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三人修行
もう、怒られたくない
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修行相手は誰なのかわからないけど、魔魅ちゃんはここから別行動らしい。
離れるのは怖いけど、魔魅ちゃんは頑なり誰が相手なのか、何処に行くのか教えてくれなくて。結局、別行動になってしまった。
俺も自分の修行に集中しないといけないし、靖弥も琴葉さんと一緒に、魔魅ちゃんなんて一切気にせず修行に行ってしまった。
「行ってきます!!」
「……はい、いってらっしゃい」
元気にどこかに行ってしまった魔魅ちゃん。なんか、子供を送り出すような、複雑な気持ちが俺の中に芽生えた。
手を振って送り出すと、水分さんが後ろから俺の名前を呼び振り向く。
「俺達ももうそろそろ行くぞ。女の方に動きがあれば、すぐにこちらも準備を始めなければならない。そのためには、少しでも時間を短縮する必要がある。今すぐ続きをやるぞ」
「あ、はい。よろしくお願いします!!」
よし、気になるけど、やるしかない。やるぞー!!
☆
湖まで行き、修行を始めること数週間。いい感じに変化が現れ始めた頃、紅音達の方で動きがあったみたい。夏楓の式神が飛んできた。
夏楓の式神は蝶、修行をしていた俺の元に飛んできて、周りを羽ばたき人差し指に止まる。すると、長方形の紙に戻り、手紙と共に俺の手に残った。
開いてみると、手紙の中にはこう書かれていた。
夏優・闇命様へ
今回の成果をお伝えさせていただきたいと思います。
お茶会に参加させていただき、氷菓さん、紅音、私が最初に集まり、最後に蘆屋藍華が参りました。
一瞬警戒しましたが、見た目はただの少女でした。年齢は闇命様と同じく十三。巫女の服を着用。笑顔が絶えない、かわいらしい少女。闇命様の命を狙っていた蘆屋道満の面影すら感じませんでした。
お話も、仕事の話などはせず。恋愛の話や、今までの出来事など。たわいないお話をされており、紅音も途中から警戒を解き、普通にお茶会を楽しんでおりましたよ。
紅音が警戒を解くのも珍しいです。私達以外に楽しく話すことなど今までありませんでしたから。それだけ、楽しかったのかと思います。
私も、楽しませていただきました。だからこそ、不思議でなりません。
蘆屋道満は、また別なのでしょうか。私達はまだ蘆屋藍華について調べてみます。わかったことがあれば、再度式神を飛ばさせて頂きたいと思います。
と、書かれている。これは、肩に乗っている闇命君も覗き見ており、怪訝そうに鼻をヒクヒクとさせていた。
「これ、どういうことだろう。普通にお茶会を出来た事にも驚きだし、紅音が警戒を解くのもなんか変だな。見た目は、なんか、出来そうだから特に触れない」
『確かに見た目を、中の人に近づかせることは可能だよ。でも、完全にその人になんて、出来たっけ…………』
「え、出来たっけって。疑問に感じるということは、完全にできない訳では無いってこと?」
『おそらく……だけど。蘆屋道満が別人格は考えにくい。そもそも、蘆屋道満は今の時代に存在するわけがない。今この時代に存在する人間に憑依しなければ、姿を現す事が出来ないはずだよ。でも、その憑依も、波長が合わなければ出来ないはず。そうなると、親族が一番憑依しやすい。血が薄くても、子孫である藍華が一番の適正人物のはずだよ』
なるほど。だから、安倍晴明も俺というか闇命君の体の中に入っているのか。才能があるからとかかと思ってた。
「つまり、今は安倍晴明みたく、蘆屋藍華の内の中で眠っているって事かな」
『可能性としては考えられるよね。安倍晴明に聞くことは出来ないの? さすがにこれは父様に教えてもらえなかったんだ』
「そっか……。んー……いやぁ、それが……その…………」
言い訳を言おうにも、心は読まれる。でも、本当のことを言ったら確実に馬鹿にされる。これは、本当のことを言ってごまかさないと。琴葉さんみたいな感じに口を上手く使って――……
『無意味、早く難しい事を考えないで事実をわかりやすく話せ』
「はい」
心を読まれているのに、この思考は無謀だった。
「えっと。安倍晴明に俺、本気で怒られました」
『……………………はい?』
離れるのは怖いけど、魔魅ちゃんは頑なり誰が相手なのか、何処に行くのか教えてくれなくて。結局、別行動になってしまった。
俺も自分の修行に集中しないといけないし、靖弥も琴葉さんと一緒に、魔魅ちゃんなんて一切気にせず修行に行ってしまった。
「行ってきます!!」
「……はい、いってらっしゃい」
元気にどこかに行ってしまった魔魅ちゃん。なんか、子供を送り出すような、複雑な気持ちが俺の中に芽生えた。
手を振って送り出すと、水分さんが後ろから俺の名前を呼び振り向く。
「俺達ももうそろそろ行くぞ。女の方に動きがあれば、すぐにこちらも準備を始めなければならない。そのためには、少しでも時間を短縮する必要がある。今すぐ続きをやるぞ」
「あ、はい。よろしくお願いします!!」
よし、気になるけど、やるしかない。やるぞー!!
