32 / 42
大天狗
氷鬼先輩と天狗山!
しおりを挟む
外に出ると、屋敷の前の広場では、二つの式神が翔と湊に攻撃を仕掛けていた。
ユキは、つららを降らせ、鬼火は火の玉をくり出す。
だが、二つの属性が打ち消し合ってしまい、上手く出来ない。
やっぱり、付け焼き刃では無理だろうかとこの場にいる皆があきらめた時、詩織たちが戻ってきた。
「おや?」
「なんか、様子がおかしいな」
湊と翔が詩織に注目する。
司と凛も苛立ちをにじませつつも、詩織を見た。
未だに顔が赤く、恥ずかしそうに立っている詩織。何をしようとしているのか予想が出来ず、誰も声をかけない。
唯一わかっている喜美は、詩織の後ろで「がんばれ」と真顔でエールを送る。
(うー!! 役に立ちたいとは言ったけど、いくらなんでもおばさんが言ったことは見当違いじゃない!? でも、絶対氷鬼先輩のためになるからって言ってたし……)
なぜか前に出て何も言わない詩織を不思議に思い、司が「詩織?」と、名前を呼んだ。
もう、どうにでもなれという気持ちも込め、うつむかせていた真っ赤に染まった顔を上げ、息を大きく吸いこんだ。
「~~~~~司先輩!! 頑張ってくださぁぁぁぁぁい!!!!!」
辺りにひびき渡るほどの声量で応援を受けた司は、予想外過ぎて目を大きく開き固まった。
凛と湊、翔は固まってしまった司を見る。
息を切らし、肩を上下に動かしている詩織は、何も返答がないことに恥ずかしさが限界突破しそうになっていた。
「な、何か言ってください!!」
「いや、あの…………」
(やっぱり、見当違いだったんだ。私からの応援なんて何のためにもならないもんね! それに、勝手に名前呼びをしてしまって。本当に申し訳ないのと、普通に恥ずかしい!!)
体をふるえさせ恥ずかしさに耐えていると、司がやっと動き出した。
右手で口元をかくし、顔を逸らす。
「え、あ、あの…………」
(あ、あれ? なんか、氷鬼先輩の耳、赤い?)
藍色の髪からのぞき見える耳が、ほんのり赤く見える。
じぃ~と見ていると、水色の瞳だけを詩織に向け、小さな声で司は呟いた。
「…………ありがとう、元気出た」
「あ、い、いえ……。元気出たのなら、良かったです…………」
司の顔も詩織に負けないくらい赤く、これ以上何も言えない二人。
周りはニヤニヤと二人を見ており、翔は喜美の元へと近付いた。
「なに言ったの? 母さん」
「司の応援がしたいと言っていたからね。名前を呼んで目一杯応援してあげると一番の力になると言っただけよ」
「なるほど、確かに。いい薬にはなったみたいだな」
二人のピンクオーラに、翔は苦笑い。でも、司はやる気を取り戻してくれたみたいで、最初よりはるかにやる気を出していた。
「これ、大天狗も簡単に倒せそうだなぁ」
「そうね」
※
修行を続けた結果、司が覚醒したため、合わせ技ができるようになった。
だが、予想していたのとは違い湊と翔は大笑い。凛は、ぽかんと目を丸くしてしまった。
「いやぁ、まさか。炎もろとも凍らせることができるなんてね。打ち消さないで形まで保っている。覚醒した司は違うなぁ~」
「うるさいよ」
今、四人の前には、炎の形に固まっている氷の像。
溶ける気配を見せない氷は、ユキが出したと思えない程頑丈だ。
「まるで、ヒョウリが出したような氷だなぁ。ユキって、ここまでの力出せたっけ?」
「普通は無理だね。今回は調子が良かった」
「ふーん。調子、ねぇ~?」
「うるさいよ」
「そんなにうるさくしていないと思うんだけど…………」
「目がうるさい」
「理不尽…………」
そんな会話をくり返している兄弟をよそに、凛と湊はニヤニヤ。
喜美もうれしそうなオーラを出して「娘が出来るのも近いわねぇ~」とぼやいていた。
司の耳に君のボヤキが届き、「うるさいよ!!」と、叫ぶ。
それが、喜美の怒りに触れた。
「あらぁ~? 母親にそんな口をきいてもいいのかしらぁ~?」
「いって!!」
司の耳を引っ張る喜美の笑みは黒い。
誰も、司を助ける事はせず、詩織のみ「あ、あの……」と、どうすればいいのかあわてていた。
