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最終決戦
同じ説明はめんどくさい
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いってててて…………。体……というか、顔をぶつけてしまった。鼻血は出ていないから良かったけど、当たり所が悪かったら普通に危なかった高さじゃないか。
「闇命様、あの、どこから。というか、優夏さん、なんで、え?」
あ、夏楓だ。紅音もいる。と、いうことは、イメージ通りに来れたって事か?
さすがに夏楓達がどこにいるのかわからなかったし、行ったこともない陰陽寮はうまく頭の中でイメージが出来ない。だから、夏楓を頭の中でイメージしたら、うまくここにたどり着くことが出来た。
夏楓を想像したから、ここかどこかわからない。周りを見回しても和室という事しかわからないし、夏楓と紅音は驚きの顔を浮かべるのみで頭がまだ整理できていないみたい。今聞いても答えてはくれなさそう。
『ふぅ。無事にたどり着くことが出来たみたいだね。いきなり失礼したよ、夏楓、紅音。今のところこっちでは何も起きていないみたいで安心した』
「闇命様! え、えっと。なにがあったのですか!」
『落ち着いて、紅音。これは敵襲とかではなく、僕の一技之長をこいつが使っただけだから』
まだ目を丸くしている紅音を落ち着かせるため、鼠姿だった闇命君が姿を現し言ってくれた。
俺と闇命君は移動手段について話し合っていたんだけど、どうしても一技之長以外の方法がわからなくて、結局賭けに出るしかなかった。
今まで以上に集中しましたよ、闇の中に捕らわれ続けるという事が無くて良かったよ……。
「いきなり来て、本当にごめんね。何かやっていた途中だったかな」
「い、いえ。今から行動を起こそうと思っていたので」
「そうなんだ、それならよかった―――って。さっきからどうしたの紅音。なんか、その……目が、怖いよ?」
さっきから紅音が俺を睨んでくるんですが、ちょっと怖い。どうしたんだろう。
「久しぶりの闇命様をかみしめているのです。お気になさらず」
「本当に歯をかみしめてるけど、しかも若干殺気だってない? お気になさらずは難しいからこの殺気」
相当嬉しいんだなぁ、中身は俺だけど。
『紅音、ひとまず今は僕の話を聞いてほしいんだけど。大丈夫?』
「はい、大丈夫です。話を進めてください」
紅音は本当に闇命君の事大好きだよなぁ。もしかしたら、琴平より好きなんじゃ?
いや、また好きのジャンルが違うから、比べるものではないな。
『それじゃ、まず。奥の人、誰?』
闇命君が指している人物は、襖の前で俺達を困惑したような顔で見てきていた。
だれ、だろう。俺も見たことがないし、闇命君も知らないみたい。
陰陽師なのかな、それにしては服装が狩衣じゃない。あれは書生服とでも呼ばれるものだろうか。
「この人は氷鬼家の人ですよ。氷鬼月卯歌さん、凄くお世話になったんです」
夏楓が簡単に説明してくれた。
なるほど、氷鬼家の人か。ということは、ここは氷鬼寮かな。
氷鬼寮の一室を借りて今まで生活をしていたという事か。
気弱な印象。でも、なんだろう。この人、気配が普通じゃないような気がする。
見た目とは裏腹に、並大抵の人ではない。絶対に、何かを隠している。そんな、気がする。
『…………氷鬼家の人……ね。位は? 絶対に低い位ではないよね。何だったら、陰陽助か陰陽頭くらいはあってもおかしくはない。でも、確か氷鬼家の陰陽助は氷鬼冷菓だったはず。同じ苗字なのが少し気がかりだけど、双子か何かで解決できるから今はほっておく』
そこはほっておいていいのか? まぁ、今はいいけど。
『双子で氷鬼家を支えているのなら、一人が陰陽頭になっていてもおかしくはない。君みたいな鋭い気配を持っているような人なら、陰陽頭でも納得出来る。逆に、陰陽頭じゃなかったら、ここの陰陽寮は終わっているかもね』
「そこまで言わなくても……」
これでもし違ったら、闇命君どうするんだろう。……本当に終わっていると言いそうだなぁ。
「…………貴方が、安倍家の天才少年ですか。まず、なぜ二人いるのか説明していただいてもいいですか? 貴方のことは小耳にはさんでいますが、これはさすがに聞いていません。どうなっているのでしょうか」
『はぁ、またこの話をしないといけないのか。結構めんどくさいね。隠し通す方がめんどくさいけど』
…………? え、なんで俺を見るの闇命君。その視線、俺が説明しろという事か?
めんどくさいって自分で言っていたじゃないか。
あぁ、なるほど、めんどくさいから俺に投げたという事だな。
「説明、してくれますよね?」
「…………わかりやすく説明は難しいですし、簡単に信じられないかもしれないですが、それでもいいんでしょうか?」
「話を聞かなければ何も答える事が出来ません。聞いてから、考えましょう」
位がどのくらいかわからないけど、低くはないことは確かだな。このような話し合いに慣れているし、警戒を強めてきた。
俺達が変なことを言えば、すぐに行動を起こすだろう。
言葉を選んでも、今から話す内容は現実味がない。事実を話そうとしても、結局信じてもらえなければ、刃を向けられる。
「話してください」
「……………………はい、ワカリマシタ」
何かあれば、すぐに逃げればいいか。
「闇命様、あの、どこから。というか、優夏さん、なんで、え?」
あ、夏楓だ。紅音もいる。と、いうことは、イメージ通りに来れたって事か?