☆
湖まで行き、修行を始めること数週間。いい感じに変化が現れ始めた頃、紅音達の方で動きがあったみたい。夏楓の式神が飛んできた。
夏楓の式神は蝶、修行をしていた俺の元に飛んできて、周りを羽ばたき人差し指に止まる。すると、長方形の紙に戻り、手紙と共に俺の手に残った。
開いてみると、手紙の中にはこう書かれていた。
夏優・闇命様へ
今回の成果をお伝えさせていただきたいと思います。
お茶会に参加させていただき、氷菓さん、紅音、私が最初に集まり、最後に蘆屋藍華が参りました。
一瞬警戒しましたが、見た目はただの少女でした。年齢は闇命様と同じく十三。巫女の服を着用。笑顔が絶えない、かわいらしい少女。闇命様の命を狙っていた蘆屋道満の面影すら感じませんでした。
お話も、仕事の話などはせず。恋愛の話や、今までの出来事など。たわいないお話をされており、紅音も途中から警戒を解き、普通にお茶会を楽しんでおりましたよ。
紅音が警戒を解くのも珍しいです。私達以外に楽しく話すことなど今までありませんでしたから。それだけ、楽しかったのかと思います。
私も、楽しませていただきました。だからこそ、不思議でなりません。
蘆屋道満は、また別なのでしょうか。私達はまだ蘆屋藍華について調べてみます。わかったことがあれば、再度式神を飛ばさせて頂きたいと思います。
と、書かれている。これは、肩に乗っている闇命君も覗き見ており、怪訝そうに鼻をヒクヒクとさせていた。
「これ、どういうことだろう。普通にお茶会を出来た事にも驚きだし、紅音が警戒を解くのもなんか変だな。見た目は、なんか、出来そうだから特に触れない」
『確かに見た目を、中の人に近づかせることは可能だよ。でも、完全にその人になんて、出来たっけ…………』
「え、出来たっけって。疑問に感じるということは、完全にできない訳では無いってこと?」
『おそらく……だけど。蘆屋道満が別人格は考えにくい。そもそも、蘆屋道満は今の時代に存在するわけがない。今この時代に存在する人間に憑依しなければ、姿を現す事が出来ないはずだよ。でも、その憑依も、波長が合わなければ出来ないはず。そうなると、親族が一番憑依しやすい。血が薄くても、子孫である藍華が一番の適正人物のはずだよ』
なるほど。だから、安倍晴明も俺というか闇命君の体の中に入っているのか。才能があるからとかかと思ってた。
「つまり、今は安倍晴明みたく、蘆屋藍華の内の中で眠っているって事かな」
『可能性としては考えられるよね。安倍晴明に聞くことは出来ないの? さすがにこれは父様に教えてもらえなかったんだ』
「そっか……。んー……いやぁ、それが……その…………」
言い訳を言おうにも、心は読まれる。でも、本当のことを言ったら確実に馬鹿にされる。これは、本当のことを言ってごまかさないと。琴葉さんみたいな感じに口を上手く使って――……
『無意味、早く難しい事を考えないで事実をわかりやすく話せ』
「はい」
心を読まれているのに、この思考は無謀だった。
「えっと。安倍晴明に俺、本気で怒られました」
『……………………はい?』
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