・
・
・
・
・
・
そこから五人は、作戦を念入りに練って準備満タン。
今は、電車で大天狗が住むと言われている山、天狗山に向かっていた。
メンバーは、凛と湊、翔と司、詩織の五人。
退治屋だとは思えない程、今の五人は楽しそうにお菓子をつまみながら雑談を楽しんでいた。
一番あばれているのは凛。みんなに話を振り、会話を盛り上げる。
司は、途中でめんどくさくなり寝ていた。
詩織も、凛のいきおいに押されつつ、何とか会話について行き、翔と湊は自分のペースを乱さない。
そんなことをしていると、すぐに降りる駅に着いた。
はぐれないように気を付けながら歩き、天狗山に向かう。
山奥まで歩かなければならないため、皆動きやすい服装をしていた。
司たちは、退治屋専用の服を着ていた。
氷鬼家は、忍者をイメージしているような服。
炎舞家は、赤がメインで和風イメージの服。
詩織の分は準備がなかったため、凛の着替えを貸していた。
「着物……なのに、動きやすい」
「締め付けられているような感じしないでしょ! 昔から代々引き継がれた退治用の服は、様々な工夫がされていて、その家にあった物を作ってくれているの!」
笑顔で説明をしている凛の横を、感心しながら詩織は山を歩く。
周りは木に囲まれている為、同じ景色が続いている。
迷わないか不安を抱えながらも、湊が持ってきた方角を示してくれる羅針盤と呼ばれる物を頼りに歩いていた。
「湊さんの羅針盤って、腕時計みたいになっているから、目立たなくていいですね」
「まぁね。大きな物の方が見やすいけど、持ち運びしやすい方がいいし、聞かれた時も見た目は腕時計だからごまかしやすいんだよね」
退治屋は、世間一般的に広がっているわけではない。
あやかし自体、一般の人は見えないため、退治屋道具を素直に教える訳にはいかない。
それを踏まえての形状だと聞き、司は感心してしまった。
そこからまたさらに歩く。
詩織もさすがに疲れてきたころ、先頭を歩いていた湊が振り返った。
「足元気を付けてね、少し上り坂になっているから」
「はーい」
湊の問いかけに凛が元気に返事。
詩織も転ばないように歩いていると、ふと、何かに気づく。
「あれ、司先輩?」
隣を歩いていたはずの司がいなくなっていた。
ユキは、つららを降らせ、鬼火は火の玉をくり出す。
だが、二つの属性が打ち消し合ってしまい、上手く出来ない。
やっぱり、付け焼き刃では無理だろうかとこの場にいる皆があきらめた時、詩織たちが戻ってきた。
「おや?」
「なんか、様子がおかしいな」
湊と翔が詩織に注目する。
司と凛も苛立ちをにじませつつも、詩織を見た。
未だに顔が赤く、恥ずかしそうに立っている詩織。何をしようとしているのか予想が出来ず、誰も声をかけない。
唯一わかっている喜美は、詩織の後ろで「がんばれ」と真顔でエールを送る。
(うー!! 役に立ちたいとは言ったけど、いくらなんでもおばさんが言ったことは見当違いじゃない!? でも、絶対氷鬼先輩のためになるからって言ってたし……)
なぜか前に出て何も言わない詩織を不思議に思い、司が「詩織?」と、名前を呼んだ。
もう、どうにでもなれという気持ちも込め、うつむかせていた真っ赤に染まった顔を上げ、息を大きく吸いこんだ。
「~~~~~司先輩!! 頑張ってくださぁぁぁぁぁい!!!!!」
辺りにひびき渡るほどの声量で応援を受けた司は、予想外過ぎて目を大きく開き固まった。
凛と湊、翔は固まってしまった司を見る。
息を切らし、肩を上下に動かしている詩織は、何も返答がないことに恥ずかしさが限界突破しそうになっていた。
「な、何か言ってください!!」
「いや、あの…………」
(やっぱり、見当違いだったんだ。私からの応援なんて何のためにもならないもんね! それに、勝手に名前呼びをしてしまって。本当に申し訳ないのと、普通に恥ずかしい!!)
体をふるえさせ恥ずかしさに耐えていると、司がやっと動き出した。
右手で口元をかくし、顔を逸らす。
「え、あ、あの…………」
(あ、あれ? なんか、氷鬼先輩の耳、赤い?)
