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最終決戦

戦闘開始

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 水分さんの式神を飛ばすと、来たのは弥来さんだった。

「あれ、水分さんは?」
「水分様は今、手が離せないのです。代わりに私が来たのですが、なにかご不都合ございましたか?」
「いえ、大丈夫です。ただ、今水分さんを一人にしていいのかわからない微妙な感じなのです」
「どういう事ですか?」

 さっきまでの出来事を弥来さんに伝える。途中、険しい顔になり怒りが芽生えていたけれど、何とか耐えてくれた。

 自分の陰陽頭の命が狙われているんだもんな、怒り出すのは仕方がない。

「なるほど。とうとう屍鬼家が動き出しましたか。ですが、変ですね」
「変? 何がですか?」
「これは私もうろ覚えなのですが、屍鬼家の陰陽頭は人を殺めるのをいとっていたはずです。なので、蘆屋家の者からの命だったとしても、そう簡単に動かないはずなんですが……」
「え、それは本当ですか?」
「いえ、これは確実なものではありません。最初に申し上げましたとおり、噂程度の情報です。確実性はありません」

 そうか。いや、でも。もしそれが本当なのなら、あの目には納得がいく。
 殺したくないけど、何かされて殺さないといけなくなってしまった。だから、迷いながらも殺しにここまで来てしまった。

 蘆屋道満が動き出したのなら、紅音達が何か知らせてくれるはずなんだけど。それも不思議だ。なにも手紙が来ない、送ってまだ届いていないとかか?

 一人が動き出したことにより、周りが狂ってきた。まったく、勘弁してくれ。これ以上謎を増やさないでくれ。

『…………一度紅音達を呼び戻そうか。あと、件、使うよ』
「あ、そうか」

 件を使えば、今後の動きが分かるか。普通に怖いけど……。

 ☆

 ひとまず、手紙を書いて紅音達に送った。部屋には今、弥来さんと半透明の闇命君。靖弥と俺の四人。この後水分さんも来るみたい。

「『件、我々の道を指す道標となれ。急急如律令』」

 貴族の息子風の件、登場。

『主の、仰せのままに』
「あ、やっぱ待って」
『? はい』
『どうしたのさ、早く見てもらいなよ。時間がないのはわかっているでしょ』
「いや、ちょっと……」

 なんか、また嫌な予言をされてしまったらと思ってしまうと、ちょっと怖い。また、誰かが死ぬというような予言をされたら、俺は耐えられるのだろうか。

 こんな事を現状で考えるのはおかしい。それくらいは俺でもわかる。分かる、けど。感情はどうしても追いついてくれない。

『…………これからは、誰が死ぬかなんてわからないでしょ。それだけじゃない、もしかしたら自分が予言されるかもしれない。それは頭の中に入っているの?』
「え、自分? あぁ。確かにそうか。俺が死ぬかもしれないんだ、それはなぜか頭の中から除外されていたな」

 確かに、それもある。俺が死んでしまう可能性もあるのか。それはそれで恐怖心を煽られたたんだけど……。

「…………件、お願い」
『よろしいのでしょうか?』
「悩んでも、今後起きる事態は変わらない。なら、少しでも情報を知っておこうという決断になりました」
『は、はぁ。では、行きますね?』
「お願いします」

 金色の目と目が合う。お願い、前みたいなことはやめて、嫌な光景は映らないで。
 せめて、誰かが死ぬような光景だけは、辞めてくれ。

『見えました』
「っ!」

 前よりは冷静だ、驚いてもいない。つまり、誰かが死ぬような光景は見えていないという事か? それだったら、嬉しいんだけど。

『…………少々、難しい戦闘になりそうです』
「やっぱり、戦闘は行わないといけないのか」
『そればっかりは仕方がないでしょ。今回の件で終わらせるよ。この、先祖が残してくれためんどくさい戦争を。件、もう少し詳しく教えて』
『わかりました。もう少し深くまで見てみます』

 闇命君、やっぱり冷静だ。覚悟も決まっている。

 俺も、もうそろそろ覚悟を決めないと。本気で、蘆屋道満を倒す、覚悟を。

『見えました』

 っ、どんな、光景が見えたんだ。

『あの、戦闘はもう、始まっているみたいです』
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