さすがに夏楓達がどこにいるのかわからなかったし、行ったこともない陰陽寮はうまく頭の中でイメージが出来ない。だから、夏楓を頭の中でイメージしたら、うまくここにたどり着くことが出来た。
夏楓を想像したから、ここかどこかわからない。周りを見回しても和室という事しかわからないし、夏楓と紅音は驚きの顔を浮かべるのみで頭がまだ整理できていないみたい。今聞いても答えてはくれなさそう。
『ふぅ。無事にたどり着くことが出来たみたいだね。いきなり失礼したよ、夏楓、紅音。今のところこっちでは何も起きていないみたいで安心した』
「闇命様! え、えっと。なにがあったのですか!」
『落ち着いて、紅音。これは敵襲とかではなく、僕の一技之長をこいつが使っただけだから』
まだ目を丸くしている紅音を落ち着かせるため、鼠姿だった闇命君が姿を現し言ってくれた。
俺と闇命君は移動手段について話し合っていたんだけど、どうしても一技之長以外の方法がわからなくて、結局賭けに出るしかなかった。
今まで以上に集中しましたよ、闇の中に捕らわれ続けるという事が無くて良かったよ……。
「いきなり来て、本当にごめんね。何かやっていた途中だったかな」
「い、いえ。今から行動を起こそうと思っていたので」
「そうなんだ、それならよかった―――って。さっきからどうしたの紅音。なんか、その……目が、怖いよ?」
さっきから紅音が俺を睨んでくるんですが、ちょっと怖い。どうしたんだろう。
「久しぶりの闇命様をかみしめているのです。お気になさらず」
「本当に歯をかみしめてるけど、しかも若干殺気だってない? お気になさらずは難しいからこの殺気」
相当嬉しいんだなぁ、中身は俺だけど。
『紅音、ひとまず今は僕の話を聞いてほしいんだけど。大丈夫?』
「はい、大丈夫です。話を進めてください」
紅音は本当に闇命君の事大好きだよなぁ。もしかしたら、琴平より好きなんじゃ?
いや、また好きのジャンルが違うから、比べるものではないな。
『それじゃ、まず。奥の人、誰?』
闇命君が指している人物は、襖の前で俺達を困惑したような顔で見てきていた。
だれ、だろう。俺も見たことがないし、闇命君も知らないみたい。
陰陽師なのかな、それにしては服装が狩衣じゃない。あれは書生服とでも呼ばれるものだろうか。
「この人は氷鬼家の人ですよ。氷鬼月卯歌さん、凄くお世話になったんです」
夏楓が簡単に説明してくれた。
なるほど、氷鬼家の人か。ということは、ここは氷鬼寮かな。
氷鬼寮の一室を借りて今まで生活をしていたという事か。
気弱な印象。でも、なんだろう。この人、気配が普通じゃないような気がする。
見た目とは裏腹に、並大抵の人ではない。絶対に、何かを隠している。そんな、気がする。
『…………氷鬼家の人……ね。位は? 絶対に低い位ではないよね。何だったら、陰陽助か陰陽頭くらいはあってもおかしくはない。でも、確か氷鬼家の陰陽助は氷鬼冷菓だったはず。同じ苗字なのが少し気がかりだけど、双子か何かで解決できるから今はほっておく』
そこはほっておいていいのか? まぁ、今はいいけど。
『双子で氷鬼家を支えているのなら、一人が陰陽頭になっていてもおかしくはない。君みたいな鋭い気配を持っているような人なら、陰陽頭でも納得出来る。逆に、陰陽頭じゃなかったら、ここの陰陽寮は終わっているかもね』
「そこまで言わなくても……」
これでもし違ったら、闇命君どうするんだろう。……本当に終わっていると言いそうだなぁ。
「…………貴方が、安倍家の天才少年ですか。まず、なぜ二人いるのか説明していただいてもいいですか? 貴方のことは小耳にはさんでいますが、これはさすがに聞いていません。どうなっているのでしょうか」
『はぁ、またこの話をしないといけないのか。結構めんどくさいね。隠し通す方がめんどくさいけど』
…………? え、なんで俺を見るの闇命君。その視線、俺が説明しろという事か?
めんどくさいって自分で言っていたじゃないか。
あぁ、なるほど、めんどくさいから俺に投げたという事だな。
「説明、してくれますよね?」
「…………わかりやすく説明は難しいですし、簡単に信じられないかもしれないですが、それでもいいんでしょうか?」
「話を聞かなければ何も答える事が出来ません。聞いてから、考えましょう」
位がどのくらいかわからないけど、低くはないことは確かだな。このような話し合いに慣れているし、警戒を強めてきた。
俺達が変なことを言えば、すぐに行動を起こすだろう。
言葉を選んでも、今から話す内容は現実味がない。事実を話そうとしても、結局信じてもらえなければ、刃を向けられる。
「話してください」
「……………………はい、ワカリマシタ」
何かあれば、すぐに逃げればいいか。
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