藍色の髪からのぞき見える耳が、ほんのり赤く見える。
じぃ~と見ていると、水色の瞳だけを詩織に向け、小さな声で司は呟いた。
「…………ありがとう、元気出た」
「あ、い、いえ……。元気出たのなら、良かったです…………」
司の顔も詩織に負けないくらい赤く、これ以上何も言えない二人。
周りはニヤニヤと二人を見ており、翔は喜美の元へと近付いた。
「なに言ったの? 母さん」
「司の応援がしたいと言っていたからね。名前を呼んで目一杯応援してあげると一番の力になると言っただけよ」
「なるほど、確かに。いい薬にはなったみたいだな」
二人のピンクオーラに、翔は苦笑い。でも、司はやる気を取り戻してくれたみたいで、最初よりはるかにやる気を出していた。
「これ、大天狗も簡単に倒せそうだなぁ」
「そうね」
※
修行を続けた結果、司が覚醒したため、合わせ技ができるようになった。
だが、予想していたのとは違い湊と翔は大笑い。凛は、ぽかんと目を丸くしてしまった。
「いやぁ、まさか。炎もろとも凍らせることができるなんてね。打ち消さないで形まで保っている。覚醒した司は違うなぁ~」
「うるさいよ」
今、四人の前には、炎の形に固まっている氷の像。
溶ける気配を見せない氷は、ユキが出したと思えない程頑丈だ。
「まるで、ヒョウリが出したような氷だなぁ。ユキって、ここまでの力出せたっけ?」
「普通は無理だね。今回は調子が良かった」
「ふーん。調子、ねぇ~?」
「うるさいよ」
「そんなにうるさくしていないと思うんだけど…………」
「目がうるさい」
「理不尽…………」
そんな会話をくり返している兄弟をよそに、凛と湊はニヤニヤ。
喜美もうれしそうなオーラを出して「娘が出来るのも近いわねぇ~」とぼやいていた。
司の耳に君のボヤキが届き、「うるさいよ!!」と、叫ぶ。
それが、喜美の怒りに触れた。
「あらぁ~? 母親にそんな口をきいてもいいのかしらぁ~?」
「いって!!」
司の耳を引っ張る喜美の笑みは黒い。
誰も、司を助ける事はせず、詩織のみ「あ、あの……」と、どうすればいいのかあわてていた。
・
・
・
・
・
・
そこから五人は、作戦を念入りに練って準備満タン。
今は、電車で大天狗が住むと言われている山、天狗山に向かっていた。
メンバーは、凛と湊、翔と司、詩織の五人。
退治屋だとは思えない程、今の五人は楽しそうにお菓子をつまみながら雑談を楽しんでいた。
一番あばれているのは凛。みんなに話を振り、会話を盛り上げる。
司は、途中でめんどくさくなり寝ていた。
詩織も、凛のいきおいに押されつつ、何とか会話について行き、翔と湊は自分のペースを乱さない。
そんなことをしていると、すぐに降りる駅に着いた。
はぐれないように気を付けながら歩き、天狗山に向かう。
山奥まで歩かなければならないため、皆動きやすい服装をしていた。
司たちは、退治屋専用の服を着ていた。
氷鬼家は、忍者をイメージしているような服。
炎舞家は、赤がメインで和風イメージの服。
詩織の分は準備がなかったため、凛の着替えを貸していた。
「着物……なのに、動きやすい」
「締め付けられているような感じしないでしょ! 昔から代々引き継がれた退治用の服は、様々な工夫がされていて、その家にあった物を作ってくれているの!」
笑顔で説明をしている凛の横を、感心しながら詩織は山を歩く。
周りは木に囲まれている為、同じ景色が続いている。
迷わないか不安を抱えながらも、湊が持ってきた方角を示してくれる羅針盤と呼ばれる物を頼りに歩いていた。
「湊さんの羅針盤って、腕時計みたいになっているから、目立たなくていいですね」
「まぁね。大きな物の方が見やすいけど、持ち運びしやすい方がいいし、聞かれた時も見た目は腕時計だからごまかしやすいんだよね」
退治屋は、世間一般的に広がっているわけではない。
あやかし自体、一般の人は見えないため、退治屋道具を素直に教える訳にはいかない。
それを踏まえての形状だと聞き、司は感心してしまった。
そこからまたさらに歩く。
詩織もさすがに疲れてきたころ、先頭を歩いていた湊が振り返った。
「足元気を付けてね、少し上り坂になっているから」
「はーい」
湊の問いかけに凛が元気に返事。
詩織も転ばないように歩いていると、ふと、何かに気づく。
「あれ、司先輩?」
隣を歩いていたはずの司がいなくなっていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
左左左右右左左 ~いらないモノ、売ります~
菱沼あゆ
児童書・童話
菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。
『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。
旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』
大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。
荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~
釈 余白(しやく)
児童書・童話
今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。
そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。
そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。
今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。
かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。
はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる