手に持ち臨戦態勢を作っていた。
アメーバの形をしているモンスタ―、ショスは地面にうまく着地。
口なのかなんなのかを俺達に向けて、うようよと動いている。
…………気持ちが悪い!!!!
アルカとリヒトも足元に気を付けつつ、周りに意識を向けていた。
俺も、めんどくさいが周りを見回してみると、怪しいものは何もない。
太陽光は中を歩く俺達に降り注いでいるし、鳥や動物が珍しい俺達を見ている。
ただ、綺麗な森の中という印象しかないな。
「結構、普通な森の中だな」
「だが、油断はするな。そのように油断させ、死角から襲ってくる可能性がある」
「確かにそうだな。だが、周りに意識向けすぎても疲れるんだが…………」
こんなにずっと周りに意識を向け続けていたら、体力や精神的なものが削られるぞ。無駄に戦闘前に色々なものを削りたくない。
……………俺、サボってもいいかな。
今はモンスターの気配も感じる事が出来ないし、体力使うのは得策じゃない。
よしっ、俺は休む。気配察知はこいつらに任せよう。
と、思った瞬間、カサカサと草が揺れる音が聞こえるだけの空間に、突如アビリティの声が脳に直接聞こえた。
(『主、強いモンスターの気配を察知しました』)
(っ、マジか。俺にはまったく感じないんだが? どこ?)
何故かアビリティが俺の脳に直接語り掛けて来る。
周りに聞かれないようにしている……そういう事か?
なぜわざわざそんな事…………。
(『右側、姿を変えております。こちらを見ている鹿からモンスターの気配を感じます』)
隣にいる鹿……。
歩くのは止めずに横目で見てみると、俺達をジィっと見ている鹿が居た。
歩いている俺達を目で追っている。標的認定されたか?
なるほど。気づいたことにばれると、モンスターは確実に襲ってくる。
こんな動きにくい場所で戦闘になれば、不利なのは確実にこっち。どこか開けている場所にあいつを誘導できれば、少しでも戦闘が楽になる。
「なぁ」
「? どうしたんですか? カガミヤさん」
「この森の中って、ずっとこんな細道が続いてんのか? もっと歩きやすい場所とかないのか?」
聞くと、アルカとリヒトはわからないらしく、ヒュース皇子に視線を向けた。
「もう少し歩いた先に開けた場所があったはずだ」
「おぉ、良かった。そこで少し休もう。森の中を歩いて足や腰が痛くなってきたんだ。歳には勝てん」
「だが、早くモンスタ―を見つけなければ日が暮れ辺りが暗くなる。戦闘が困難になるぞ」
「相手はSSランク、体力が半減されている時に戦闘をすれば同じこと。どちらも苦しいのなら、体力的に楽な方がいい」
「…………わかった」
おい、なんだその間。顔が納得していない…………いや、呆れているような顔だな。
今は若いからわからんだろうけど、歳を取ればわかるぞ。俺の今の気持ちがな。
休みたいという理由より、戦闘しやすい所にあいつをおびき出したいという気持ちの方が強いがな。
そのまま歩き続けること十分程度。ずっと鹿は、不自然にならないように距離を保ち、俺達に付いて来ている。
いつ襲ってくるか分からんから、正直精神が削られる。ずっと背後を取られている状態、きついなぁ。
「はぁ…………」
「大丈夫か? カガミヤ。疲れたか?」
おっと、アルカが俺のため息に気づいちまった。
「大丈夫ではない。森の中なんて普段あるかんし、変に筋肉を使うから体力が倍削られている気がするんだ。早く開けた場所に辿り着かないか?」
先頭を歩いているヒュース皇子に聞くと、「もう少し」と言うだけ。
本当にもう少しなんだよな? もう少しと言っときながら数十分もかかるとかないよな? それなら怒るぞ。
「着いたぞ」
「本当にあともう少しだったのか…………」
疑って悪かったヒュース皇子、お前の言葉は本当だったよ。
付いて行くと、戦闘用に作られたのかと思える広場が姿を現した。
円形に空間が作られている。
広さも、ちょっと狭いがまぁまぁ。このくらいの広さなら戦闘可能か。
「ここでなら少しは休めそうだな。カガミヤ、座るか?」
「いや、戦闘準備を始めてほしい」
「え?」
三人の困惑の声を耳にしながら、魔導書の準備。
さっきから視線がうるさいから、早く殺しっ――コホン。退治したい。
「と、いうわけで、行きます。flame」
右手に炎の玉を作り出し、視線の感じる方に放つ。
すると、鹿が上に大きく跳び、叫ぶように鳴き声を響き渡らせた。
目で追っていると、空中で鹿の姿が変わり始めた。
スライムのように鹿の身体がぐにゃりと歪に変わり、まるでアメーバのような姿に。
気持悪い見た目に、吐き気が……。
ここまで大きなアメーバ、一瞬で殺したい。
「まさか、もう出現していたなんて…………」
「ぼけっとしている暇はないぞ、皇子様。アルカとリヒトは準備出来ているか?」
後ろを振り向くと、心配は無用だとすぐに分かった。
モンスターが現れたとわかった瞬間、二人はすぐに自身の武器を手に持ち臨戦態勢を作っていた。
アメーバの形をしているモンスタ―、ショスは地面にうまく着地。
口なのかなんなのかを俺達に向けて、うようよと動いている。
…………気持ちが悪い!!!!
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる