1 / 520
初めての異世界転移
通帳を眺めて精神統一したい……
しおりを挟む
俺は、時間が許す限り通帳を眺め、ニヤニヤしながら過ごす事を生きがいとしている一般会社員――――だったはず。だった、はずなんだ。
はず、なのに――……
「大丈夫ですか!? 怪我は治したはずですが、動けますか!?」
「お前、一人でここのダンジョンに来たのか!?」
目の前には、ファンタジー世界の住人が飛び出してきたのかと思う程、現実味のない服を着ている男女二人。
一人は、手に剣を持っているアニメの主人公的な雰囲気を纏っている茶髪の少年。
もう一人は、腰まで長い紅色の髪が特徴的の魔法使い少女。フリルの付いたスカートが揺れてますね、はい。
ちょっ、ちょっと待って。
お願いだから、待って。
ま、まさか、仕事の帰り時、車に轢かれ意識を失ったかと思ったら、なんだよこれ、どこだよここ。
体に走るはずの痛みがないと思って目を開けると、洞窟の中のような場所にいるし、見覚えの男女が見て来るし。
し、しかも……。
――――――――グワァァァァァァァァァアアアアア!!
ア、アニメかマンガに出てくるような二人の背後に、人間の数倍……いや、数百倍? はあるドラゴンが赤い目を俺達に向けている。
あ、あぁ、えぇっと。
怖い、普通に怖い。
ドラゴンが怖すぎ、これ以上見てられない。
目線だけを周りに向けてみるけど、うん、わかんない。
ここは、洞窟内という解釈で、いいのか?
地面や壁の隙間からは苔が生えているみたいだけど……。
いや、落ち着け俺、落ち着け……。
「あの!! もう怪我は治したはずなので、早く立っていただけると嬉しいです! もう、私は持ちません!!!」
…………落ち着けない言葉を吐くな、魔法使い少女よ。
何もかもがわからない俺にそんなことを言われても困るって。
ちょっ、誰か助けて……。
「っ、あれ、右の中指に何かが当たるような感覚が……?」
右手を見てみると、見覚えのないシルバーの指輪。
結構高級そうなんだけど、これって何? 俺、買った記憶なんてないぞ?!
――――グオォォォォオオオオオアアアアアアアア!!!!
っ、地響きが起こりそうなほどの咆哮!!
くっそ、慣れない感覚に吐き気が込み上げてきた。
耳を塞いでも意味がない、頭痛までしてくる!!
「早く立て!! ワイバーンが突っ込んでくるぞ!!」
えっと、ワイバーン??
少年が早口で俺に言って来るが、何も分からない。
「ん? あれって――……」
同じ場所から動こうとしないドラゴンの足元に、光る何かがチラチラ見える。
もしかしてだが、動こうとしないんじゃなくて、動けないのか?
「~~~~~もう限界!!!」
「っ、ずらかるぞ!!」
二人の声にかぶさるように、先ほどと同じ咆哮が響き渡った。
グォォォオォォォオオオオオアアアアアアア!!!!
同時に、何かが壊れる音。
──────カッシャァァアアアアアン
ドラゴンの咆哮と共に、何かが弾かれる。
自由に動けるようになったドラゴンは、大きな翼を広げ赤い瞳で見てきた。
足を浮かせたドラゴンの地面には、銀色の破片。輪の形を保っているのもある。
今弾けたのは、鎖かなにかか?
思わず見てしまっていると、腕を掴まれ後ろに引っ張られた──かと思うと、簡単に大の大人である俺を少年が肩に担ぐ…………担ぐ!?
「え、担がれた!?」
「なにボケっとしてるんだよ!! 死にたいのか!!」
いや、え?
俺、百八十は身長あるんだけど。
なに普通に肩に掲げてんの? この男、力半端ないんだが!?
はず、なのに――……
「大丈夫ですか!? 怪我は治したはずですが、動けますか!?」
「お前、一人でここのダンジョンに来たのか!?」
目の前には、ファンタジー世界の住人が飛び出してきたのかと思う程、現実味のない服を着ている男女二人。
一人は、手に剣を持っているアニメの主人公的な雰囲気を纏っている茶髪の少年。
もう一人は、腰まで長い紅色の髪が特徴的の魔法使い少女。フリルの付いたスカートが揺れてますね、はい。
ちょっ、ちょっと待って。
お願いだから、待って。
ま、まさか、仕事の帰り時、車に轢かれ意識を失ったかと思ったら、なんだよこれ、どこだよここ。
体に走るはずの痛みがないと思って目を開けると、洞窟の中のような場所にいるし、見覚えの男女が見て来るし。
し、しかも……。
――――――――グワァァァァァァァァァアアアアア!!
ア、アニメかマンガに出てくるような二人の背後に、人間の数倍……いや、数百倍? はあるドラゴンが赤い目を俺達に向けている。
あ、あぁ、えぇっと。
怖い、普通に怖い。
ドラゴンが怖すぎ、これ以上見てられない。
目線だけを周りに向けてみるけど、うん、わかんない。
ここは、洞窟内という解釈で、いいのか?
地面や壁の隙間からは苔が生えているみたいだけど……。
いや、落ち着け俺、落ち着け……。
「あの!! もう怪我は治したはずなので、早く立っていただけると嬉しいです! もう、私は持ちません!!!」
…………落ち着けない言葉を吐くな、魔法使い少女よ。
何もかもがわからない俺にそんなことを言われても困るって。
ちょっ、誰か助けて……。
「っ、あれ、右の中指に何かが当たるような感覚が……?」
右手を見てみると、見覚えのないシルバーの指輪。
結構高級そうなんだけど、これって何? 俺、買った記憶なんてないぞ?!
――――グオォォォォオオオオオアアアアアアアア!!!!
っ、地響きが起こりそうなほどの咆哮!!
くっそ、慣れない感覚に吐き気が込み上げてきた。
耳を塞いでも意味がない、頭痛までしてくる!!
「早く立て!! ワイバーンが突っ込んでくるぞ!!」
えっと、ワイバーン??
少年が早口で俺に言って来るが、何も分からない。
「ん? あれって――……」
同じ場所から動こうとしないドラゴンの足元に、光る何かがチラチラ見える。
もしかしてだが、動こうとしないんじゃなくて、動けないのか?
「~~~~~もう限界!!!」
「っ、ずらかるぞ!!」
二人の声にかぶさるように、先ほどと同じ咆哮が響き渡った。
グォォォオォォォオオオオオアアアアアアア!!!!
同時に、何かが壊れる音。
──────カッシャァァアアアアアン
ドラゴンの咆哮と共に、何かが弾かれる。
自由に動けるようになったドラゴンは、大きな翼を広げ赤い瞳で見てきた。
足を浮かせたドラゴンの地面には、銀色の破片。輪の形を保っているのもある。
今弾けたのは、鎖かなにかか?
思わず見てしまっていると、腕を掴まれ後ろに引っ張られた──かと思うと、簡単に大の大人である俺を少年が肩に担ぐ…………担ぐ!?
「え、担がれた!?」
「なにボケっとしてるんだよ!! 死にたいのか!!」
いや、え?
俺、百八十は身長あるんだけど。
なに普通に肩に掲げてんの? この男、力半端ないんだが!?
2
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる