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最終決戦
土蜘蛛
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「き、きもちがわるいぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!!」
キモイキモイキモイ!!!! 虫事態苦手なのに、まさかの蜘蛛。しかも、タランチュラ!! 見るだけでマジで鳥肌が立つし、触りたくないし近寄りたくない!!
口にある歯? 牙? が左右に動いているのがマジでキモイ動かすな。
「ひっ!? 糸を出してきたぁぁぁぁぁぁぁあああ」
『さっき出してたんだから当然でしょ』
冷静に言ってくる闇命君を無視して、俺に向かって放たれた糸を回避。地面にべちゃっと落ちる糸が、白い煙を上げて溶けた。
あれって、当たったらもしかして解かされる感じ? 酸が含まれてるの?
『大丈夫ですか主!!』
「俺は大丈夫だよ! 冷菓さんと月卯歌さんは大丈夫ですか!?」
あ、良かった。月卯歌さんが冷菓さんを抱えて避けているみたい。夏楓のことは、紅音がしっかりと守っている。でも、今の紅音には武器などがない。頼ってばかりではだめか。
うぅ、やるしかないかぁ。
「百目、大丈夫そう?」
『問題ありません。ですが、土蜘蛛に集中してもいられないようですよ』
「え、もしかして、何かが近づいて来ているの?」
『はい。二人、近づいて来ております。一人は少女、もう一人は男性かと』
男性って、誰だ? 少女は蘆屋藍華で間違いないだろう。
もう一人の男性は蘆屋家の陰陽師か? それか、陰陽助かもしれない。
あ、土蜘蛛の術者の可能性もあるのか。
『土蜘蛛は倒すのにてこずるかと思います。なので、術者を倒した方が早いかと。手分けした方がいいと思いますよ。土蜘蛛を相手にする者と、術者を倒す者』
「そんなに強いのか」
確かに、気配は普通ではない。今まで戦ったどの式神よりも強いのは明らか。
体に突き刺さるこの感覚、寒気、圧。百目の言う通り簡単には倒せそうにない。でも、別れてしまったらそれこそ危ないのではないか?
「闇命さん! ここは我々に任せてください! 土蜘蛛でしたら問題ありません!」
っ、冷菓さんの声?
「わかった!! 俺は術者を見つけ次第倒してくる!」
「お任せします!!」
紅音達と目を合わせ、ここは完全に氷鬼家のお二人に任せる事にした。
不安はないし、大丈夫だと確信できている。
その理由は、冷菓さんを守るように立っている月卯歌さんの雰囲気が、今までとはだいぶ異なっていたから。
目を見ただけでわかるほど殺気だっており、土蜘蛛から放たれる気配より強い。
体に突き刺さるような殺気、普通の人では到底出せる訳もない圧。
あと、単純に俺がここから居なくなりたかった。だって、さっきの月卯歌さんの表情、マジで怖かった。
『あれは、近づきたくないね。さすがの僕も、あれは敵に回したくはない』
「だよね、俺だけじゃないよね、あれはマジで怖いよね?」
戦闘を本気で楽しんでいるような、狂気的な笑みを浮かべていた月卯歌さん。俺は月卯歌さんを敵に回す事は絶対にしないと心に誓った。
☆
土蜘蛛を目の前に、月卯歌は口元に笑みを浮かべ立っていた。
丸い眼鏡の奥から放たれているのは、相手を殺す事を心から楽しんでいるような嬉々たる視線。
楽しい、面白い、嬉しい。
そのような正の感情しか感じる事の出来ない瞳に、後ろにいる冷菓はため息を吐いた。
「始まった……。良かったですよ、いち早く安倍家の者達をここから離れさせることが出来て。闇命さんの式神さんが何かを察して促してくれたようにも見えましたね、本当に助かりました」
頭を抱えて呆れるように大きなため息を吐き出す。だが、すぐに気を寄り直し戦闘に集中。目の前に立つ月卯歌に声をかけた。
「月卯歌、どのようにやる?」
「いつものように黙ってみてろ。俺の雄姿をなぁ!」
言いながら懐から一枚のお札を散り出した。それを乱暴に握りつぶす。すると、お札からは冷気が現れ始め、月卯歌の右手を包み込んだ。
「つまり、大暴れをするから、後始末のために力は温存させとけ。そういう事か、了解です」
肩を落とし、巻き込まれないように後ろに冷菓は下がった。
腕を組み、今後起きる事態を想像する。
「月卯歌、今回は無駄な怪我をしないで。この後も戦闘は残っているのだから」
「安心しろや冷菓、無駄な怪我はしねぇよ。この後、もしかすっと、蘆屋道満と戦えるかもしれねぇからなぁ。ここで動けなくなるなんてへまはしねぇよ」
「それならいいけど…………」
ほっと溜息をつき、戦闘を見守る事にした冷菓。
「んじゃ、準備は整った。やろうじゃねぇか、土蜘蛛さんよぉ!!」
狂気的な笑顔を浮かべた月卯歌の右手には、氷の鋭い爪が出来ていた。
キモイキモイキモイ!!!! 虫事態苦手なのに、まさかの蜘蛛。しかも、タランチュラ!! 見るだけでマジで鳥肌が立つし、触りたくないし近寄りたくない!!
口にある歯? 牙? が左右に動いているのがマジでキモイ動かすな。
「ひっ!? 糸を出してきたぁぁぁぁぁぁぁあああ」
『さっき出してたんだから当然でしょ』
冷静に言ってくる闇命君を無視して、俺に向かって放たれた糸を回避。地面にべちゃっと落ちる糸が、白い煙を上げて溶けた。
あれって、当たったらもしかして解かされる感じ? 酸が含まれてるの?
『大丈夫ですか主!!』
「俺は大丈夫だよ! 冷菓さんと月卯歌さんは大丈夫ですか!?」
あ、良かった。月卯歌さんが冷菓さんを抱えて避けているみたい。夏楓のことは、紅音がしっかりと守っている。でも、今の紅音には武器などがない。頼ってばかりではだめか。
うぅ、やるしかないかぁ。
「百目、大丈夫そう?」
『問題ありません。ですが、土蜘蛛に集中してもいられないようですよ』
「え、もしかして、何かが近づいて来ているの?」
『はい。二人、近づいて来ております。一人は少女、もう一人は男性かと』
男性って、誰だ? 少女は蘆屋藍華で間違いないだろう。
もう一人の男性は蘆屋家の陰陽師か? それか、陰陽助かもしれない。
あ、土蜘蛛の術者の可能性もあるのか。
『土蜘蛛は倒すのにてこずるかと思います。なので、術者を倒した方が早いかと。手分けした方がいいと思いますよ。土蜘蛛を相手にする者と、術者を倒す者』
「そんなに強いのか」
確かに、気配は普通ではない。今まで戦ったどの式神よりも強いのは明らか。
体に突き刺さるこの感覚、寒気、圧。百目の言う通り簡単には倒せそうにない。でも、別れてしまったらそれこそ危ないのではないか?
「闇命さん! ここは我々に任せてください! 土蜘蛛でしたら問題ありません!」
っ、冷菓さんの声?
「わかった!! 俺は術者を見つけ次第倒してくる!」
「お任せします!!」
紅音達と目を合わせ、ここは完全に氷鬼家のお二人に任せる事にした。
不安はないし、大丈夫だと確信できている。
その理由は、冷菓さんを守るように立っている月卯歌さんの雰囲気が、今までとはだいぶ異なっていたから。
目を見ただけでわかるほど殺気だっており、土蜘蛛から放たれる気配より強い。
体に突き刺さるような殺気、普通の人では到底出せる訳もない圧。
あと、単純に俺がここから居なくなりたかった。だって、さっきの月卯歌さんの表情、マジで怖かった。
『あれは、近づきたくないね。さすがの僕も、あれは敵に回したくはない』
「だよね、俺だけじゃないよね、あれはマジで怖いよね?」
戦闘を本気で楽しんでいるような、狂気的な笑みを浮かべていた月卯歌さん。俺は月卯歌さんを敵に回す事は絶対にしないと心に誓った。
☆
土蜘蛛を目の前に、月卯歌は口元に笑みを浮かべ立っていた。
丸い眼鏡の奥から放たれているのは、相手を殺す事を心から楽しんでいるような嬉々たる視線。
楽しい、面白い、嬉しい。
そのような正の感情しか感じる事の出来ない瞳に、後ろにいる冷菓はため息を吐いた。
「始まった……。良かったですよ、いち早く安倍家の者達をここから離れさせることが出来て。闇命さんの式神さんが何かを察して促してくれたようにも見えましたね、本当に助かりました」
頭を抱えて呆れるように大きなため息を吐き出す。だが、すぐに気を寄り直し戦闘に集中。目の前に立つ月卯歌に声をかけた。
「月卯歌、どのようにやる?」
「いつものように黙ってみてろ。俺の雄姿をなぁ!」
言いながら懐から一枚のお札を散り出した。それを乱暴に握りつぶす。すると、お札からは冷気が現れ始め、月卯歌の右手を包み込んだ。
「つまり、大暴れをするから、後始末のために力は温存させとけ。そういう事か、了解です」
肩を落とし、巻き込まれないように後ろに冷菓は下がった。
腕を組み、今後起きる事態を想像する。
「月卯歌、今回は無駄な怪我をしないで。この後も戦闘は残っているのだから」
「安心しろや冷菓、無駄な怪我はしねぇよ。この後、もしかすっと、蘆屋道満と戦えるかもしれねぇからなぁ。ここで動けなくなるなんてへまはしねぇよ」
「それならいいけど…………」
ほっと溜息をつき、戦闘を見守る事にした冷菓。
「んじゃ、準備は整った。やろうじゃねぇか、土蜘蛛さんよぉ!!」
狂気的な笑顔を浮かべた月卯歌の右手には、氷の鋭い爪が出来ていた。
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